サックス・ウィンドシンセに共通する項目です。また、伊東さんの音楽観等、演奏するに際ヒントになるような事もアップしていきたいと思っています。

■タンギング
 よく「トゥー、トゥー」とやりなさいと言われがちのタンギングですが、これも鵜呑みにしてはいけません。
 正しいタンギングは音でいうと、

ルー、ルー」等のラ行。
  または
ナー、ナー」「ヌー、ヌー」等のナ行

です。
 よく初心者の頃に「「トゥー、トゥー」と教えられ、結果的に「ドゥー、ドゥー」とアタック感の強いタンギングになってしまう人が多いのですが(私もそうでした)、これはひどく汚く聞こえます。
 タンギングとは、「単に息を止めてあげる」行為のことです。妙なアタック、アクセントは禁物です。通常タンギングする時は、限りなく優しくしてあげてください。(初めてディープキスをする時のように!(笑))
 舌をリラックスさせて、力をあまり入れないようにするのがコツです。

 また、音がブレていないか等の問題と合わせ、一石二鳥の方法として、自分の吹いている音を
録音してみることをお勧めします。私も昔、スクエアのコピーバンドをやっていた際、何回目かのスタジオ入りの時、練習中録音をしてみようということになり、録音した結果、あまりの恥ずかしさに悶えた記憶があります。(笑)タンギングは「ダーダー」言ってるし、リズムは合ってないし、音は揺れてるし...etc。
 また、サックスを吹いている時は楽器の振動が頭蓋骨に伝わり、なかなか客観的に判断することができないので、非常に効果的に練習できます。

 伊東さんのタンギングは特に優しく、変な言い方ですが「鼻づまり」ですよね?(このニュアンス、分かっていただけるでしょうか?)
 ですから、伊東さんになりたい方は「♪タタラーパラタ」等ではなく、「♪ナヌナーダワパ」等と、アクセントをイメージ(2回目のダとかパはアタック感を出すという意)しながら練習して下さい。

 また、優しいだけではなく、豪快にアタック感を出すこともありますが、こちらも平行してやれば一層良いでしょう。ただ、前述の「ナ行な感じ」を出してからの方が舌の使い方が分かっているので、より効果的だと思います。

■フィンガリング
 伊東さんのフレーズを練習する時、どうしても乗り越えなければならない壁があります。
 素早いパッセージのアドリブをコピーするために、フィンガリングが大切になってきます。
 フィンガリングの注意点としては次の4つの注意点が考えられます。

・指の位置
 ▼サックス、メカニカルなキーを持つウィンドシンセの場合

 できる限り、指とキーの間隔を狭く維持できるように心がけましょう。
 開いているキーと指の間隔が広ければ当然キーを押す距離が長くなります。
 常に「指とキーが触れているか触れてないか」という状態がベストです。
 ただし、EWIとの持ち替えを考える場合、あまりクセをつけてしまうと、今度はEWIのキーを触ってしまうという問題も発生します。
 ▼EWIの場合
 EWIもサックスと同じ要領なのですが、問題はキーがタッチセンサーという所。当然あまりくっつけ過ぎるとキーが反応してしまいます。初心者の場合は「違う楽器なんだ」と割り切って、指の間隔を多少大きめに取るように心がけましょう。慣れてくれば自然と「適当な間隔」になってくると思います。後は「どこまでならキーが反応しないか」と近日点を見切るようにしましょう。

・薬指の独立化
 人間の手の指で何が一番言うことを聞かないかというと、薬指を上に上げる行為です。よって、一番難儀なのが薬指のキーアクションです。これは、普段から薬指をもう一方の手で反らせたり、暇さえあれば薬指を高橋名人のごとく連射していれば、そのうちよく動くようになります。(目指せ1秒間16連射!)
 
・手首のスナップ
 
すばやい指の動きは実際には指だけでなく、手首も回転させて指を連動させています。
 特に初心者に多いのですが、速く指を動かそうとあせり、手首がガチガチに固まっている人を見かけますが、全くの逆効果です。リラックスさせて、手首をよく回転させてやるようにしましょう。
 ちなみに、渡辺貞夫さん等は非常にこの「手首の回転」がよく分かりやすいのでライブ等行ったら良く見ておきましょう。

・速いフレーズは遅く練習
 速いフレーズは当然遅く吹けないときちんとしたリズムで吹くことは出来ません。
 当たり前の事を言っているようですが、勢いだけでフィンガリングしている人はいませんか?
 勢いだけで覚えてしまうと、後々リズムが合わない、すぐ忘れる、一度つっかえると後が続かない等々困った事態に陥ってしまいます。経験者が言うんだから絶対間違いないです。(笑)
 この問題の中でも「リズムが合わない」というのが一番困りもので、録音した音を聞いてみると一目・・・もとい一耳瞭然です。
 できるだけゆっくりのリズムからはじめ、絶対にあせらず、ブブカのジャンプのように小刻みに記録をのばして(速度を速める)いきましょう。

■伊東さんの「音色」に対するこだわり
 ADVENTURESツアーのパンフに掲載されている伊東さんのコラムの中で、ニューヨークのミュージシャンの個性について触れられています。以下、ADVENTURESツアーパンフ抜粋。

 ミュージシャンはすごく醒めて自分の個性を創っているように思う。アイツはこういう楽器を使ってアイツなりのスタイルを持っているから、俺はこの楽器を使って自分のスタイルを創る。とにかくオリジナリティというのが一番重要になってくる所ですね。だから自分がどうなんだっていう地位を見極めないと、まわりのことばかりが気になって生きていけないわけですよ。

 
伊東さんを「真似る」等というお題目のページを読んで(書いて)いる人間にはまさに耳の痛い話ですね(笑)。
 オリジナリティを追及した結果が、あの「伊東さんの音」というのは大変納得できます。スタイル的にも伊東さんは極めて個性的ですよね?
 本来、楽器(音楽)に対するアプローチはこのような形で行わなければならないということだけは肝に命じて、伊東さんに迫れるよう努力していきましょう。
 まぁ、ぶっちゃけた話、アマチュアレベルなら「素人だしぃ、音楽でメシ食うつもりもないしぃ、伊東さんみたいになれればいいやぁってかんじぃ〜」と開き直ってその人個人を徹底的に真似するのも良いかな? とコッソリ思ってますが。(笑)(それはそれで目標が高い分、かなり上達はするだろうし)

 
〜続く〜