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  平成22年2月定例県議会を振り返って

 

 平成22年2月定例県議会は2月24日に招集され、同日の本会議で、3月26日までの31日間の会期を定めました。

 今議会には、平成22年度一般会計当初予算案などの予算議案20件、茶室の整備に伴う福岡県立アジア文化交流センター条例の一部を改正する条例などの議案13件を含む46件の重要案件が提案されました。

  茶室の整備   茶室_外観  
  県立アジア文化交流センター茶室の整備   茶室外観  
  茶室広間棟   茶室小間棟  
  茶室 広間棟   茶室 小間棟  

 去る2月2日、昨年12月21日に辞職した中島前副知事と全国町村会長である山本添田町長ほか1名が、福岡県後期高齢者医療広域連合の設立に関する贈収賄容疑で逮捕され、県議会開会前日の2月23日には3名とも起訴されるという、県政史上に例を見ない刑事事件が発生いたしました。県は、昨年末に発覚した福岡県町村会職員らによる公金詐取事件に関連して、県幹部職員が繰り返し接待を受けていたとの報道があったため、12月24日には民間有識者による「町村会に係る職員倫理調査委員会」を設置し、倫理問題の真相究明に取り組んでいる最中のことでありました。
 麻生知事は、議会冒頭の提案理由説明において、「非常に大きな衝撃を受けている。このような事態は、県行政の信用を著しく失墜させるもので誠に遺憾。県民の皆様並びに議員各位に深くお詫び申し上げる。徹底した調査により真相究明に全力を挙げる。調査結果を踏まえ、私自身を含め、必要な措置を行うとともに、厳正なる綱紀の保持と県民に信頼される県政の推進に努めて参る。」と述べました。
 今議会に提案されました平成22年度当初予算は、一般会計で1兆5,900億3千2百万円余となっており、昨年度と比べ0.1%の増であります。
 麻生知事は、「平成22年度を景気・雇用対策を進め、安心と希望の社会をつくる年にしたい。」と述べました。本県の経済は、輸出・生産が回復の傾向にありますが、今春卒業する高校生・大学生の就職内定率は一段と悪化しており、雇用情勢は極めて厳しい状況が続いています。今回の予算は、「雇用・景気対策の推進」を第1の柱に据え、就職支援や重点分野への人材移転、雇用を支える中小企業の経営支援、景気を浮揚させる公共事業などに重点的に取り組むこととしております。
 歳入面では、景気の低迷に伴う法人二税等の減収により、県税等収入が平成21年度当初予算と比べ890億円の減となっております。これに対し地方交付税等は、このような税収の減が見込まれることや地方財政対策により、交付税が11億円の増、交付税の振替である臨時財政対策債が574億円の増と見込んでおります。
 歳出面を見てみますと、緊急的な雇用創出事業の増額等により行政施策費は前年度に比べ284億円、12.0%の増、県単独公共事業費も、景気浮揚のため県立学校や災害拠点病院、老人福祉施設の耐震工事などを重点実施することとして157億円、15.8%の増となっております。また、義務的経費では、人件費は給料のマイナス改定や職員数の削減などの影響から94億円の減となりましたが、生活保護費などの社会保障費が124億円、公債費は84億円の増となっております。
 この結果、平成21年度より少なくはなっておりますが、依然として99億円の財源不足が生じる見込みであり、これに対しては財政調整基金等三基金からの繰り入れを行って収支均衡を図ることとしております。

 本格的な論戦は3月3日の、我が自民党県議団(以下、自民党と言います。)の代表質問から始まりました。 
 自民党は、まず、県町村会事件と副知事逮捕事件について質しました。麻生知事は、平成11年以来、10年以上にわたって中島前副知事を「懐刀」として重用してきましたが、その手腕や人格等をどのように評価していたのか、率直な見解を尋ねました。知事は、「中島前副知事は、福岡県を発展させたいという強い情熱を持っており、幅広い経験、行動力を有し、多様な課題に積極的に取り組む人物であったと考え、そのあり方について全面的な信頼を置いていた。」との答弁を行いました。
 また、知事の任命責任と監督責任を質したのに対しては、知事は、「今回の事態は、県政に対する信頼を大きく損なうもので、私自身の責任も痛感している。調査委員会による早急な真相究明を行い、これを踏まえ、私自身を含む必要な措置をとる。」との考えを示しました。
 今回の事件は、同一副知事の起用が長期にわたったことが強く指摘されております。知事として、副知事に任期を設けるならばどの程度が望ましいのか、また、本県では条例により副知事3人制となっていますが、どのように対処する考えであるのか、自民党県議団は麻生知事に質しました。知事は、「今回の事態を考えると、3期の任期は長すぎた。今後は2期が原則と考えている。副知事の倫理を確保することが重要であり、何らかの形で副知事そのものの行為規範を明確に定めることが必要。人口五百万人を有する本県の県政を、的確かつ効果的に運営するためには、現在欠員となっている副知事について、今議会中に選任したいと考えている。」との考えを明らかにいたしました。
 今回の事件の当事者は、全国知事会長県のナンバー2と全国町村会長自身であり、全国の地方自治体に対する国民の信頼を失墜させかねない重大性を有しています。県民の信頼を失った今回の事件に対し、いかに県政を立て直し、信頼を回復させるのか、自民党は麻生知事の政治姿勢を明らかにするよう求めました。これに対し知事は、「今回の事件は、県民の皆様の県政に対する信頼を損なっただけでなく、地方分権を担う地方自治体そのものへの信頼を揺るがしかねないもの。真相究明と再発防止対策を早急に講じ、公正・明朗な県政を実行し、県民の信頼回復、地方への信頼回復に向けて、全力を挙げて県政に取り組んでいく。」との決意を示しました。

 次に、自民党は本県の税財政問題を取り上げ、平成21年度の県税収入見込みと、税収の予算割れに対する補填策を明らかにするよう求めました。知事は、「企業の生産活動や消費の低迷などにより、主力の法人二税や地方消費税が、それぞれ100億円を超える減収となるほか、ほとんどの税目で減収となり、当初予算から313億円余り下回る見通しである。県税の減収に対しては、減収補填債の活用や基金からの繰り入れ、経費の節減により対応していく。」との答弁を行いましたが、本県では、ここ3年、連続して大幅な予算割れが生じていることから、自民党は、税収の見込み違いについても説明するよう求めました。知事は、「世界的な金融市場の混乱などにより、税収算定の根拠である国の地方財政計画に大きな見込み違いが生じたため、本県の税収見込みにも狂いが生じたものである。」との説明を行いました。
さらに、自民党は、平成22年度の税収見通しと経済・景気動向の見通しを明らかにするよう求めました。麻生知事は、「依然として企業業績の見通しには厳しいものがあることから、法人二税は前年度を456億円余り下回る額を計上しており、その他ほとんどの税目で減収を見込んでいる。本県経済は、アジアなどの新興国向け輸出に牽引され、生産も緩やかながら回復していくと見込まれる。しかし、雇用の改善は遅れており、デフレの影響で企業収益や賃金の減少が予想される。こうした状況から、雇用・景気対策に重点的に取り組むことが不可欠と考えている。」との答弁を行いました。
 本県では、平成19年度に「新財政構造改革プラン」を策定し、財政の健全化に取り組んでまいりました。しかし、県債残高は、実質的な地方交付税とはいうものの、臨時財政対策債と減収補填債の増により、平成22年度末には2兆9,247億円に達する見込みであり、財政調整基金等三基金の残高も約230億円にまで減少します。自民党は、もはや現プランの財政指標の現実的な妥当性が喪失していると指摘し、プランの見直しについて麻生知事に質しました。これに対し知事は、「政府は、地方の中長期的財政運営の指針となるべき国の中長期的財政収支見通しや成長戦略を未だ示していない。加えて、我が国経済の回復の足取りは弱く、二番底懸念も払拭されていない。こうした状況では、県として確たる見通しを立てることは困難であり、これらの諸条件が一定程度明確になった段階で検討したい。」との考えを明らかにしました。

 平成22年度当初予算では、県単独公共事業について、対前年度比で15.8%増の1,146億円を計上しております。自民党県議団は、景気対策の観点から、積極的に対応しようとする麻生知事の姿勢を評価した上で、知事は、どのような理念とどのような事業で単独公共事業を執行しようとしているのかについて質しました。知事からは、「景気・雇用対策を積極的に進め、県民生活の利便性と将来の地域の発展力を高めるため、単独公共事業を大幅に伸ばした。道路・河川事業等に加え、今回は、医療・社会福祉施設や県立学校の耐震化・防災工事、特別養護老人ホームの前倒し整備に重点的に取り組む。」との方針が示されたところであります。

 また、自民党は二つの施策に着目して質疑を行いました。一つは、地域商品券の大幅拡大です。昨年度は、自民党の提言もあって、県下で約70億円の地域商品券が発行され、地元商店街に賑わいが戻ったところであります。今回、県はこの倍以上の発行を想定しておりますが、自民党は、麻生知事がこの地域商品券の経済効果をどのように考えているのかについて質しました。これに対し知事は、「今年度の地域商品券は、即日完売が相次ぐなど消費者に大変好評で、発行額を大幅に上回る消費喚起効果があったため、各団体から継続支援を望む声が多数寄せられている。このため、来年度は県内全域で150億円の地域商品券の発行を促すことにした。」との答弁を行いました。
 もう一つは、アジア中小企業大学校推進費やアジア高度医療拠点推進費などのアジア特区構想関連予算です。いまや世界経済の牽引車となったアジアの成長力を取り込む上で、本県は地政学的に見て、非常に有利な立場にあります。
自民党は、アジア特区にかける麻生知事の思いを問うとともに、この構想を描くときのポイントの一つは、北京との経済交流ではないかと質しました。麻生知事は、「本県が持続的に繁栄していくためには、アジア発展のエネルギーを積極的に取り入れていくことが重要。イノベーション・先端成長産業の拠点、中小企業のビジネス拠点、環境先端拠点、高度医療・健康拠点、ファッション・若者文化の拠点、先進社会資本拠点という六つの拠点づくりを進めていきたい。北京は、中国の政治文化の中心であり、GDPも広州、上海に並んでいる。北京における本県のPRは大きな効果が望めると考える。」との考えを示しました。

 次に自民党は、地場中小の建設業対策について麻生知事の見解を質しました。せっかく回復の兆しを見せ始めていた我が国の景気も、「コンクリートから人へ」などという「世迷い言」を並べ立てる民主党新政権によって、再び冷え込んでしまい、県内の地場中小の建設業者の皆様は大変深刻な影響を受けております。毎日のように地場中小建設業者の倒産が伝えられることは、地域経済に灯してきた火がまさに消えてしまうような思いで、誠に寂しい限りであります。
自民党はこれまで、地域経済浮揚と地場産業育成の観点から、地場企業への優先発注を訴えてきました。しかし、現状はもはや「育成」などという生易しい状況になく、地場建設会社「救済」を考えなければならないのが現実です。自民党はまず、地場中小建設業の現状に対する知事の認識を質しました。これに対し知事は、「本年度は、上半期に契約を集中させ、その後は補正予算を編成して、年間切れ目のない発注を行ってきた。この結果、建設業の景況は官公需を中心に改善の傾向が見えるが、依然として民間需要は低迷している。」との現状認識を示しました。
自民党は、さらに、九州の他の県ではWTO案件(事業費26億円を超えるもの)以外は原則として県内企業に発注するなどの県内企業優先発注方針を明確にしているのに比べ、本県の地場中小建設業に対する育成優遇策は遅れていると指摘し、麻生知事が最悪の事態の回避を望むのであれば、知事は軸足を明確にゼネコン・マリコンから地場中小企業に移し、これからの建設行政について大胆な地場中小企業優先策を打ち出すべきであり、不退転の決意の下での答弁をするよう求めました。知事は、「社会資本整備・管理及び災害時の緊急活動を担う地場中小建設業の育成は重要な課題。これまでも地場中小建設業の受注機会の確保に努めてきたが、今後は、総合評価において、地域に精通した県内企業を優位に評価するなど、地場中小建設業の活用につながる施策を新年度に導入する。」との方針を明らかにいたしました。

 民主党マニフェストの最大の目玉施策は「子ども手当」でありました。これが、今や「ぬえ」の如き珍妙な仕組みとなっております。平成22年度は、既存の児童手当と子ども手当を併給することによって、なんとか月額1万3千円を支給することとし、財源のつじつまあわせのため、あたかも「木に竹を接ぐ」ような有様となっているのです。民主党は、こうせざるを得なかった言い訳を、景気後退による国税収入の減少に求めていますが、リーマンショックはマニフェストを策定する以前の一昨年秋に既に発生しているのです。政権交代前だったから税収の減を見通せなかったなどという、無責任な言い訳は通用しません。しかも、早くも新政権関係者からは、「平成23年度からの子ども手当の満額支給は困難」との発言が聞かれます。自民党は、麻生知事に対し、子ども手当の評価及び平成23年度以降の満額支給についての見解を質しました。知事は、「我が国の出生率が低迷する中で、手厚い経済支援をしている欧米諸国の出生率が回復している現状を見ると、思い切った現金給付を国が実施することは意義があると考えるが、これと併せて、地方が行う保育所などのサービス給付の充実が不可欠であり、地方財源の充実と地方の自由度を高めることが必要。平成23年度以降の子ども手当の満額支給は、現政権の主要な選挙公約であり、国の財源において実施されるものと考える。」との見解を示しました。

 次に、自民党は、農政問題を取り上げました。農業農村整備事業は、かんがい排水施設やほ場、農道等の整備、地すべり防止等の農地防災を通じ、食糧生産はもちろん、農村の環境維持など農業・農村の総合的な発展を支えてまいりました。しかし、来年度の国の農業農村整備事業費は、前年度比で約37%も削減され、新たな交付金を加えても、農林水産関係の公共事業費は前年度比で約66%にとどまっています。農業農村整備事業は、中小企業への発注率が高く、地域経済に及ぼす効果が大きい事業であり、このような予算の削減は地域経済への大きな打撃であります。自民党は、国の予算が大きく削減される中で、本県は農業農村整備事業の方向性をどのように描いているのか、麻生知事に質しました。これに対し知事は、「農業農村整備事業の推進は、国の予算に大きく依存しており、計画的な整備のためには、国として一定の予算確保が必要。平成22年度については、継続地区の早期完了や緊急性の高い新規地区に着手する。」との考えを示しました。
 自民党は、民主党政権の戸別所得補償制度は、将来への見通しのない「典型的なバラマキ政策」であることを再三にわたり指摘してまいりました。政府は、戸別所得補償制度のモデル事業予算として約5,600億円を計上しておりますが、その約6割は米の赤字補填に対する助成であり、米の販売価格がさらに下落すれば、必要な財源がどんどん膨らんでいくことになってしまいます。さらに、平成23年度からは麦や大豆なども対象品目に加え、畜産や漁業にもこの制度を拡大していくとも聞いております。民主党政権は、農林水産関係の公共事業を大幅に削減して戸別所得補償制度の財源を捻出していますが、今後、このような補助金の「大盤振る舞い」を行えば、近い将来に財源問題で行き詰まることは明白であります。私達には、この戸別所得補償制度は、単なる選挙対策としてのバラマキにしか見えません。自民党は、この戸別所得補償制度をどのように見なしているのか、また、このような農業政策で我が国の農業に展望が拓けると考えるのか、麻生知事の見解を求めました。知事は、「この制度は、県下約4万3千戸の水稲共済加入者をはじめ、米を販売する全ての農家を対象として、規模に関わらず一律に支援する仕組みとなっており、政策の狙いがわかりにくい。高齢化の進行を考えると、法人などの永続性のある担い手が中心となる生産構造に誘導していくべきであり、これに資する制度となるよう提案している。」との答弁を行いました。

 文部科学省は、あの「事業仕分け」で廃止や見直しなどの指摘を受けた事業について、国民の意見と予算結果を公表しております。これを見ますと、ほとんどの事業について、国民から寄せられた意見の5割以上は事業仕分けの結果を「評価しない」となっております。事業仕分け自体が、国民の意見とどれだけ乖離していたのかが明確に表されていると言えましょう。学力テストについては、事業仕分けの結果、文部省要求の「抽出率4割」がさらに削減され、約3割となっておりますが、これはまさに「競争」という言葉自体を嫌う日教組に配慮した結果ではないでしょうか。公教育に必要なことは、競争や評価を適切に行い、子ども達が良い意味で「切磋琢磨」することです。学力テストに関しては、森山教育長はこれまでの自民党の質問に対し「本県の課題であるから悉皆で実施したい」旨の答弁を繰り返してまいりました。実際の予算査定結果はどうなっているのか、市町村の参加見込みはどうなのか、また、今後の学力向上の取り組みをどのように進めていくのか、自民党は森山教育長の答弁を求めました。これに対し教育長は、「本県では、児童生徒の学力向上を最重要課題と位置づけ、来年度も引き続き悉皆による学力調査を実施する。このための予算も計上しており、全ての市町村が調査への参加を表明している。今後、学力向上新戦略に基づき、強化市町村への支援チームの派遣や非常勤講師の配置等を行っていく。」との答弁を行いました。

 3月4日の代表質問最終日には、一般会計において173億4,300万円余を増額補正するなどの2月補正予算案をはじめとする29件の議案が追加提案されました。補正予算においては、平成21年度の県税収入が、現下の経済情勢を反映して、当初予算を313億円余り下回る見込であることから、代わるべき財源として減収補てん債や減債基金からの繰入金などを計上することとしております。また、歳出では、国の補正予算関連分として緊急雇用創出基金などの積み立てを行うとともに、半導体先端実装研究評価センターや福岡県ソフトウェア産業振興センターの整備費などを計上しております。
 この補正予算案など、早期議決を要する議案につきましては、3月5日から10日まで行われた一般質問の後、3月11日に所管の各常任委員会において審議され、翌12日の本会議において全議案が可決されました。

 3月11日に開かれた総務企画地域振興委員会においては、民間有識者によって構成された「町村会に係る職員倫理調査委員会」が知事に提出した中間報告書の内容が報告されました。今回の問題について、自民党委員をはじめとする各委員と執行部の間でさまざまな角度からの議論が行われ、審議時間は約4時間に及びました。この議論の中で、民主・県政クラブの一議員から「調査委員会の調査は雑ぱくだ。腰が引けている。」などと、調査委員会の努力を否定するかのような発言がありました。調査委員の皆様が仕事や生活を犠牲にしてまで、全力を挙げて調査に取り組んでこられたご努力に対し感謝申し上げるべきところでありますのに、これらの発言は、誠に不適切と言うほかありません。後日、この議員は不適切な発言を取り消したとの報告が委員長より行われました。
 3月10日には、31名の委員から成る予算特別委員会が設置され、3月15日から本格的な審議に入りました。同委員会では、歳入・歳出の各項目について連日夜間まで論戦が展開され、3月24日には麻生知事に対する保留質疑が行われました。
 知事保留質疑において自民党は、子ども手当は、海外居住日本人の日本在住子弟には支給されないこと、民主党政権は地方と協議することなく地方に負担を押し付けていることといった問題点を指摘した上で、今後、民主党政権が地域主権を口実に、子ども手当支給の責任を地方に押し付けてきた場合、全国知事会長として麻生知事はどのように対応するのか質しました。知事は、「子育て支援は、保育所のようなサービス給付は地方自治体が創意工夫しながら担当すべきであり、子ども手当のような現金給付は国が担当し、その経費も国が全額負担すべきである。平成23年度以降の本格的制度設計については、この主張に沿った制度となるよう、地方六団体で一致結束して強く主張していく。」との考えを示しました。
 子ども手当については、予算特別委員会において、「平成23年度予算編成では、国において全額財源措置し、地方に負担を求めないこと」等を内容とする附帯決議案が提出され、民主・県政クラブ議員を除く賛成多数を以って可決されました。

 3月18日には、「町村会に係る職員倫理調査委員会」から、県職員と町村会職員との交際における問題点と再発防止に向けた提言を取りまとめた最終報告書が麻生知事に提出され、3月23日の総務企画地域振興委員会において報告されました。同委員会では、報告書の提言を踏まえた具体的な再発防止策の説明を求め、執行部から、県の倫理条例や倫理規則についての具体的な理解を徹底するための研修の実施、市町村支援課に見られるような同一所属での長期在職の見直し、公益通報制度の対象範囲の拡大などが説明されました。同委員会では、麻生知事に対する保留質疑を実施し、知事からは、今回の問題の責任をとって自らの減給処分を行うこと、関係職員に対し懲戒処分と併せて思い切った降格処分を行うこと、副知事の任期は2期までとする考えであること、副知事の倫理規範を規定するとともに、資産の公開や宣誓を義務付けること等を内容とする副知事倫理条例を制定することなどの方針が明らかにされました。

 3月26日には本会議が開かれ、知事の給料を4月からの6ヶ月間、50%減額するための条例及び副知事の倫理を確保するために必要な事項を定める「福岡県副知事倫理条例」が知事から追加提案され、直ちに総務企画地域振興委員会に付託されました。本会議は一旦休憩となり、その間に同委員会でこれら条例案2件が審議、可決されたところです。再開された本会議においては、各常任委員長及び予算特別委員長の報告を受けた後、採決を行い、平成22年度一般会計予算を含む45議案と追加提案された2議案すべてを可決いたしました。
 その後、副知事や教育委員、公安委員の人事案件が追加提案され、これらについても賛成多数をもって可決いたしました。副知事については、新たに牛尾長生東京事務所長を任ずるとともに、海老井悦子副知事を再任するというものであり、山崎建典筆頭副知事と力を合わせ、県政推進のために大いに力を尽くしていただくことを期待する次第です。

 31日間にわたる2月定例県議会の会期中に桜は開花を迎え、最終日は爽やかな晴天に恵まれました。昨年末以来の県政を覆う暗雲を吹き飛ばし、県民の皆様の県政に対する信頼を回復できるよう、麻生知事以下の全職員が再発防止に全力を挙げて取り組むとともに、公正・明朗な県政を推進していかなければなりません。我々県議会としても、その取り組みをしっかりチェックしてまいります。
 平成22年度は、極めて厳しい景気・雇用情勢の中で幕を開けます。私、藤田陽三は、厳しい社会情勢の中にあっても、福岡県民の皆様の生活を守るとともに、ふるさと筑紫野市の発展を目指し、誠心誠意取り組んで参る決意であります。どうか、今後とも藤田陽三に温かいご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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