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  平成22年6月定例県議会を振り返って

 

 平成22年6月定例県議会は、6月7日から6月23日までの17日間の会期をもって召集されました。
 定例会に先立ち、5月19日には臨時議会が開かれ、正副議長の改選が行われました。
議長には、都道府県議会で初の女性議長となる自民党県議団の田中秀子議員(大牟田市選出)が、副議長には緑友会の林裕二議員(朝倉郡選出)が、それぞれ就任いたしました。

 6月議会には、地方税法の一部改正に伴い県たばこ税の税率を引き上げるための条例案や、県立北九州勤労青少年文化センター(通称:北九州パレス)の使用料を、指定管理者 が直接収入する利用料金制とするための条例案など、合計12件の議案が提案されました。

     
  県立北九州勤労青少年文化センター   プール  
     
  小ホール   音楽室  

 麻生知事は、冒頭の提案理由説明において、菅新内閣に対し、国民の政治に対する信頼回復、成長戦略の推進、景気回復、地方活性化に積極的に取り組むことを特に期待すると述べました。

 本格的な論戦は6月11日の、我が自民党県議団の代表質問から始まりました。
 国政は、鳩山内閣から菅内閣に突然替わるなど、混迷の様相を見せております。民主党の「一人の権力者」に牛耳られた鳩山前政権は、普天間基地問題に象徴されるように、誠に無定見、無節操であり、いずれ行き詰ることは明白であったとはいえ、冷静で確かな目を持つ国民の皆様は、昨年夏の政権交代はいったい何だったのかと疑問を呈し始めていることと思います。
 そのような中、子ども手当や農家の戸別所得補償、高速道路無償化といった来年度以降の予算のあり方に大きな疑問が提起され、さらには、国・地方を通じた財政収支のプライマリーバランス論やひも付き補助金の一括交付金化など、全国の自治体の疑問・不安をいたずらに煽るばかりの事態に陥っております。自民党は、全国知事会長としての麻生知事に対し、民主党のこれら重要政策の現状についてどのように評価しているのか、来年度以降のあり方についてそのような方針で政府に申し入れするのか、その考えを明らかにするよう求めました。これに対し、麻生知事は、「民主党マニフェストに掲げられた政策は、その進捗状況が様々であるが、これらは民主党が選挙の公約として掲げたものであり、難しい課題があっても、その実現に向けて最大の努力をすべきものと考える。また、子ども手当のように全国一律で現金を支給するといったものは国が担当し、一方で、保育といったサービス給付は地方が担当するという大原則が貫かれるよう、国と鋭意協議していく。」との考えを示しました。

 麻生知事は全国知事会長として、鳩山前首相からの要請を会長一存で即刻受諾し、普天間基地問題や沖縄県の基地負担軽減を議題とする全国知事会議を、去る5月27日に開催しました。果たして、この全国知事会議は有意義なものだったのでしょうか。残念ながら、鳩山前首相のアリバイ作りに利用されただけの、形式的で無為な儀式に終わってしまった印象を禁じ得ません。石原東京都知事は、「全国知事会議を開いて、どこか受けてないですかと聞くこと自体がナンセンス。それが何か国民に対するプレゼンテーションになるのか。」と手厳しく批判していました。自民党は、麻生知事は鳩山前首相からどのような要請を受けたのか、また、先般の知事会議にどのような意義があったと考えているのか、さらに、石原都知事の発言をどのように受け止めているのか、明らかにするよう求めました。
  これに対し、麻生知事は、「鳩山前総理からは、日米同盟の重要性、普天間基地の移設、訓練の分散についての検討状況を説明し、沖縄の負担軽減について知事の皆さんの理解と協力を得たいので、知事会議を臨時に開催してほしいとの要請があった。会議においては、鳩山前総理から考え方の説明があり、その後、沖縄県知事から、基地がいかに沖縄に集中し過大な負担となっているかについて詳細な説明が行われた。その後、知事会内部で検討し、日米同盟が重要であること、沖縄の負担軽減が必要であること、さらに、国から具体的な熟慮された提案があった場合は真摯に対応するという共通の見解をとりまとめた。石原都知事自身も、この会議に出席しており、この会議そのものに意義を認めたものと考えている。」との答弁を行いました。

 また、知事会議の席上で石原都知事は、尖閣列島の領土問題に触れ、日米安全保障条約は本当に日本の領土を守るための抑止力であるのかどうか、鳩山前首相に質したところであります。鳩山前首相が示した見解を明らかにするようにと自民党が求めたのに応じて、麻生知事が読み上げた鳩山発言は、「現在の日本の考え方というか、アメリカがこのようにとらえていると我々が理解しているのは、施政権は、当然、日本が有しているということであるだけに、もし日本と中国との間で衝突があったときには、アメリカは日本に対して安全保障条約の立場から行動するということである。しかし、帰属問題に関して言えば、日本と中国、当事者同士でしっかりと議論して結論を見いだして欲しいということであると私(鳩山)は理解している。アメリカにもこの方向を確かめる必要があるが、尖閣諸島に対しては、有事ということで衝突が起こったときは安全保障条約が適用されるという理解をしているが、確かめる必要があると思う。」という、誠に衝撃的な発言でありました。
  この鳩山前総理の発言に対しては、翌日の記者会見で、岡田外務大臣は、「尖閣諸島が日本の領土でるというのは議論の余地がない。」と述べております。
 麻生知事は、以前、「米軍訓練に関しては、沖縄だけではなく、もう少し分散して負担した方がいい」と発言しております。沖縄の歴史は、悲劇の沖縄戦は言うに及ばず、戦後65年間にわたって誠に過酷なものでありました。このような歴史的事実を踏まえたとき、米軍基地問題を巡る言動は、政治生命を賭けたものであるべきです。前述の麻生知事の発言の真意はどこにあるのか、状況次第では米軍訓練を本県の築城基地でさらに受け入れる余地があるということを示していたのか、自民党は知事に質しました。麻生知事は、「私は、基本的には、米軍の訓練の一部を本土側で受け入れていく必要があると考えており、築城基地での米軍訓練の受け入れについても、このような考え方で対処してきた。普天間基地などの訓練の移転については、政府がよく考えて、具体的な場所や条件をまず示す必要がある。仮に、そのような条件の下で政府から具体的な提案があれば、地元の理解を前提として、真摯に対応していく。」との考えを明らかにしました。

 さて、民主党は、政権を取れば「政治主導」による予算編成で、子ども手当や高速道路無料化など、重要政策に必要な財源はいくらでも確保できると豪語しておりました。しかし、シーリングを廃止し、間違った「政治主導」により平成22年度当初予算を編成された結果、過去のどんな政権も及ばない44兆円という、史上最高額の国債発行を招いたのであります。
 ようやく、我が国の景気も回復の気配が感じられ始めてきておりますが、これは、世界同時不況からの迅速な回復を目指した麻生前内閣が打ち出した、大規模な景気対策の賜物であり、本来ならば、平成22年度の当初予算においても、その効果を持続させ、景気回復を着実なものにする対策を講じるべきでありました。しかし、民主党政権は、子ども手当や農家の戸別補償制度など、個人給付の増大により内需拡大を促すという「バラマキ政策」を選択し、「コンクリートから人へ」などという、たわいもない空疎なスローガンに拘泥し、公共事業予算をマイナス18%も大幅削減したのであります。
 本県においては、平成22年度当初予算において、県単独公共事業費を大幅に伸ばし、さらに、国が何らの前倒し方針を示さない中で、独自に上半期の執行目標を75%、金額にして1470億円弱と設定しており、大いに評価するところであります。地域経済の浮揚が公共事業にかかっていることは間違いなく、地域には公共事業を渇望する声が極めて大きくなっております。自民党は、景気下支えのためには、下半期対策として、たとえば大幅な補正予算を編成して公共事業の積み増しを行うべきではないのか、麻生知事の考えを質しました。これに対し知事は、「当初予算においては、雇用・景気対策を積極的に進める必要があること、公共事業は将来の発展力のために重要であることから、県単独公共事業費を大幅に増額した。そして、本県の景気回復をさらに着実なものとするため、公共事業の前倒し執行を進めている。今後は、前倒し執行の効果や中小企業の状況などの景気動向を見極め、下期について適切に対処していく。」との方針を明らかにしました。

 次に自民党は、理髪・美容業界における公衆衛生のあり方について質しました。近年、カット専門・低料金システムの全国大手企業が各地に進出し、「洗髪施設のない店舗」が増加してきました。理髪・美容業界からは、これまで業界をあげて一定の水準を守ってきた公衆衛生管理が脅かされているとして、洗髪設備の設置を条例で義務付けるべきとの強い要望があります。自民党は、これまで再三にわたりこの問題を取り上げ、条例化を主張してきました。全国的にも、すでに21道県において洗髪設備の設置が条例で義務化されております。自民党は、利用者の健康、衛生、環境問題、そして理容・美容業界の深刻な実情を深く勘案し、条例化に踏み切るよう知事に求めました。これに対し、麻生知事は、「理容所、美容所においては衛生管理を徹底する。それにより公衆衛生をきちっと向上させ、守る必要がある。この観点から、条例による洗髪設備の義務付けについて検討を進めていきたい。」との方針を述べました。

 去る4月20日に宮崎県で発生した家畜伝染病口蹄疫問題は、感染被害がますます拡大し、誠に憂慮される事態に発展しております。手塩にかけて育ててきた牛や豚を、目の前で一度に殺さなければならない無念さは筆舌に尽くしがたいものと思います。被害に遭われた畜産関係者の皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
 最も大事な初期対応の時期に外国に出かけた赤松前農水大臣は、「全ての打つべき手は打って外遊に出かけた」と抗弁しましたが、「全ての手を打つ」などということが存在しないのが口蹄疫対策の実情であり、このような認識の浅さがもたらした政府の初期対策の遅れが、間違いなく被害拡大につながっております。政府の責任は極めて大なるものがあると指摘せざるを得ません。
 自民党は、麻生知事に対し、本県における進入防止策とその効果、本県畜産農家への経営支援策、さらには、万が一本県で発生した場合の埋却地の確保について質しました。これに対し、麻生知事は、「5月18日には知事命令を発し、1ヶ月間にわたり強制的に畜舎などの消毒を徹底してきた。昨日、対策本部において、知事命令を4週間延長すること、県境を中心に主要3路線に設けている消毒ポイントを6月まで続行することを決定した。
  幸い、現在福岡県では口蹄疫は発生しておらず、牛肉や牛乳の出荷規制はないことから、経営に大きな影響は出ていないと考えている。今後、各地の市場の休止が長期化し、他県からの子牛の導入に支障が生じるような場合には対策を考えていく。万が一、口蹄疫が発生した場合は、速やかに殺処分を行う必要がある。このため、畜産農家を有している市町村に対し埋却地の確保の検討を要請している。」との答弁を行いました。

 今日、有明海で一番注目を集めているのは諫早湾の開門調査問題であります。諫早湾干拓事業検討委員会は、赤松前農水大臣に対し、「地元関係者の同意を前提として、環境影響調査を行った上で開門調査を行うことが至当。」との報告を行いました。大臣は替わりましたが、政府はいずれ開門調査の是非についての政治的決断を迫られます。具体的な事前の対策を何ら講じることなく、もし政府が一部に迎合して、排水門の開門を強行するようなことがあれば、大変な事態を招きかねません。本県の漁場にも悪影響が及びのではないかとも懸念されます。このような時こそ、麻生知事は全国知事会長としてその政治力を遺憾なく発揮し、意見の異なる福岡、熊本、佐賀、長崎の4県をまとめ、政府と折衝すべきです。自民党は、知事の見解を質しました。麻生知事は、「本県は、一貫して開門調査を実施すべきであるという主張をしてきた。潮受堤防が締め切られて10年以上が経過し、有明海には新しい環境均衡が形成されつつある。開門調査に当たっては、事前に十分環境評価を行い、悪影響が生じないような対策を平行して講じていくことが重要。諫早湾干拓 は国の事業であり、開門調査も国が実施すべきもの。この問題は、国が関係県との調整を行い、その方針を決めるべき性格の問題と考えている。」との考えを示しました。

     
  海苔養殖漁場      

 次に自民党は、教育問題を取り上げました。2期8年勤めた森山前教育長が3月末で勇退し、今年度からは、杉光教育長の下で本県の教育の舵取りが始まりました。自民党は、まず、新教育長は現在の本県における教育の課題をどのように捉え、今後どのような決意を持って舵取りをしていこうと考えているのか、総合的な所見を質しました。これに対し、杉光教育長は、「本県では、最重要課題である学力・体力の向上はもとより、不登校対策、優秀な教員の確保など様々な課題があると認識している。これらの課題解決に向け、私自身が先頭に立って学力向上新戦略や体力アップ推進事業などの施策、教育力向上県民運動に不退転の決意で取り組む。」との決意を示しました。
 来年度は小学校、平成24年度は中学校、さらに平成25年度からは高等学校で、今までのゆとり教育の反省の下に生まれた新学習指導要領に基づく教育が始まります。ゆとり教育の弊害を取り除くには、今後相当な時間と労力が必要になると思われますが、県教委としては、新学習指導要領の定着をしっかりと図っていただかなければなりません。新しい学習指導要領をどのように定着させていくのか、「伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する」という教育基本法の教育目標について、どのように認識し本県の教育現場に定着させていくのか、自民党は、新教育長に明確な答弁を求めました。
  これに対し、杉光教育長は、「全ての教員を対象にした説明会や指導資料の作成、実践研究校の指定などに取り組んでいる。特に、伝統や文化の尊重については、郷土を支え、明日の我が国を担う人材育成のための重要な教育内容である。郷土や国を愛する態度を養う教育の一層の充実を進める。」との答弁を行いました。

 6月15日から17日までは一般質問が行われ、18日には各常任委員会において付託議案等の審議が行われました。
 最終日(6月23日)の本会議においては、各常任委員長より審議結果の報告を受けた後、採決を行い、全ての議案を原案通り可決いたしました。

 第22回参議院議員選挙が、6月24日公示、7月11日投票と決定いたしました。私、藤田陽三は、自民党福岡県連の幹事長として、自民党を支援して下さる多くの皆様方の御力添えをいただきながら、選挙戦の先頭に立って全力で戦って参る覚悟でございます。
 同時に、私は筑紫野市民の皆様から選出していただいた県議会議員です。県民の皆様が、安心して、安全に、そして心豊かに毎日を過ごすことができるよう、福岡県政の重要課題に真正面から取り組み、ふるさと筑紫野市と福岡県の発展のために努力・邁進して参ることをお誓い申し上げます。
 どうか、今後とも藤田陽三に温かい御支援、御鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 
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