最近、木造住宅に関わる事が多くなってきました。
木造の部材というと昔ながらの大工さんの経験できめられていた事が多く、住宅の部材を決める事が少なかったのですが最近3階建木造住宅や、1階が鉄筋コンクリート造または鉄骨造の上に木造を建てる混構造の住宅においては、接合部分などいままで大工さんが経験していない部分がでてきて、計算により部材等を決定する事になっています。
そのようなわけで木造の計算をしているのですが、木がどんなものがあって性質がどのようなものなのかが全くといっていいほど無知であった為、少し調べてみようと思いました。
木造住宅に用いている木材は、大きくわけて針葉樹と広葉樹に分けられます。
一般に広葉樹は針葉樹に比べ比重が重く硬い為、広葉樹を「堅木(かたぎ)」、針葉樹を「柔木(やわぎ)」と呼ぶようです。
構造材に用いる材は、1.断面がそろっている、2.より真っ直ぐで長さのとれるものが扱いやすく、ヒノキ、スギに代表される針葉樹が直材が取りやすく、加工性もいい事から木造住宅の多くの部分に使われています。
木は鉄やコンクリートなどの工業製品と異なり、均質な素材ではありません。
また木の構造を見てみると木口(材長に直角な繊維方向)、柾目(年輪に直角な放射方向)、板目(年輪の接線方向)とそれぞれ異なった性質を持つことが分かります。
3方向に対して、圧縮、引張りの強度を求めると、繊維方向、放射方向、接線方向の順で強度が大きくなります。
木材の使い方が、柱なら縦使い、梁なら横使いとするのは、こうした強度の差を経験的に知った昔の知恵だった様です。
木材の繊維方向の材料強度を下に示します。
上記の値の1/3を長期(常時にかかる)応力に対する許容応力度、2/3を短期(地震、台風時)応力に対する許容応力度としています。
木材は、長期間荷重を受けると時間経過と共にたわみが大きくなる性質を持つ(クリープという)為、大きな荷重を受ける梁などでは、余裕のある断面をもたすことが必要です。
また木材の細胞の構造や配列によって乾燥に伴う収縮率が異なることも注意したい点です。各方向に異なる収縮が起こるために狂いが生じる様です。
乾燥収縮率の大きいものから順に接線方向、放射方向、繊維方向の関係となり、繊維方向は、他の方向に比べひと桁小さい値になっています。(図2参照)
板張りなどでは、材の乾燥状態によって幅方向の伸び縮みを考慮し、逃げをとった張り方が必要となってきます。