その17 引っ越し


 

 昭和63年3月新病院が完成した。それまで今にも壊れそうな100床の病院だったのが、一般150床精神50床の新病院に生まれ変わった。新病院の特徴はなんといっても精神科の病棟設立である。それまで島外にしか入院設備がなかった関係で不自由だった精神疾患の患者さんが島内でも治療できるようになった。南病棟という陽の当たる港の見はらせる一番いいところに精神科病棟は作られた。精神科の医師も2名体制となった。そして、産婦人科の病棟設立はそれまでたいへんだった周産期医療に大きな期待を抱かせるものだった。また、耳鼻咽喉科の開設により総合病院としてのスタートが始まったのだ。病院は厳原町の中心部から港の上の山の中腹に移転し患者さんの足が心配された。
 院外保健活動はこれまでの実績をさらに発展させるために特別に専属の保健婦とスタッフを置き、医師が院外保健活動を兼任することとなった。一挙に医師の数は20名近くになり、対馬の病院の中で名実ともに最大の病院となったのである。
 病院の引っ越しは2日間でアッと言う間に終わった。そして我々職員宿舎の住民も同時に引っ越したのである。



対馬いづはら病院