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  平成20年9月定例県議会を振り返って

 

平成20年9月定例県議会を振り返って

 平成20年9月定例県議会は、我が自由民主党の総裁選挙真っ只中の9月19日から10月9日までの21日間の会期をもって招集されました。

開会日には、麻生知事から、総額4億4千万円余の平成20年度一般会計補正予算をはじめ、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の制定によって、これまでの民法に基づく公益法人に関する制度が廃止されることに伴う関係条例の整備、県立高校の再編により新設校への移行が完了する黒木高校等3校を廃止する条例、黒木町、立花町、矢部村、星野村を廃し、その区域を八女市に編入する議案など、合計22件の議案が提案されました。

 本格的な論戦は9月26日の、我が自民党県議団の代表質問から始まりました。 
 自民党県議団は、まず、今後の地方における財源拡充対策について質しました。去る7月18日の全国知事会議においては「地方財源の展望を踏まえた地方消費税の充実に関する提言」が取りまとめられ、平成23年の地方財源不足は7.8兆円〜8.3兆円という巨額に上り、これは消費税額に換算すると3.0%から3.2%に相当するとされています。そして、このような状況の根本的な解決や社会保障などの行政サービスを地方が安定的に提供していくためには、地方消費税を充実させ、歳入増を図ることが不可欠であると述べています。
これは、取りも直さず消費税の税率引き上げを提言したものと考えられます。
全国知事会長としての麻生知事が、国の議論に先駆けて、消費税の拡充による地方財政の安定化を提言したことは、その勇気に対し敬意を表せざるを得ませんが、自民党県議団は、改めてその決意を質しました。麻生知事は、「平成23年度には、多くの地方自治体の財政が事実上破綻に追い込まれる恐れがある。少子高齢化が確実に進んでいく中で、将来にわたって住民生活に必須の行政サービスを安定的に供給していくためには、地方消費税率は3%程度引き上げる必要があり、現在の5%の消費税率は引き上げざるを得ない。」との見解を示しました。

 9月議会開会直前の9月15日、全米第4位の大手証券会社リーマン・ブラザーズが倒産しました。昨年の夏、米国に端を発したサブプライムローン問題は世界の金融市場のみならず実体経済にも大きな影響を及ぼしております。さらに9月29日に至って、米国下院は不良債権処理のための金融安定化法案を否決してしまい、世界の金融市場は一層の大混乱に陥りました。当然、日本経済も無関係ではいられません。自民党は、最近の県内経済の状況及び今後の動向について説明を求めるとともに、中小企業への融資対策に向けた麻生知事の考えを質しました。知事は、「企業活動は底堅さを見せているが、原油価格等の高騰により収益は低下傾向にある。本県経済は、回復の動きが弱くなってきている。世界経済の減速も広がりつつあり、本県経済の先行きは予断を許さない状況にある。中小企業の資金調達に支障が生じないよう、信用保証制度の強化など、緊急総合対策の早急な実施を国に要請し、県制度融資の充実を図る。」との答弁を行いました。

 後期高齢者医療制度、いわゆる長寿医療制度の4月からの施行に当たっては、保険財政の仕組みや天引き制度など、制度の根幹に関わることが国民に周知されず、加えて保険証が交付されなかったり、保険料の誤徴収があったり、様々な行政側の不手際が相次ぎました。我が県議会としても、低所得者に対する保険料軽減措置の拡大をはじめとする制度改善についての意見書を採択し、国に見直しを強く求めてきたところであります。自民党は、これまで実施された見直しの説明を求めるとともに、舛添厚生労働大臣が言うところの新しい老人医療制度とは何であるのか、そして、県民が安心して老後を送れる高齢者医療のあるべき姿について、麻生知事はどのように実現していこうと考えているのか説明を求めました。知事は、「国は、低所得者への更なる負担軽減策として均等割額の軽減割合を引き上げるとともに、所得割額についても住民税非課税者等を対象に半分程度軽減。年金からの保険料徴収の口座振替払いの対象も拡大された。舛添大臣の考え方については、今後、政府・与党における検討を注視したい。医療保険制度の安定的運営のため、生活習慣病予防や療養病床の再編成、在宅医療の推進、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及などに取り組んでいく。」との考えを示しました。

 我が自民党県議団は、公費医療費支給制度の拡充を強く求めてきてまいりました。その結果、乳幼児医療費の対象を小学校就学前の児童まで拡大する、新たに父子家庭や精神障害者の方々を助成対象とするという改正が実施されるとともに、定額負担や所得制限の導入などにより公費医療費支給制度を持続可能なものとするという方針も示されました。実施時期の10月を目前にして、県下市町村の体制整備状況について質しました。また、福岡市及び北九州市は、10月実施を見送るとの報道があります。父子家庭や精神障害者への助成拡大は、両政令市が熱心に要望していたものであるにもかかわらず、今回の対応は誠に遺憾なものであります。自民党は、両政令市の動きに対する率直な所見と今後の対応について、知事の答弁を求めました。麻生知事は、「公費医療費支給制度の改正について、積極的な対応を市町村に働きかけた結果、両政令市を除く64市町村が10月からの実施を予定している。今回、両政令市にお住まいの父子家庭や精神障害者の方々が助成を受けられないという事態が生じたことは大変残念。両市に対しては、今後も、できるだけ早期の実施を要請していく。」との考えを示しました。

 次に、自民党県議団は食の安全について取り上げました。農薬やカビに汚染され、本来食用としては一般市場に出回るはずもない「事故米」なるものが、多量に米穀店や酒造メーカーに売られた事実を知った時、そして、その工場が福岡県内の工場であったと聞いた時、私たちは怒りを通り越して、もはや失望感さえ感じ得ずにはいられませんでした。三笠フーズの事故米不正流通の問題処理状況を見ていますと、県の関係部署や国の機関との連携が取れているのか、大きな疑念を抱かざるを得ません。県庁内の多数の課にまたがる今回の事件について、会議等の開催や立ち入り調査の回数などを具体的に示すよう、保健医療介護部長に求めました。平田部長からは、「事件を探知した8月29日以降、9月25日までに県庁内各課の会議を3回、国の農政事務所との連絡会議を5回行った。事業所への立ち入り調査は、19回実施した。また、事故米の回収命令を2回と営業禁止命令を発した。」との説明がありました。

 新興国の石油需要の増加に加え、サブプライムローン問題に伴う投機マネーの動きもあって、この3年間で重油の価格は約2倍にもなりました。この影響は、あらゆる分野に及んでいますが、ただでさえ困窮していた農業経営をも直撃し、このままでは日本から農業が消えてしまうとの声まで出ています。こうした中、大分県では総額34億円の事業費となる補正予算を計上して農林漁家に対する支援措置を講ずることとしました。誠に敏速な対応だと思います。国においても、緊急対策が発表され、麻生首相は対策を実行に移すための補正予算の成立を焦眉の急として取り組んでおられます。国の補正予算の詳細な内容が判明しないという状況もありましょうが、我々自民党県議団は、再三にわたり、まず県としての対策を求めてきました。にもかかわらず、本県ではなんらの措置もされておりません。窮地に追い込まれている多くの農業者の経営安定に繋がるよう、どのような対策を講じているのか、また、大分県の助成措置についてどのような見解を持っているのか、麻生知事の考えを質しました。知事は、「大分など他県で取り組んでいる省エネ施設の整備については、本県では既に内張りカーテンやヒートポンプなどの単体での導入に対しても助成している。今後、国の緊急総合対策も活用しながら、本県農業者の経営安定に向けた対策を検討していく。」との答弁を行いました。この問題については、10月2日に開催された自民党県議団の農政懇話会(蔵内勇夫会長)において、県内農林漁業4団体の皆さんと自民党県議団からの熱い要請に対し麻生知事は、「(9月29日に米国下院が金融安定化法案を否決したという事態を受け)
この10日間で世界の情勢が一変した。一挙に信用収縮が進み、実態経済上の需要が大変な勢いで減少する。我々の一次産業はコスト増大に加えて需要の減少という二つの問題に直面する。早急に対策を考え、打てる対策は打っていく。」との姿勢を示したところであります。

 教育問題について、自民党県議団は教員採用試験をめぐる問題について質しました。大分県の県教委ぐるみとも言うべき事件では、6月の発覚以降、信じ難い不正行為が連日のように報道され、遂には不正合格とされた教員の採用取り消しまで行われる事態となりました。この事件は、ことがことだけに大分県のみならず、我が県を含む全国の教育全般に対する信頼が著しく損なわれたところであります。不振や心配を払拭するためには、余程の努力と覚悟が求められます。たとえば、本県では問題用紙の持ち帰りを認めず、問題の開示も限定的で、模範解答の公表もありません。結果についても、大分県の事件を受けて急遽3段階評価から5段階評価にした状況で、県民の全幅の信頼を得ることは困難であります。自民党県議団は、森山教育長に対し本県の教員採用試験の公明性・透明性の確保について質しました。教育長は、「本県の教員採用選考は、行政職員のラインで(大分県は教員が担当していた)、多数の目でチェックを行うなど、不正行為が入り込む余地はなく、公明性が確保されている。今年度からは選考基準の基本的考え方を示すとともに、模範解答も公開して透明性の確保も図る。さらに、次年度以降は、面接試験や実技試験等の選考基準の公開や問題用紙の持ち帰り、配点の公開、筆記試験の得点の開示を進める。」との方針を明らかにしました。

 9月30日から3日間は一般質問が行われ、10月3日には各常任委員会において議案の審査等が行われました。
 10月9日には最終日を迎えましたが、この日、麻生知事から農林漁業者に対する経営支援や省エネ施設・新技術の導入支援などの県単独施策を内容とする一般会計補正予算の追加補正議案(2億7,600万円)が提案されました。 午前の本会議において麻生知事は、「本県では、これまでも原油・原材料等の高騰で大きな打撃を受けている農林水産業者などへの支援を行ってきた。しかし、米国に端を発する世界的な金融システムの大混乱により、世界経済は急速に減速するという動きとなっている。このような動きは、わが国経済にも波及し、農林水産業者は、さらに需要の減少という新たな問題に直面する恐れが生じてきた。このため、農林水産経営の安定を図るとともに、低コスト生産体制への転換対策を緊急に実施することとした。」と、追加補正の提案理由を説明いたしました。

  省エネ型園芸施設(追加補正関連)    
  局所加温  
   
    青が親ダクト、白が小型ダクト  
  空気膜ハウス  
   
       
  省エネ施設  
   
  ウィンドレス鶏舎外観 鶏舎内(白熱灯をLEDランプに取替え)  

 他県の対応に比べ、若干遅きに失した感も否めませんが、経営の逼迫にあえぐ農林漁業者の皆様の切実な声、そして我が自民党県議団の強い要望の声に答え、厳しい財政状況の中で財源を捻出し、26億円余の事業効果を生み出す補正予算を編成した県の姿勢については、一定の評価をしたいと思います。
 総務企画地域振興委員会及び農林水産委員会の審査終了後、再び本会議が開かれ、教育委員等の人事案件3件を含む26議案を可決いたしました。また、この日、平成19年度決算関係議案20件を追加上程し、決算特別委員会を設置し、9月定例議会は閉会いたしました。

 9月24日には、待望の麻生太郎総理大臣が誕生いたしました。我が福岡県出身の総理大臣は広田弘毅氏以来であり、誠に喜ばしく、麻生総理の活躍に期待するところ大なるものがございます。私たち自由民主党は、公明党の皆さんと力を合わせ、麻生政権をしっかりと支えて参ります。
 10月6日には、補正予算案の審議が衆議院予算委員会で始まりました。麻生総理は、国民の目線に立ち、現下の最大の懸案である経済対策の実施を最優先としておられます。しかし、残念なことに一部の政党は党利党略を優先させ、衆議院の解散を急ぐことばかりを主張しており、政局は予断を許しません。国民の皆様の、豊かで安心した生活を実現し、日本が明るく尊敬される国となるよう、私たち自由民主党は、なんとしても総選挙を勝ち抜いていく決意であります。私、藤田陽三も、微力ながら粉骨砕身頑張って参ります。どうか、これからも自由民主党と藤田陽三に温かいご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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