トップ >平成20年2月定例県議会

  平成20年2月定例県議会を振り返って


 


 平成20年2月定例県議会は2月27日に招集され、同日の本会議で、3月28日までの31日間の会期を定めました。

 今議会には、平成20年度一般会計当初予算案をはじめ、予算議案20件、条例議案15件等49件の重要案件が提案されました。麻生知事は、議会冒頭の提案理由説明において、「世界同時好況を続けてきたグローバル経済はサブプライムローン問題などにより、にわかに不安定なものとなり、日本経済も世界経済の変調を受けて予断を許さない状況になってきた。また、今年は、後期高齢者医療制度の導入、年金制度の改革、教育基本法改正後初めての学習指導要領の改訂、京都議定書の第一約束期間のスタートなど、我が国の様々な制度が大きく変革する年。このような内外情勢の中、4月から県庁の組織体制を一新し、新しい社会づくりに果敢に挑戦することにより、元気で満足度の高い福岡県をつくる。平成20年度を、“未来を拓く創造の年”にする。」と、県政運営に対する所信を明らかにしました。

 今議会に提案されました平成20年度当初予算は、一般会計で1兆5,348億9,900万円余となっており、昨年度と比べ約22億円、0.1%の増となっております。
 今回の予算は、昨年6月に策定した行政改革大綱と新財政構造改革プランに基づく行財政改革を着実に推進するとともに、各種施策を新しい県庁組織の下で創造力をもって推進し、「元気でやさしい希望のふくおか」づくりを進めるとの方針に沿って編成されたものであります。
 歳入面では、原油高やサブプライムローン問題の影響を受けて法人二税の伸びが鈍化していることなどから、県税及び地方消費税清算金が平成19年度当初予算に比べ253億円の減となる一方で、地方税の偏在是正対策が実施され、地方交付税の需要項目に「地方再生対策費」が創設されたことなどにより、地方交付税及び臨時財政対策債等は273億円の増と見込まれております。
 歳出面では、職員数を558名削減するなどの措置により給与費が45億円の減、行政施策費も事務事業の見直し効果などを含め97億円の減となりましたが、後期高齢者医療制度や肝炎対策などの影響から社会保障費が96億円、 公債費が42億円の増となりました。
 この結果、平成19年度よりは若干減ってはいるものの、依然として148億円という多額の財源不足が生じる見込みであり、これに対しては財政調整基金等三基金からの繰り入れを行って収支均衡を図ることとしております。

 本格的な論戦は3月5日の、我が自民党県議団(以下、自民党と言います。)の代表質問から始まりました。 
 自民党は、まず、道路特定財源の維持・存続問題について質しました。万一、暫定税率が廃止などという事態になれば、我が県においても地方税等で169億円、交付金等で181億円、合計350億円もの歳入欠陥を引き起こすことになりかねません。同様の事態は全国1,800余りの自治体でも起こってまいります。逼迫した情勢の中、全国知事会長の任にもある麻生知事の決意を質しました。知事は、「道路は最も重要な社会資本。暫定税率が維持されなければ、道路整備が困難になるばかりか、国民生活は混乱し、地方財政も危機に陥る。与野党は、衆参両院議長の斡旋の趣旨を踏まえ、早急に協議を行い、関連法案を年度内に成立させるべきである。」との考えを示しました。この問題については、年度末が数日先に迫った段階になっても、民主党をはじめとする野党は協議の場にすら着こうとしていません。全く無責任と言うほかありません。3月27日には、福田総理が平成21年度からの全面一般財源化、道路整備中期計画の期間短縮、無駄な支出の徹底的排除などを盛り込んだ新たな提案を国民に発表しました。国民生活や地方財政の混乱を避けるため、野党は早急に協議に応じ、この提案を受け入れるべきであり、国会は政治の役割として「国民生活の安定」を基本とした最善の結論を出すべきであります。
 

   
 

一般県道 本吉小川線 バイパス工事 みやま市

一般国道200号 片島交差点 改良工事 飯塚市  


 次に自民党は、平成20年度の当初予算において、県税等の収入が253億円の減となっていることについて、県税の主力である法人県民税及び法人事業税のいわゆる法人二税が前年比7.7%の減となっており、本県経済の動向に暗い影が忍び寄っているのではないかとの懸念を表明し、平成20年度の景気動向と主要税目の見通しを明らかにするよう求めました。これに対し知事は、「本県経済を主導している自動車など海外向け製品の生産活動は活発で、1月時点の景気動向は回復基調を維持していた。しかし、原油など原材料価格の高騰や円高により企業収益は厳しさを増し、アメリカ経済の減速も明らかであることから、今後は予断を許さない状況にある。平成20年度の法人二税は、企業収益の伸びが鈍化しており、前年度当初予算を172億円余下回っているが、前年度決算見込額と比べると63億円余上回る見込みである。個人県民税は、税制改正の影響等により前年度当初予算を59億円余上回る額を計上している。」との答弁を行いました。さらに自民党が、平成19年度の県税収入の見込みを示すよう求めたのに対しては、「税収規模としては昨年度より増加しているが、原油価格の上昇やサブプライムローン問題の影響等から主力の法人二税が見込みほど伸びず、県税全体で当初予算を310億円余下回る見通しである。」との見通しを明らかにしました。

 平成20年度当初予算においては、地方交付税の振替措置である臨時財政対策債が513億円、減収補てん債が100億円計上されています。臨時財政対策債については、地方財政対策において「地方再生対策費」という特別枠が設けられたことに伴い、一時的に大幅に増加しているという理由はありますが、自民党は、臨時財政対策債の大幅発行に問題はないのか、また、減収補てん債を年度当初から組み込んで、徴税努力が果たせるのか、麻生知事の見解を求めました。これに対し知事は、「臨時財政対策債は、地方交付税原資の不足から、地方団体において発行を余儀なくされているものであり、今後はこのような振替措置がなくなるよう、原資を増やすための取り組みを行っていく。減収補てん際は、法人関係税等が、地方交付税算定上の額を下回る見込みとなる場合に、その差額を補てんするために発行するものである。平成20年度の地方財政計画の法人関係税の伸び率は高く設定されており、本県の収入見込額はこれを下回る状況となっていることから、現段階で発行が見込まれる額を計上した。税収確保対策は、どのような場合でも不可欠であり、今後とも一層の努力を傾注して参る。」との答弁を行いました。

 次に、自民党は国の地方出先機関の見直しについて質しました。国の地方出先機関の廃止・整理及び地方への移譲は、行政コストの大幅カットという効果だけでなく、住民が真に求める的確な行政サービスが行われ、魅力的な地域づくりが全国で行えるようになるものであると考えるべきです。しかし、これが成功するかどうかは、国民世論を如何にして動かすかにかかっております。全国知事会長でもある麻生知事に対し、具体的な世論喚起策を質しました。知事は、「国の出先機関の見直しは、地方分権改革の推進、二重行政の解消による行政経費の削減、国が国本来の役割に専念できるという三つの効果を持つ、極めて有効な改革手段。国民の、より広範な共感と支持が得られるよう、全国知事会として取り組んでいく。」との考えを示しました。

 自民党は、先の12月定例県議会において、麻生知事の公約である乳幼児医療助成制度の拡充の早期実施に向けて、知事の決断を促しました。このたびの平成20年度当初予算では、医療費助成(通院)の対象年齢が義務教育就学前まで引き上げられており、これは、少子化対策として意義あるものと評価いたします。しかし、同時に3歳以上については定額自己負担や所得制限が導入されていることから、自民党は、これはどのような考えに基づくものであるのか知事に質しました。麻生知事は、「この制度は、乳幼児の疾病の早期発見・治療を促進するため、保護者の経済的負担軽減を図るものであり、助成対象の拡大に併せ、受益と負担の均衡などの観点から所得制限や定額自己負担制を導入するものである。」との考えを示しました。
 また、自民党は、母子家庭等医療費助成制度について、新たに父子家庭を対象に加える点は評価しながらも、一人暮らし寡婦を対象から外すことについて、急激な負担増を避けるための措置について質しました。知事は、「助成廃止に当たっては、2年間の経過措置を設ける。また、就業・自立支援センターの増設や合同企業面談会の新規実施など、就労支援に努める。」との答弁を行いました。
 さらに、自民党は、重度心身障害者医療費助成制度について、65歳以上の障害者の方からも一定の自己負担を求める見直しが行われている点について、具体的な考え方を質しました。これに対し知事は、「障害者間の格差を是正するため、対象を精神障害者まで拡大した。一方で、世代間負担の公平化や高齢化の影響による医療費の増加などの課題を踏まえ、65歳以上の方にも一定の負担をお願いし、今後とも持続可能で安定的な制度としたいと考えている。」
との考えを示しました。

 世界的な原油価格や穀物価格の高騰による生産コストの上昇を受け、農家は所得の減少に苦慮しながらも更なるコスト削減に努力しています。中でも、畜産農家は大きな影響を受けており、金融機関の調査によれば、前年に比べ資金繰りが苦しくなったとの回答が7割近くに達しています。特に、酪農家の困窮ぶりは新聞紙上に毎日のように掲載され事態は深刻であります。懸命に努力する農家の皆様への支援策について、自民党は麻生知事の答弁を求めました。これに対し知事は、「飼料作物による転作の拡大に取り組む地域への産地づくり交付金の上乗せ措置を行うとともに、飼料生産受託組織の育成、担い手への生乳生産枠の流動化、牛乳の消費拡大などを推進し、酪農家の所得向上に努める。」との答弁を行いました。

   
 

 

搾乳用パーラー(後方から見たところ)  

 教育問題について、自民党は、まず学力問題を取り上げました。全国平均さえ下回った我が福岡県の子供たちの学力は、憂慮すべき状況にあります。正答率の高い学校では、教職員が自分の学校の課題を的確に捉え、組織的に一体となって学力向上の取り組みを行っていると聞いております。まさに、教育の「原点」が教師にあり、最も大切なことは、教員の資質と指導力の向上であるということがこの結果となって表れているのです。児童生徒の学力向上のためには、地道に教師の指導力向上に取り組むべきであります。この点について、教育長の考えを質しました。これに対し、森山教育長は、「学校内で児童生徒を目の前にし、教員相互の評価を取り入れた授業研修や、教員に対する評価に基づく課題別研修の充実に努める。また、日常の授業支援として、優れた学習指導案を県教育センターに収集・活用できる仕組みを整備するなど、教員の実践的な指導力に視点を当てた取り組みを充実していく。」との考えを示しました。
 また、自民党は、以前より読書教育の重要性について主張してきたところでありますが、朝の読書など一斉読書の時間設定をしている学校は平均正答率が高いという今回の結果を踏まえ、学校・家庭・地域を含めて、今以上に読書活動の充実に努めるべきであると指摘しました。森山教育長は、「読書が学力の基盤として重要であることを認識している。本県では子供読書推進計画を推進しており、小学校の96%、中学校の86%が全校一斉の読書活動に取り組んでいる。今後とも、学校を始め、家庭や地域における読書活動の一層の充実に努める。」との答弁を行いました。
 
 昨年12月、本県で始めて本格的なモーターショーが開催され、わずか4日間で11万7千人の来場者を集めたことは記憶に新しいところであります。このイベントは、北部九州の自動車産業はもとより、福岡県の知名度やステータスの向上に大いに寄与したと考えております。しかし、一方では、新たな課題も浮き彫りにされました。今回のモーターショーはマリンメッセ、国際センター、国際会議場の3会場での分散開催であり、会場間の移動に時間がかかりました。また、来場者が多かった土曜、日曜には、展示車両がよく見られないほどの混雑であり、展示スペースの不足は明らかでありました。福岡県が、急速な発展を続けるアジア諸国の成長エネルギーを活用し、世界の拠点として発展していくためには、世界の人々が集い、交流し、ビジネスを創造する、このような大規模コンベンション施設の整備が急務ではないか、自民党は麻生知事の見解を求めました。知事は、「本県がアジアの交流拠点として発展していく上で、コンベンションは大きな役割を果たすものと考える。新たな大規模施設の整備については、既存の施設が集積する地区の機能を活用することが実際的、効果的と思うが、多くの大型イベント誘致の可能性、敷地の確保、整備方法など、諸々の課題があり、関係自治体とも協議しながら総合的に研究したい。」との考えを明らかにしました。

   
 

 

     


 3月6日の代表質問最終日には、50億7,600万円余を減額する一般会計補正予算案など、27件の議案が追加提案されました。補正予算においては、平成19年度の県税収入が、サブプライムローン問題や原油の高騰など、最近の経済情勢を反映して、当初予算を310億円程度下回る見込であることから、 代わるべき財源として地方交付税及びその振替措置である減収補てん債などを計上することとしております。また、歳出では、治山及び道路の公共事業費など、国の補正予算関連事業費を計上いたしております。
 この補正予算案など、早期議決を要する案件につきましては、3月7日から12日まで行われた一般質問の後、3月13日に所管の各常任委員会において審議され、翌14日の本会議において賛成多数を以って全議案が可決されました。

 3月12日には、31名の委員から成る予算特別委員会が設置され、私はその委員に指名されました。
 予算特別委員会は3月17日から本格的な審議に入り、歳入・歳出の各項目について論戦を展開しました。
 歳入においては、平成19年度の県税収入が予算を下回ったことなどを受け、県税収入の確保努力を強く求める意見が相次ぎました。また、県債の発行額が増加している状況から、新財政構造改革プランに掲げる「平成22年度には県債残高を減少に転換」という目標の達成は大丈夫かと懸念する意見も多く出されました。これに対し執行部は、「県債の増発は、税収偏在是正措置に伴う臨時財政対策債や減収補てん債の増加によるものであり、一時的なもの。今後も、建設事業費の県負担額の抑制という措置を続け、県債の発行を抑制し、現在の目標を堅持して頑張っていく。」との考えを示しました。また、現在の地方財政制度に欠陥があるのではないかとの問いに対しては、「地方財政計画は、個々の地方団体の事情を積み上げる仕組みにはなっておらず、策定の時期も地方の予算編成時期とはずれがある。今後とも、地方消費税など偏在性が少なく安定した地方税財源の確保に努めると同時に、交付税の充実・強化を求めていかなければならない。」との見解が示されました。
 歳出でも、各款、各特別会計について活発な論議が交わされましたが、中でも、前原インターチェンジの南に位置する、前原リサーチパークの土地をめぐる問題については、同土地に多量の産業廃棄物が不法投棄されていたにもかかわらず、県は県有地との交換という手法で同土地を取得しており、この経緯や地元住民の皆様の安全について、激しい追及が行われました。私も、大規模な産業廃棄物問題を抱える筑紫野市民の一人として、とても他人事とは思えない問題であります。この問題をめぐる質疑では、執行部の不明確な答弁や提出資料の不備などから、委員会審議が長時間にわたって中断し、3月17日は午後11時近くになって遂に流会という事態となりました。
 3月26日、自民党・大家委員は、この問題について麻生知事に対する保留質疑を行い、住民の皆様が不安を感じているフッ素等の有害物質の流出対策はどうするのか、土地の売主に対する損害賠償請求をすべきではないのか、また、このリサーチパーク構想は地域振興のためにも推進すべきものであり、この構想がこのような原因で遅延していること自体が県の損害と考えるべきではないかと厳しく追及いたしました。これに対し麻生知事は、「現在、フッ素等の有害物質の流出はないが、今後も地下水のモニタリングを続け、住民に被害が及ぶようなことは絶対にないようにする。法的には瑕疵担保責任を問えるが、何を損害として損害額を確定するかなどの課題がある。リサーチパーク構想が遅延していることは、県にとって損失であると考えている。」との答弁を行いました。
 予算特別委員会は、知事に対する保留質疑を行った後、採決を行い、賛成多数をもって付託された全議案を可決いたしました。

 3月28日には本会議が開かれ、各常任委員長及び予算特別委員長の報告を受けた後、採決を行い、平成20年度一般会計予算を含む43議案全てを可決いたしました。また、知事より土地利用審査会委員の人事案件が追加提案され、これについても賛成多数をもって可決いたしました。

 31日間にわたる2月定例県議会を終え、気がつけば桜の花も開花し、春の息吹が感じられる季節となっております。平成20年度のスタートを迎え、私、藤田陽三も、福岡県政の発展とふるさと筑紫野市の発展を目指し、フレッシュな気持ちで”真剣に”取り組んで参る決意を新たにいたしております。どうか、今後とも藤田陽三に温かいご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
 

 トップ   プロフィール   ニュース   七つの政策   トピックス   活動報告   後援会   リンク