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  平成17年12月定例県議会を振り返って

 


   平成17年12月定例県議会が招集される前日の12月1日、第43代県議会議長をお勤めになり、福岡県政に偉大な足跡を刻まれました三木清先生がご逝去されました。哀惜の念に堪えません。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
    

 今議会は12月2日より22日までの21日間の会期をもって招集されました。
 麻生知事は、提案理由説明の中で三位一体改革について触れ、「約3兆円という大規模な税源移譲が基幹税である個人住民税によって実施されることとなったのは地方分権史上画期的なことである。全国の自治体の首長及び議員の一致した運動の成果であり、深く感謝申し上げる。」と述べました。
 提案された32件の議案の主なものは、県立学校等における飛散の恐れがあるアスベストを除去するための経費や県職員給与条例の改正に伴う給与費の減額を主たる内容とする、総額13億7千4百万円余の平成17年度一般会計補正予算案、県が設立する地方独立行政法人を情報公開条例及び個人情報保護条例の実施機関に加えるための条例などであります。

 代表質問は12月8日から始まり、我が自民党県議団は、まず、今回の給与改定について取り上げ、なぜ調整手当の支給割合の引き下げが人事委員会勧告のとおり行われなかったのか、また、マイナス勧告が来年1月1日からの実施となっているのはご都合主義ではないかと厳しく説明を求めました。
 これに対し麻生知事は、「来年度からは調整手当制度本来の趣旨に沿う地域手当を導入することとしているため、調整手当の引き下げは見送った。マイナス改定を本年4月に遡って実施することについては、現在2%の給料減額措置を行っているという実態もあることから、来年の1月1日実施とした。」と説明いたしました。

 自民党県議団は麻生知事に対し、全国知事会長としての三位一体改革の総括を質問いたしました。
 知事は、「地方の独自財源を3兆円という大規模な規模で強化したのは大きな前進。生活保護費を移譲の対象にせず、施設建設費を対象とさせたのは地方の結束力の成果であり、評価できると考えている。義務教育費の国庫負担金は負担率を2分の1から3分の1に下げることとなったが、地方の自由度の拡大という点では不満が残る結果だ。実質的な裁量の余地を拡大していくという我々の理想は、同時に霞ヶ関の影響力が落ちていくということであり、この改革に当たっては非常に激しい衝突になった。今後とも、この力関係の変革ということに向かって力を結集させてやっていかなければならない。」との答弁を行いました。
 また、平成19年度以降の、いわゆる第2期の改革についての抱負と戦略を質したのに対しては、「政府与党合意の中でも分権改革には終わりがないことを確認し、国と地方の協議の場も継続していくことを官房長官とも確認した。地方六団体では、分権の新しいビジョン、戦略の策定に向けて早速検討を始めてまいる。」との考えを明らかにしました。この三位一体改革については、各会派からも代表質問が行われたところであります。

 先の6月議会において麻生知事は、市町村合併新法に基づく合併構想については市町村と十分に意見交換し、合併の可能性のある地域を対象としていく旨の答弁を行いました。本年8月には市町村合併推進審議会が設置されております。
 自民党県議団は、合併構想の対象とする具体的な地域を問うとともに、合併協議会設置に向けての市町村との協議・調整はどのようになっているのかについて質しました。
 知事は、「構想対象市町村の組み合わせは市町村合併推進審議会の意見を聴きながら行うが、地元の成熟が必要であり、既に合併協議会が設置されている八女市、上陽町、瀬高町、山川町、高田町などを中心に進めていきたい。自主的に合併をしなければいけないという共通認識や危機感、さらには将来展望が必要であり、八女地域、山門地域、糟屋地域、糸島地域、田川地域、豊築地域などにおいて市町村長等との意見交換を行うとともに、議会の研修会や地域住民の活動に対する支援を行っている。」との答弁を行いました。

 連日マスコミで報道されている耐震構造偽装工事は、極めて重大かつ悪質な社会事件であり、国会においても数回にわたり証人喚問が行われております。本県においても、既に苅田町、北九州市のホテルと福岡市のマンションで偽装が判明いたしております。
 自民党県議団は、まず、県内で他に不安を抱えた建築物はないのかについて質しました。
 これに対し麻生知事は、「県民の生命・財産に直接関わる重大な問題であり、誠に遺憾。県と両政令市、久留米市、大牟田市では、平成14年4月以降の構造計算プログラムを用いた計算書1066件について緊急点検を行ったが、特に問題点はなかった。今後、国が指定した検査機関分についても点検するよう求めていく。」と答えました。
 さらに自民党県議団は、建替えや住み替えが生じた場合の助成等の方針を明らかにするよう求めるとともに、規制緩和により民間検査機関による建築確認が行われるようになったことが今回の問題につながっているのではないか、知事の率直な見解を質しました。
 知事は、「住民の安全確保が大切であり、県の支援の必要性、範囲、方法について検討する。平成16年の実績では、19000件余の建築確認の約半分を指定検査機関が行っており、その割合は年々増えている。県指定期間への立ち入り検査などを強化するとともに、国指定期間に対する指導が可能となるよう制度改正を求めていく。」との考えを明らかにいたしました。

 次に、やはり県民に大きな不安をもたらしている問題である国民保護法制についてであります。本年3月には「国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部条例」及び「国民保護協議会条例」が制定されました。また、昨年度は県民の避難、救護、大規模集客施設の状況等の調査が実施されました。しかし、この調査においてどのような課題が明らかになったのか、また国民保護計画はいつ完成するのかなど、我々県民にはわかりづらいことが多いのが実情であります。自民党県議団は、これらの点を明らかにするよう知事に求めました。
 麻生知事は、「調査の結果、市町村職員や消防職員だけでは避難を誘導するためには不足すること、学校や公民館等だけでは集合施設も不足すること、両政令市に大規模集客施設が集中しており、特段の対策が必要であることなどが明らかになった。国民保護計画については、今月中に協議会の答申を受け、その後速やかに国との協議を行って確定させていく。計画策定後は、詳細な避難、救援の方法を実施要領として作成するとともに、市町村の計画策定への助言などを行ってまいる。」と答弁いたしました。 
 さらに、自民党県議団が国民保護計画を実効あるものにするための課題と国民保護に対する知事の決意を質したのに対して知事は、「武力攻撃事態や大規模テロが発生した場合は、住民の避難、救援と自衛隊の出動の両立を図らなければならない。このため、関係機関との連携体制をしっかり整備するとともに、日頃から国民保護の意義や仕組みについての啓発や訓練を強化してく。県民の生命・財産を守るのが知事としての最も重要な責務。実際の有事に当たって、保護活動が迅速・的確に行われる、しっかりとした備えをとる。」との考えを示しました。

 自民党県議団は、乳幼児医療の充実、特に県費負担の充実強化について質問を行いました。かつて我が自民党県議団が強く求めた成果として、平成16年4月より、入院費用については就学前まで県費で負担するという制度拡充が行われました。このことは、乳幼児を持つ父母の皆様からは大変喜ばれているところでありますが、他県に比べるとまだまだ遅れをとっており、特に、初診料を自己負担としているのは福岡県のみであります。この点を早急に改善すべきであるとの指摘に対し麻生知事は、「子育て支援策の一層の充実を図らなければいけないということから、3歳児未満の乳幼児医療制度を実施している市町村と協議を行っている。自己負担の見直しを検討の対象としていく。」との考えを明らかにしました。


 今年は、12月に入ってから近年にない厳しい寒さが続いています。現在、東南アジアを中心に広がっている高病原性鳥インフルエンザのウィルスは人に感染し、死亡例も多数報告されており、人から人へ感染する新型インフルエンザの発生が極めて心配されております。この新型インフルエンザ対策については、自民党県議団をはじめとして殆どの会派が代表質問で取り上げ、発生した場合の対策と抗インフルエンザウィルス薬(タミフル)の備蓄計画、さらに鳥インフルエンザの蔓延防止対策について知事に質しました。 
 知事は、「感染症の専門家による感染症危機管理対策委員会で種々の対応策を協議しており、国の行動計画との整合性を図りながら新型インフルエンザ対応指針を策定する。タミフルの備蓄については、福岡県においては人口の3%に当たる41万8千人分を18年度、19年度の2カ年で備蓄することを国から要請されている。蔓延防止のためには、養鶏農家への定期的立ち入り検査の実施が重要と考える。千羽以上を飼育している農場については、抗体検査を定期的に実施している。」との答弁を行いました。

 教育問題に関して自民党県議団は、まず食育の問題について、県としての食育基本計画の早急な策定と栄養教諭の配置を求めました。これに対し麻生知事及び森山教育長からは、「県の食育基本計画は、本年度末に決定される予定の国の食育推進基本計画を基にして策定したい。今日の子供たちについては、食生活に関する様々な問題が懸念されており、学校における食に関する指導の中核的役割を担う栄養教諭の配置は必要と認識している。来年度からの配置を検討したい。」との考えが示されました。

 

 

 次に自民党県議団は、教職員の勤務評定の問題を取り上げました。学校現場では、いわゆる指導力不足教員の存在や精神疾患により教壇に立てない教員の存在がクローズアップされ、教員の質と意欲が問われております。このような問題が改善されないのは、我が福岡県においては未だに勤務評定が実施されていないために、教員の意識改革が沸き上がらないことにも原因があったのではないでしょうか。文部科学省は「勤務評定は法に定めた人事管理制度である」として、厳しい姿勢で早急な制度化を求めていくとのことであります。この問題についての麻生知事の所見を問うとともに、管理職や新規採用教員にとどまらず全教職員に勤務評定を実施することについて森山教育長に厳しく迫りました。
 麻生知事は、「現在、教育委員会では学校長が作成する執務の記録を人事異動等に活用しているが、こうした取り扱いは勤務評定の趣旨に照らし十分とは言えず、段階評価を取り入れた新たな評価制度への早期の移行が必要と考える。」との認識を示しました。
 また、森山教育長は、「平成16年度から勤務実績を5段階で評価する新たな人事評価の試行を開始している。来年度からは、全ての教職員に本格的に実施したいと考えており、新たな規則の整備など評価制度の構築を進める。」との答弁を行いました。

 我が筑紫野市の山家地区における国道200号の交通安全問題、交通環境問題については、先の6月議会において自民党県議団が追及したところであります。
 この結果、歩道の整備や速度警告板の設置などの現道の交通安全対策が取りまとめられ、11月の土木常任委員会において報告されたことは一定の成果と言えます。
 しかしながら、山家地区の現道問題を考えますと、更なる効果を挙げるためには現道と冷水道路との一体的な取組みが不可欠です。冷水道路は早期整備の要望が強かったこともあり、税を投入することなく借入金で建設し、通行料金で返済する有料道路を選択しました。その結果として、料金への抵抗が大きく、現道問題が解決しないのです。

 

 

 現道と冷水道路との一体的な取組みをどのように進めていくのか、麻生知事は本会議において、「現道の交通量を減らすためには冷水道路への交通の転換が必要。このためには冷水道路の料金の引き下げが必要であるが、有料道路として将来の償還も念頭に置かなければならない。料金引き下げによる効果や採算性に与える影響等を分析し、新たな料金設定という思い切った対策を早急に取りまとめていく。」との考えを明らかにいたしました。

 12月16日には各常任委員会が開催され、所管の議案や請願、陳情等についての審議が行われました。最終日(22日)の本会議においては、各常任委員長の審議結果報告の後、採決を行った結果、賛成多数で全ての議案を可決いたしました。
 平成17年も暮れようとしております。3月に発生した「福岡県西方沖地震」の爪跡はなお深く、被災地の復興に向けた取組みが続けられています。壮大なスケールと美しさを備えた「九州国立博物館」の開館や、全国から多くの皆様をお迎えした「ねんりんピックふくおか2005」の成功は県民の大きな喜びでありました。私も、2月からは県議会議長として議会運営に精励し、皆様のご支援のおかげで4回の議会を無事に運営することができました。

 藤田陽三は、これからも、郷土の発展と県民生活の向上のため、力一杯頑張って参ります。どうか、平成18年度も変わらぬ御支援、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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