前田の算数

合唱指導のコツ
「COSMOS」の指導は、サビから!
合唱曲「COSMOS」 作詞・作曲 ミマス

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 聴かせどころから指導する
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 曲想の指導をする際、どんな順番で指導するだろう。
 曲の最初から順に指導していく方が多いのはないだろうか。
 私自身、以前は特に考えず、頭から順に指導していた。

 しかし、曲の最初の方はじっくりと指導したものの、発表の日が近づくにつれ、時間がなくなり、曲の後半部分は慌てて指導するなんて経験もあった。

 最近は、何も頭から順に指導する必要はないのかなあと思っている。
 「一番の聴かせどころ」
 「歌っていて一番気持ちのよいところ」
 を、まず始めに指導する
 その方がよいのではないかと思っている。

 「COSMOS」なら、「光の声が・・・♪」のところ。
 やっぱり、ここが聞かせどころである。
 「ひーかり」の「ひ」。
 この高い「ミ」が綺麗に響くと、かっこいい。

 「光の声が・・・♪」の「ひー」を綺麗に歌えるようにしてから、そこに向かう「今も身体に流れてる♪」のクレッシェンドを作っていく。
 そうすることで、子供たちは「ひー」を際立たせようという目標をもって、クレッシェンドを作ることができる。


 
ステップ① サビの 「ひ」を指導する
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 聴かせどころから指導する
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 まずは、聞かせどころの「ひー」を練習する。
 この高い「ミ」を、綺麗に且つ大きく響かせたいものである。
 しかし、ここは大きく歌わせることはぐっと我慢して、綺麗に歌わせることだけに絞って指導していきたい。
 高い声を無理して大きくしようとすると、汚い声になってしまうからである。
 ついつい「もっと大きな声で」と言いたくなるが、ここはとにかく我慢、我慢。
 子供たちは、綺麗な声に自信が出てくると、自然と声が大きくなっていくものである。

(※綺麗な声にするための練習方法については、
 「歌声をきれにする5つのコツ」をご覧ください。)


 「ひー」のところで、気を付けないといけないのが、子音である。
 子音をはっきり出さないと、「光の声」が「怒りの声」になってしまう。
 子音をはっきり出させる練習は、歌わずに「ひ」と言わせることから始めたい。
 
 ① まずは子音のHを伸ばしてから、「ひ」と言わせる。
 ② そして、だんだん、子音を伸ばす時間を短くしていく。、

 「HーーーーIーー」

 「HーーIーー」

 「H-Iーー」

 「HIーー」
 という練習である
 そうやって、子音のHを意識させていきたい。

 
 ステップ② サビ全体を指導する
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 「きこ」と「ほし」に向かわせる
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 「ひー」が綺麗に響くようになったら、今度は、サビ全体の曲想をつくっていきたい。

 「ひ」にばかり意識が向くと、
 「ひーりの こーえが そらたかく・・」と、尻つぼみになってしまいがちである。

 そこで、「ひ」の後にも子供の意識をもっていきたい。
 「ひかりのこえが そらたかく きこえる」の「きこ」。
 そこに意識をもっていくのである。
 子供たちには、
 「きこ」に歌声を集合させよう
と投げかける。

 そして、「きこ」に向かって、歌声を盛り上げていく。
 「きこ」の前の「そらたかく」は、間に「あ」を挟んで、
 そ ら た か く
 と歌わせる。

 「ら た か く」と高めていき、「きこ」で歌声を集合させる。
 そうすることで、サビが単調でなくなる。

 「きこ」の次の集合場所は「ほし」にすべきだろう。
 「きみもほしだよ」の「ほし」の部分である。

 「きみも」の部分は、1部と2部のリズムが異なる。
 しかし、「ほし」のところで、1部と2部のリズムがそろう。
 子供たちには
  ばらばらに動いていた1部と2部が「ほし」で合流するんだよ。
 と伝える。
 子供たちには、分かれて合流する掛け合いの面白さ味わってほしい。
 1部は2部を、2部は1部を、互いに意識しながら、「ほし」で心をそろえる。
 「ほ」と「し」は、少しアクセント気味に歌わせてもよいと思う。

 
 ステップ③ サビの前のクレッシェンドを指導する
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 歯磨き粉をしぼり出すイメージで
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 サビの部分を歌えるようになったら、次は「光の声・・♪」の「ひ」が際立つように、その前のクレッシェンドを作っていく。

 クレッシェンドのイメージは、
 左下の図ではなく、右下の図のようなイメージである。

 子供には、このような図を提示してあげるとイメージしやすい。
 最後に、ぎゅっと上がる感じである。

 身近な物に例えるなら、
 残り少ない歯磨き粉をしぼり出すイメージで
と伝えることがある。
 歯磨き粉を端から順に、折り曲げていき、最後に、うにゅっと出すイメージである。

 或いは、
 ところてんのイメージで
 という例えを使うこともある。
 ちょっと古めかしい表現の気もするが、案外、今の子供たちにも伝わったりする。

 ここでのポイントは、
 最初から頑張り過ぎないこと
 である。

 ここでのクレッシェンドは、「流れてる♪」の2小節をかける。
 焦って早くクレッシェンドをし始めると、息切れしてしまうのだ。

 ポイントの2つめは、
 クレッシェンドの最後に、もう一押しさせること
である。

 子供には、
  「流れてるー」の最後に「」を付けましょう
と言えばイメージしやすい。
 「流れてるーー」と歌わせるのである。

 気を付けないといけないのが、「う」を意識する余り、声が汚く 「う゛」となってしまうことだ。
 そうならないように、私の場合、
 最後の「う」は押すのではなく、
 歌声の大きな風船をぽーんと飛ばすイメージで
と伝えたい。

 それでは、どこに飛ばせばよいのだろう。
 ここでは、是非、ピアノ伴奏の子に向けて飛ばしたい。

 ピアノの子には、
 歌声のパワーを受け取って、力強く鍵盤を叩きましょう
と指示する。
 「ひ」の一拍前の和音のところである。
 ピアノの子には、
「ピアノを壊すくらいの強さで」
と言ったりもする。
 そして、
 みんなから受け取ったパワーを、みんなにはじき返すように
と伝える。
 
 みんなは、ピアノの子に向かってパワーを飛ばし、
 はじき返されたパワーを受け取って「ひー」と歌う。
 「るーーう」「ジャン」「ひーー」
 というイメージである。

 「るーーう、ジャン、ひーー」の練習。
 これは、やってても気持ちよくて盛り上がる。

ステップ③(その2)
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 クレッシェンドの手前は小さく
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 さて、クレッシェンドをもっと際立たせるために、もう1つポイントがある。
 それは、
 クレッシェンドの手前で、少し小さくすること
である。
 これは、どの曲でも言えることなので、習慣にしておきたい。

 人間の声には限界がある。
 10の声から、10上げようとすると20の声が必要になる。
 無理して出すと汚くなってしまう。
 そうではなく、クレッシェンドの手前で3落として7にしておけばいい。
 10上げても17の声なので、無理せず綺麗に出せる。

 この曲でいえば、「今も身体に・・♪」の「か ら だ に」の4文字で、階段のように一段ずつ声を小さくしていく。
 そうすることで、「流れてる」のクレッシェンドが際立つのである。
 
 ステップ③(その3)
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 薔薇の匂いを嗅ぐように
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 クレッシェンドができるようになったら、その手前の部分を演出したい。
 これから始まるクレッシェンドを予感させるような演出である。
 「百億年・・・♪」の部分である。

 出だしの「夏の・・・♪」のところは、肩の力を抜き、とにかく無理せず綺麗な声で歌う。
 そして、「百億年の・・・♪」から、声の質をがらりと変えて、深い声で歌うのである。

 深い声という言葉でイメージが付きにくければ、
「Oh~ロぉミオー❤」「Oh~ジュぅリエット❤」と呼び合うときの声だよ
などと子供に伝える。

 さて、深い声を出させようとすると、ついつい、声の出し方にばかり気を取られがちになる。
 しかし、案外、声の出し方よりも、息の吸い方で、声が決まるものである。

 子供たちには、顔の前で手を合わさせ、その手を薔薇だと思うように指示する。
 そして、
 薔薇の匂いを嗅ぐように、たっぷりと息を吸い込みましょう
と指示する。

 たっぷりと薔薇の香りを吸い込んだ後に声を出させてみると、自然と深い声になる。
 不思議なことに、薄っぺらな声を出そうと思っても、出しづらいのである。
 こんな実験をしてみせることで、息の吸い方で声が変わることを、子供たちは実感できる。

 
 
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 聴かせどころから指導する
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 細かい部分を指導すれば、限りはないが、これで大まかな曲想の完成である。

 本稿では、サビから曲想を作っていくアイディアを紹介した。
 子供が1番歌いたい部分から歌わせていくのである。

 それに、同じクレッシェンドの指導をするのであっても、
 「楽譜にクレッシェンドと書いてあるから」
 と無理矢理やらされるのではなく、
 「聴かせどころを、際立たせるために」
 という意識で練習する。
 その方が、ずっと合唱が楽しくなる。

 
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