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  平成20年12月定例県議会を振り返って

 


 平成20年12月定例県議会は、12月1日から18日までの18日間の会期をもって招集されました。

 開会日、麻生知事は提案理由説明の冒頭において、12月13日に太宰府市の九州国立博物館で開催される日中韓3ヶ国首脳会議を心から歓迎する旨を表明いたしました。世界が大きな経済的困難に直面する中、この首脳会議が実り多い成果を挙げるよう、大いに期待いたします。
 今議会には、「安心実現のための緊急総合対策」に係る国の補正予算関連事業費を含む、総額8億2千6百万円余の平成20年度一般会計補正予算をはじめ、建築基準法の一部改正に伴い建築確認審査等に係る手数料を改定する条例や、公立大学法人福岡女子大学の改革基本計画に基づき同大学の中期目標を一部変更する議案など、合計29件の議案が提案されました。
 また、開会日の本会議においては、9月定例会で決算特別委員会に付託しておりました平成19年度決算に関する20議案について採決し、すべて認定することといたしました。

 本格的な論戦は12月5日の、我が自民党県議団の代表質問から始まりました。 
 自民党県議団は、まず、10月30日に政府・与党において取りまとめられた「生活対策」で決定された総額2兆円の定額給付金について、家計への支援を迅速に実施し、低所得者にも広く効果を及ぼすための麻生太郎首相の英断であると評価いたしました。この定額給付金は、景気刺激策としての政策目的をもって国から給付されるものであり、国民一人ひとりが政策推進者として景気浮揚を実践すること、すなわち給付金を消費することが期待されております。自民党県議団は、麻生知事に対し、このような趣旨を踏まえた上での定額給付金に対する所見と、取り組みについて質しました。知事は、「定額給付金事業は、景気が後退する中で、家計への支援となり、個人消費を刺激する効果がある。したがって、給付金が景気対策という本来の目的に沿って、有効に使われ、定額給付金事業の効果が十分に上がるよう、市町村及び住民に対して啓発を行って参る。」との考えを示しました。

 米国における、不適切な住宅ローンや、それを可能とした証券化商品などの開発・販売、的確なリスクの判断ができない金融システムの欠陥が、住宅価格の下落により一挙に露呈し、世界的な金融危機となりました。また、こうした動きは実体経済にも影響を及ぼすこととなり、世界的な景気後退を招いております。自民党県議団は、現在の本県経済・景気の状況について、知事はどのように見ているのかについて質しました。麻生知事は、「世界経済の急減速は県内にも波及しており、これまでのけん引役であった自動車や鉄鋼などの減産が行われ、雇用情勢もさらに厳しくなるなど、本県経済は急速に悪化している。今後は、世界経済の減速が強まる中で、本県でも一層の生産水準の低下や設備投資の先送りなどが懸念され、さらに悪化を見込まざるを得ない。」との答弁を行いました。
 このような状況を受け、本県では中小企業に対する緊急経済対策資金の融資枠を300億円拡大するとともに、県単独公共事業費の前倒しのためのゼロ県債を約50億円措置するなどの対策をとっており、これらはそれなりに評価できるものであります。しかし、新聞報道などで、貸し渋り、貸しはがしの問題が取り上げられるなど、中小企業に対する金融機関等の融資態度は厳しく問われております。こうした問題に対し、県は実態を把握しているのか、またどのように対処するのか、自民党県議団は麻生知事に質しました。知事は、「商工会などの中小企業団体との意見交換会で、貸付審査が厳しくなった、追加担保を求められたなどの声が寄せられた。このため、金融機関及び保証協会に対し、円滑な資金供給を強く要請し、さらに、金融機関に公的な資本注入を可能とする金融機能強化法の早期成立を国会に要請した。今後とも、中小企業の資金繰りに支障が生じないよう全力をつくす。」との答弁を行いました。

 急激な経済変化に伴い心配されるのが県税収入の悪化であります。本年度の国税収入は、当初予算を5兆円以上も下回るとの予想もあります。本県は、当初予算においては、国の地方財政計画とは異なる堅実な税収見込を立て、このため、やむを得ず減収補てん債を計上して収支のバランスを取っていました。しかし、最近の経済情勢から、その見積額さえ確保できず、巨額の歳入欠陥が生じるのではないかとの危惧が生じております。自民党県議団は、本年度の県税全体の見通しについて明らかにするよう求めるとともに、法人二税について大幅な減収が見込まれる場合、減収補てん債の増額を行うのかという点について知事の考えを質しました。これに対し麻生知事は、「今年度の県税収入は、10月末の調停実績において主力の法人二税が前年比93.1%となるなど、ほとんどの税目が前年度を下回っている。現時点での実績を基に試算すると、法人二税では200億円程度、県税全体では300億円程度、当初予算を下回る見込である。法人二税等の減収に対しては、政府・与党が示した新たな経済対策において、適切な財政措置を講じる方針が明示されており、この中身を見極め、適切に対応して参る。」との考えを示しました。
 
 本県の新財政構造改革プランでは、「平成22年度には県債残高を減少に転じさせる」との目標を掲げています。しかし、県税収入が大幅に予算を下回り、今後の経済見通しも悪化を予想せざるを得ない状況の下では、本県財政は一段と厳しさを増すことは必定であります。プランの目標達成も極めて困難になったと言わざるを得ません。自民党県議団は、プランの見直しと来年度予算編成の基本方針について、麻生知事の考えを質しました。知事は、「財源不足の圧縮と県債残高の減少というプランの目標の維持は、ぎりぎりの状況となりつつあるが、職員定員の削減や事務事業の見直しなどの歳出削減努力を引き続き進めていく。平成21年度の当初予算編成に当たっては、税収の見込を踏まえるとともに、追加の経済対策や道路特定財源の一般財源化等の取り扱いを含め、国の予算編成や地方財政対策などの動向を見極めていく必要がある。このような中で、原価に厳しい経済情勢への的確な対応をはじめとする重要な施策に対し、限られた財源を重点的に配分するという方針で臨む。」との方針を明らかにしました。

 8月中旬、県の出先機関見直しについての行政改革審議会の答申が出されました。しかし、9月議会、今12月議会になっても、未だに見直し案が示されておりません。このようなことでは、出先機関の見直しを来年度当初から一斉に実施することは困難と判断せざるを得ず、誠に遺憾であります。自民党県議団は、出先機関再編成について、現在の進捗状況と今後の見通しについて、詳細に明らかにするよう麻生知事に求めました。これに対し知事は、「現在、検討を進めており、今議会中には、基本的な考え方を明らかにする。実施時期については、県民への周知や庁舎整備も考慮しながら、21年度中の実施を目途としている。今後、これらの検討を進め、2月議会には関係条例の改正を提案したい。」との答弁を行いました。

 九州大学は、現在、糸島の伊都地区に新たなキャンパスの整備を着々と進めております。福岡県も、九州大学の移転を契機に、経済界や福岡市などと九州大学学術研究都市推進機構を設立し、研究機関の誘致など学術研究都市構想の推進に努めています。しかし、最後の農学部の移転が完了するのは、なんと10年以上先の平成31年度とされており、これでは、未来型大学都市づくりにも支障をきたしかねず、大変気がかりであります。自民党県議団は、県と福岡市が十分連携し、早期移転完了を強力にバックアップすべきではないかと、麻生知事の見解を求めました。知事は、「九州大学の総合大学としての良さを十分発揮するためにも、県としては伊都キャンパスへの移転が早期に完了することが望ましい。九州大学と連携しながら、早期移転を国に働きかけていく。」との考えを示しました。
 

   
   

 これに関連し、自民党県議団は、県が設立した公立大学法人である福岡女子大学の改革問題について、昨今の大学連携の新しい流れを考えるならば、福岡女子大学を九州大学の新キャンパス周辺に移転させ、連携を図ることが一つの方策であり、国立大学と県立大学のコラボレーションは大学連携の理想的な姿ではないかと、知事に質しました。麻生知事は、「福岡女子大学の改革に当たっては、九州大学等との単位互換や共同授業などを進めたい。大学改革に合わせて、必要な施設整備を行う予定であり、立地場所については、交通アクセスや平成23年度を目途としている新学部の開設時期などを総合的に勘案しながら、現在地(福岡市東区香住ヶ丘)を含めて検討している。」との答弁を行いました。
 



公立大学法人福岡女子大学
   


 次に、自民党県議団は農政問題を取り上げました。日本農業を維持していくために、当面は米の生産調整に依存せざるを得ない状況の下、本県では、生産者の皆様の御協力もあって、生産調整の目標をほぼ達成しております。しかし、全国的には、目標面積を5万4千ヘクタールも上回る過剰作付けが報道されています。政府・与党は、米価対策として備蓄米の緊急積み増しを行い、米価が向上するなどの効果を挙げましたが、問題は、生産調整に協力しなかった農家も救済を受けた結果となったことであります。これでは、生産調整に協力した農家は不公平感をぬぐえず、報われません。生産調整制度そのものの存続が危惧されます。そこで、自民党県議団は、農業を守り維持していくためには生産調整への取り組みは避けられないが、知事はこの点についてどのような見解を持っているのか、さらには、全国知事会長として非協力者についてどのように取り扱うべきと考えているのか、所見を明らかにするよう求めました。麻生知事は、「現在の生産調整制度は、制度に参加する農業者への支援がメリット感が薄いものとなっているところに問題がある。メリット措置を充実させ、参加する農業者が増えるよう、産地づくり対策など関連対策の強化を国に求めている。」との答弁を行いました。

 10月、日本人のノーベル物理学賞、化学賞の連続受賞という明るいニュースに日本中が沸き立ちました。こうした中、2回目となった全国学力・学習状況調査では、本県は2年続けて平均正答率が全国平均を下回るという残念な結果が出ております。加えて、県内格差があるということは誠に遺憾なことであり、この問題は、子供と信頼関係を築きつつ、子供の興味関心を引き出し、意欲を高めるような授業ができる教師がいるかどうかにかかっているのであります。しかし、10月17日に発表された都道府県別の指導力不足教員数は驚くべきものであり、我が県は政令市を含めて35名で、2年連続の全国最多となっておりました。自民党県議団は、なぜ、本県はこのように指導力不足教員が多いのか、また、そもそも指導力不足教員が出現しないようにすることこそ重要であり、教職員に対する研修のあり方を抜本的に見直すべきではないかという点について、教育長の見解を求めました。これに対し森山教育長は、「教育の成否は、教員の実践的指導力によるところが極めて大きい。本県では指導力不足教員の把握・認定について厳格に行っており、他県に先駆け、また積極的に取り組んだ結果、研修を要する教員の数が他県より多くなっている。指導力不足教員を生まないためには、日頃から管理職が教員個々の教科指導の実態把握に努め、指導・支援することが重要。このため、今後は、教員個々の指導力の評価に応じた研修を充実するなど、抜本的な研修体系の再構築を行う。」との考えを明らかにいたしました。

 12月9日〜11日の一般質問に続き、12日からは各常任委員会での議案審査が行われました。文教委員会においては、福岡女子大学の中期目標を一部変更する議案の審査が行われ、同大学の改革に伴って施設整備も行うとのことであるが、平成23年度開設との時期が明示されているにもかかわらず、開設場所や開設に向けたスケジュールなどが全く明らかにされていない点について、私学学事振興局を厳しく追及しました。文教委員会は、「執行部は早急に設置場所について結論を出すよう努力し、早期に文教委員会に報告すること。」との附帯決議を行ったうえで、同議案を可決したところです。

 12月18日の本会議では、各常任委員長の審議状況報告を受けた後、採決を行い、29議案全てについて可決して12月定例県議会は閉会いたしました。

 麻生太郎総理は、12月12日に事業規模23兆円の「生活防衛のための緊急対策」を発表いたしました。これは、米国の金融危機が尋常ならざる速さで実体経済に影響を及ぼす中、予想を越える経済悪化に対応するための果断な対策であります。私は、国会がこの対策を具現化するための平成20年度第2次補正予算と平成21年度当初予算を早期に議決するよう、強く求めます。国民が苦しみの中にある時、いたずらに審議を引き延ばしたり、反対のための反対を行って、政策実行の機を失うことは絶対にあってはなりません。今は、国と地方の行政が一体となり、また政治においても党派を超えて力を合わせ、我が国の「国家としての力」を発揮して、いまだかつて遭遇したことのない、この難局を乗り切っていかなければならないと考えます。
 私、藤田陽三も、筑紫野市民の皆様に選出された県議会議員として、微力ながら粉骨砕身頑張って参ります。どうか、これからも藤田陽三に温かいご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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