美濃・士幌プロジェクト

時間の記憶 植物 士幌 2001年

2001年、夏から秋にかけての士幌町の地面の様子、そしてそこに芽生える植物の成長、変化を画像、影像で掲載しました。それらは毎日更新されました。 士幌の夏から秋への季節の変化をこのページ上で見て取ることができます。
10月1日の地面

10月1日の地面の様子

8月5日から9月30日まで、自然に成長した植物を10月1日に採集しました。
この画像は採集寸前の植物の様子です。

9月22日〜30の地面9月14日〜21日の地面9月6日〜13日の地面8月29日〜9月5日の地面

8月21〜29日の地面8月13〜20日の地面 8月5〜12日の地面

制作現場のパノラマ(QuickTime4.2)245k|

8月5〜30日のFlashMovie986k|

パノラマムービーはQuickTimeプラグインが必要です。見ることができなかった人はこちら
からダウンロードしてください。

 

制作現場(北海道士幌町北中音更小学校校庭)

私は士幌町の平原に12個の長方形の穴を作りました。
風、水、そして鳥や自然の出来事が植物の種を運び、そしてそこに植物が生長するのを待っています。
そして、その種子が芽吹いた後、それら小さな植物をこの場所に生息していたのと同じ位 置になるように和紙の中に漉き込むことを考えています。

2001年9月 山崎由美子


美濃・士幌プロジェクトについて

美濃・士幌プロジェクトは、岐阜県美濃市と北海道士幌町との文化交流事業で、その姉妹都市のつながりを作品で表現しようとする試みです。
美濃市と士幌町の高校生を対象としたワークショップが開催され、それぞれの地における場所の個人的な記憶に基付く作品場所の記憶を制作しました。
また、美濃市、士幌町で展覧会が開催されました。

作品「時間の記憶」コンセプト

私が考えている自然とは、
風(空気)、雨(水)、太陽(光)、地面(土)、
そして時間。
これらは、地球上のありとあらゆる生物にとって最も根源的な要素です。
それらがひとつでも欠ける事があれば、
私たち人間の存在はおろか生物、全ての存在は、ありません。
違った角度から考えると、
自然の意志により私たちは、生かされていると、考える事もできます。
このような考え方が、
今の私たちに、必要であると考えています。

しかし、私たちは、自然の意志を感じる事は可能です。
が、それを形として見ることはできません。
しかし、他の媒体に置き換えることによって、
それを表現することは、可能であると、私は考えています。
自然によって創られる構成や、バランス、
そして、その美を私は、この目で見たいのです。
自然の意志を具体化(作品として、提示すること)は、
私、一人だけにとって重要なことではなく、
私たち全てにとって必要であると、 考えています。

 

作品「時間の記憶」

その第一回目の試みとして1999年度に制作した作品のためには、アーティスト イン レジデンスのために使われていた美濃市の工房の庭を選びました。私は、その庭の一部の表面 を12箇所、2cm掘り下げました。その表面にある存在している植物、その根、小さな石、落ち葉などを全て取り去り、地面 を露出させることによってこれから起こりうる変化にそなえました。約、2ヶ月間、待つことにより、自然によって運ばれてきた種がその場に根付き、小さな植物が芽生えました。そして、私は自然によって創られたその植物の構成や位 置関係を変えず、和紙の中に漉き込みました。
つまり、その植物の位置関係、バランスを和紙の中に漉き込み作品として提示することによって、私の考える「自然の意志」を視覚可能なものとし、置き換えることが、私の作品制作の重要な目的です。

作品「時間の記憶」は、「植物」というタイトルを持った作品と、ビデオ映像による作品を組み合わせることによって成立します。また、それら作品を制作する上で重要な役割を持っているのがこのフィールドワークです。もちろん私の作品にはその場の特徴や、条件、が影響します。私の作品には、常にその場に、その期間中に起こった出来事が記録されます。


作品 「時間の記憶 植物 士幌」
フィールドワークの場所 北海道士幌町を選んだ理由について


 作品「時間の記憶 植物 士幌」は、それを制作するための場所、または土地に多くの影響を受けます。第一に、その場所の持つ物理的要素、たとえば、その土地の位 置関係、気候、地形、土の性質、その周辺の環境などがあげられます。
  また、それ以外の要素、たとえば、その土地のもっている歴史やそこで生活している人々は勿論、そこに生息している生き物によっても多くの影響を受けます。
  この作品にとっての制作場所(植物が自然に生えるのを待つ場所)を選ぶということは、重要な条件の一つです。なぜなら、作品「時間の記憶 植物 士幌」は、場所との関わりが作品に影響をあたえ、その影響が自体が作品の中に内包される性質を持っています。
  第一回目の試みとして制作した作品、「時間の記憶 植物 美濃 1999」は、美濃市の古川の工房の中庭をフィールドワークの場所として選びました。うだつのある伝統的な建物の中庭で比較的日当たりがよく、風もよく通 り、鳥もくる理想的な場所でした。
  その結果、満足のゆく作品を制作できましたが、しかし、残念であったのは、三方が、建物や、塀に囲まれていたことです。 広い場所での制作が作品「時間の記憶 植物 士幌」には、適しています。私の考えている自然を明確に具体化するためには、北海道、士幌町の広大な土地での制作が必要であると思います。 「しほろ」の町名は、「広大な土地」という意味のアイヌ語「シュウウォロー」がなまってシホロとなり、士幌の文字が当てられたものです。 (冊子、しほろ 発行 士幌町役場企画課 より引用)
  また、地形、気候、自然体系も美濃とは、違っていますので、作品にも私の考えている自然を明確に具体化できると予測しており、より厳密な作品の展開が期待できると考えています。
  また、士幌町は、美濃市と深い関係、北海道集団入植に始まる歴史的な関係を、持っています。約百年前、原生林を開拓し士幌町の基礎を築き上げたのは、美濃からの入植者であるということを知ったとき、士幌の土地には、約、百年の美濃との関係の歴史(記憶)があると感じました。