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  平成18年6月定例県議会を振り返って

 

 平成18年6月定例県議会は、6月5日から6月22日までの18日間の会期をもって招集されました。
 開会日の本会議冒頭、私は議長として5月27日にインドネシア・ジャワ島中部で発生した地震によりお亡くなりになられた方々に対し哀悼の意を表するとともに、被災者の皆様にお見舞いを申し上げました。この震災に対しては、福岡県議会としてもお見舞金を贈ったところでありますが、昨年3月に我が県を襲った福岡県西方沖地震を思い起こしますと、とても他人事とは思えません。一日も早い復興をお祈りいたします。
 次に、今議会の開会前、三田村副議長より辞職願いが提出されておりましたので採決によって辞職を許可した後、選挙を行い、北原 守議員(公明党)を副議長に選出いたしました。

今議会には、三位一体改革として所得税から個人住民税への3兆円の税源移譲が行われることに伴う県税条例の改正や、県立福岡勤労青少年文化センター(愛称:ももちパレス)を廃止するとともに、ホール・本館部分については「県立ももち文化センター」として引き続き活用することとするための条例案など、28件の議案が提案されました。

   
  ももちパレス(福岡市早良区)  


 本格的な論戦は6月9日の、我が自民党県議団の代表質問から始まりました。 我が国の経済は、しっかりとした回復軌道に乗ったと伝えられ、マスコミは「いざなぎ景気を超えたか」との論調であります。しかし、「景気回復とは何処の話か」という声は多く、中小企業の皆様の実感はそのようなものではないでしょうか。中小企業は、我が県の産業・経済を支える「大地」のような存在であります。この中小企業に活力がなければ、本県経済の本格的回復は望めません。自民党県議団は、麻生知事の中小企業に対する認識と中小企業振興に向けた決意を質しました。知事は、「本県の中小企業は雇用の7割を作り出しており、大企業の活動も中小企業の努力や創意工夫の上に成り立っている。中小企業は本県経済の非常に重要な担い手である。中小企業の振興が県全体の経済、さらには社会的な発展に極めて重要であるとの認識の下に、中小企業の育成・支援に全力を挙げていく。」との答弁を行いました。 

 次に自民党県議団は、先般、九州地方知事会が循環型の高速交通体系整備を中心として、今後10年間に6兆円の道路網整備が必要であるとの緊急アピールを行ったことに対し、時宜を得た適切な対応であるとの評価を示しつつ、麻生知事の本県道路網整備についての抱負を問いました。知事は、「県民の安全・安心な生活、活力と発展力のある地域社会の構築のためには、道路のネットワーク整備を計画的・スピーディに進めることが不可欠。事業の重点化やコスト縮減などの工夫をしつつ、本県道路網の効率的な整備に努める。」との考えを示しました。

     
  中間宮田線遠賀橋   直方バイパス  


 現在、政府・与党では「経済財運営と構造改革に関する基本方針2006」、いわゆる「骨太の方針2006」のとりまとめに向け、大詰めの段階に入っております。しかし、その中では、国のプライマリーバランス(基礎的財政収支)を平成23年度に黒字化することを最優先にし、住民に対する行政サービスに直結した財源である地方交付税を一方的に削減しようとする議論が行われております。地方交付税の約7割は、国が地方に義務付けている仕事に使われております。国と地方の役割分担の見直しも行わないままに地方交付税を削減するのは、地方自治体の破壊であると言っても過言ではありません。自民党県議団は、全国知事会長としての麻生知事に率直な見解を求めました。知事は、「一方的に交付税が削減されれば、地方財政は非常に悪化し、医療、福祉、教育など住民生活にとって重要な行政が十分に行えなくなってしまう。全国知事会や都道府県議長会などの地方六団体は、先般の全国総決起大会に続き、各都道府県においても総決起大会を開催するなどして、地方の声を国政の場に届けていく。」との決意を明らかにしました。

   
  九段会館にて(東京都千代田区)  


 一方、地方自治体に対しては人件費などの「無駄」が多いのではないかという批判があるのも事実であります。総務省も、職員定数の思い切った削減や給与・退職金水準の適正化などの「集中改革プラン」を早急に策定するよう求めています。本県では、平成21年度までに職員定数を4.7%、2500人削減するとの集中改革プランが公表されましたが、その具体的な中身は示されておりません。自民党県議団はこの点について、時期行政改革大綱の策定準備が遅れたためにこのようなことになっているのではないか、また、財政収支の見通しによっては更なる削減を断行する考えはあるのかと、知事に質しました。麻生知事は、「平成19年度以降も行政改革に取り組んでいかなければならない。このため、新しい行政改革大綱の策定準備を進めており、近く行政改革審議会をスタートさせる。職員定数の削減については、知事部局では12%削減にあたる人数を削減しなければならないが、実行していく決意である。また、今後、収支改善措置を講ずる必要がさらに生じた場合は、職員定数も含めて検討する。」との答弁を行いました。  

 市町村合併については、代表質問において殆どの会派から質問が行われました。「平成の大合併」も、合併新法の下における第2ラウンドに入ってきておりますが、大幅な市町村再編を遂げた広島県、大分県、長崎県、さらには北陸の各県と比較しますと、我が県は残念ながら一周遅れとも言うべき状況です。県は去る4月25日に合併構想を発表しましたが、この構想は平成12年に策定された県の合併パターンを尊重したものとはなっておらず、合併の対象とすべき人口1万人未満の団体の中にも、「合併が望ましい地域」という中途半端な位置づけがされているものもあります。自民党県議団は、このような団体についてもはっきりと構想の対象として位置づけ、合併の推進に向けての県の姿勢を示すべきであるとの考えを示すとともに、知事自らが現場に乗り込み、汗をかいて、県民の目に見える具体的な動きをすべきであると指摘いたしました。これに対し麻生知事は、「市町村によって合併の熟度に差異があり、すべてを構想対象市町村に位置づけてしまうと、かえって地元の混乱や反発を招く恐れがある。今後、全庁を挙げて合併推進に取り組み、必要があれば、私自らも現地に赴く。」旨の答弁を行いました。

 介護保険制度発足以来、既に6年が経過し、本年4月からは第3期の介護保険制度がスタートいたしました。今回の大幅な制度見直しは、この介護保険制度を将来にわたって持続可能なものにするためのものであり、「自立支援」という観点から軽度者に対する新たな介護予防サービスが提供されることとなりました。自民党県議団は、この介護予防サービスの事業所の確保と具体的な支援内容、さらに、市町村等が設置する「地域包括支援センター」の設置状況等について質しました。これに対しては知事より、「運動機能の改善などの新しい介護予防サービスを提供する事業所については、4月以降4200余を指定した。1年後に約7万人と見込まれる対象者に対して十分なサービスが提供できると考えている。地域包括支援センターには保健師等の専門職種を配置し、現在 109箇所で一斉に運営が開始されている。」との答弁がありました。保険料は、第2期には県平均で800円近くアップいたしました。自民党県議団が第3期の保険料は中途で見直すようなことはないのかと質したのに対しては、「各保険者では、今回の制度改正を踏まえて3ヶ年の介護サービスの利用見込みを算定し、保険料を決定している。」と、中途の値上げは見込んでいないとの見通しが明らかにされました 。

   
     


 本議会には、今後5年間の福岡県農政の指針とも言うべき「福岡県農業・農村振興基本計画」が提案されております。わが国全体の傾向ではありますが、本県においても、過去5年間、耕地面積、農業戸数そして農業産出額は減少の一途をたどっております。農業・農村の生産基盤が衰退していく中で、麻生知事は本県農業の活性化、振興をどのように図っていこうとするのか、自民党県議団は知事の考えを質しました。知事は、「本県農業振興の基本的方向は二つあると考えている。米作などの土地利用型農業については、土地の利用集積拡大を図る。園芸農業については、県単独事業による施設整備や外部からの雇用も活用した企業的経営への転換を進める。いずれも、意欲のある農業者に施策を集中・重点化し、収益性の高い農業を目指す。」との方針を明らかにしました。
 

     
  あまおう   いちご高設  


 教育問題では、去る3月、国において「食育基本法」に基づく「食育推進基本計画」が策定されたことや、同時期に我が県においても「ふくおかの食と農推進基本指針」が策定されたことを受け、代表質問・一般質問を通じて「食育」の問題に議論が集中いたしました。「食」は我々の生活にとって極めて大切なものであります。食べ物の生産に関わる方々への敬意と「食」への感謝の念を子供の頃から育むことは、知育・徳育・体育の根幹を成す「食育」の最も基本的なところであります。自民党県議団は、学校給食における地産地消の推進を提言いたしました。森山教育長は、「学校給食の米、牛乳は全て県産品を導入し、重量ベースでは半数を超えているが、食材数では約18%と全国平均を下回っている。今後は、県産物食品の開発や研修会などを通じて利用目標数値を達成していきたい。」と答弁いたしました。
 

   
     


 県民生活の安全に関わる問題について、自民党県議団は暴力団対策とシンドラー・エレベーター問題を取り上げました。
 先月来、筑後地区を中心に指定暴力団の内部抗争と思われる拳銃発砲事件が多発しております。このような事件は、県内の暴力団同士の勢力拡張争いに火をつけ、抗争事件が県土全域に広がる恐れがあります。住民の安全対策を含め、暴力団取締りの強化と根絶に向けた県警本部長の決意を質しました。殿川県警本部長は、「極めて悪性の高い工藤会に対しては、700人体制の現地本部を設置し、最高幹部の逮捕や贈収賄事件の摘発などの成果を挙げている。久留米市を本拠地とする道仁会の内部分裂によると思われる8件の拳銃発砲、爆発物投てき事件に対しては、新たに400人体制を構築し捜査を進めている。児童等の安全確保のため、通学路の変更や制服警察官の駐留・パトロール等も実施している。暴力団との対決姿勢を一層堅持し、県警察最大の取締体制で臨む。」との決意を示しました。
 扉が開いたまま急上昇したエレベーターに挟まれて男子高校生が死亡した痛ましい事件以来、シンドラー社製のエレベーターによる事故は、国内だけでも300件近くに上っていることが明らかになりました。県内でも同社製のエレベーターは500基以上が設置されており、エレベーターに乗ると製造会社名を確認するほど、県民の不安は日を追って大きくなってきております。自民党県議団は、県自らが実地調査に乗り出すことも含め、あらゆる手段を講じて県民の不安を一掃するよう強く求めました。麻生知事は、「シンドラー社製エレベーターの所有者に対しては、緊急点検と過去の不具合の有無の調査を要請した。県有施設には23基入っており、これらについては点検に着手している。県民の不安解消のために、建築指導課とエレベーター協会に相談窓口を開設し情報提供していく。事故原因の解明に対応して、必要な対策を的確に行っていく。」との方針を明らかにしました。

 去る4月23日、福岡市と東京都は日本オリンピック協会(JOC)に対し、2016年オリンピックの国内候補都市の立候補意思表明書を提出しました。国内候補都市が決定される8月30日までわずか3ヶ月足らずであります。招致活動が正念場を迎えているこの時期にあたり、自民党県議団は、2016年オリンピック実現に向けて、県としてどのような支援を考えているのか、県民に明確な方針を示すよう知事に求めました。これに対しては、「現在、福岡市から体操競技などを行うメインアリーナの整備について支援要請があっており、このメインアリーナを県が整備する方向で福岡市と協議を進めていきたい。」との方針が、麻生知事より初めて明らかにされました。なお、福岡市の現計画では、メインアリーナ建設には約100億円が必要とされています。 

 6月19日には各常任委員会において付託議案の審査が行われ、特に、土木常任委員会においては、私ども筑紫野市民にとって積年の懸案である冷水有料道路問題が取り上げられました。冷水有料道路は、「一部区間終日無料」や「全線料金割引」という二つのケースの試行を行ってきました。自民党県議団の原口議員は、現行料金体系でも140億円以上の債務が残ることから、山家地区の現道対策に十分配慮しつつ、県民が理解できる形で税金を投入できるよう、更にケースを増やして試行を実施するよう求めました。廣瀬土木部長は、新たな試行の実施について関係者と調整する旨答弁いたしました。

 最終日(6月22日)の本会議においては、人事委員会委員に常盤洋一氏を、監査委員に後藤元秀議員(自民党県議団)を選任する人事案件など3議案が追加提案されました。各常任委員長より審議結果の報告を受けた後、採決を行い、31議案全てを原案通り可決して全日程を終えました。
今回の議会においても議論が集中いたしました「地方分権改革」の推進に向けては、6月26日(月)に福岡市のシーホークホテルにおいて、「福岡県民 地方自治危機突破 総決起大会」が開催されます。私は、福岡県議会議長として、議会の先頭に立ち、住民の生活を守り、地方自治を守るために全力を挙げて取り組んでまいる決意であります。 
 県民の安全・安心に関わる問題や福祉、教育など、県政の重要課題はまだまだ山積いたしております。私、藤田陽三は、筑紫野市民の皆様から選出していただいた県議会議員として、ふるさと筑紫野市のため、福岡県のために、これからも努力・邁進してまいります。どうか、今後とも藤田陽三に温かいご支援、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
 

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