有限会社 トチオ構造設計室/Report・溶接接合について3

 
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4. 溶接の検査−超音波探傷試験について
溶接に対する検査の代表的なものが超音波探傷試験です。
超音波探傷試験とは、超音波(周波数が20kヘルツ以上の音波)を試験体に伝えた時に試験体が示す音響的性質を利用して試験体の内部欠陥や材質などを知る非破壊試験方法です。
鋼構造建築溶接部の超音波探傷試験基準・同解説では、板厚9mm未満のもの、鋼管分岐継手、鋼管の製造工程における溶接部、鋼管の長手継手および直径が300mm未満の円周継手には適用しないことになっています。遠心力鋳鋼管の場合には、鋳鋼肌の凸凹のためそのままでは探傷の際に著しい伝達損失が生ずるため、この凸凹を100S程度の表面粗さに仕上げる事が必要です。(このことについて株式会社クボタに聞いたところ、表面仕上げをしない場合の柱の現場溶接等では、実際の鋼管でどの程度の伝達損失があるかを調べ通常より感度を上げることで対処しているとのことでした。)
通常板厚40mm未満の溶接部では、斜角一探触子法により超音波探傷試験を行います。板厚40mmを超える溶接部は、斜角一探触子法とタンデム探傷法を併用します。
1. 斜角一探触子法について
1)斜角一探触子法とは
試験体の探傷面に対して、斜めに進行する超音波を用いて探傷する方法で、使用する探触子は1個です。 斜角一探触子に用いる探触子を斜角探触子と言います。斜角探触子を2個用いて行う探傷方法をタンデム探傷法といいます。
図-6 斜角一探触子法
図-6 斜角一探触子法
2)校正目盛板
欠陥を評価するために、エコー高さ区分線を作成します。エコー高さ区分線は、標準試験片の標準穴を用いて作成し目盛板に記入します。目盛板には、4本以上のエコー高さ区分線を記入します。隣接するエコー高さ区分線の感度差は、6dBとします。縦軸がエコー高さ横軸が横軸が時間(超音波の進んだ距離)です。エコー高さ区分線は、原則として使用する探触子を用いて記入することとなっています。
これらエコー高さ区分線のうち目的に応じて、下位から3番目以上の線をH線とし、H 線から6 dB高いエコー高さ区分線をU線、6 dB低いエコー高さ区分線をM線、12 dB低いエコー高さ区分線をL線とします。 なおエコー高さ区分線を記入した目盛板を校正目盛板といいます。
図-7 校正目盛板
図-7 校正目盛板
エコー高さ区分線のうち目的に応じて、下位から3番目以上の線をH線とし、U線・H線 M線およびL線で区切られたエコー高さの領域を次のように名付けます。
表-1 エコー高さの領域区分
エコー高さの範囲 エコー高さの領域
L線以下 T
L線を越えM線以下 U
M線を越えH線以下 V
L線を越えU線以下 W
U線を越えるもの X
L線を超える(領域U以上)エコーを異常部として検出し、探触子の位置、ビーム路程(超音波が試験体に入射した位置から反射源までの距離)、溶接部の状況などから、異常部が欠陥かどうか判定します。評価基準を次に示します。
3)欠陥の評価
合否判定の対象とする欠陥は、欠陥指示長さ(超音波探傷において、探触子の移動距離によって推定した欠陥の長さ)が突き合わせる被検材の板厚tに応じて、次表に示す値以上の欠陥とします。(板厚が異なる突合せ溶接の場合は、被検材の板厚は薄いほうの板厚とする。)
表-2 欠陥指示長さの最小値
板厚 欠陥指示長さ(mm)
9以上20以下 5
20を超え48以下 t/4
48を超えるもの 12
欠陥指示長さが上表に規定した「欠陥指示長さの最小値」以上の欠陥が複数存在する場 合は、それらの欠陥が同一欠陥群とみなせるか、または独立した欠陥であるかを判別して、それぞれの場合に応じて欠陥評価長さLeを求めます。同一欠陥群とみなされる場合の欠陥評価長さLeは、それらの欠陥の欠陥指示長さと間隔を足し合わせた長さとなります。
同一欠陥群とみなされる欠陥と欠陥評価長さLeについて下図に示します。
図-8 同一欠陥群とみなされる欠陥と欠陥評価長さ
図-8 同一欠陥群とみなされる欠陥と欠陥評価長さ

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