野生図鑑 鳥を訪ねて南へ北へ
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2度目のパプアニューギニア


 

Papua New Guinea, 2nd (Page2)


12/30 早朝のフライトで北岸のマダンへ移動し、7時半前にマダンリゾートホテルに到着。ここは日本人ダイバーがよく泊まるホテルと聞いている。部屋は10時まで入れず、アクティビティの出発は9時からと言われたので、敷地内を散策する。予想していた通りビーチはしょぼく、船で島へ渡らないと本当のリゾート気分は味わえないと悟るが、鳥見に来ているので失望感もない。上述の日本語ガイドブックにここの敷地に野生のココモ(サイチョウ)がやって来ると書いてあったので探すが、見つからない。庭の樹にはフルーツこうもりがいっぱいぶら下がっていた。石垣や西表のよりでかい。鹿やオオギバト(Victoria Crowned Pigeon)が飼われていたが、野鳥はSinging Staring, Friedly Fantailなどあまりぱっとしないと思っていると、部屋の準備が出来、アクティビティもいつでも出発できると言うので8時前に出発。案内してくれるはBusy Bee。人の名前を憶えるのは苦手だが、実に憶えやすい名前で瞬時にインプットされる。ネイチャーガイドというわけではないが、宿泊客の送迎や近くの村を訪問するツアー、極楽鳥観察ツアーなどを担当しているらしい。ココモや極楽鳥の情報を尋ねると、今日はもう時間が遅すぎて駄目だと言うので、彼がカワセミを目撃したことがある地点を何ヶ所かまわってもらうことにする。最初にゴルフコースの池を覗く。いかにも小型カワセミがいそうな雰囲気だがハズレ。驚いたのはゴルフ場と道路を隔てるフェンスがなにもないこと。ポートモレスビーのコースでは二重のセキュリティゲートがあり、武器をもったガードマンがラウンド中のプレイヤーの30m程後ろを付かず離れずついていた。道路を明らかに観光客とわかる日本人やオーストラリア人が普通に歩いている。マダンは治安がいいとは聞いていたがこれほどとは思わなかった。自分自身はこれまでPNGで危険を感じたことはないが、色々物騒な話を耳にしているし、前回の旅では実際に強盗に襲われたという日本人旅行者にも遭っている。町を出た所のマーケットでBusy Beeがビートル・ナッツを買った。ここの人達はタバコ替わりにこれを噛むのだそうだ。売ってるおばさんも、近くの人達もこれのせいで口が真っ赤だ。自分も勧められるが、ハイになってシャッターチャンスを逃してはいけないので自重する。

少し行くと川に出た。この辺の電線にカワセミが止まっていることがあるからよく見てみろと言われ双眼鏡で探すが、いたのはブッポウソウ、ハチクイとツバメ類。逆光で黒くしか見えないので1枚づつシャッターを切り立ち去る。帰国後、Photoshopで大型のツバメの写真をいじっていたら白い”口髭”が出て来た。Moustached Tree-swiftだ。惜しいことをした。双眼鏡で白髭が見えていたら、ブッシュの中に入って順光の近い位置まで 写真を撮りに行ったのだが・・・。後悔先にたたず!すぐに山に向かって真直に何キロも続く直線道路に出る。ハイウエイで制限速度はないそうだ。アスファルトの路面の状態もいい。ポートモレスビー郊外の穴ぼこだれけの道とはえらい違いだ。Black Kite を沢山見る。日本のトビと同種とする図鑑と別種としている図鑑があるようだ。彼らは車に轢かれる寸前にならないと逃げない。他にBrahminy Kite, Meyer's Goshawk, Helmeted Friarbird, Lesser Black Coucal等々。Fruit-Dove sp, Lorikeet spが何度か飛ぶのを何度か目にするがいずれも種は特定できず。Rufous-bellied Kookburra(チャバラワライカワセミ)を見た後、真っ白なお腹で頭が黒いカワセミを見つける。こんなカワセミは存在しない筈だと思い、スコープの準備をして覗くと、頭は黒ではなく濃いブルーで羽は鮮やかなブルーなのがわかった。Forest KFだ。しばらく見ていると何処かからおじいちゃんや男の子が何人も集まって来た。こちらからは人は全く見えなかったが、彼らからは丸見えなのだ。ハイウエイは山中に入ると、舗装されていない部分が頻繁に出てくる。おそらく大雨でアスファルトが流されたのであろう。周りの風景は一変して、いかにもニューギニアの深い森の中という雰囲気になる。途中、極楽鳥の鳴き声がする所で車を停め探鳥する。道の直ぐ脇にある樹でLesser BOP(コフウチョウ)が何羽か鳴いていて、時折その姿が部分的に見えるが写真を撮れる位置には出て来てくれない。Busy BeeがWhite Cockatooと言うので、上空を見上げるとSulphur-crested Cockatoo(キバタン)が数羽飛んでいた。オーストラリアでは住宅地でも見られるそうであるが、本来はこのような深い森に棲んでいたのだと実感する。ふと気付くと真っ白なキバタンのなかに黒いのが1羽加わっていた。Palm Cockatooだ。次に訪れる予定のNew Britain島では会えるのではないか期待していたのだが、ここで会えるとは思っていなかった。飼われている個体は目の前で見たことが何度かあるが、止まっているところをスコープで観察したい、樹の枝に止ってくれと祈るが、残念ながら飛び去ってしまう。さらにハイウエーを奥に進んだところで探鳥するが、キバタンを2羽見ただけで成果なし。そこの枯れ木とか、あそこの木とかによくサイチョウが止っているという話だが、今は鳴き声さえ聞こえない。ニューギニアの深い森の中の雰囲気と景色を味わいホテルに戻る。午後は極楽鳥観察と村の訪問に出かける。我々二人の他に日本人ダイバー4人も一緒だ。山間の小さな村で車を降り、村の青年の案内で色々な作物が栽培されている畑を抜け、森の中に入り、15分位歩いて、極楽鳥(Lesser BOP)のダンシング・ツリーに着く。4時ごろになると集まってくるそうなので、そこで待つことにする。今はデイスプレイの時期ではないので、半信半疑で村の青年に尋ねると求愛期のように凄くはないが、確かに来て踊ると言うことだ。蚊に刺されながら30分ちょっと待っていると極楽鳥の声が聞こえてきた。数羽が鳴き交わしながら少しずつ近付いて来るのがわかり緊張するが、姿が見えるのは木から木へと飛び移る時だけで、すぐに見えないところへ隠れてしまう。そのうちに鳴き声が遠ざかってしまう。人が何人もいたから、敬遠したようだ。村に戻り、村長さん(長老)らと一緒に料理をいただく。蒸かし芋、バナナの煮たの、ココナツジュース等。帰路の車中でダイバーの人たちがホテルのレストランの横でギャーギャーうるさい変な鳥を見たと教えてくれた。ココモ(サイチョウ)に違いない。敷地内は何度も歩くが見当たらない。Fruit Batの写真を撮っただけで部屋に引き上げる。

12/31 まだ真っ暗なうちにBusyBeeと昨日の午前に訪れたポイントへ向かう。山道に入るあたりで明るくなってきた。4トントラックが道路脇に横転していたが、だれもいない。運転手はすでに救助されて搬送されたようだ。日本の某大手運送会社で相当昔に使用していたトラックだ。コフウチョウのポイントに着くが、昨日と同じような状況だった。Sulphur-crested Cockatooも何羽か飛んでいたが、Palm Cockatooは見当たらなかった。さらに奥へ進むと、車の前を真っ赤でずんぐりした鳥が横切って行った。King Bird of Paradise!道路脇の木に止ってくれと念じるが、森の奥の方へ飛んでいってしまった。ココモ(Blyth's Hornbill)がよく止っているという枯れ木に到着するが、いない。スコープを準備して、BusyBeeが教えてくれた山の上の大木をサーチする。何羽もいるのがわかるが、見えるのは一瞬で直に枝・葉の中に隠れて見えなくなってしまう。見えている時も真っ黒な輪郭と白っぽい大きな嘴がわかるだけで、嘴の赤みがかった部分や顔までは見えなかった。10分位の間隔で、二羽あるいは三羽で何処かへ飛んでいく。一応シャッターを切るが、高度が高すぎる。そのうち、一羽が比較的低い位置を飛んでいったので、撮影する。昨日も感じたことだが、ここは実に雰囲気がいい。絶景というわけではないが、熱帯の深い山の中にうっすらと霧が立ちこめ、キバタンやサイチョウが飛んでいて、いい感じだ。引き返す途中、少し下ったところで、道路脇にRed-breasted Paradise Kingfisherが止っているのが目に入った。声をかける前にBusyBeeも気がついた様で、ブレーキをかける。真横から3m程進んだ位置で停車するが、ブッシュのなかへ飛んで行ってしまう。そのまま横を通り過ぎ少し離れたところで止ればよかったのだが、それも後の祭り。数十m先に駐車できるスペースがあったので、そこで戻ってくるのを待つことにする。30分待ったところで諦める。今にして思えば、夕方かお昼にBusyBeeに迎えに来てもらうことにして、その場で粘ればよかったと後悔される。トラックの事故現場では近くの村人が集まって積み荷を別のトラックに移していた。積み荷は食用油の様だ。Busy Beeがその場にいた人に聞いた話では、酔っ払い運転のようで、運転手はべろんべろんに酔っぱらっていたそうだ。平地に出たところで、Forested Kingfisherのつがいを観察する。昨日のポイントから100m位離れた地点だったので、おそらく同一個体だろう。他の鳥は、いっぱいいるニシトビ等昨日同様の種を見る。それ以外にBrown Falcon、Yellow-faced Myna等。町に戻る手前にある村に立ち寄る。明後日の日本人団体客の為のシンシン・ダンスの手配のためだそうだ。明日は日本人個人客(ダイバー)の為のシンシンがすでにアレンジ済みなので、お前ももう1日延泊して見ていかないかと誘われ少し心が揺れるが、New Britain島の魅力にはかなわない。 長老等に挨拶して話がついた後、BusyBeeが ”お前さえよかったら、ここで朝食にしないか?コーヒーとビスケットだけだけど、おれが奢るよ。そうすれば、ホテルに戻らないでこのまま直接午前の鳥見に出発できるし。”と言うのでごちになることにする。民家の土間におかれた長イスに家族の人たちと座って朝食をいただく。巨大なカップに細かく挽いたコーヒの粉を入れ、直接お湯を入れてくれた、砂糖や粉末クリームは別料金になっているようで、実に合理的だと感心する。ビスケットは日本で言うクラッカーに甘い味がついたやつで、これだけでは足りないと思っていると、ドーナツを揚げてくれた。友人だというここの主人が帰ってきたので、紹介される。ここと隣の商店の他に、バタフライファームも経営しているそうだ。彼は英語を話さないが、英語がベースになった共通語を話すので何を言っているかぼんやりとわかる(ハイランドでは何を言っているか全くわからなかった)。この村に日本人が住んでいるけど、今は散歩に出ていると言う。驚いていると、BusyBeeが説明してくれた。沖縄から来たボランティアの方で農業の指導をしているらしい。おそらく青年海外協力隊のシニア隊員の方なのであろう。50m程先に海岸があり、その前には小さな島が見えているので、ここはビルビル村かと尋ねるとそうだと言う。日本語ガイドブックにこの村のことが数行載っていた。焼き物が有名らしいが、最後に一言、村内ではカワセミ等が見られると書いてあったのを思い出し聞いてみると、バタフライファームの近くの池に来ると言う話なので、帰り道に寄ってもらうことにする。同乗してきたオーナーが池の周りを探してくれるが留守だった。人工の小さな池で小魚が泳いでいるのが見える。いかにも小型カワセミ(Alcedo属)が来そうな雰囲気だ。バタフライファームは小さな庭に蝶の好きな植物を植えてあるだけのもので、蝶は見えなかった。オーナーとここで別れて、町を過ぎ北へ向かうハイウエーを進む。こちらは、南へのハイウエーとは違い、両側にプランテーション農園が広がっている。BusyBeeがここはフィリピン人が経営している農場だとか、ここは中国人、ここはオーストラリア人だとか、ここは旧日本軍の飛行場跡だとか教えてくれる。アハとかウフとか軽く相づちを打ちながら、複雑な想いがする。ハイウエーから未舗装の道に分かれて少し入った所にある農場に着く。小屋のトタン屋根の上にいる鳥がコシャクシギに見えたので、双眼鏡ではっきりと見える所まで近付くが、Lesser Golden Plover(アメリカムナグロ)だった。残念!道の左右に池がある。左手の池は葦に囲まれて何も見えない。右手の池は見通しが利くが、水面に見えるのはAustralasian Grebeだけだった。奥には葦原がありカモの鳴き声が聞こえて来るが、全く見えない。水際をスコープで丹念にサーチするがDusky Moorhenがちらっと見えただけ。左手の池に近づき葦の間から池を覗こうとするとBusyBeeからワニがいるからやめとけと制止される。彼が替わりに行って葦を50センチほど刈って池を少し覗ける様にしてくれた。道路上を移動しながらスコープで見える範囲を観察してゆく。ポートモレスビーのPAUにいたのとは違う種のリュウキュウガモ類、Spotted Whistling Duckがいた。その他はPAUと共通の Comb-crested Jacana, Purple Swamphen等々。White-browed Crake (マミジロクイナ)も見えたが、直に見えなくなってしまう。その後、ハイウエーに戻りさらに北上してわき道に少し入った村を訪れる。ここも早朝なら極楽鳥が見られると言うことだったが、11時近い炎天下では鳥影がなかった。帰り道、BusyBeeがビールを買って行こうかと言うので、自分もそれにのる。マダンもポートモレスビー同様クリスマスから新年までは酒類の販売が禁止されているそうだ。町から車で1時間近く離れたこのあたりなら、警察の取り締まりもそう厳しくないから売ってるところがあるはずだと言う。日本の宝くじ売り場を倍にした位の小さな商店を何軒か周り五件目ぐらいでビールが買えた。強盗対策なのであろう、何処もちょうどパチンコ屋の景品交換所のような感じだ。

午後の探鳥に出かけようとエントランス前でBusyBeeを待っていると、彼がやってきて、”明日はKimbe (New Britai Is.)には行けない。航空券の変更をしなければいけないから一緒に事務所へ行こう。”と言われる。事情が飲込めないまま事務所に行き、事務方から説明を受け、ポートモレスビーのエージェントからのファックスを見せられる。ファクスには、”さっき電話で話したように、現地と連絡がとれないので、うちのクライアントにそちらでもう一泊するように勧めてくれ。”とある。全身の力が抜け、ブルーになる。New Britain島では Bismarck KFやNew Britain KFなど本島にはいない種のほか、Beach KFやBuff-breasted Paradise KF、ハトやオオム類に期待していたので、ショックがでかい。これでいいかかと聞かれるが、すぐにオーケーとは言えない。しかしニューギニアの特殊な事情を考え、渋々承知する。航空券の変更と、替わりにポートモレスビーで探鳥出来る様に伝言を頼んで、BusyBeeと探鳥に出かける。昨日の午後に行った村のダンシング・ツリーに再度挑戦しようかとも考えたが、今朝訪問したビルビル村へ行き、カワセミを探すことにする。車中BusyBeeが、これで明日の午後のシンシンが見られてハッピーだろうと軽口をたたくので、めっちゃアンハッピーだと答えると彼も黙ってしまった。村内のガーデンに行けば、カワセミがいるというので案内役の村人と3人で行ってみる。”ガーデン”は色々な作物を栽培している畑のことだった。以前にイギリスの鳥類学者がここに小屋を建てて数ヶ月滞在して、何種類もカワセミを観察したそうだ。畑の中を散策中、ブッシュの中からカワセミspの声がしたので行ってみるが、声は奥の方へ遠ざかってしまった。畑で農作業していた男性(と言っても彼は木陰で休んでいるだけで、奥さんが独り炎天下働いていたのだが)にBusyBeeが聞いてくれたところによると、彼は今日ここでお腹の白いやつと茶色いやつの2種類のカワセミを見たそうだ。おそらくForest KFとRufous-bellied Kookaburraのことを言っているのだろうが、自分の目で確かめるまでは即断しない方がいいだろう。作物の収穫時には出てくる虫を狙ってすぐ傍までKingfisherが何羽も集まってくるそうだ。村の目の前に浮かぶ小島(ビルビル島)には白くて羽の青い大きいのがいるそうだ。こっちはBeach KFのことに間違いない。朝早くにカヌーで行くと近くで見られると言う。”彼に明朝連れて行ってくれるよう頼んでくれ”とBusyBeeに言うと、”今晩はNew Year Eveだから、ほとんどのニューギニア人は朝まで飲んでいて、明朝はみんな酔っぱらっているから駄目だ、それに俺も明日の午前は休みだ。”と言われ諦める。ガーデンを抜けるとバタフライファームの横に出た。早速池の周りをチェックするがなにもいない。オーナーが出て来て3人で世間話をはじめた。今日はここで何度かお腹の茶色いのを見たそうだ。自分もまだショックを引きずっていてあまりやる気がしないので、ここで横になってカワセミを待つことにする。結局カワセミspは現れず、夕方になるとトウモロコシ畑にカワセミがやって来るというので、そちらに移動する。話の通り、畑を見渡せる位置にForest Kingfisherが止っていた。しばらく撮影した後、むらに戻る途中にOrange-bellied Fruit-Dove の鮮やかな”黄色”のお腹を双眼鏡でじっくり拝ませてもらうが、レンズを向けた瞬間飛ばれてしまう。

ホテルに戻ってココモを探すが、またしてもハズレ。日本人スタッフ(ダイビングインストラクター)のYayoiさんに、明日Pig Islandに行く方法がないか尋ねると、明日の午前はダイビングショップだけは営業しているとのことで、9時にダイビングボートで運んでくれて、2ダイブ後のお昼に拾ってくれるとのこと。少しだけ希望がわいてきた。自分がこれまで読んだBirding Reportのなかで1つだけ、Pig 島でBeach Kingfisherを見たというのがあったので、New Britain島で見る予定の鳥のうち、せめてこれだけでも見ておかなければ・・・。

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