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  平成18年9月定例県議会を振り返って

 

 平成18年9月定例県議会は、9月20日から10月11日までの22日間の会期をもって招集されました。
 9月6日には、秋篠宮妃紀子殿下が悠仁親王殿下をご出産されました。皇室においては、41年ぶりの親王ご誕生であり、県民の皆様とともに心からお喜び申し上げます。私は、福岡県議会議長として、宮内庁長官の取次ぎにより、祝電を差し上げた次第であります。また、麻生知事も、議会冒頭にお祝いの発言をいたしました。

 9月17日には、非常に強い台風13号が本県を襲い、9月25日時点の調査によれば、県内の被害は、死者1名、負傷者67名、住宅の全半壊10棟、土木被害約2億円、水稲倒伏や果実落下等の農業被害約80億円など、甚大なものとなっております。死去されました方のご冥福をお祈りし、被害者各位に心からお見舞い申し上げます。県議会といたしましても、早期復旧に全力で取り組んでまいります。

   
 

二級河川 福吉川 (二丈町)
護岸損壊(右岸)及び路面舗装損壊

ねぎ施設損壊、倒伏(朝倉市)

浮羽高校食堂棟(屋根シート破損)

 


今議会には、RDF(ごみ固形燃料)発電事業を行っている大牟田リサイクル発電株式会社に対する出資金や福岡勤労青少年文化センター(ももちパレス)の改修費、沖端漁港の災害復旧事業費などを盛り込んだ、総額8億700万円余の平成18年度一般会計補正予算が提案されました。また、幼稚園と保育園の機能を併せ持つ総合的施設としての「認定こども園」の認定基準に関する条例や、中高一貫教育を行う2校の県立高校の名称等を定めるための条例など、合計39件の議案が提案されました。

   
  RDF  


 本格的な論戦は9月26日の、我が自民党県議団の代表質問から始まりました。 
 今議会において、各会派から指摘や質問が集中したのは、飲酒がもたらす公務員の不祥事の問題でありました。福岡市職員が飲酒運転をした上に引き起こした、痛ましい幼児3人の死亡事故に続き、職員旅行中の本県職員が、泥酔状態で他人の女性の部屋に入り込み、逮捕されるという事態が発生しました。一体、公務員としての綱紀はどうなっているのでしょうか。全国の自治体では、飲酒運転に対して、懲戒免職という厳罰主義で臨むところが多くなってきております。自民党県議団は、飲酒による不祥事防止に向けて、麻生知事の方針を明確にするよう求めました。これに対し知事は、「本県職員が起こした事件については、県民の信頼を損なうこととなり、誠に申し訳ない。事実関係を調査の上、厳正に処分する。不祥事防止には、職員一人一人の自覚が重要であり、職場全体の意識を高め、全庁を挙げて研修の強化に取り組む。飲酒運転については、これまで停職処分としてきたが、今後、酒酔い運転の場合は原則として免職とする。飲酒運転防止の実効的方法として、飲酒運転防止装置やアルコール検知器などの導入を検討する。」との考えを明らかにいたしました。

 税制の改正によりまして、これまで65歳以上の高齢者に認められていた老年者控除が廃止されました。また、平成11年以来臨時的に実施されてきた所得減税が半分に縮小されました。これらの改正により、平均的な年金収入である200万円程度の方は従来と変わりませんが、これを超える年金を受けている方は、収入に応じて負担が増加することになり、全国の市町村役場には苦情や問い合わせが集中いたしました。自民党県議団は、このような事態になった原因と、今回の税制改正が及ぼす影響及びその対応について質しました。麻生知事は、もっときめ細やかな広報が必要であったことを認めるとともに、「国民健康保険や介護保険料、老人保健の自己負担額についても負担が増えることとなるので、激変緩和のための2年間の経過措置が講じられている。また、県営住宅の家賃の上昇により生活上の支障が出ている方に対しては、減額措置を検討する。」との考えを明らかにしました。三位一体改革により、来年度からは所得税(国税)から個人住民税(地方税)へ3兆円の税源移譲が実施されます。これに伴い、個人住民税を納めている方の9割近くは、所得税より住民税の方が大きくなります。「住民税は増税となるが、その分所得税が減税されるので、県民それぞれの負担額は変わらない。」ということを県民の皆様にご理解いただけるよう、広報に全力を挙げることが求められます。

 次に、自民党県議団は農政問題を取り上げ、いよいよ9月から加入受付が始まった品目横断的経営安定対策について質疑を行いました。2万ヘクタールに近い作付面積を有し、全国的にもトップクラスの生産を誇る近い本県の麦は、個別農家が規模を拡大しながら生産してきたものであります。しかし、加入の状況を見てみますと、7割が営農組織となっております。自民党県議団は、高齢化が進み、中心となる若い農業者がいない営農組織では、組織自体が潰れてしまうのではないかとの指摘を行い、営農組織を永続性のある担い手として育成していくための方策を質しました。これに対し麻生知事は、「土地利用型農業の担い手としては大規模個別経営の育成を基本としている。組織内の農作業を請け負うオペレータがいない営農組織は法人化も難しいので、構成員の年齢構成や所有農地の規模などを調査し、指導していく。」と答えました。

 現在、県においては、森林環境税の創設の検討が進められております。水源涵養や土砂災害防止、さらには地球温暖化防止などの極めて高い公益的機能を有する森林が、木材価格の下落や林業労働力の減少などのために荒廃が進み、我が県内では、スギ・ヒノキなどの人工林が約13万ヘクタールありますが、その4分の1に当たる約2万9千ヘクタールは全く手入れがされず、荒廃した状況となっております。この問題については、今議会も各会派から質問が行われました。特に、自民党県議団は、森林を「県民共有の財産」と位置づけ、その維持のために県民に広く負担を求めることについて、麻生知事の決意と今後の取り組みを質しました。知事は、「森林の荒廃をこのまま放置すれば、安全・安心な県民生活に重大な悪影響を及ぼすことが懸念される。林業によって荒廃した森林の手当てを行うことは、もはや困難。荒廃した森林を再生し、荒廃を防止する施策を長期的・安定的に実施するために森林環境税の導入を鋭意検討している。現在、パブリックコメント等を通じて県民の意見を伺っているが、できるだけ早く検討委員会の最終報告を取りまとめていただき、森林環境税の導入について適切かつ速やかに判断したい。」との考えを示しました。

 
   


 昭和39年に福岡県文化会館として開館した福岡県立美術館は、美術作品の大型化や多様化に対応できない状況となっており、多くの県民の皆様が望んでいる大規模で魅力的な展覧会が開催できず、来館者も減少するという悪循環に陥っております。県は、平成17年3月に福岡県文化振興プランを策定し、豊かな県民生活と活力ある地域社会の構築のためには、「多様な文化芸術の保護・発展」と「県民の主体的で多彩な文化活動の展開」が必要であると述べております。我が自民党県議団は、現美術館の老朽化を踏まえ、県立美術館の将来構想をどう考えているのか、麻生知事に質しました。知事からは、「現在、教育委員会内部で県立美術館のあり方を検討しているが、今後は、新たに外部有識者を交え、県立美術館の必要性や理念・機能について、より幅広く早い時期に検討する必要があると考えている。」との積極的な答弁を得ました。これからの検討状況を、しっかり見守っていきたいと思います。

 筑紫野、大宰府、小郡3市、20万人の水瓶である山神ダムの上流に位置する産興の産業廃棄物処分場で、硫化水素により3名が死亡するというショッキングな大事故が発生したのは、平成11年10月6日のことでありました。県は、昨年6月24日に産興の処理施設並びに処理業の全ての許可を取り消しました。しかし、第1期処分場周辺に大量に埋め立てられた廃棄物は、今日に至っても全く撤去されていません。さらに、本年4月には、第2期処分場拡張部下流においては、水質の悪化が見られるとともに、ガス調査でも、本年6月には致死量の700ppmを大きく上回る1000ppmの硫化水素が、昨年と同様に検出されております。

   
  産興の産業廃棄物処分場  

 9月29日から行われた一般質問において、私の同僚議員である井上忠敏議員(自民党県議団、小郡市)が、このような事態に対する明確な対応方針を明らかにするよう、麻生知事に強く求めました。知事は、「現在、産興は県に対し、許可取り消しの取り消しを求める訴訟を起こしている。第1期処分場周辺の埋立廃棄物の撤去については、引き続き産興に撤去命令を履行するよう迫るとともに、水質のモニタリング調査を継続し、その結果を踏まえて対処する。処分場内に保管している廃棄物のうち、廃油や廃塗料等は漏洩の恐れもあり、撤去を命じるなど厳正に対処する。また、第2期処分場拡張部の水質悪化に対しては、7月以降は週1回の水質調査を実施するとともに、その管理状況について休日も立ち入って監視を強化している。今後、専門家の意見も伺い、現地に即応した改善方策を実施させていく。」との考えを明らかにしました。
 山神ダムは、私たち筑紫野市民の生命線であり、絶対に守らなければなりません。私は、地元の皆様の不安や懸念を一日でも早く払拭すべく、この問題の解決に向けて全力を挙げて頑張ってまいります。

   
  村川側から見た焼却場  


 秋晴れに恵まれ、県内各地でもスポーツや文化の多彩な催しが行われていた10月9日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は国際社会の自制を促す声に背を向け、核実験を強行いたしました。まさに人類の平和と安全を脅かす暴挙であり、核兵器廃絶の観点からも断じて許すことはできません。10月11日、我が福岡県議会は、北朝鮮が核実験を強行したことに対して厳重に抗議するとともに、核実験を行わないよう強く求めることを決議いたしました。

 同日の本会議においては、各常任委員長の報告を受けた後、採決を行い、賛成多数で39議案全てを可決いたしました。また、平成17年度決算関係議案21件を追加上程し、決算特別委員会を設置するとともに、決算関係議案を付託いたしました。決算特別委員会は、10月31日より本格的な審議に入ります。

 県政という車は、県議会と執行部という両輪で支え、進めております。私、藤田陽三は県議会の議長として、県民の皆様に安全で安心な、そして豊かな生活をおくっていただけるよう、微力を尽くしております。そして、筑紫野市民の皆様から選出していただいた県議会議員として、地元筑紫野市のため、これからも努力・邁進してまいります。どうか、今後とも藤田陽三に温かいご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
 

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