ケニア編−第4話 野生動物たちの世界へ
  30分近く休んで、再びサファリカーに乗り込む。走り始めたと思ったらすぐ近くのガソリンスタンド
 へ入る。車が停まった途端、大勢の売り子が土産物を持って車のまわりに集まってきた。しかし、
 これからサファリを始めようかと言うときに、買う気もしないので、いらないと言うが、かなりしぶとく
 窓に品物を押し付けてきていた。こういう強いアピールは、カンボジア以来久々なので、ちょっと
 懐かしさを感じてしまったが、あまりにしつこいのには参ってしまった。それでも、誰も相手にしない
 時間が延々続くと、ようやく売り子も諦めて車から離れて行った。
  ふと目をやると、ガソリンスタンドの脇に、今夜の宿、オルトカイロッジまで73kmという案内が
 見えた。

  燃料が満たんになった車は、ガソリンスタンドの先を左折し、ついに未舗装の道へ入った。時折、
 岩が路面に露出したようなひどいガタガタ道や大きな窪みがあるけれど、それ以外は、割と良い
 状態になっていて、車はどんどんとばして行く。途中、ソマックのサファリカーが対向して走って
 きたと思ったら、フリーウェイツーリストのケニア駐在員、岩城さん率いるツアーの車だった。
  普通なら、ケニア到着時には、岩城さんの出迎えを受け、行程の説明などを受けることになって
 いるのだが、今回は、3月17日発のケニア9日間ツアーのサファリに同行しているということで、
 空港での出迎えはヨンゴさんが来たというわけだ。ちなみに、ぼく達より1日早くナイロビ入りして
 いたKさん、Tさんは、空港で岩城さんの出迎えがあったそうだ。

  12時30分頃、ようやくアンボセリ国立公園のゲートに着く。入るには手続きが必要らしく、
 チェゲが車から降りている間に、また土産物の売り子が群がってきた。買わないと言うと、きりん
 などの木彫りの置物が、ライターかボールペンと交換でもいいと言う。どう考えてもおかしいと
 思っていると、やがて、ボールペンと10ドルでよいなどと言いだした。さっきまでとぜんぜん違う
 やんけ!

シマウマ

キリン  サファリカーはゲートを通り抜け、ロッジを目指す。
すると、今までのことが嘘のように野生動物が
たくさん現れた。シマウマ、ダチョウ、トムソンガゼル、
キリン、ヌー、ハゲコウ・・・まるで、絵本に登場する
動物の世界へ迷いこんだかのようだ。時には、
シマウマが車の真ん前を横切って行ったりもする。
テレビで見るのとは違い、筋肉の張りや毛並みまで
感じ取れるこの迫力には、圧倒されて見入ってしまう
ばかりだ。
 また、左手には、乾季には干上がってしまうと言う
アンボセリ湖が大きく広がっている。チェゲによれば、
アンボセリと言うのは、「salt dust」と言う意味らしい。
 そのチェゲだが、とても目が良いようだ。アフリカに
住んでいる人達は視力が4とか5とかあるという話は
聞くが、どうやら本当のようだ。ぼく達には遠くて点に
しか見えないようなものでも、あれはサイだ、あれは
ヌーだなどと、言いあててしまう。双眼鏡で見ても、
どうにか判別出来るかどうかと言うくらい遠いのに・・・
目の良さが発揮されるのは、遠いところを見るだけ
ではない。例えば、薄暗い林や、藪の中で寝ている
ような動物まで見つけてしまうのだ。彼らの目には、
きっと、ぼく達では見えないような物も、たくさん見えて
いるのだろうと思う。

  道を進んで行くと、前方に柵で仕切られた一帯が見えてきた。車は、道の部分だけ開いている
 狭い通路を抜けるのだが、そこにも、上から針金を垂らしてあり、車体の上を引っ掻くようにして
 通り抜ける。これは、象がロッジのある区画へ入って来ないようにするためのものだそうだ。
  そんなサファリを軽く楽しみながら、13時、塀の上を歩くバブーンに迎えられて、ようやく車は
 今夜の宿、オルトカイ・ロッジに到着した。

バブーン



[ケニア編−第3話へ戻る]     [目次へ戻る]     [ケニア編−第5話へ進む]