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  平成22年9月定例県議会を振り返って

 

  平成22年9月定例県議会は、9月17日から10月8日までの22日間の会期をもって招集されました。
 本県経済は、失業率が6%前後で推移するなど、依然として厳しい状況が続いております。このため、麻生知事は、若者の就職支援、県民生活の安全向上のための公共事業の実施など、強力に雇用・景気対策を進めるとの方針の下、259億2,800万円余の一般会計補正予算を編成し、これを含む18件の議案が今議会に提案されました。

 本格的な論戦は9月27日の、我が自民党県議団の代表質問から始まりました。
 9月15日、政府と日銀は、6年半ぶりに単独為替介入を実施し、ようやく円高対策に乗り出しましたが、それまでの無策ぶりは目に余るものがあります。8月30日に公表された基本方針でも、いわゆる「真水」はわずか9,200億円に過ぎず、しかも、その財源は麻生内閣時代に創設された経済危機対応予備費を真似て計上した予備費を活用するものです。いまや、30兆円に及ぶと言われる需給ギャップを埋めるには、全くお粗末な内容であります。本県の今回の補正予算は、我々自民党県議団が、あらゆる機会を通じて景気・雇用対策のための財政投入を強く要請したことに応えたものであり、高く評価いたします。しかし、民主党がもたらした、いわば「政権不況」なるものが極めて深刻である中、この程度の措置でこの不況が乗り切れるのか、また、公共事業予算について、さらなる措置が必要なのではないか、自民党は麻生知事の見解を明らかにするよう求めました。麻生知事は、「本県では、失業率が非常に高水準であり、特に若者の就職が大変厳しい。このため、若者の就職支援、県民生活の向上を目指した公共事業の実施を通じ、県としてできる限りの雇用・景気対策を実施するという考え方で補正予算を編成した。これにより、下半期の公共事業は、ほぼ前年度並みの事業費を確保できる。このように、地方公共団体は、必死になって景気を支える努力をしている。これに呼応するためにも、政府は、早急に円高対策、雇用・景気対策を講ずるべきである。」との考えを明らかにしました。
 また、自民党は、民主党政権による、国民の人気取りでしかない子ども手当や高速道路無料化などの政権公約について、麻生知事はどのように評価しているのか質しました。これに対し知事は、「急速に進む少子化、人口の減少、これに抜本的な対策を講じなければ日本の展望は開けない。このため、子ども手当は是非実現すべきと思うが、残念ながら公約通り実現できない、いわば腰砕けになりそうな状況であり、誠に遺憾。また、高速道路無料化は、交通体系全体の中で考えるべきであり、維持管理費や建設費、これまでの借金の償還財源の確保の問題など、慎重に検討すべきである。」との答弁を行いました。

 大変厳しい経済情勢の下で、県財政に関して最も気がかりなことは、県税収入の見通しであります。過去3年間は、県税収入が見込みを大幅に下回り、減額補正を余儀なくされてきましたが、4,518億円の収入を見込んでいる今年度はどのような見通しとなっているのか、自民党は知事に質しました。麻生知事は、「8月末の実績では、個人県民税がやや減収となっているが、法人関係税は堅調に推移している。今後は、円高の影響などもあるので。11月の主要企業の中間申告の状況などに注意する必要がある。」との状況を明らかにしました。

 現在、我が国が置かれている厳しい諸情勢を全く顧みない、まさに国民不在の「権力闘争」とも言うべき民主党代表選挙が9月14日に行われ、菅内閣が「政治主導」を体現し得ているのかが論点となりましたが、菅内閣の実態は「官僚主導」であり、さらに言えば「財務官僚洗脳内閣」であります。このような菅内閣の下では、権限の委譲、義務付け・枠づけの緩和、地方消費税の拡充といった地方分権の推進は、殆ど期待できません。全国知事会は、菅内閣に対し、相当厳しい対決姿勢で臨まなければ、地方分権の確たる成果は勝ち得ないでしょう。自民党は、地方分権の推進に向けてどのように全国の自治体を束ね、菅内閣に対してどのような政治姿勢で対応するのか、全国知事会長である麻生知事の決意を明らかにするよう求めました。これに対し知事は、「一番初めに実現しなければならないのは、国と地方との協議の場などの3法を次の臨時国会で成立させること。さらに、地方税財源の強化、国の出先機関の原則廃止、義務付け・枠づけの見直しを着実に進めていかなければならない。このような目標に向かって、地方6団体が結束して政府に働きかけ、されに自民党、公明党などの野党各党にも積極的に理解を求めていく。」との考えを明らかにしました。

 麻生県政も4期16年が経過しようとしております。これまでの麻生知事の実績は、それなりに高く評価されるべきと考えます。しかし、対外的な華々しい成果の裏側で、県庁職員の不祥事は続発しており、平成12年度以降は、免職が10件、停職が18件など、実に43件の懲戒処分が行われております。県行政のマンネリズムが深く静かに進行・拡大し、職員の心を蝕んできたのではないかとの思いを抱かざるを得ません。自民党は、麻生知事はこの状況に対してどのような認識を持っているのか、また、不祥事を根絶するための職員の意識改革はどうなっているのか、明確な答弁を求めました。麻生知事は。「職員の不祥事の態様は様々であり、職員の倫理意識、適正な業務運営のチェック体制、職場における意志疎通の不足などの原因が考えられた。このため、これらの原因に即応した形で防止策を繰り返し実施していく。職員の意識改革については、外部講師の活用やケーススタディによる実践的研修を積極的に実施する。」との方針を示しました。

 民主党政権では、現行の後期高齢者医療制度を平成24年度末までに廃止し、新しい制度を創設するとのことであります。しかし、議論があまりにも拙速であります。財源負担の問題、保険料負担の問題、一割の窓口負担の問題、そして保険運営の問題など、制度の根幹に関わる部分が何ら変更されないのであれば、廃止などといたずらに騒がず、現行制度の改善の方が得策であると、マスコミや多くの国民から指摘を受ける始末です。むしろ、昨年9月に本県県議会が採択した意見書の如く、現行制度の改善、とりわけ、公費投入を大幅に増やし、高齢者の皆さんの負担を少なくすることによって国民生活への定着を図っていくという方が、極めて現実的な方策であります。後期高齢者医療制度をめぐる現状についての認識とともに、公費投入による制度の改善について、自民党は麻生知事の見解を質しました。これに対し知事は、「新たに検討されている案は、後期高齢者医療制度を廃止し、高齢者は国民健康保険と被用者保険に移行するということが基本となっている。しかし、誰が医療費を負担するのかという問題、高齢者と現役世代の負担の問題、運営主体は県なのか市町村連合なのかという問題について深い検討に至っていない。年齢区分についても、ここ一週間ほどの間に、国はやはり75歳以上とすると方向転換しており、これでは、何のために後期高齢者医療制度を廃止するのか訳がわからない。今後も高齢者の医療費は増加していく。制度が将来にわたって持続可能なものであるためには、財源の確保、必要な公費の投入が最大の課題である。制度設計者である国は、まず医療費の推計をちゃんと出すべきであり、その上で恒久的、安定的な財源を確保すべきである。」との考えを示しました。

 民主党政権が、ただ単に選挙対策のために実施すると言っても過言ではない、農業者戸別所得補償制度のあおりを受け、平成22年度の国の農業農村整備事業費は、対前年度比で約66%と大幅に減額されました。このため、本県においても、平成22年度の農業農村整備事業関係の公共事業予算は、対前年度比約77%となっております。まさに、バラマキ予算の悪影響が及んでいるのであり、このような水準が続けば、農業、農村、さらに、これから計画的に農業に取り組もうとしている人々に甚大な悪影響が生じる恐れがあります。自民党は、戸別所得補償制度に対する評価と農業農村整備事業の必要性について、麻生知事に質しました。これに対し知事は、「農業分野では、高齢化が急速に進行しており、農作業を実際に行う支え手が激しい勢いで減少することが予測される。このため、我々は担い手への農作業の集約化政策を進めてきたのであり、この戸別所得補償についても、一律に配るのではなく、法人要件を付与するとか、一定規模以上の農家には加算するとか、将来の農業のあり方を考えた政策要件を付加した形で行っていくべきである。農業農村整備事業は、ほ場・水路の整備による生産性の向上、農道・ため池の改修による良好な農村生活環境の保全に寄与している。実際の事業の推進に当たっては、国の予算に依存するところが大きいので、国に対し十分意見を申し上げたい。」との答弁を行いました。

     
  ほ場整備(行橋市)   ほ場整備(行橋市)  
     
  かん排水路(柳川市)   乗用草刈機  

 教育問題について、自民党は全国学力テスト問題を取り上げました。先日、文部科学省はテストの結果を公表いたしましたが、過去3回は科目ごとに平均点を明確に表示していたのに対し、今回は抽出調査としたため、「平均正答率の95%の信頼区間」という、何とも訳のわからない公表の仕方となってしまっています。この公表方法の変更の陰には、点数による競争を嫌う日教組の意向が見え隠れしております。自民党は、杉光教育長に対し、今回のこうした抽出による公表の仕方に対する見解を明らかにするよう求めました。これに対し教育長は、「文部科学省は、抽出調査のため、誤差を含めた数値の幅で示すことが適当と言っている。しかし、過去との比較が困難で、調査の継続性が途切れた資料となっており、県民から見て分かりにくくなったのではないか。」との見解を示しました。
 学力テストの結果を、全ての児童・生徒のきめ細やかな指導につなげる機会を保障するのは、国として当然の責務であり、そのためには、悉皆調査が最良の方法であります。幸い、我が自民党県議団の強い要請により、本県では悉皆調査が予算化され、良識ある県内の市町村は、全てテストに参加しました。今後は、他県と協力して、再び全国的に悉皆調査に戻すよう努力すべきであり、国が悉皆調査を実施しなかったことによる問題点の指摘も含め、自民党は教育長の見解を質しました。杉光教育長は、「抽出調査では、地域別の結果等が示されないため、学力状況の詳細な分析や教育施策の検証が困難である。本県では、これまでも国に対し悉皆調査の復活を要望してきたが、これからも引き続き働きかけていく。」との答弁を行いました。
 民主党は、悉皆調査を実施していた時の費用、約57億円を無駄であると言っておりました。しかし、意味のない公表を含め、全てが中途半端で、今後の児童・生徒の指導にも活用できない、今回の抽出の費用、約33億円の方が、遥かに無駄であります。自民党は、来年度以降の学力調査の考え方を明確に示すよう、杉光教育長に求めました。これに対し教育長は、「本県の児童・生徒の学力向上のためには、教育の成果を具体的に検証し、授業改善を進めることが重要。このためには、児童・生徒や学校の個別の学力状況を悉皆で把握することが肝要と考える。」との見解を示しました。

 9月29日から3日間にわたる一般質問に続き、10月4日には各常任委員会において議案の審査等が行われました。
 10月8日には最終日を迎え、執行部よりの当初提出議案18件を可決した後、県議会議員の定数並びに選挙区、各選挙区において選挙すべき議員の数を定めた条例を改正することが、自民党県議団蔵内勇夫会長(筑後市選出)外7名の議員から提案され可決されました。市町村合併に伴う県議会議員の選挙区の特例を定めた条例を廃止するという、民主・県政クラブ議員からの提案は否決されました。
 また、この日、知事より追加提出された平成21年度決算関係議案20件を追加上程し、これを審査するための決算特別委員会を設置いたしました。
 最後に、麻生知事より発言の申し出があり、知事は、「知事として、公正と奉仕の精神で、県民生活の福祉の向上を目指し、数々の施策を実行してきた。しかし、5選ともなれば、20年間という長期となることに深く思いを致さねばならない。また、知事として重要な東京人脈や情報網が減少してきた。このようなことから、新しいエネルギーで福岡県を引っ張ってもらう方が良いと考え、来春の知事選には出馬しないこととした。」との考えを明らかにし、満場の拍手が送られました。福岡県政のみならず、日本の地方自治における、麻生知事の功績は誠に大なるものがございます。麻生知事の4期16年間に及ぶ御労苦に深く感謝するとともに、福岡県政を新しい力で牽引し、福岡県民の福祉を向上させる新知事の選出に向けて、全力を挙げて参ります。

 このたび、私、藤田陽三は、自由民主党福岡県連会長にご推挙いただき、先日、就任いたしました。まさに、重責でございます。特に、これから福岡市長選挙、北九州市長選挙、さらには知事・県議会議員を含む来春の統一地方選挙と、数々の闘いが続いて参ります。新宮松比古前会長(県議・福岡市博多区)の後を継ぎ、今林久幹事長(県議・福岡市東区)と力を合わせて、自由民主党の再生に努め、国民の皆様の明るい、豊かな、そして安定した生活を必ず実現して参る所存でございます。どうか、これからも自由民主党と藤田陽三に温かいご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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