トップ > 平成19年6月定例県議会
 
  平成19年6月定例県議会を振り返って

 


 平成19年6月定例県議会は6月20日に招集され、同日の本会議で、7月19日までの30日間の会期を定めました。

 今回の議会は、統一地方選挙後、初めての定例会であります。私も、筑紫野市民の皆様から大きな御信任をいただき、再び県議会の場に臨むことができました。温かい御支援に対しまして、心より、厚く御礼申し上げます。また、私は、平成17年2月から本年4月までの間、県議会議長を勤めさせていただきました。今議会は、2年2ヶ月ぶりに自民党県議団の一議員として臨む議会でもあります。藤田陽三、心を新たにして県政の重要課題に取り組んで参ります。

 今議会は、7月までの暫定予算としておりました平成19年度予算について、改めて年間を通じた本予算として提案されるなど、4期目の麻生県政のスタートに当たり、予算議案20件、条例議案16件等、合計45件の重要議案が提案されました。
 麻生知事は、議会冒頭の提案理由説明において、「積極産業政策をさらに進め、所得の高い雇用を創り出すなど『元気な福岡県』をつくる。それぞれの地域において互いに協力し支えあう“共助社会”や、少子化の流れを転換させる“子育て応援社会”づくりを進めるなど『やさしい福岡県』をつくる。雇用の格差是正や、若者・女性の就業支援、県民の叡智を結集した“福岡の教育”ビジョンの策定などに取り組み『希望の福岡県』をつくる。福岡県は、躍動するアジアの時代にあって、これまでの成果を基礎に大きく飛躍する重要な時期にある。この福岡から“西風”を起こし、アジアとともに発展・繁栄すべく全力を傾注していく。」と、4期目の県政運営に対する所信を明らかにしました。

 今議会に提案されました平成19年度当初予算は、一般会計で1兆5,327億2,200万円余となっており、昨年度と比べ約206億円、1.4%の増となっております。
 近年の地方財政は、国の「骨太の方針」などに沿って人件費や単独事業費が厳しく抑制されており、6年連続で地方財政計画の規模縮小が続けられています。景気の回復などに伴って地方税収は増加してきているものの、地方の歳出(需要)を抑制することによって地方交付税等が削減されていることや、税収の増は東京を中心とした大都市圏に偏っていることなどにより、多くの地方自治体は大変厳しい財政運営を余儀なくされております。
 本県でも、税源移譲や景気回復に伴う法人関係税の増の影響から、本年度の県税収入は1,216億円の増を見込んでおります。しかし一方で、歳入面では、所得譲与税の廃止(806億円の減)や地方交付税等の減(160億円)、歳出面では、介護給付費負担金や老人医療費負担金などの増による社会保障費の増(144億円)、退職手当等の人件費の増(113億円)などの要素もあることから、189億円の財源不足が生じ、これに対して貯金(財政調整基金等三基金)の取り崩しによって対応せざるを得ませんでした。
 県では、このような状況を踏まえ、今後何らの改革措置も実施しなければ、毎年度400億円程度の財源不足が生じる恐れがあるとの試算を行い、平成
19年度から平成23年度までの5年間を改革期間とする「福岡県新財政構造改革プラン」を策定したところです。このプランでは、今議会に提案された「福岡県行政改革大綱」の“少数精鋭県庁”を目指す取組と一体となって、歳入・歳出改革を推進することとしており、今後5年間の財源不足を圧縮・解消するとともに、2兆5千億円に達している県債残高を、平成22年度には減少の方向に転じさせるとの目標で取り組んでいくこととしております。
 
 このほか、条例議案等では、介護保険制度の実施以来、無料としておりました介護サービス事業者の指定(更新含む)手数料について、受益者負担の原則に立って有料化するための条例や、私が地元選出議員として、長年にわたって取り組んで参りました“冷水有料道路問題”について、有料区間を飯塚市内野から筑紫野市山家までとし(これにより、一部区間の無料化が実現)、さらに有料区間についても料金値下げを実施する、福岡県道路公社事業計画等の変更議案などが提案されたところであります。
 
   
   


 本格的な論戦は6月27日の、我が自民党県議団の代表質問から始まりました。
 自民党は、まず、4期目を迎えた麻生知事の政治姿勢について尋ねました。
 福岡空港の将来構想については、現在、国・県・福岡市が連携して総合的調査を進めています。九州が“九州道”となるためには、アジアのゲートウェイ、空の玄関口である国際空港は欠かせない要件であり、知事は福岡空港将来構想について第4期麻生県政の中で決着をつける決意があるのか、知事に質しました。これに対し麻生知事は、「西日本の拠点空港である福岡空港の容量限界をどのように打開していくかは、非常に大切な課題。私の任期中にはっきりした方向を示し、確立することが大きな責務であると考えている。来年度にも、県の対応案を確立すべく積極的に取り組む。」との決意を明らかにしました。

 本年1月、自動車百万台生産拠点づくりの達成を記念して、九州国立博物館で「クルマの歴史と未来展」が開催されました。国産最古の車「アロー号」は、福岡市の矢野青年が製作したものであります。自動車文化の育成が、新しい自動車産業の振興につながるものであるという観点から、知事の見解を問いました。麻生知事は、「本県の自動車づくりの歴史・技術を文化として伝承していくことは、自動車産業やものづくりへの関心を高めることにつながる。自動車文化の育成を含め、県内の自動車産業の振興に努める。」との答弁を行いました。

 次に自民党は、税財政問題に関して、まず、全国知事会の場でも大議論となった地方税収の偏在問題を取り上げました。偏在性の大きな法人2税の根本的な見直しは、避けて通れない重大課題です。麻生知事に、全国知事会長としての基本的な姿勢を問いました。知事は、「全国知事会としては、地方税源の充実強化のため、まずは偏在性の少ない地方消費税の充実に最優先で取り組み、併せて合理的な税源偏在の是正策を検討していくことで合意し、関係する政府機関に提言を行っている。」との答弁を行いました。
 
 また、マスコミにも盛んに取り上げられております、いわゆる“ふるさと納税”構想について、どのように評価しているのか、地方としての主張は何か、知事に質しました。麻生知事は、「ふるさと(地方)をもっと大事にし、応援し、発展に貢献したいという気持ちは大切にしなければいけない。しかし、地方税は応益原則が基本であることや、税収の偏在を是正する効果がどの程度あるのかなどの課題があり、今後、十分に検討を要する。」との考えを示しました。

 前述しましたように、県は、新財政構造改革プランにおいて、「平成22年度には県債残高を減少に転じさせる」との目標を掲げております。本県の県債残高は、平成19年度末で2兆5,343億円に上る見込みであり、しかも、この中には地方団体の裁量が効かない特例的県債が多く含まれています。このような中で、如何にして県債残高を減少させることが出来るのか、知事の見解と目標達成に向けた決意を質しました。麻生知事は、「県税収入をはじめ歳入の確保に努めるとともに、事業の重点化・効率化を図り、県債発行を抑制する。交付税の振替財源として発行を余儀なくされている臨時財政対策債も、国税収入の増等に伴い減少すると見込んでいる。今後、歳出・歳入全般にわたる改革措置を着実・強力に実施し、財源不足の圧縮を行うとともに、平成22年度には県債残高を減少に転換させるとの決意の下に財政運営を行っていく。」との答弁を行いました。

 県は、本年度からの新しい行政改革で、「少数精鋭体制の確立」、「職員・職場の活性化」などの改革戦略を掲げています。しかし、県庁には、長年にわたり続けられてきた不適切な労使慣行が存在します。職員組合との間における不法・不当な労使交渉や協定書、確認書など、この際、全て根本から見直し、新しい労使関係を構築しなければ、行政改革を成し遂げることなど出来る訳がありません。自民党は知事に対し、これまでどのような事柄を労使交渉の対象としてきたのか、いかなる協定書や確認書が存在するのか、全てを県民の前に詳らかにするとともに、労使慣行を見直すという強烈な政治的意思を明らかにするよう強く求めました。これに対し、麻生知事は、「管理運営事項は労使交渉の対象にできないにも関わらず、定数の配置など管理運営事項そのものについて交渉の対象としているものがあった。また、新たに赴任した所属長に対して組合から着任交渉の申し入れがあり、その際、職場協定書の締結を行う職場が多く見られた。平成18年度の協定書の件数は83件である。交渉のあり方にとどまらず、労使慣行全般について検討し、見直しを行っていくという、新たな透明性の高いルールづくりを行っていく。」との考えを示しました。

 次に自民党は、高齢者の保健・福祉に関わる問題を取り上げました。まず、後期高齢者医療制度について、この制度は経済的にも健康的にも弱くなった年齢層だけを集めた医療保険制度であり、福岡県の老人医療費は全国一高い状況となっていることから、後期高齢者にとって日本一高い保険料になるのではないかという不安について知事に質しました。麻生知事は、「本県では、入院日数が全国に比べて長く、老人医療費の半分を占める入院診療費が特に高くなっている。所得水準に応じて保険料を軽減する制度が導入される予定であり、市町村広域連合に対して適切に運用するよう指導していく。」との考えを述べました。また、コムスン問題について、県内でコムスンのサービスを利用している4,000人の方々が継続してサービスが受けられるのか、そして今回の問題は氷山の一角であるとも言われている中で、県は事業所の不正防止にどのように取り組むのか、知事に質しました。これに対し麻生知事は、「コムスンに対しては、事業を引き継ぐまでは責任を持ってサービスを提供すること、利用者のサービス移行に支障が出ないようにすることを指導した。事業所指導については、本庁に加え保健福祉環境事務所に専門部署を設けて実施している。」
との答弁を行いました。

 農政に関して、自民党は、今年度からスタートした品目横断的経営安定対策について質問いたしました。県内には、約500の集落営農組織がありますが、どのくらいの組織が5年後までに法人化できるのか、疑念を抱かざるを得ません。県は、集落営農組織の法人化に向けて、どのような支援策を講じるのか、米のナラシ対策への加入を促進するためにどのような対策を講じるのか、知事に質しました。麻生知事は、「本年度から、構成員の年齢や農業経営への意向などの実態調査と診断を行い、組織の再編を図っていく。永続性のある経営体となるためには、米を含めた合理的な土地利用や機械装備の効率化を図ることが重要であり、米・麦・大豆が一体となった経営となるよう誘導していく。」との考えを示しました。

 次に、水資源の開発に関して、本県では、昭和53年、平成6年の大渇水を契機に海水淡水化施設をはじめ、多方面で水資源を開発してきましたが、異常気象や水需要がピークに達した場合には、まだまだ厳しい状況にある地域もあります。自民党は、建設中の藤波、五ヶ山、伊良原などのダムの早期完成を目指すよう、知事に求めました。これに対し麻生知事は、「水資源の確保は、県政の最重要課題の一つである。建設中のダムの早期完成に努め、水に不安のない県づくりを目指す。」との答弁を行いました。
 
藤波ダム(平成21年度完成予定) 総貯水量 295万立方メートル
浮羽市妹川・小塩地内  


 本年4月1日、「特別支援教育」を推進するため、学校教育法の一部が改正されました。我が筑紫野市には、福岡高等学園、福岡高等盲学校、福岡盲学校の3校の県立特別支援学校が集積しており、本県の特別支援教育の中心的役割を担っております。県は、今後の特別支援学校の整備に関して、基本的な考え方は示しておりますが、具体的スケジュールなどは示しておらず、障害のある子供さんや保護者の方々の切実な願いに応えているとは言い難い現状であります。自民党は、本県の特別支援教育をどのように推進していくのか、県立特別支援学校の整備計画を早期に策定すべきではないかと、教育長に質しました。
 
福岡県立養護学校福岡高等学園 福岡県立福岡盲学校
筑紫野市大字古賀304 筑紫野市大字牛島


これに対し、森山教育長は、「障害のある幼児・児童・生徒の自立や社会参加を目指し、教育的ニーズに応じた専門的教育が受けられるよう、教育環境の改善充実に取り組む。本年度中の、可能な限り早い時期に県立特別支援学校の整備計画を策定し、来年度以降、段階的に実施していく。」との考えを示しました。
 
 代表質問、一般質問に引き続き、7月4日には、31名の委員から成る予算特別委員会が設置され、私は委員長に選出されたところであります。予算特別委員会においては、7月5日から7月11日まで、連日、長時間にわたり県政全般について大変活発・熱心な審議が行われ、7月17日には麻生知事に対する保留質疑が行われました。
 知事保留質疑において、我が自民党は、新財政構造改革プランに関連して、地方財政計画などの地方財政に関わる重要なことが霞ヶ関だけで決められていることに問題があると指摘、地方財政対策の決定過程に地方が参画する仕組みを実現するよう全国知事会長としての麻生知事に質しました。知事は、「地方財政計画の決定に当たっては、地方財政の実情が的確に反映されることが必要であり、国と地方が実質的に協議できる場を設けるよう、全力を尽くす。」との決意を示しました。
 社会保険庁のずさんな年金管理の原因の一つに、効率的な事務運営を妨げたといわれる労働組合との関係が挙げられております。自民党は、人事課長との質疑において、平成18年度に締結された83通の職場協定書を提出させており、これらの不法・不当な協定書や目に見えない労使慣行まで、労使関係全体の見直しを強く求めました。これに対し麻生知事は、「各所属の協定書の中には、管理運営事項に関する内容が含まれているものがあるが、管理運営事項は執行部側の専管事項であるということを明確にしていく。労使慣行全般について、きちっとした見直しをやっていく。」との考えを示しました。
 予算特別委員会は、知事保留質疑の後、ただちに採決を行い、付託全議案を可決したところであります。
 予算特別委員会開催中の7月14日には台風4号が南九州を襲い、7月16日には新潟県中越沖地震が発生。いずれも尊い人命が失われ、災害の深い爪跡を残しました。被災者の皆様に、心よりお見舞いを申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興をお祈りする次第です。

 6月議会も7月19日には最終日を迎えました。私は予算特別委員長として審議状況報告を行い、本会議は、平成19年度一般会計予算など45議案全てを賛成多数で可決いたしました。また、この日は、中島孝之筆頭副知事の再任に関する議案など4件の人事案件が追加提案され、これらについても賛成多数で可決し、6月議会は1ヶ月間に及ぶ日程を終えました。

 私にとっては、久しぶりに一議員として臨んだ議会でありましたが、予算特別委員会では委員長に選任され、広範多岐にわたる県政の諸問題についての審議を、如何に的確かつ効率的に進めるかということに腐心いたしました。委員各位の御協力により、大変円滑に審議を進めることができました。厚くお礼を申し上げる次第であります。
 私、藤田陽三は、これからも、県民の皆様が本当に豊かさを実感できる福岡県の実現を目指し、ふるさと筑紫野市の皆様とともに、真剣に取り組んで参ります。どうか、今後とも藤田陽三に温かいご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 

 トップ    プロフィール    ニュース    七つの政策    トピックス     活動報告     後援会    リンク