「コンクリートから人へ」という民主党の掲げたスローガンで、公共事業はまるで悪いことのようなイメージを持たれた方も多かったのではないでしょうか。「業界」「業者」と呼ばれる世界やそこに働く人たちに、余り良くない印象を植え付けられた方もいます。果たしてそんなダーティーイメージばかりなのでしょうか。
今年の夏の集中豪雨が私たちのごく身近なところを襲い、恐怖の時間を過ごしたことをご記憶の方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。他人事ではありません。いつ、どこが災害に遭うか正確に予測できない気象環境です。
そして、もし突如として災害に見舞われたとき、その場ですぐに被災者や被災地域に救いの手を差し伸べてくれるのは、消防や警察だけではありません。地元の地形や地理など地元事情に詳しい消防団の皆さんであり、実は、トラックや重機を操り、まず被災地への道路を確保してくれる地元の土木建築などの業者さんたちなのです。閉ざされた危険な道路にいきなり消防や警察は出動できません。
イメージとして「悪役」扱いの業界、業者のみなさんの出番なのです。これらの皆さんは、大雨や台風襲来時は出動準備をして待機していることが多いのです。こんなことはあまり知られていません。つまり災害に対し緊急時に一次対応できる貴重な地場の戦力であり、地域防災の「資源」です。こんな業界、業者の皆さんを悪玉扱いすることだけで地域の安全を守ることはできないのです。
振り返って市の現状を見ますと、この人たちに仕事を発注する場合、市の入札制度は最低制限価格を設けておりません。つまり無制限に「安ければいい」のです。本当にそうでしょうか。もし安さだけでいけば、いずれ多くの業者は倒れ、私達の住む地域の防災、安全確保の最前線の力を失ってしまいます。安全の入口を無くすことに等しいのです。今の市政はこのような重要な視点を失ったままです。命に関わる事態が発生してからでは間に合いません。
|