まずは初級者の方のために、基本中の基本をおさらいしたいと思います。
■音を太くする
では音を「ブッとく」しましょう。とりあえずこればっかりは時間がかかりますが、ロングトーン等の基本的な練習を頑張って下さい。
その時のコツとして、「サックスの3点支持」があります。その3点とは、
「上のマウスピースが当たっている歯」
「サックスと連結しているストラップ」
「フックにかけている右手親指」
です。この3点でサックスを支持し、息の流れをまっすぐマウスピースに流してあげます。
3点支持をきちんと意識してやってあげると、その際には下唇がフリーになります。アゴを上にあげてしまいがちの人は、これだけでも違いが出ると思います。
もちろん、息はたっぷりと入れてあげます。
横隔膜を使い、腹式呼吸で空気を押し出します。息がたくさんサックスに入るようにノドも開けてあげましょう。
その「息をたくさん入れる状態」が分からない方は、以下を想像してみて下さい。汚い話になりますが、嘔吐している状態というのが実は「横隔膜を使い、ノドが開いている」状態なのです。
「オエー」と自分でやってみて下さい(冗談ではなく。しかし真似だけでいいですよ。(笑))。しっかりとノドが開いているのが分かると思います。
息はお腹の下の方からしっかりと! 以上が基本です。
■フレーズ&技
では、堅苦しい練習はここまで。
実際に伊東さんのよく使うフレーズを吹いてみましょう。
・・・とは言っても、なにも難しいことはやりません。伊東さんの「超絶テク」を真似しようったって、私だって出来ませんもん(笑)。基本的に初心者の方でも真似出来るようなフレーズを取り上げて、「ちょっとだけ伊東さんな気分」が味わえたらと思います。
Ex.1
Ex.1はアドリブの一区切りする時によく使われるフレーズです。また、ここを基準に昇りつめていく感じで使います。パターンもいくつかあり、2小節の2拍目で一端止めてそこから展開していく等色々と使えます。
ちなみにこれは、「スクエア・ライブ」の「It's Magic」で出てきたフレーズを例示しました。
Ex.2
同じく「It's Magic」等でおなじみの「ラソソラソソ...」のイトタケ・フレーズです。
これを最初にやろうとした時、どうしても最後の「ソ」の部分(赤くなっている所)がうまくいきませんでした。音はあくまでも「ソ」なのですが、一つ前の「ソ」とは明らかに違う音だし。
中学の頃には「これはタンギングでやっているんだ」等と勝手に思いこみ、必死になってタンギングを合わせる練習をしたっけなぁ・・・。(笑)
結論から言うと、これは「オルタネイト・フィンガリング」というものです。これは倍音を吹き分けて出す音で、フィンガリングの違いから微妙に音も変わってきます。
(ちなみにフラジオもこの「倍音の吹き分け」です。)
サックスを始めたばかりの頃に、オクターブを押さえた時のレの音を吹こうとして、ラの音が出たことはありませんか?あれが「倍音」です。
(倍音の練習についてはもう少し後で説明します。)
つまり、Ex.2の赤い部分は指使いから違っていたわけです。そしてその指使いはというと...
Key.1
これがそのフィンガリングです。お気づきの通り、「ド」の指づかい(にオクターブキーを加えたもの)で「ソ」がでます。
しかし、この倍音の吹き分けというのは初・中級者には難しいと思います。
そこで裏技! ズルをすると倍音の「ソ」が簡単に出せるんです。
右手人さし指のキーをこの運指表から放してみてください。
ね?簡単に出たでしょ?
ではEx.2を実際に吹いてみましょう。
Key.2
この順番に、右手小指のキーは固定したまま運指するとあら不思議!
あっと言う間にイトタケ・フレーズの完成です。
では、これの応用として次のフレーズをやってみましょう。
Ex.3
赤い部分がオルタネイト・フィンガリングの「ソ」ですよ〜!
Ex.2の「ラ」の部分を「ラ、シ、ド、シ、ラ、シ、ド、シ...」と変えていくだけで、バッチリですね。
最初は指がうまく回らないと思いますが、ゆっくりと練習してみて下さい。
コツとしては「ラソソ、シソソ...」と覚えるのではなく、「ラ..シ..ド..シ..」の様に、頭の音だけ気を付けて後は勢いで吹きこなしてしまうといいでしょう。
さて、出来たところで、Ex.2を三連符にして「ラソソ...(適当な回数)ラ(←最後はラで終わり)」に続けてEx.3を吹いてみましょう。
ね?「それらしく」なってきたことと思います。
また、「イトタケ・フレーズ」ではありませんが、「ラ」のオルタネイト・フィンガリングを使って次のようにも遊べます。最後はフラジオの「ラ」ですので、フラジオが吹けない方は適当に(オクターブ下げたり)して演奏してみて下さい。
Ex.4
Key.3
順に、「普通のラ」、「オルタネイト・フィンガリングのラ」、「フラジオのラ」です。
譜面の赤い部分を「オルタイネイト〜」で吹いて下さいね。
■サックス特有のフィンガリング
素早いフィンガリングをするために「■両方共通、その他」の項目「フィンガリング」の所で書かれた4つの項目を満たすよう練習していても、サックスの場合どうにも都合の悪いフレーズというものがあります。例えばこんなフレーズです。(Ex.5)
Ex.5
赤い音符の部分が問題です。ドからいきなりキーをほとんどふさがねばならないレに移行し、さらにまたドに戻ります。この場合はリズムが速いととてもやりにくいので、赤いレは次のような替え指をつかいます。
Key.4
このレを使えば「ド→レ→ド」の運指がスムーズになると思います。もちろん全音のトリルにも応用できます。
ただ、この指使いの場合は音が若干低くなりますのであくまでも上記フレーズのような場合やトリル位に考えてください。しかしながら、ジャズの世界ではこの「微妙に低い音」というのが「いかにもジャズっぽい」と、わざと効果を考えてロングトーン等でも使うことがあります。
色々と試してみて下さいね。
■フラジオ(アルティッシモ)
フラジオ(アルティッシモ)とはサックスの倍音を吹き分け、通常の運指ではないHighF#より上の音のことを言います。
伊東さんはもとより、今日のジャズ・フュージョンを吹くために欠かせない技術です。
しかし、フラジオは変則的な運指と倍音の吹き分けという2つの命題をクリアしないと吹けない(特に後者が問題)ので、難しい技術だとお思いの方もいると思います。
特に初級者、中級者の方にはこのF#からGの半音の壁がえらく高くそびえ立っているように感じるものです。
しかし、ちょっとした練習法で思ったより簡単にフラジオは克服できます。
・フラジオをナメてかかろう。
まず最初に、フラジオは特殊技術でもなんでもないということを頭に置いといてください。
実は誰にだって(HighF#の吹ける方なら)吹くことが可能です。
「難しいもの」と思うから委縮してしまい、上を出そう、上を出そうと必死になるから口も緊張して吹けるものも吹けないという場合が多いからです。
とは言うものの「お前は吹けるからそう言えるんじゃ!」と思う方もいらっしゃるでしょう。
では早速ですが、フラジオを吹いてみましょう。
まずは「フラジオが自分でも吹ける」というのを体感して見ればナメられますよね。
Key.5
この運指で試しに吹いてみて下さい。
今のサックスはほとんどHighF#キーは付いているので、それを前提にしていますが、この運指のGは吹奏感が比較的HighF#と変わらないハズです。
コツとしては、F#を吹きながら、指を滑らすようにGに持っていって下さい。
最初は上手く出来なくても、何度かやってく内に音は鳴ると思います。
最初、全くフラジオが吹けなかった家の奥さんもこれでGは吹けるようになりました。
高かった壁も体感してしまえばもう恐くはないですね?(^o^)
さて、恐くなくなったところで、今度はロングトーンです。
とっかかりは同じように「HighF#から入ってのG」でかまわないので、Gをロングトーンしましょう。慣れてきたらGだけで吹いてみて、Gが一発で出るようになったらとりあえずは完成です。
楽に出せるようになったら、いつの間にかAやBが出るようになっているハズです。
・運指を覚えよう。
ここでは代表的な運指を載せておきます。サックスのメーカーや、調整具合等でピッチが変わる場合がありますので、下記を参考にしてなるべくピッチの合う運指を探して下さい。
元々フラジオはピタリとピッチが合うことは少なく、多少のズレは口でカバーします。
Key.6(フラジオ運指表)←クリックして下さい。
・オーヴァートーンの練習
フラジオが恐くなくなった所で、伊東さんのように「太いフラジオ」を作っていきましょう。
尚、この練習はフラジオだけではなく、普段の音域も太くなるという一石二鳥の練習です。
Ex.6
この音を全て一番下のB♭の運指で出します。第3倍音からはオクターブキーを加えます。
つまり、指はKey.7です。
Key.7
(←第1倍音まで) (←第2倍音以上)
第2倍音までは出ると思います。ところが、第3倍音からとたんに難しくなりますよね?
でも第3倍音、第4倍音、第5倍音には「抜け道」が存在します。(Key.8)
Key.8
(第3倍音替え指) (第4倍音替え指) (第5倍音替え指)
これがその抜け道です。
まずは普通に譜面に書かれている音を吹いて音を覚え、次に抜け道の指を使って倍音を吹く・・・と交互に繰り返すと良いでしょう。
最終的には抜け道なしのKey.7のまま吹けるように練習しましょう。
第3倍音まで(抜け道で)吹ければフラジオはまず大丈夫!第4倍音まで出れば良いでしょう。
■音を割る
オーヴァートーンの練習で第4倍音以上まで出るようになると、自然と「音を割る」ことも出来ていると思います。
伊東さんもよく音を割っていますよね?
これで彼女の前でTwilight in Upper Westなんか吹いたら・・・結婚できます!(*^^*)
(私は少なくともこれで結婚できた(笑))
ただ、オーヴァートーンの練習は比較的難しく、時間もかかります。
そこで、多少違って聞こえてしまいますが、「雰囲気」だけはつかめるような奏法を紹介します。
・ダークトーン
これはファンキー系のテナー奏者がよくやる奏法です。
やり方はいたって簡単。音を出すと同時に「ウーーーー」と声を出せばできあがり!
多少奇麗に聞かせるためには低い声より高目の声を出すといいでしょう。
曲の途中、ロングトーンで徐々に音を割りたい場合は、先に音を出しておいてから声だけクレシシェンドすれば「らしく」なります。
が、あくまでもこれは「雰囲気」として考え、オーヴァートーンの練習で割れるように努力しましょう!
■伊東さんの音色に迫る
ここではミュージシャンのアイデンティティでもある「音色」に迫りたいと思います。伊東さんの音色は「どこでどこからどう聞いても伊東さんの音以外の何者でもない」というほど個性的かつ魅力的で艶やかな音色ですよね? 「どうやったらあの音色が出るのか?」、「この音色に憧れてサックスを始めたはいいが、なかなか思ったような音色にならない」という方もいらっしゃると思います。
無論、アンブシュアも違うしアゴの作り、歯の形、息の入れ方等どこをとっても自分と伊東さんとは違います。
しかし、以下の注意点を守れば多少は「伊東さんっぽい音」になると思いますのでトライしてみて下さい。
また、色々応用して「自分の音」を出すヒントにもなりますので参照にしていただければ幸いです。
・なにはともあれマウスピース
勿論「音」を作り込むには土台となるアンブシュアや息の入れ方等覚えることはたくさんあるのですが、「とりあえず劇的に」音を変えることはできます。特に伊東さんの使用マッピである『デュコフ』等の一部メタルは「それなしでは考えられない」ほど音色に変化を及ぼします。
ただし、初心者の場合はアンブシュア等、将来矯正せねばならないような影響を及ぼす可能性もあるので注意して下さい。
あくまでも音色を決定するのは「自分」であり、マッピはその「土台」として考えるよう心掛けてください。
また、下記に列挙するマッピは私自身が試奏した経験からフュージョン向きのマッピと思われるものを書きだしてます。中には古い記憶に基づくものもあったり、個人個人で違った感想になるかもしれませんのであしからず。
(初心者の方)
初心者の方はあまり無理はお勧め出来ません。理由はアンブシュアがまだ固まっていないからです。とは言うものの、こんなページを読んでいる位ですから、いつまでも楽器に付いてきたSELMER
C☆やYAMAHA S90等ばかりでは飽きてしまうでしょう。(笑)派手な音色に対する「憧れ」は初心者だって上級者だって同じもの。そこで、一般に「初心者にもオッケー」的なマウスピースをここで紹介しておきます。
ただし、あくまでも「吹きやすさ」を重点においているので、伊東さんの音っぽくするのは難しいと思いますが・・・。
また、マッピを購入する際は絶対試奏してから買いましょう。その際、ジャズ・フュージョン系の先輩プレイヤーに助言をもらえれば尚良いでしょう。
○メイヤー(ハードラバー)
渡辺貞夫、フィルウッズ等が愛用しています。明るい音がしますがそんなに派手な印象ではありません。非常にバランスがすぐれており、初心者が初めて替えるマッピとしては良いのではないでしょうか? プレイヤーの個性にもきちんと答えてくれ、吹いていて気持ちのいいマッピです。(ちなみに私もブラバン等で使用)
○ジェイク(アクリル)
ジェイク・コンセプションが作ったマッピです。セルマーを改造して型抜きし、整形したもので、結構派手目な音が出ます。元がセルマーのマッピなのでバランスも良いし、音抜けも良いのが特徴です。息をたくさん入れると良い音になるでしょう。
難点は2つで、価格が4万円と少々お高いのと、お店によってはない場合が多々あることです。
○セルマーE〜F(ハードラバー)
セルマーはクラシックだけが専売特許ではありません。E〜F位のものはなかなか丸くて良い音がでます。無論バランスも良く、アンブシュアの固定にも非常に良いマッピです。
○メイヤー(メタル)
初心者にお勧め出来る唯一のメタルだと思います。他のメタルと違い、幅もハードラバーをくわえた感じにかなり近いものもあり、違和感はマッピの振動の差ぐらいではないでしょうか?
音色はハードラバーのメイヤーを更に華やかにした感じで、ハイノートも出しやすくよりパワフルになってます。
(初級者の方)
初心者とは違い、ある程度楽器を使ったコントロールが出来る方は以下の通り。マッピを選ぶ幅も増えて色々試したくなってきたことと思います。やはりマッピ選びは試奏をくり返して下さいね。きちんとしたお店なら何本試奏しても嫌な顔は絶対しませんから。(裏を返せば試奏できない楽器屋は行かない方が無難です)
○クラウドレイキー(ハードラバー)
土岐英史さん等が使用しています。ハードラバーなのですが結構派手な音が出ます。息の入れ方次第で良い音になりますが、ちょっとコントロールが辛いかも。
たくさん息を入れてちゃんと圧力をかけて吹くとリードの振動が感じられ、気持ちのいいことうけあいです。(私はテナーで使用)
○ランバーソン(ハードラバー)
一時期本田雅人さんが使用したことがあります。ハードラバーですが、なかなかどうして「ビャー」と派手な音がでます。ピッチベンドの幅が深く、コントロールが楽しいマッピです。
○ヤナギサワ(メタル)
本田雅人さん、宮崎隆睦さん、本多俊之さんが使用して最近富みに有名になりました。
メタル初心者に最適という触れ込みも多く、コントロールしやすいマッピです。
ただ、私の感想は「音に個性が出にくい」という感じがありました。きちんとした奏法で吹けばきちんと答えてくれるマウスピースなのですが、きちんと吹けないと「誰が吹いても同じような音色」になってしまうのが難点です。
(中級者以上の方)
アンブシュアがしっかり固まって、コントロールも可能な方は以下の通りです。
とは言っても、このレベルになるとすでに御承知の方ばかりだと思いますが、一応念のため。
多少の吹きやすさ、吹きにくさをウンヌン言わず、あくまで「音色」に重点をおいた選び方が出来るので色々試してみてください。
吹奏感やくわえた感じ、振動の仕方がマッピによっては非常に異なるのですが、これは慣れの問題ですのであまり気にしないで良いでしょう。根性で「思い描く音色のために体を合わせる」と慣れてしまえばこっちのものです。
○ボビー・デュコフ(メタル)
「伊東さんの音色」を出すなら言わずもがなのマッピです。
重く、ブ厚く、パワフルなサウンドで音にコシ・ノビがあり、演奏者の個性を際立たせてくれるマッピです。プレイヤーの思い描く色々な音色がこの手のメタルで出るのは結構凄いことだと思います。
伊東さんやデビッド・サンボーンのようなパワフルな音色、マルタのような綺麗で繊細な音色と使い手によって本当に音色に幅があります。
使い込むと色がくすんでカッコ良くなるのもいいですね。(*^^*)
デメリットは3つ。ひとつはコントロールが難しいことですが、裏を返せば「コントロールの幅が広い」ということなので、慣れてしまいましょう。
2つめは「材質が弱い」ことです。ちょっとした衝撃でヘコんだりします。ヒドい話では「くわえようとした時に歯に当たり、先端が変形した」という話もあります。また、付属のリガチャーは使用せず、購入の際一緒に『ハリソン』や『ロブナー』、『魔法のリガちゃん(しかし凄いネーミングだ)』等に変えると良いです。付属のリガチャーだと本体やリードにキズを付けやすいのでお勧めできません。
この「材質の弱さ」は気をつける他方法がないので、数少ない「当たりのデュコフ(後述)」を見付けた方は特に注意しましょう。
3つめは「製品精度が粗い」点です。これは結構やっかいで、とっかえひっかえ試奏して「当たり」を見付ける必要があります。
試奏する注意点ですが、とにかくお店にある在庫でD6〜D9位のものを全部出してもらって吹くと良いと思います。なぜなら「同じD8でも鳴りが違う」、「このD8よりこのD6の方がよく息が入る」等々結構いいかげんですので。
また、「マウスピースの先端が左右対称ではない」、「なんとなく歪んでる」等少々イビツでも、見てくれは悪いが音は最高という個体もあるので、外見で判断してはいけません。(さすがアメリカ製(^_^;)
リードは同じ番号でも固め、普通、柔らかめの3種類用意するのがベストです。
しかし、ここまでやっても「当たり」があるかどうかは運次第。「そういうマッピなんだ」と思ってあきらめ、次のお店に向かいましょう。(笑)
ちなみに私の場合、最初のデュコフはデュコフを使い慣れた先輩に試奏してもらってD6を購入。もっとパワフルな音色が欲しいという理由から試奏を重ね、ようやく5年越しで「D8の大当たり」を見付けました。この時は某新大久保のイシ○リにて10本位出してもらい試奏。それでも駄目で、これを最後と倉庫に残ってた3本を出してもらってまた試奏。ねばったのが功を奏してか、「プッ」と音を出した瞬間に一緒に来ていた奥さんと顔を見合わせたほど「大当たり」の個体を発見しました。
この話からしても当たりデュコフを探すのは結構大変ですので、根気よく頑張って探しましょう。
○ARB(アーブ)(メタル)
DIMENSIONの勝田一樹さんや竹上??さんが使ってます。最近はやりの派手な音が「ビャー」っと出ます。デュコフと比べても更にパワフルで、息の入りもよりストレートです。ただ、ピッチをとるのがかなり難しいので、上級者向けとも言えるでしょう。派手過ぎて私などはちょっと敬遠してしまいましたが、なかなか良いマッピのようです。
○サンダーボルト(メタル)
名前も凄けりゃ、音も凄いです。(笑)
歯の当たる部分が「カミナリマーク」なのもおっしゃれ〜。
期待通りのバリバリサウンドですが、御多分にもれずコントロールは激ムズです。
はっきりいってバランスは悪いのですが、派手な音が必要なケースには使えるかもしれません。
・リードを選ぶ
リードには「アメリカンカット」と「フレンチカット」の2種類があります(図:リードの種類参照)。
図:リードの種類
2つの違いはリードの振動が先端で振動するか、根元側でするかの違いです。ジャズ・フュージョンの場合は、より大きい振動を求められるのでアメリカンカットが多くのプレイヤーに好まれます。
伊東さんのような音色を出したいなら当然アメリカンカットを用います。一口に「アメリカンカット」と言っても振動の具合は千差万別。ここでは振動が大きく、メタルのマウスピースに合うものをセレクトします。
私が使用してきてメタルに合ったものは以下の通りです。特に『ラ・ボーズ』と『ヴァンドレンV16』はお勧めです。
○ラ・ボーズ
○リコ(アルト)
○リコ(JAZZ)
○ヴァンドレンJAVA
○ヴァンドレンV16
・アンブシュア・息の入れ方
アンブシュアはサックスを習いたての頃は唇を完全に巻き込む「シン・リップ」で習ったと思いますが、リードの振動を大きくするためには下唇を巻き込まない「ファット・リップ」、もしくは上唇も巻き込む「ダブル・リップ」が有効です。「ダブル・リップ」はリードの振動が大きくなり、ノドも開くという話です。しかし私も出来ませんし、初中級者には過酷な難題なので、ファット・リップで説明します。アンブシュアは下図(図.アンブシュア)の画像を見て下さい。
普通に「パク」っとくわえる状態で端っこを歯に乗せる感じで良いと思います。
注意点は、下唇をあまり巻き込み過ぎないこと、逆に下唇を突出し過ぎないことです。アゴの力は多少ゆるめて吹きましょう。
図.アンブシュア(クリックして下さい。拡大します。 モデル:めめ)
シン・リップ | ファット・リップ |
■音を割る−その2
以前の項目「■音を割る」の追加です。本日、「自分がどう吹いているのかを考えながら」割ってみたら、多少書き足せそうなので...。(^_^;
「■伊東さんの音色に迫る」の項でも書いたとおり、姿勢を変えると割りやすいです。
アンブシュアが固定されていない場合はやめた方が無難なのですが、一応説明だけは聞いておいて損はないでしょう。
上の歯は固定した状態で、下アゴの位置を深くくわえると割りやすいです。(図:リードのくわえる位置)
また逆に浅くくわえるとサブトーンが出やすいかもしれません。
前述の姿勢が苦しい、吹きづらいという方は下アゴを気持ち前に出すと割りやすいと思います。
柔らかいリードを出しやすい・・・かな? ただし、あまり柔らかいリードだと高音部がペラペラになるので、「同じ番号(固さ)で薄いもの」ぐらいに考えた方が良いでしょう。
図:リードのくわえる位置
■曲を実際吹いてみましょう。
さて、いよいよ実践です。と言っても、もうすでにみなさん曲はある程度吹いていることと思います。
ここでは、どれだけ「伊東さんっぽくなれるか」的な練習方法を例示します。
伊東さんのニュアンス(つまり、息の入れ方、タンギングのとりかた、節回し、音符に表れない音の長さ等)を一言で「こう」と言えれば楽なのですが、こればかりは曲によっても違うだろうし、説明が目茶苦茶しづらいものなので、困り者なのですが、先日大脇さんがいらっしゃった時に良い方法を教えていただけました。
その方法とは、「CDと一緒に吹く」。たったこれだけです。
しかしながら、この方法は予想以上に奥が深く、時間もそれなりにかかります。
まず、練習する曲を決めたら、そのCDを聴きながら演奏します。その時、CDの音と完全にシンクロするまで繰り返し演奏する。当然その時はニュアンス(息の入れ方、タンギングのとりかた、節回し、音符に表れない音の長さ等)に注意して頑張りましょう。全く同じに出来なかったら、頭からハイもう一回。これを何度も何度も繰り返していき、曲のレパートリーがある程度増えてきたら・・・自然と「伊東さんはこんな感じィ」というのが分かると思います。
では、その「伊東さんはこんな感じィ」というのが非常に良く分かる、または沢山入っているお勧めの曲を何曲かピックアップしていきたいと思います。
かといって、いきなり「Big City」や「High Browがお勧め!」とか言っても困るでしょう(私なら困る)から、音符の比較的簡単さを考えて、スクエア時代のスローテンポな曲を中心にお薦めします。
また、アドリブソロはこの時点では考えておりません。とりあえずメロディ感覚をつかむのが目的ですので。(チャレンジしたい人はぜひやってみましょう)
・遠雷
私が一番最初にサックスで覚えた曲でした。理由は簡単そうだから。今思うと、とんでもなく浅はかでしたね〜。たしかに音符は簡単なのですが、伊東さんのように朗々とサックスで歌うことがどれほど難しいか分かる曲です。CDと一緒に吹くと、いかに「音符に表れない長さ」というものが重要か分かると思います。Bメロの「ファ#ファ# レードラ...」と入る所は特によく音を聴いて、ニュアンスを確かめましょう。また、この曲はダイナミクスレンジ(音の大小)を強く意識して吹きましょう。
・TWILIGHT IN UPPER WEST
名曲中の名曲ですね。私はこの曲で結婚出来たというのは一部で有名な話。(笑)
この曲は、タンギングをうまくやらないと結構モタる曲です。優しく、モタらないようにしましょう。前半部とサビの部分の切替えもキモですね。それこそ顔も切り替わる位感情移入バリバリにして吹きましょう。また、「T.K.ビブラート」の練習にも最適だと思います。
・MAYBE I'M WRONG
伊東さんの曲です。美しいメロディラインが特徴で、音を回す(素早くソ→ソ#→ソのように)フレーズが結構出てきます。この「音回し(と私は呼んでいる)」にもいくつもパターンがあるのが分かると思います。あと、この曲のアドリブソロは比較的簡単なので、初心者でも頑張れば耳コピー出来ると思います。頑張って下さい。
・A FEEL DEEP IN SITE
スクエア最初のアルバムで、頭の曲です。この曲は何が難しいって、その表現力の少なさ! 音がシンプルな分、こちらの力量がさらけ出されてしまいます(OMENS
OF LOVEもそうですね)。この曲も、CDと自分の音がシンクロするように頑張りましょう。ちなみに、このアドリブソロも頑張れば大丈夫だと思います(かなりカッコいいソロだし挑戦挑戦!)。
・MR. COCO'S ONE
最近ファンになった方、ついてこれますかぁ〜?(笑) スクエアの3rdアルバム「Make Me A Star」の1曲目なんですけど・・・。(^_^;
「な行」なタンギングが盛り沢山です。サビの部分はなかなかおいしい上昇フレーズで、吹いてて気持ちいいです。
・DESTINATION
これで「STARS AND MOON」から3曲目ですね。ベンドダウンやらタンギングやら、結構色々詰まってます。
抑揚もかなりつけて吹かないといけないのですが、決まった時の満足感大な曲です。
・Real Time Inverted
伊東さんのアルバムから1曲。「SCARE HEADLINE」6曲目の「安藤バラード」です。この曲、当初の予定ではミディアムテンポだったそうですが、伊東さんと協議の結果、スローバラードになったという経緯があったりします。しかしながら、その目論見は大正解だったようですね。これも部分部分で切替えが必要な曲。特に頭に戻るところは要注意!
とまぁ、こんな感じでしょうか? 他にもIt'sMagicとか、HIT AND RUNとか、SISTER MARIAN、CAPE
LIGHT、Big City、FAMOUS、SOMETHING HAPPY、Scare Headline、High Brow...あぁ、挙げ始めるとキリがない。(笑)