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  平成18年12月定例県議会を振り返って

 


 平成18年最後の定例会となる12月議会は、12月1日から21日までの21日間の会期をもって招集されました。

 開会日には、麻生知事より、合併市町村への特例交付金や台風第13号等に伴う災害復旧費、来春の知事及び県議会議員選挙に要する経費などを盛り込んだ総額18億3千9百万円余の平成18年度一般会計補正予算をはじめ、荒廃森林の再生等の費用に充てるため県民税均等割に特例を設ける、「福岡県森林環境税条例」など、合計34件の議案が提案されました。
 また、9月議会において決算特別委員会に付託しておりました決算議案21件について、決算特別委員長より審査結果報告を受けた後、採決を行い、21件すべてを認定いたしました。
 
  北九州空港  
  北九州空港  


 本格的な論戦は12月7日の、我が自民党県議団の代表質問から始まりました。 
 福島県、和歌山県に続き12月8日には安藤宮崎県知事が逮捕され、わずか2ヶ月半でなんと3人もの知事が検挙されるという異常事態、さらには、自民党、公明党、民主党が4選以上の知事は推薦しないとの方針を打ち出す中、県政をめぐる関心は、来春に3期目の任期満了を迎える麻生知事の去就に集まっており、各会派の代表質問はこの問題に集中いたしました。

 麻生知事に対しては、全国知事会長として、九州各県のリーダーとして、その手腕と力量に各方面から大きな期待が寄せられております。また、北部九州自動車百万台生産拠点構想の実現やIT戦略の展開は他県の追随を許さず、バイオや高収益型園芸産地育成事業など、農政分野においても本県独自の政策が展開されてきました。
 我が自民党県議団は、このような3期12年間にわたる麻生県政を政策面から検証した結果、「高い評価」を与えられるものであるとの判断を示し、麻生知事に対し4選出馬の抱負を明らかにするよう求めました。
 これに対し麻生知事は、「知事就任以来、公正と奉仕を基本姿勢として県政運営に全力を挙げてきた。自民党県議団から県政運営を高く評価いただいたことは、誠に有難く、嬉しい。来春の知事選への対応については、真摯かつ誠意を持って十分に検討し、できる限り早い時期に決意を明らかにしたい。」と答えました。
 
 平成14年度以来、県が取り組んでいる財政構造改革は本年度が最終年度となります。様々な努力を積み重ね、当初の計画額を大きく上回る歳出削減を実施したにもかかわらず、国の交付税改革によって地方交付税が大幅に削減されたことから、目標の達成が困難になっております。
 自民党県議団は、平成19年度からの新たな財政改革プランでは、どのような目標を設定しようとしているのか、また、県や市町村の安定的財政運営のためには、地方交付税の確保が不可欠であるが、来年度から取り入れられる、いわゆる新型交付税の影響はどの程度となるのかについて知事に質しました。
 麻生知事は、「新たな財政計画の目標策定に当たっては、今回の経験に鑑み、地方交付税改革の動向も十分に勘案し、中長期的に持続可能な財政構造を構築するという観点から考えたい。新型交付税は、現在、国において制度設計中であるため、県や市町村への影響額を正確に示すことはできないが、今後の財政運営に影響が生じないよう、変動額は最小限にとどめることで設計されている。」との答弁を行いました。

 昨今の景気の拡大を受け、法人関係税を中心として大幅な税収増が生じております。自民党県議団が、本年度の税収見込みを明らかにするよう求めたのに対し、麻生知事は、「鉄鋼業、自動車関連などの製造業、銀行業などが好調であり、法人事業税を中心に当初予算を約150億円程度上回る見込みである。」ことを明らかにいたしました。

 次に、自民党県議団は本県の交通体系整備を取り上げました。本県の交通体系は、陸・海・空ともに、この10年間で大きな変化や新たな事態が出現し、解決すべき課題も山積しております。このうち、道路網についての課題としては、福岡都市高速1号線と5号線の早期連結や、福岡東環状道路の早期完成、サービスエリアやパーキングエリアを活用したETC専用のインターチェンジ、いわゆる「スマートインターチェンジ」の設置などが挙げられます。
 特に、「スマートインターチェンジ」については、九州自動車道では須恵に設置されており、少ない投資で大きな効果を挙げております。しかし、これは九州で唯一の「スマートインターチェンジ」であります。筑紫野・鳥栖間の基山パーキングエリアは「スマートインターチェンジ」に非常に適した場所であることから、自民党県議団は、基山パーキングエリアへの設置を実現させるため取り組むよう、強く求めました。
 
  須恵インターチェンジ出入口  
  須恵インターチェンジ出入口  


 これに対し麻生知事は、「本年7月の制度化を受け、筑紫野・鳥栖間を含め、設置の可能性を検討する。」との積極的な答弁を行いました。

 先般、本年度の米の作況が公表され、本県は「76」という戦後3番目の不作となりました。今年の産出額は、米だけで100億円以上減少した計算になります。米価が年々下がり、稲作農家の方々の経営は大変苦しいものがあると思いますが、そのような中で収量も大幅に減少することは、まさに「追い打ち」をかけられるようなものです。
 減収の大きな農家に対する救済策はどうなっているのか、積極的に支援の方策を講ずべきではないのか、自民党県議団は麻生知事に質しました。
 麻生知事は、「農業共済制度において、損害評価に品質低下分を加味する特例措置を国に対して要望してきており、先般、その適用が承認された。現在、農業共済組合に対し、農家への共済金を年内に支払うよう指導している。」と答弁いたしました。

 また、今年の減収の大きな要因は、9月の台風第13号で稲の倒伏が広範囲に発生したことや、強風で吹き上げられた海水が水田に降り注ぐ、いわゆる「塩害」が有明海沿岸地域から内陸部にまで広範囲に発生したことが挙げられております。
 
  柳川大豆塩害  
  大豆塩害(柳川)  


 自民党県議団が、塩害対策も含めた米の作柄安定対策について質したのに対し知事は、「塩害に強い品種の研究開発は、大学で研究されているが、都道府県段階で取り組んでいる例はない。我が県としては、水管理などの技術的対応を徹底するとともに、”ヒノヒカリ”と”つくしろまん”を組み合わせるなど、品種構成に幅を持たせることによって、自然災害に対する被害の分散・回避に努めていく。」との考えを示しました。

 先日、フィリピンからの帰国者に狂犬病の発症が確認されました。我が国での狂犬病の発見は36年ぶりのことであり、県民に深刻な不安を与えております。海外からの感染動物の侵入を防ぐとともに、国内飼育動物の発生予防対策が重要ですが、現状は、飼い犬に対する予防注射の接種は4割以下に留まっています。
 県として、どのような対策を考えているのか、自民党県議団は麻生知事に質しました。知事は、「狂犬病予防の最も重要な対策は、犬の登録と予防注射である。しかし、いずれも低調な状況にあることから、今後、市町村や獣医師会と連携して一層の啓発に努める。」と答えました。

 この数ヶ月間、教育界は、「いじめ・自殺」と「未履修」という二つの重大な問題の発生で、大きく揺れております。
 全国で、いじめとこれを原因としたと見られる子供の自殺が後を絶たない状況です。本県でも、先々月には、筑前町において、いじめが原因であるとの遺書を残して、三輪中学校の2年生が自殺するという事件が発生いたしました。若く、未来のある命が失われたことは痛恨の極みであります。二度とこのような事件が起きぬよう、県民を挙げて取り組まねばならないと思います。この「いじめ・自殺問題」については、代表質問、一般質問を通じ、多くの会派・議員からの質問が集中しました。
 我が自民党県議団は、子供たちに「命の大切さ」についての実感がなく、「死ね」「消えろ」などの言葉が横行している原因を的確に捉えることが必要であること、学校教育はもちろん、家庭や地域社会のあり方、命や心の教育のあり方、教育委員会のあり方などの幅広い観点からの議論・取り組みが必要であることを指摘し、教育委員会の取り組みを質しました。
 これに対し森山教育長は、「事件発生後、徹底した原因究明を筑前町に指導するとともに、全市町村に対しいじめ問題の取り組みの総点検・徹底を指導した。また、県庁内に”いじめ防止対策本部”を設置し、命の大切さを訴える緊急アピールを行った。同本部においては、いじめを生まない学校づくりなどの具体策を検討しており、今後は、学識経験者や保護者代表などで構成する”県いじめ問題対策検討会議”を年内に立ち上げ、総合的な対策を講じ、二度と痛ましい事件が起きないよう全力で取り組む。」との決意を明らかにしました。

 「いじめ・自殺」問題とともに、全国に燎原の火の如き広がりを見せたのは、高等学校における「未履修」問題であります。 このような教育現場にあるまじき事例は、文部科学省の発表によれば、熊本県を除く46都道府県の膨大な数の公私立高校で発覚しており、我が県においても、県立高校6校、私立高校17校の未履修が明らかにされております。生徒の進路を実現させてやりたいという学校の気持ちは分からないでもありませんが、目的のためなら何をやっても良いと言う考えは「正しい親心」とは言えません。今後、受験を控えた生徒たちは、幾分は緩和措置が認められているものの、改めて学習指導要領に定められた必修科目の授業を受けるという大きな負担を負わなければならないのです。
 自民党県議団は、今回の問題が起こった原因や背景そして総括について、知事及び教育長の所見を求めました。麻生知事は、「大学入試と高校での必修科目にズレがあることや、ゆとり教育による授業時間数の減少も要因ではないか。高校は単位制を採っており、これまでも必修科目を減らしてきた。共通に必ず学ぶべきものについて、学習指導要領も検討すべきだ。」との考えを述べました。
 森山教育長は、「今回の問題により、生徒へ負担をかけることとなったこと、学校自らがルール違反を犯し教育的悪影響を与えたこと、さらには、県立高校教育に対する県民の信頼を損なうこととなり大変遺憾である。各学校に対し、校内チェック機能の徹底を指導するとともに、教育委員会も書類審査だけではなく、現場での確認を行うなどの取り組みを強化する。」との答弁を行いました。

 福岡空港は、我が国の地域拠点空港であり、九州・西日本地域の国内外との交通の基盤として地域発展の重要な役割を果たしております。この福岡空港は、近い将来に容量限界を迎えると予測されており、国・福岡県・福岡市は連携して将来の対応策を検討しているところであります。
 12月12日から行われた一般質問では、自民党県議団の月形祐二議員が、4つの段階に分けて進められている総合的調査の中で、一つの対応策として挙げられている「現空港の抜本的拡充」とは何を意味するものであるのか、麻生知事に質しました。
 知事は、「福岡空港の容量限界をどう打開するのかについて検討を進めており、”現空港の抜本的拡充”とは、アクセス利便性が極めて高い現空港に2本目の滑走路を新設することや、ターミナルビルの再配置、利用時間の延長を検討している。」との検討内容を明らかにいたしました。
 
  福岡空港  
  福岡空港  


 12月15日からは、各常任委員会において付託議案の審査が行われ、21日には最終日を迎えました。同日の本会議においては、各常任委員長の報告を受けた後、採決を行い、追加提案された公害審査会委員の人事案件を含む全議案を賛成多数で可決いたしました。
 この後、麻生知事の発言の申し出を許可し、知事は、「熟慮を重ねた結果、私は県民の皆様、県議会議員の皆様とともに、これまでの成果をさらに発展させ、福岡県の一層の飛躍に挑戦すべく、来春の知事選に立候補することを決意した。公正と奉仕を基本姿勢とし、常に県民の視点に立って、五百万人県民一人ひとりが将来に希望をもって暮らせる、元気でやさしい福岡県づくりに邁進する覚悟である。」と、来春の統一地方選挙に立候補することを表明いたしました。
 
 今議会の開会日には、全国都道府県議会議長会より地方自治功労者表彰が行われ、私も在職15年の表彰をいただくことができました。これもひとえに、私を支えていただいている皆様のおかげであり、深く感謝申し上げます。
 昨年2月以来、私は、県議会議長の任にあり、安全・安心な、そして、豊かで活力に満ちた県民の皆様の暮らしを実現できるよう、福岡県政の推進に全身全霊を尽くして参りました。その決意は、これからも微塵も揺らぐものではありません。
 私、藤田陽三は、県議会における筑紫野市民の皆様の代表として、福岡県のため、ふるさと筑紫野市のため、これからも努力・邁進して参りますことを改めてお誓い申し上げます。どうか、今後とも藤田陽三に温かいご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 

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