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  平成19年9月定例県議会を振り返って

 


 平成19年9月定例県議会は9月20日に招集され、同日の本会議で、10月10日までの21日間の会期を定めました。

 今議会には、条例議案7件、経費負担に関する議案12件など、合計20件の議案が提案されました。
 条例議案では、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律が改正され、知事が精神科病院に対して、任意の入院患者の症状などについて報告を求めることができるようになったことに伴い、その報告すべき事項等を定める条例や、都市計画法施行令の改正により、市街化調整区域での大規模開発が原則禁止となったことに伴い、開発許可の特例基準を定めていた条例を廃止するための条例、さらには、温泉法の改正により、土地の掘削や施設の利用等の許可を受けた者について、合併や相続等による地位の承継が認められることとなったことに伴い、承継承認申請手数料を新たに定めるための条例などが提案されたところであります。

 本格的な論戦は9月27日の、我が自民党県議団の代表質問から始まりました。
 自民党は、まず、本県の財政事情について質しました。
 先般公表された平成18年度普通会計決算見込によれば、歳入・歳出ともに2年ぶりの増加となっており、中でも県税収入は、自動車関連産業の好調等の影響から3年連続の増収となっております。財政調整基金等三基金の取り崩し額は46億円となっており、前年度より約90億円圧縮できました。県債発行額も3年連続で圧縮され、財政の硬直度を示す経常収支比率なども、概ね好転の兆しを示しております。自民党は、これらについて評価しつつも、国内総生産(GDP)が9ヶ月ぶりにマイナスとなるなど、景気に翳りが出始めているとの悲観的な予測も聞かれることから、知事は、今年度後半の本県の経済動向をどのように見ているのか、また、県税収入は確保できるのかという点について質問いたしました。麻生知事は、「輸出は、アジア向けを中心に堅調に推移している。設備投資も旺盛であり、全体として、当面、景気回復が続くものと見込んでいるが、サブプライムローン問題を発端とした世界金融市場の混乱には、強く注視していく必要がある。今年度の税収については、原油価格の高騰に伴う鉄鋼業の減収により、主力の法人事業税が前年を若干下回っている状況にある。今後は、主要企業の中間申告(11月)の状況を見極める必要がある。」との見解を示しました。
 先の通常国会では、「地方公共団体財政健全化法」が成立、公布されました。
 平成20年度からは、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、そして将来負担比率という四つの財政健全化判断比率のうち、一つでも「早期健全化基準」以上であれば、その団体は「財政健全化計画」を策定しなければなりません。算定方法等が示されていない現段階で、具体的に算定することは困難ですが、自民党は、これらの比率について、どのような見通しを持っているのか、県内市町村の見通しはどうか、知事に質しました。麻生知事は、「本県の実質赤字比率、連結実質赤字比率は、普通会計決算が黒字であること、及び、公営企業会計等の全会計を通じても資金不足を生じていないことから、健全な水準になると思われる。将来負担比率は、公社等の負債のうち、どの部分を県の負担と捉えるかが定められておらず、現段階で見通すことは困難。市町村については、4団体が実質公債費比率18%以上となり、1団体では実質赤字が生じる見込みである。」との見込みを明らかにしました。

 次に自民党は、福岡県庁における正常なる労使関係と職場協定について質しました。
 先の6月定例県議会及び予算特別委員会において、我が自民党は、これまで県当局と職員組合との間で交わされてきた、誤った労使慣行による職場協定の問題について厳しく追及し、平成18年度に各職場の管理職と組合の間で交わされた83件の協定書を提出させました。これらの協定書の内容については、様々な問題を指摘せざるを得ません。県民サービス向上の観点から、業務効率を上げ、少数精鋭による生産性の高い県庁を実現すると、麻生知事は言明しています。自民党は、これら83件の協定書について、その後どのような取り扱いがされているのか、知事に質しました。これに対し麻生知事は、「労使慣行については、全般的な見直しを行う方向で、職員団体とも協議しながら取り組んでいる。職場協定についても、定数、組織など管理運営事項に属するものが含まれていたので、これらについて見直していく。」との考えを述べました。

 麻生知事は、選挙時公約(マニフェスト)で広域的地域振興政策を基本政策の一つとしてあげており、地域振興のための本庁組織の改編は平成20年度から実施するとしています。自民党は、どのような組織につる方針なのか、また、個性豊かで活力ある地域づくりへの県の支援としてどのような地域振興資金制度を考えているのか、知事に質しました。麻生知事は、「今後の県の役割は、個別の市町村に対する支援に加え、広域的な地域課題への対応や機能調整が重要となると考えている。現在の本庁組織では、このような二つの機能を総務部と企画振興部が別々に有しているので、これを一つの部で所管して相互調整できる組織を作っていきたい。市町村の自立的発展の基盤づくりや広域的地域振興事業に対して、産炭地域活性化基金の活用や福岡県地域づくり基金による新たな助成制度を検討していく。同時に、これらの基金の活用と連携して市町村応援元気フクオカ資金を積極的に融資していく。」との考えを示しました。

 去る8月末、米国シアトル市で「第6回海外福岡賢人会世界大会」が開催されました。本県からは、麻生知事はもとより、貞末県議会議長や蔵内自民党県議団議員会長をはじめとする県議会代表団が参加し、県人会関係者との交流を一層深めたところであります。
 
   
       

 しかし、その中で、各県人会においては、2世、3世と世代が進むにつれ、母県である福岡県との関係が希薄になり、若い世代の県人会離れが深刻な問題となっていることがわかりました。我が自民党は、本県としても、将来の県人会を担う後継者を育てるために、長期的展望に立って、県人会の若い世代に故郷・福岡県を知ることができる取り組みを行うことが重要であるとの観点から、知事の見解を求めました。知事は、「これまで、県は、県人会活動の助成や県費による移住者子弟の受け入れなどを行ってきた。さらに、若い世代に福岡県をよく知ってもらうことが大事であり、県人会子弟が本県を訪問できる方策などを検討していく。」と答弁いたしました。
 
 次に、自民党はひとり暮らし高齢者に対する施策について取り上げました。
 我が国では、既に総人口の2割が65歳以上の高齢者となっており、本県の200万世帯のうち21万世帯が高齢者の単身世帯、19万世帯が高齢者夫婦だけの世帯です。高齢者の皆さんが、住み慣れた自宅や地域で、安心して生活できる環境づくりが急務であります。本県では、一人暮らし高齢者等に対する「見守り」について、どのような検討を進めているのか、知事に質しました。
 麻生知事は、「新たに、一人暮らし高齢者等見守り対策協議会を設置し、検討を進めている。今後、課題となっている個人情報の取り扱いに関するガイドラインの策定や、先進事例の紹介などを行い、市町村ごとに老人クラブや社会福祉協議会などによるネットワークを構築していきたい。」との考えを示しました。

 今年は,早い時期から台風に襲われて農作物は大きな被害を受けた上、8月以降は連日30度を越す猛暑日が続き、全国的に米の収量と品質に影響が出ております。自民党は、我が県の主力品種である「夢つくし」や「ヒノヒカリ」はどのような状況か、問題があるならば、米生産が停滞しないように対策を打つべきではないかという点について知事に質しました。これに対し麻生知事は、「稲穂が出た後の8月から9月に高温が続くと、白く濁った米が多くなり、本県産米の検査等級も低下している。対策としては、田植えの時期を遅らせたりきめ細かな水管理などを指導している。また、筑紫野市にある農業総合試験場において、温暖化に負けない、美味しい新品種の開発を進めている。」との答弁を行いました。
 
   
     

 次に自民党は、ある政党が主張している、農家の所得補償制度の創設や完全自由化しながらの食料自給率100%という、実現性は全く無いと言わざるを得ない問題について、知事の見解を求めました。毎年の生産実績に応じた戸別所得補償制度は、WTO協定上の削減対象となっており、導入すれば国際社会から厳しく糾弾されることは必至であります。また、現在、海外に依存している農作物を全て国内で生産するためには、現在の我が国の総農地面積の約3倍にあたる、約1200万ヘクタールもの農地を新たに確保する必要が生じます。
 このようなことは、非現実的であり、出来るはずがありません。仮に、このような農地を確保するとしたら、福岡県ではどのくらいの面積になるのか、また、本県の実情を踏まえた上で、我が国の食料自給率100%はできるのか、できないのか、麻生知事の見解を求めました。知事は、「全国で1200万ヘクタールとすると、本県では32万ヘクタールが必要となり、現在(9万ヘクタール)の約3.6倍の農地が必要となる。このような膨大な追加的な農地を確保することはできない。従って、カロリーベースで計算した食料自給率100%は、できないと考えざるを得ない。」との見解を明らかにしました。

 昨年12月、森林環境税条例及び森林環境税基金条例が制定されましたが、その施行期日については、公布の日から2年以内とされております。森林の有する公益的機能を十分に発揮させるためには、荒廃した森林の再生が急務であります。自民党は、いまだ明らかにされていない森林環境税の施行時期を具体的に示すとともに、税による事業の構想を示すよう知事に求めました。これに対し麻生知事は、「条例の施行時期は平成20年4月1日としたい。荒廃森林を対象とし、間伐や枝落とし、伐採跡地への広葉樹の植林、そのために必要な作業道の開設を行う。また、ボランティア等による森林作り活動などを支援するなど、森林環境税を基にして、豊かな福岡県の森林を回復していきたい。」との考えを示しました。

 次に自民党は、太宰府市から小郡市の簡保レクセンター跡地に移転・建設が予定されている九州歴史資料館について質問いたしました。新しい九州歴史資料館は、昨年度に実施設計が行われ、本年度から建設工事に着手することとなっています。
 
   
  九州歴史資料館 完成予想図  

 我が県は、質・量ともに全国有数の有形・無形文化財や遺跡等を抱えており、九州歴史資料館は本県文化財行政の中核的施設として期待されます。文化財の調査・研究の成果や各種情報を、大人から子供まで、容易かつ速やかに入手できるよう、新しい九州歴史資料館の情報・展示機能の充実を図ることは重要であります。自民党は、このような観点からの取り組みについて、教育長の見解を質しました。森山教育長は、「新しい九州歴史資料館では、文化財を体感したり、本県の歴史・文化を体験学習できるよう、展示に工夫を凝らす。また、文官や県内の博物館等とネットワーク化を図り、各種の情報を県民が効率的に利用できるようデータの集積・発信に努める。」との答弁を行いました。

 代表質問に続き、10月1日からは一般質問が行われ、自民党をはじめ37名の議員が質問に立ちました。自民党の吉松議員は、糟屋地域の発展のためには、中部・南部6町の合併を是非とも推進すべきであるとの立場から、糟屋地域を貫通する重要な幹線道路である県道筑紫野古賀線の整備について質しました。麻生知事は、「県道筑紫野古賀線は、合併構想のある糟屋地域の振興に大きく寄与するとともに、地域の一体化に重要な幹線道路であり、精力的に整備を進めている。今後とも事業の進捗を図っていく。」との方針を示しました。

 10月4日には全ての常任委員会が開催され、付託議案等の審議を行いました。
 10月10日、9月議会も最終日を迎え、本会議において各常任委員長の審議状況報告を行った後、採決を行い、全議案を可決いたしました。また、知事から教育委員の任命にかかる人事案件が、議会運営委員会から「政治倫理の確立のための福岡県議会議員の資産等の公開に関する条例の一部を改正する条例」が追加提案され、いずれも可決されました。さらに、平成18年度決算関係議案20件を追加上程し、決算特別委員会を設置するとともに、決算関係議案を付託いたしました。決算特別委員会は、10月30日より審議に入ります。

 国政では、衆・参両院の「ねじれ現象」により、来年度の予算編成や予算関連法案などの先行きは不透明な状況にあります。経済に目を転ずれば、アメリカに端を発したサブプライムローン問題の火種は完全に消えたとは言えず、原油価格の高騰などの問題も含め、世界そして日本の実体経済への影響が懸念されます。今後、政治・経済ともに大変難しい局面を乗り切っていかなければなりませんが、私、藤田陽三は、これからも、県民の皆様が本当に豊かさを実感できる福岡県政の実現を目指して、真剣に取り組んで参ります。どうか、今後とも藤田陽三に温かいご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
 

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