No1
|
No2
|
No3
|
No4,
|
それぞれの作品写真をクリックすると拡大します。
|
|||
|
|
||
|
||
|
||
|
||
広島大学病院企画 |
||
これまで山崎由美子の植物プロジェクトは、自然豊な地方都市で行われその制作発表は美術館や画廊などアートを中心にした空間で開催されてきた。今回、広島大学病院の企画「医療と芸術」展において,病院敷地内で山崎のプロジェクトが実施されるということで非常に興味深く感じている。 |
||
改めて病院という場所を考えてみる。 ここは、怪我や病を負った人々が、自分の力だけではどうにもならない身体を委ねるところである。そして、豊富な医療知識と治療経験を持つ医師が患者の治療にあたる,看護師が医師と患者を手助ける、さらに最新医療機器が補助をする。 怪我や病気は早く治る場合もあれば,時間がかかる場合もある。しかし、「治りたい」「生きたい」という意志が、「回復する力」を高めるともいう。患者の生きる意志と、医師の術と、サポート役の看護師のそれぞれの力が作用して、やがて病や怪我は治癒へと向かう。 山崎由美子の「植物プロジェクト」はその一連の相互作用と似ているかもしれない。 病院内の敷地の一部を更地にして、時折水を与えながら自然のままに放置する。するとやがて、地面の中に眠っていた種や,風に吹かれて飛んできた種が発芽する。患者の様子をカルテに記録するように、地面の様子をカメラに収める。薬や治療を施すように水を与える。そして優しい気持ちで生長を見守る。頃合いをみて、生長した植物を和紙にそのままの位置で移動させ漉き込む。和紙に漉き込まれた植物は、自然の美しさがそのまま投影された一枚の「作品」となる。 言ってみれば、土から植物の芽が出て育つのを待ち、状況を記録し、提示するだけのことではあるが、この「あたりまえの現象」、言い換えれば「日常のあたりまえな状態」がどれだけ私たちにとってありがたいことなのか、ということを考えるきっかけになるかもしれない。また、単純に植物そのものや,植物の生えた配置の美しさに魅了され心の癒しに繋がるかもしれない。 観る者の印象によってこのプロジェクトは、はじめてアートとなる。
|
||
|
||
|
||
更新2005年9月5日
|
||