|
12月定例会は、12月1日に招集され、12月21日まで21日間の会期で審議が行われた。
〈提出議案と審議内容〉
今定例会には、当初、「平成16年度一般会計補正予算」などの予算議案2件、「福岡県税条例及び福岡県県税事務所設置条例の一部を改正する条例の制定について」などの条例議案15件、専決処分したものについて報告し承認を求める議案7件、工事請負契約の締結に関する議案8件、経費負担に関する議案5件、その他の議案2件、合計39件の議案が提出された。
さらに、予算議案1件、その他の議案1件、「市町村の合併に伴う福岡県議会議員の選挙区の特例に関する条例案」などの議員提出議案5件が追加提出された。
今回の補正予算は、市町村合併を支援するための経費を追加したほか、国の交付決定を得た国庫補助事業など、一般会計で22億4,800万円余、特別会計で63億8,400万円余が追加計上された。
また、議員提出議案の一つである「福岡県行政に係る基本的な計画を議会の議決事件として定める条例案」は、県行政に係る基本的な計画について議会が積極的な役割を果たし、県民の視点に立った総合的かつ計画的な県行政の推進を目的としている。
審議に当たっては、行財政問題、保健福祉問題、環境問題、農政問題、教育問題、警察問題など県政全般にわたり活発な論議が交わされた。
〈主な代表質問と答弁〉
主な代表質問と答弁の要旨は次のとおり。
Q. 政府・与党による三位一体改革の全体像に対する評価は?
A. 税源移譲については、概ね3兆円規模の本格的な移譲の実現に向けた方向が示され、一歩前進であると受け止めている。
国庫負担金の改革については、義務教育費国庫負担金の削減内容などについての結論は先送りされている。今後、地方分権の趣旨に沿った改革になるか見極めていき、この方向で実現するように努力する必要があると考えている。
地方交付税については、地方団体の安定的な財政運営のため、一方的な削減は回避されることになったが、具体的な内容は今後検討、決定されるということになっている。
全体として不明確な部分が数多い。現時点では的確に評価することは困難だが、未確定な部分が真に地方分権に資するような改革となるように、今後とも地方六団体と連携を図りつつ、一層努力していく。(知事)
Q. 災害時の避難所の確保状況及び医療体制は?
A. これについては、市町村がそれぞれの地域防災計画の中で、どこが避難所であるかということを定めている。
本県の地域防災計画では、地震による避難者が最も多くなるのは福岡地域であり、人数は3千2百人弱と想定している。これに対する避難所の収容能力は、福岡市だけで4万8千人分であり、全体としては避難所の不足は起こらないと考えている。
災害時の医療体制については、現在、耐震構造や自家発電装置などを備えた災害拠点病院を県内で15か所指定している。
災害時には医療機関の状況を迅速に把握し、関係者で共有することが特に重要である。このため、国や県が実施している防災訓練に併せて、災害拠点病院の情報伝達訓練を実施している。また、救急医療情報センターにおいては、インターネットを利用した、災害時の医療情報の提供、収集を行うこととしている。(知事)
Q. NPO、ボランティアとの協働の基本指針への取り組み状況は?
A. 県民の満足度を上げていくためには、非常にきめ細かい行政をしていく、あるいは新しいサービスを提供していくという体制が必要であり、その意味で、ボランティア団体、NPOと我々行政、企業との協働というのは非常に大切である。
したがって、平成14年度に基本指針を作成し、平成15年度からアクションプログラムとして、協働推進のための啓発活動を具体的に進めている。
福岡県のNPO・ボランティア支援センターにおいても、このような観点から、NPO等の活動・運営を強化する支援を行っている。
今後とも、この基本指針の趣旨に基づいて、効果的に協働が進むよう積極的に取り組んでいきたい。(知事)
Q. 北部九州自動車産業の役割と県が目指すべき方向性は?
A.
日産九州が生産を着実に拡大している。さらに、中津では、ダイハツが操業を開始し、加えてトヨタ九州が生産能力を一挙に倍増し、また中核部品であるエンジン工場が福岡の方へ進出してくることが確定した。これによって、北部九州自動車100万台という目標の実現は確実になってきたという状況である。
この100万台構想の目標の第一は、北部九州における生産台数を伸ばしていくと同時に本県の高い技術力、人材力をフルに活用して、自動車関連企業の一層の集積を図ることにより、雇用の拡大、そしてまた、福岡県の経済基盤を一層強化していくことである。
第二は、中国を中心にアジアの国々での自動車生産が拡大している中、アジア貿易に地理的優位性をもっている福岡県の自動車関連企業の力をフルに活かして、アジア諸国との分業・協力・貿易体制をつくっていくことである。(知事)
Q. 鳥インフルエンザ対策は?
A.
鶏等を飼育している方に、異常な鶏の早期発見、速やかな通報を強く要請している。また、野鳥の侵入防止、鶏舎内外の清掃、消毒の実施といった発生予防についても周知徹底を図っている。
また、この病気の発生を迅速に発見するために県内5か所で定期的にウイルス検査を行うモニタリング調査を実施した。県内での発生を想定し、家畜保健所で机上の防疫演習を行うといった対策も取っている。(知事)
Q. 県警察の調査結果及び再発防止に係る具体的な改革内容は?
A. 多額の不適正な支出が長期にわたり組織的に行われていたことは、極めて遺憾である。
県警においては、今後、再発防止に向け万全の措置を取り、県民のみなさんの信頼回復に全力を挙げなければいけない。内部の監査機能を強化するための体制整備や、経理の透明化、意識改革等の具体策の実現に取り組む必要がある。(知事)
〈審議の結果〉
提出された議案46件については、いずれも原案のとおり可決、又は承認された。
また、9月定例会において決算特別委員会に付託され、閉会中に審査された平成15年度の決算議案21件については、いずれも原案のとおり認定された。
〈可決された意見書〉
○ 高齢者虐待防止法の制定を求める意見書
○ 独立行政法人都市再生機構法に対する国会附帯決議の実現を要請する意見書
○ 北方領土の早期返還実現に関する意見書
○ 「人権侵害の救済に関する法律」の早期制定を求める意見書
○ 教育基本法の改正を求める意見書
〈採択された請願〉
○ 「教育基本法の早期改正を求める意見書」提出の請願
○ 「教育基本法の早期改正を求める意見書」提出に関する請願
○ 独立行政法人都市再生機構法に対する「国会附帯決議の全面実現を求める意見書」提出に関する請願
○ あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律並びに関係法令の遵守(特に無免許マッサージ師の取り締まり)に関する請願
〈特記事項〉
○ 本会議関係
・
請願番号1号「教育基本法の早期改正を求める意見書提出の請願」及び2号「教育基本法の早期改正を求める意見書提出に関する請願」について、共産党の高瀬議員が反対討論を行った。
・ 共産党の八記議員から12月13日の一般質問における発言の一部取り消しの申し出があったので、最終本会議(12/21)で処理された。
・ 議員提出議案5件が最終本会議(12/21)で議決された。
「市町村の合併に伴う福岡県議会議員の選挙区の特例に関する条例」
「福岡県議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例」
「福岡県行政に係る基本的な計画を議会の議決事件として定める条例」
「福岡県議会会議規則の一部を改正する規則」
「福岡県議会委員会条例の一部を改正する条例」
○ 議会運営委員会関係
・
公明党の代表質問に「公安委員長」の出席要求がなされ、議運で協議された結果、翌日のことであり十分に検討する時間がないことから、今回は、従来の取り扱い(昭和56年に設置された議会制度調査特別委員会の調査結果を受け、議運においても公安委員長に代わり警察本部長が出席することを了承。)を尊重し、この件は引き続き検討していくことで了承された。
○ 常任委員会関係
・警察委員会の議案審査等(採決含む。)は1日目で終了したが、所管事務調査〔捜査報償費問題等にかかる総括報告について〕は、2日目に行われた。(他の委員会は1日目に終了)
|