ジンバブエ編−第3話 サンセットクルーズでカバに会おう! | ||||||||||||||
船は、ゆっくりと上流へ向かって進み始める。まわりを見ると、同じように夕暮れの クルージングを楽しもうという船が数隻、併走している。船員の案内では、ワニ・カバ・象 などが見られると言う。みんな、ケニアでのサファリのように目を凝らしながら周囲を見て いるが、いつまで経ってもなにも現れない。もう駄目かとあきらめかけたとき、前方に カバがいるとの声が上がった。大満足だったケニアのサファリで唯一の心残りがカバを 見れなかったことだけに、これは嬉しい。船がそちらに近づくと、水の中から目と鼻の辺り だけを出したカバが見えた。なんとか撮影しようとするのだが、なかなか水上に出てきて くれない。それどころか、完全に水に潜ってしまい、どこにいるのか見失ってしまった。 すると、今度は船の反対側で発見された。大きく口を開けてあくびをする様は、なんとも 言えないほど味がある。結局、10分ほど潜ったり顔を出したりを繰り返した後、水没した 藪の奥へと消えていってしまった。 船は、出発した船着き場へと戻っていく。途中で食べ物のサービスもあり、お腹もふくれ てきた。それに合わせてか、おしっこがしたくなったので、トイレに行ってみる。すると、 小さな箱に穴が開いただけのような台があり、そこに『大』と紙が流れずに残されていた。 と言うよりも、水を流す仕組みがないのだ。そりゃ、当然、流れないだろう。どうやら、簡易 トイレらしいのだが、うまく穴に入れば流れるのだろうが、きっと縁にひっかかってしまった のだろう(詳細には見てないが)。 汚い話は置いといて・・・船は下流に向かって進んでいるので、この先はビクトリアの 滝に繋がっているわけだ。前方には、空高く上る水煙も見えている。しかし、川の流れは 緩やかで、1分間に5億リットルもの水が流れ落ちているという感じはまったくしない。 もし、滝の存在を知らずに船で川を下ってきたら、滝の近くまで行ってしまい、気づいた 時には戻れないなんて悲劇も、昔はあったのかもしれない。 雷鳴が鳴り響き、遠くで稲光が見え始めた。大自然の中で見る稲光は大迫力である。 幸い、近くには落ちなかったが、これが後々、ぼく達にも影響することになるのだ。その 話は、また後ほど・・・ サンセット・クルーズとは言うものの、雷が落ちるくらいだから、当然、空は曇り模様。 残念ながら、夕陽は見えなかった。まあ、雨季だから仕方がない。小雨がパラつく中、 サンセット・クルーズは終了した。
バスでロッジまで送ってもらうと、ガイドさんが夕食のテーブルを、一緒にするか別々に するか聞いてきた。ナイロビから延々一緒だった4人での旅も、明日からは別行動で 今夜が最後。一緒に食べることにする。
その頃、同じように他の部屋でも大騒ぎになっており、隣の部屋だったKさん達はドアを 開けて中庭の方へ出て来ていた。中庭は、少し離れているがレストランに並ぶロウソクの 明かりもあって、結構明るい。部屋の中にいても暗いので、ロウソクを持って、みんなで 中庭に置いてある椅子に座ることにした。たまには、こんなのも風情があって良い。 しばらくして停電が収まった。部屋に入って数分後、また停電。この後、何回か同じ様な ことを繰り返した後、ようやく収まった。翌日、ガイドさんに聞いた話によると、町中、停電 してたらしい。 食事に行くと、Kさん、Tさんは、先に来ていた。実は、一度電話があったのだが、出て すぐに切れてしまい、なんだかよくわからなかった。どうやら、それが連絡だったらしい。 彼女達は、ビクトリアフォールズで3泊の予定だ。ケニアで過ごした5日間のことが思い 出され、チェゲの話で盛り上がる。昨日までは、まだまだ先の長い旅と思っていたが、 思い出が増えるにつれ、旅の終わりが見え始めてきた。それは、ぼく達より1日先に スケジュールが進んでいる彼女達にとっても同じだったのではないだろうか。言葉には 出さないが、そんな表情が垣間見えたような気がした・・・ 食事の後、レストランの片隅で民族音楽を奏でていた奏者のところへ行ってみた。 彼が使っていた楽器は、ムビラという体鳴楽器で、彼自身が作ったものらしい。いかにも 廃物を利用して作ったようなその楽器は、彼と同じく温かみと深い味わいを醸し出して いた。ぼく達もさわらせてもらったが、発せられる音はとても美しかった。 [ケニア編−第2話へ戻る] [目次へ戻る] [ジンバブエ編−第4話へ進む] |