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  平成19年2月定例県議会を振り返って

 

 平成19年2月定例県議会は、2月5日から21日までの17日間の会期をもって招集されました。

 今回の議会は、我々県議会議員及び知事にとって、任期最後の定例県議会であります。開会日における提案理由説明の冒頭、麻生知事は、「知事就任以来、公正と奉仕を基本姿勢とし、県民の暮らしを守ることに全力を傾注してきた。」と振り返り、
・ 中小企業への無担保・無保証融資制度「元気フクオカ資金」の創設
・ 北部九州自動車百万台生産の実現と新たな百五十万台構想の推進
・ 雇用創出8万人の達成と若者の”希望応援雇用”の推進
・ 将来に展望が持てる、力強い福岡の農業の育成 
・ 3歳未満児の医療費無料化、子育て応援宣言企業の増加など、子育て支援の充実
・ 意欲ある高齢者が働き続けられる環境づくりと安心の高齢社会の実現
・ 障害者がいきいきと暮らせるバリアフリー社会づくり
・ 治安・防犯・防災体制の充実強化
・ 環境にやさしい水素エネルギー戦略の推進
・ 参加団体が1,000を超えた青少年アンビシャス運動の推進
・ 百年の夢であった九州国立博物館の開館
・ 新北九州空港の開港、福岡都市高速道路5号線の開通、平成22年の全線開通を目指す九州新幹線など、本県の拠点性を高める社会資本の整備
・ 全国知事会長として取り組んできた「地方分権改革推進法」の成立
・ 職員数の削減、県立病院の民営化、入札・契約制度改革など、行財政改革の推進
など、これまでの主な実績と今後の展望を述べるとともに、「引き続き、公正と奉仕を基本姿勢に、常に県民の視線に立ち、不断の改革努力と熱意を持って、”元気でやさしい希望の福岡県”づくりに邁進していく。」と、4期目に向けての決意を表明いたしました。
 
     
  平成19年1月10日  車の歴史と未来展(九州国立博物館)  
  (自動車100万台生産拠点達成記念)  


 今議会には、一般会計で5,193億6,100万円余、特別会計の総額で449億9,600万円余、企業会計の総額で64億400万円余の暫定予算が提案されました。本県では、統一地方選挙が行われる年は、従来から暫定予算を編成しております。暫定予算は、本予算が成立するまでの「つなぎ」的な予算であり、基礎的な行政運営経費が中心となるものですが、今回の予算は、県政全般にわたって”目配り”され、フリーターなどの若者、子育て中の女性、障害のある方の就職促進、県民所得の向上、福祉・医療の充実、商工業や農林水産業の振興など、緊要な課題に対応するための新規事業が数多く盛り込まれております。
 このほか、高齢者や障害者が安全かつ快適にまちづくり施設を利用できるよう「福祉のまちづくり条例」を改正するもの、暴力団員の県営住宅の使用を制限するため「福岡県営住宅条例」を改正するもの、知事、副知事、出納長の退職手当を引き下げるため「特別職の職員及び教育長の退職手当に関する条例」を改正するものなど、合計73件の議案が提出されました。

 本格的な論戦は2月8日の、我が自民党県議団・議員会(以下、自民党と言います。)の代表質問から始まりました。 
 自民党は、まず、本年度の最終的な税収見通しと収支状況について質すとともに、来年度の税収及び新型交付税を含む地方交付税の見込みを明らかにするよう求めました。これに対し、麻生知事は「本年度の県税収入は景気回復を反映して当初予算より150億円程度上回る見込みであり、これにより当初予算では177億円と見込んでいた財政調整基金の取り崩しを120億円程度まで縮減したい。来年度については、製造業が堅調なことに加え、小売・サービス業を中心に伸びが見込まれることなどから、かなりの増収となり、地方財政計画の伸び率(15.7%)を上回る見込みである。また、地方交付税は税収の伸びに伴って減少すると考えているが、新型交付税の導入は本県にはほとんど影響ないと思われる。」との見込みを明らかにいたしました。

 昨年12月、「道路特定財源の見直しに関する具体策」が閣議決定され、平成19年中に、今後の具体的な道路整備の姿を示した中期的な計画を作成することとなりました。大都市圏と比べ地方は道路整備が遅れ、地域格差が生じる大きな要因ともなっています。本県の実情からも、道路特定財源の確保は重要かつ喫緊の課題であります。自民党は、麻生知事は今後の中期計画に盛り込まれる「真に必要な道路整備」をどのように理解しているのか、また、地方の実情を踏まえ、地方道路特定財源の将来的なあり方についての見識と維持確保に向けての政治姿勢を質しました。知事は、「本県では、自動車をはじめとする産業振興の基盤となる幹線道路網や、日常生活に利用できる生活道路、都市部における渋滞解消など、今なお多くの道路整備の必要性があり、重点的・効率的に整備を進めていく必要がある。このため、道路特定財源の見直しに当たっては、いまだ不十分な地方の道路整備の実情が配慮され、必要な財源が十分確保されるよう努めていく。」と答弁いたしました。

 現在の県の行政改革大綱は平成18年度までの計画であり、新たな行政改革大綱は平成19年度から23年度までの5年間を計画期間とするものであります。昨年11月には、ようやく行政改革審議会が立ち上げられ、来年度の早い時期には第1次の行政改革大綱を策定するとのスケジュールのようです。この審議会は知事の諮問機関であることから、議論の対象は知事部局が中心になるのでしょうが、県職員の数では、小中高の教員を含む教育部門や警察部門が圧倒的に多いのです。昨年公表された「集中改革プラン」でも2,500名の定員削減のうち1,300名は教育部門が対象です。我が自民党は、職員定員削減目標の達成に向けた知事の決意と、その検討過程が県民の目に見える透明性の高いものとするための具体的方策について質しました。麻生知事は「職員数の削減は、簡素で効率的な行政体制づくりのため、事務事業の見直しや組織の簡素化などにより着実に取り組みを進める。教育庁や警察の職員数は、厳しい財政状況の中で人件費に大きな影響があるので、これらについても行政改革審議会に報告し、意見をいただく。」との考えを明らかにしました。さらに自民党が、新行革大綱での”新機軸”は何かと質したのに対し知事は、「今までにない大幅な職員数の削減を行い、少数精鋭体制を確立する。また、広域的自治体として、県の担うべき役割は何かという観点から事務事業の見直しを行うとともに、部の再編や出先機関の再配置など、組織の抜本的な見直しについても審議会で十分に議論していただきたい。」との答弁を行いました。

 福祉・医療問題について、自民党はまず、療養病床の再編整備について取り上げました。全国の療養病床は38万床、本県では昨年12月末時点で24,000床余で、医療型と介護型に区分されます。小泉内閣最後の国会で成立した医療制度改革関連法によれば、平成23年度末までに全国で13万床あるといわれる介護型を全廃し、老人保健施設等へ転換していくとされています。ここで大きな課題は、患者さんの”受け皿”の問題です。行き場のない人が出るようなことは絶対にあってはなりませんし、患者さんの不安を解消し、現場の混乱なく療養病床の再編が行われることが重要であります。療養病床再編についての見解と、”受け皿”整備についてどのように取り組んでいくのか、知事に質しました。麻生知事は「療養病床再編は、入院患者に適切なサービスを提供するとともに、医療保険や介護保険の財源、医師や看護師等の人材の効率的な活用のために行われるものである。再編に当たっては、入院患者や現場に混乱が生じることがないよう、実態を踏まえて関係者と十分協議を行う。受け入れ体制の確保などを内容とする高齢者等地域支援構想を、本年秋までに策定する。」と答弁いたしました。
 次に障害者福祉についてであります。障害者の皆さんが地域で安心して暮らせる社会を実現しなければなりません。我が自民党は、連立与党の公明党とともに、昨年4月に施行された障害者自立支援法のさらなる見直しを進めてまいりました。この結果、平成20年度までの特別対策として、利用者負担のさらなる軽減、事業者に対する激変緩和、新法移行のための緊急的経過措置を三つの柱として、1,200億円の予算規模でもう一段の改善策を講じることとしたところであります。自民党は、国の特別対策を含めて、県として障害者福祉の充実にどのように取り組むのかについて麻生知事に質しました。知事は「新たに基金を設置して、利用者負担のさらなる軽減や事業者の激変緩和措置などに取り組む。これに加え、県独自の施策として、小規模作業所の運営の安定化と新体系への移行促進のため、運営費の助成措置を継続実施する。」との答弁を行いました。また、自閉症等の特有な発達障害を持っている障害児者に対する施策について知事の考えを質したのに対し、麻生知事は「平成15年に筑豊地域に支援センターを設置し、年間約3,000件の相談支援を実施している。このたび、筑後地域に新たに支援センターを開設し、全県的に増大するニーズに対応することとした。」との答弁を行いました。
 
   
  福岡県発達障害者支援センター(田川市)  


 農業問題について、我が自民党は、まず、自由貿易協定(いわゆるFTAやEPA)に関する問題を取り上げました。わが国は、東南アジア諸国との交渉・検討に続き、今年からは、多くの農産物を輸入しているオーストラリアとの交渉も開始するとのことであり、このままでは”瑞穂の国、日本”の農業に壊滅的な打撃を与えてしまうのではないかと危惧しております。諸外国との自由貿易協定における農産物についてどのような考えを持っているのか、また、農業を産業としてどのように位置づけているのか、知事の考えを質しました。麻生知事は、「農業及び農村を貴重な財産として育み、次世代に引き継ぐとともに、国民に不安を与えないよう、米や麦など我が国にとって重要な品目は、協定においても関税など必要な措置が採られなければならない。農業は、自然の影響を大きく受ける産業であると同時に、国土保全や水資源涵養、豊かな景観創造等の輸入できない農村環境を醸成するなど、他の産業とは異なる性格を持っている。本県は、高収益で後継者が将来に展望の持てる、力強い福岡の農業の実現に全力を挙げていく。」と答弁いたしました。
 
     
  販売促進(香港)   お茶の紹介(ドイツ)  

 本県では、ブランド化戦略を推進しており、イチゴの”あまおう”などは短期間のうちに京阪神市場はもとよりアジア地域においても知名度が上がっており、このような取り組みは高く評価するものであります。しかし、5百5万県民を抱える一大消費地である本県内においては、自給率が100%近い米でさえ県産品の割合は60%程度であります。自民党は、本県が他県の”草刈り場”にならないためにも、県内における販売戦略を重点的に実施するよう麻生知事に強く求めました。これに対し知事は、「5百5万県民の皆様に県産農産物を進んで買っていただくことが、本県農業の振興と農村の活性化につながる。このため、都市と農村の交流促進や農林水産祭りなどの各種イベント、直売所に対する支援など、幅広く、積極的に取り組んでいく。」との考えを示しました。

 昨年末、約190時間に及ぶ国会審議を経て、教育基本法が改正されました。戦後教育で不十分であった教育理念の確立、教育行政における国と地方の役割の明確化、一部教職員団体等による教育の「不当な支配」の排除を明示し、新しい時代を志向する、新しい教育基本法が出来た歴史的節目に我々は立っています。今こそ、新しい理念の下、これまでの教育を立て直し、我が県の教育改革を積極果敢に推し進めるべきであります。自民党は、改正教育基本法に対する教育長の認識と、今後の教育改革にかける決意を質しました。森山教育長は、「このたび、国民的合意の下に教育基本法が改正されたことは、正に画期的であり、教育行政推進上、大きな意義を有する。県教育委員会は、新しい教育基本法の理念を体現すべく、各施策にその精神を活かすとともに、本県の教育改革を力強く推進していく。」との答弁を行いました。
 我が自民党は、先の12月議会において、筑前町三輪中学校における男子生徒の自殺事件に関連して、”いじめ問題”に対する県教委の取り組みを質しました。この事件については、2月18日、福岡県警が同級生ら3名を暴力行為法違反の疑いで書類送検、2名を県久留米児童相談所に通告するとの報道があったところであります。自民党は、森山教育長に対し、県の教育行政の責任者として、どのような対策を持っていじめ問題に対応していく方針であるのか、再度質しました。教育長は、「いじめ問題に対する新たな総合対策を策定した。具体的には、早期発見に力点を置き、いじめを見逃さないための学校内外の相談ポストの設置、家庭用チェックリストの活用、校内対策委員会の整備等に取り組む。また、いじめを生まない環境を作るため、児童生徒自らの問題解決能力や思いやり、正義感を育む体験的な教育活動を充実させ、いじめ問題の解決に全力で取り組む。」との考えを明らかにいたしました。

 2月13日の代表質問最終日には、150億3,200万円余の一般会計補正予算案や障害者自立支援対策臨時特例基金条例案など、27件の議案が追加提案されました。補正予算においては、平成18年度の県税収入が当初予算を154億円余り上回る見込みであることなどから、当初予算段階で386億円にまで減少すると見込んでいた財政調整基金等3基金の残高を、502億円に復元することといたしております。

 2月14日、15日の一般質問に続き、16日には各常任委員会において付託議案の審査が行われ、21日には最終日を迎えました。同日の本会議においては、各常任委員長の報告を受けた後、採決を行い、平成19年度一般会計暫定予算案など100議案について賛成多数で可決いたしました。また、監査委員及び公安委員会委員の人事案件及び知事の専決処分事項の指定についてなど議員提出の3議案を追加上程のうえ、賛成多数で可決いたしました。今期最終の定例県議会のすべての議事を終えた後、私は議長として、議員各位が県民の厚い信頼を得て、再び議場で相まみえることが出来ますよう、また、麻生知事には4期目への挑戦にご健闘されますよう祈念し、ご挨拶申し上げた次第であります。
 
 私は、一昨年の2月14日に第57代福岡県議会議長に選出いただいて以来、2年間の長きにわたって議長を勤めさせていただきました。議長という大任を無事に勤めることができましたのは、自由民主党をはじめとする県議会議員の皆様方の御指導・御協力、麻生知事をはじめ執行部の議会審議に対する御協力、そして、なにより、地元で私、藤田陽三を支えていただいております筑紫野市民の皆様方のお力の賜物であると、深く心に刻んでおります。
 私は、これからも、福岡県政の発展とふるさと筑紫野市の発展を目指し、地域の皆様とともに、”真剣に”取り組んで参る決意であります。どうか、今後とも藤田陽三に温かいご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 

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