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  平成19年12月定例県議会を振り返って

 


 平成19年12月定例県議会は、12月3日から20日までの18日間の会期をもって招集されました。

 開会日冒頭には、9月議会において決算特別委員会に付託しておりました決算議案について、決算特別委員長より審査結果報告を受けた後、採決を行い、20件すべてを認定いたしました。
 麻生知事からは、台風第5号等に伴う災害復旧費を主な内容とした総額1億3千百万円余の平成19年度一般会計補正予算をはじめ、県の本庁組織を抜本的に再編する「福岡県部制条例」の一部改正、県民が安全・安心に暮らせる地域社会づくりのための「福岡県安全・安心まちづくり条例」の制定、県立高校の授業料等の改定など、合計20件の議案が提案されました。
 またこの日、私は県議会議員在職16年に伴い、県議会から県政功労表彰を、知事からは感謝状を授与されました。このような栄誉に預かりますのも、私を支えて下さっている筑紫野市民の皆様のおかげでございます。藤田陽三、これからも経験に甘えることなく、新たな気持ちで県政の諸課題にチャレンジしてまいります。

 

三毛門沓川地区海岸
 
       


 本格的な論戦は12月7日の、我が自民党県議団の代表質問から始まりました。 
 地域の防犯活動や暴力追放活動を推進する「安全・安心まちづくり条例」が今議会に提案されているのをあざ笑うかの如く、道仁会3代目の跡目問題に端を発した九州誠道会との抗争事件は、県内で3件もの殺人事件に発展し、佐賀県武雄市の入院患者誤射射殺事件等を加えると死者の数は7人にのぼっております。事態はまさしく異常であります。不安と怒りに満ちた県民の皆様が暴力団撲滅に向けて立ち上がり、久留米市では12月1日に県民集会が開催されました。我が筑紫野市でも、市民の皆様が道仁会系岡田組事務所の撤去に向けて立ち上がり、行政・警察との連携の下、ついに退去に追い込むことができたことは、12月12日の新聞各紙に大きく取り上げられたところであります。
 今議会では、各会派の代表質問、一般質問を通じてこの問題に質問が集中、我が自民党県議団は代表質問の冒頭において、麻生知事及び殿川警察本部長に対し、 一連の抗争事件の収束をはじめ、暴力追放、暴力団対策についての見解と決意を質しました。

   
  平成19年11月22日 筑紫野市暴力追放市民集会    


 麻生知事は、「暴力団対策は、まずは警察による徹底した取締と住民の安全対策が重要。警察官の増員や装備の充実などに努めてきており、私も久留米、大牟田寮警察署に赴き、捜査・警戒にあたっている警察官を激励した。また、地域で盛り上がっている暴力追放活動を支援し、拡大することが重要であり、官民一丸となった取り組みの推進に全力を挙げる。」との答弁を行いました。
 殿川警察本部長は、「県警察は、あらゆる法令を駆使し、11月末現在で約170名を逮捕、14丁の拳銃を押収している。11月30日には私を本部長とする600名体制の総合対策本部を設置、県警察の総合力を発揮した諸対策をさらに強力に推進している。今後とも、不退転の決意で暴力団の壊滅に向けた取締を徹底するとともに、官民一体となった暴力団排除活動をさらに強力に推進していく。」との答弁を行いました。

 我が自民党県議団は、昨年の2月議会で「安全・安心まちづくり条例」の制定を提案し、約2年の期間を経てようやく制定にこぎつけました。この間、県は県民や市町村、関係団体等からの意見・要望をどのようにして聴いてきたのか、また、この条例には罰則規定がなく、条例の内容をどのようにして担保していくのかについて知事の答弁を求めました。麻生知事は、「本条例案の策定に当たっては、総合戦略検討会議で検討を重ねるとともに、県内4地域でタウンミーティングを開き、地域の防犯活動を継続するための情報提供や支援、活動を支える推進組織の必要性などについて県民の皆様からの意見をいただき、反映させた。安全・安心まちづくりは県民運動として取り組むものであり、罰則規定はなじまないと考える。」との答弁を行いました。

 後期高齢者医療制度は、来年4月からの運用開始に向け、制度の運用主体である福岡県後期高齢者医療広域連合で保険料が決定されたところであります。これによれば、一人当たりの平均保険料は年額83740円で、九州一の高額であります。この、後期高齢者医療制度についても今議会では多くの質疑が行われましたが、その中でも自民党県議団は、この保険料額は全国的に見てどのような水準であり、県はどのように評価しているのか。また、今般の高齢者負担の凍結に伴う保険料収入の減少にどのような対応をとるのか。そして、保険料算出当初の医療費の見込みを上回る事態や保険料が予定収納率を下回る事態の場合、県はどのような対応をとるのか、知事に質しました。
 これに対し麻生知事は、「軽減措置後で比較すれば、本県広域連合の保険料は全国6番目。保険料が高い水準になっているのは、本県の一人当たり医療費が高いため。高齢者負担の凍結措置に伴う保険料収入の減少分は国が全額措置する。今後、収入不足が発生しないよう、県は広域連合や市町村に医療費の適正化や保険料の徴収努力を求めていくが、このような努力を上回る場合に対応するため、国・県・広域連合で拠出する財政安定化基金を設ける。」との答弁を行いました。

 今議会に提案された県の部制条例の改正案によれば、本庁組織は10部7局94課室から10部7局90課室に再編され、その内容は、農政部と水産林務部との統合、保健福祉部と生活労働部との一体的再編による新社会推進部、保健医療介護部、福祉労働部の設置などが目玉となっております。今回の再編は、麻生知事就任以来最大のものであり、県民の多様化するニーズに沿ったもの、「政策創造型県庁」への一歩を踏み出すものとして一定の評価をするものであります。
 しかし、今回の農政・水産林務両部の統合が農・林・漁業の1次産業全体の振興に繋がるよう、新組織は機能を遺憾なく発揮しなければなりません。また、新社会推進部は、これまでの縦割り的組織関係や発想では対応できない行政分野であり、総合的・横断的な取り組みが求められます。我が自民党県議団は、県が目指す「戦略型行政システム」確立の取り組みと今回の本庁組織の再編について麻生知事に質しました。
 知事は、「これまで、各年度の重点施策を決定するための政策会議の設置、政策評価制度や先導的協働事業の導入、民間からの人材登用など、政策立案機能の強化を進めてきた。今回の本庁再編では、制度的に密接に関連する保健・医療・介護の施策を一元的に推進する保健医療介護部、自立支援などの点で関係が深い福祉行政と労働行政を一体的に推進する福祉労働部、NPOなどとの協働社会など新しい時代に合った社会システムを創る新社会推進部、また広域的な地域振興機能を強化するための企画・地域振興部、農林水産物のブランド化、輸出促進、食の安全対策、後継者対策など第1次産業の共通課題に一体的に取り組む農林水産部を設置し、新たな県民の皆様の期待に的確に応えていく体制づくりを行った。」との見解を示しました。
 
 税財政問題について、平成20年度の地方財政対策は、地方法人2税の約半分(2.6兆円)を国税化し、譲与税として地方に交付することにより東京都などの都市部と地方の税収格差を是正しようという方向で進められており、これにより得られる約4000億円を地方再生対策に活用しようとするものであります。
 しかし、今日の地方の疲弊を生んだのは、三位一体に名を借りた大幅かつ一方的な地方交付税の削減であり、その削減規模は5兆円以上にのぼっております。自民党県議団は、地方6団体が求めている交付税の復元と今回の是正策の規模の大きな隔たりを指摘するとともに、今後の政治的決意を質しました。
 麻生知事は、「総務大臣は地方交付税に特別枠をつくり、交付税削減の流れを止めるという動きをしているが、これまでの交付税削減が財政再建のために不可欠だという立場を崩さない財務省を中心とした国と我々地方との認識の差は依然として縮まっていない。今年の決着がどうあろうとも、今後とも地方交付税の適正な規模を確保するための活動を続けていく。」との考えを明らかにしました。
 また、自民党県議団が本年度の税収見込みと予算割れした場合の補填策について明らかにするよう求めたのに対して知事は、「原油価格の急騰やサブプライムローン問題の影響で法人2税が前年度並みに推移し、伸び悩んでいる。このため県税全体としては対前年度18%の伸びとなっており、これを基に試算すると、今年度の税収は過去最高の規模となるものの、当初予算よりは200億円程度下回る見込みとなる。これに対しては、交付税の増額や交付税の振り替えである減収補てん債を活用するとともに、一層の経費節減、税収の確保に努める。」との答弁を行いました。 
 現在、国においては、道路特定財源の暫定税率の維持や道路特定財源の一般財源化をめぐり、与野党間で激しい攻防が行われております。本県においても、 幹線道路においてさえ身改良区間があり、歩道のない通学路や防災対策の必要な区間の改良など、安全・安心な県民生活を確保するため、道路の整備や橋梁・トンネル等の適切な維持管理は重大な課題であります。福岡県議会は、12月11日、衆参両院議長、内閣総理大臣、総務・財務・国土交通の各大臣に対し「道路特定財源の確保に関する意見書」を採択、提出いたしました。

 次に、乳幼児医療費助成制度についてであります。本年1月には3歳未満児の自己負担分を完全無料化に踏み切り、他県に比べ遅れていたこの助成制度も徐々に拡大されつつあります。さらに麻生知事は、先の知事選における公約の一つに、通院についての対象年齢を義務教育就学前までとすることを掲げております。もとより、厳しい財政事情の下であり、新財政構造改革プランにおいて社会保障費の増加抑制がうたわれていることも承知しておりますが、子育て支援のため、本県の乳幼児医療費助成制度のレベルを考慮すれば、通院年齢の拡大は早期に実施すべき時期に来ております。自民党県議団は、父子家庭に対する支援策と併せ、この問題に対する知事の決意を質しました。
 麻生知事は、「乳幼児、障害者、母子家庭の皆様への医療費助成制度については、政策効果、財政状況を踏まえて、持続可能で安定的な制度となるよう全体的な見直しを行っている。乳幼児医療の対象年齢拡大、父子家庭への医療費助成は子育いすべきて支援策として重要であり、具体的内容を検討している。できるだけ早い時期に成案を得て、実施主体である市町村と協議したい。」との考えを明らかにしました。

 国が約40年ぶりに実施した「全国学力・学習状況調査」の結果が10月末に公表されました。この結果について、自民党県議団は先の決算特別委員会において教育委員会の見解を質しましたが、その答弁は他人事のようなものでありました。小学校の国語Bで全国最高の正答率の秋田県、中学校の数学Bで全国最高の正答率の福井県を100点とすれば、本県はいずれも87点しか取れていないことになります。大変憂慮すべき状況ではないでしょうか。自民党県議団は、改めて森山教育長の見解を求めるとともに、教員の指導力と子供たちの学力とは一定の相関関係があると言われる中で、「学力向上」という観点に立った教員の人事異動や定数配置の方針を有しているのか、また、来年度の学力テストについても全県で参加すべきであり、これを市町村に徹底すべきではないかという点について質しました。
 森山教育長は、「学んだ知識や技能を活用する思考力や判断力、表現力等に課題が見られるとともに、小学校での補充学習等で不十分な項目もあり憂慮している。学力問題を県教育行政の最重要課題の一つとして積極的に取り組む。今後は、学力向上の観点も重視し、各学校の実態や職員構成等を勘案した適正・効果的な人事配置に努める。学力調査については、今後も継続的に実施する必要がある。来年度も全ての市町村が参加すべきで、そのように指導していく。」との見解を明らかにしました。

 12月14日からは、各常任委員会において付託議案の審査が行われましたが、厚生環境委員会と商工生活労働委員会は合同審査会を設置のうえ、県の部制再編に係る所管部分について審査にあたりました。
 12月20日には最終日を迎え、同日の本会議においては、各常任委員長の報告を受けた後、採決を行い、12月10日に追加提案された給与改定関係議案4件を含む全議案を賛成多数で可決いたしました。
 また、警察常任委員会委員の連盟による「暴力事件根絶と暴力団壊滅に関する決議」が提案され、これを採択いたしました。

 様々な出来事があった平成19年も、わずかな日数を残すのみとなりました。春の県議会議員選挙において、私は、筑紫野市民の皆様の温かいご支援により、再び県議会の場へ送り出していただきました。県議会議員としての日々の活動や議会の場における議論などを通じ、これからの県政に求められる課題が山積していることを改めて実感いたしております。藤田陽三は、これからも福岡県のため、ふるさと筑紫野市のため、努力・邁進して参ります。どうか、来年も藤田陽三に温かいご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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