前田の算数

小学校外国語活動
外国語活動って
どんな力を付ければいいの?

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1、どんな力を付ければいいの?
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外国語活動というと“楽しくゲームをする時間”といった印象をもってしまいがちである。
外国語活動が導入された当初は
「高学年の子どもが楽しくゲームするだけでいいの?」
「外国語活動で、一体子どもにどんな力を付ければいいの?」
という疑問の声が聞かれた。

もちろん、外国語活動は、ただ楽しくゲームするだけの“遊びの時間”であってはいけない。
学習指導要領において、外国語活動の目標は次の3つの柱から成り立っている。


外国語活動 3つの柱
@異文化理解
 外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深める

Aコミュニケーション
 外国語を通じて、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図る

B英語のスキル
 外国語を通じて、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむ


外国語活動は、これら3つの目標を踏まえた活動でなければならない。
もちろん、外国語活動は楽しい活動であってよい。

しかし、その楽しさについて管正隆先生は、
「fun(ファン)ではなく、知的好奇心を伴ったinteresting(インタレスティング)な楽しさにしなければならない」
と述べられた。

知的好奇心に訴える活動でなくてはならないという意味であろう。
“ゲームの楽しさ”ではなく、“外国語で伝え合う楽しさ”を味わえる活動にしていきたい。



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2、大切なのは、3つの柱のバランス!
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 “@異文化理解”“Aコミュニケーション”“B英語のスキル”の3本柱。

管先生は、この中でも、「“B英語のスキル”の扱いに留意してほしい」と述べられた。

外国語活動が導入された当初、マスコミでは、スキルばかりを教え込もうという論調や、逆に スキルはどうでもいいという論調など、極端な意見が聞かれた。
しかし、スキルばかり教え込んでも駄目だし、逆にスキルがなくても駄目である。
大切なのは3つの柱のバランスなのである。


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3、まず、コミュニケーションありき!
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 指導要領の「内容」を見ると、“@異文化理解”“Aコミュニケーション”の2本柱となっている。そして、“@異文化理解”や“Aコミュニケーション”を図る際のツール(道具)として、“B英語のスキル”を身に付けていくようにと記されている。

 つまり「まず、スキルありきではなく、まずコミュニケーションを!」ということであろう。
「こんなスキルを身に付けよう。そしたら、こんなコミュニケーションができるぞ。」
という発想ではなく、
「こんなコミュニケーションをしよう。そのために、こんなスキルを身に付けよう」
という発想で授業をしていくべきだということであろう。


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4、自分の頭を切り換えなくては…!
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 私たちが学生時代に受けてきた教科としての英語と、これから行っていく外国語活動では、趣旨が異なる。
 まずは、自分自身の頭を切り換えなければなるまい。

 古い日本の英語教育では、まず文法を理解し、その文法を使っていろいろな用法を広げていくというスタイルが一般的であった。
 しかし、大城賢先生は、コミュニケーションを伴わない文法の学習を、料理に例えて“フォークやナイフの使い方だけを知っていて、料理がないのと同じである”と述べられた。
 フォークやナイフは使えなくても、まずは、とにかく食べてみればいいのである。

 たどたどしい英語でも、伝わると本当に楽しい!
 これは、英語初心者である私が実際に英会話教室に通ってみて感じたことである。
 子どもたちにも、“伝え合う楽しさ”を感じてほしい。

 もちろん、フォークやナイフの使い方を知ることも大切なことである。
 しかし、あくまでも料理があってこその道具である。
 目の前に美味しい料理があるからこそ、道具の使い方を本気で学習したくなる。
 あくまでも英語のスキルは、コミュニケーションを図るための道具(ツール)であることを忘れてはなるまい。


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5、1番大切なのは、伝え合う切実感!
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 外国語活動で1番大切なこと。
 それは、「伝えたい」「聞きたい」という切実感だと、私は考える。


余談:小学校の外国語活動は、今後の英語学習への滑走路

 大城賢先生の講話の中に面白いエピソードがあった。中学校のテストには、単語の順番を並び替えて文を作る問題がある。昔は、I apple like.などの誤答が多かったのだが、最近は少ないのだそうだ。それは、決して文法を理解しているからではない。日常で英語を耳にする機会が多くなって、「I apple like.はおかしいな」と何となく感じることができるようになったのである。
 中学校では、文法を学ぶ。その時に、小学生時代に何となく耳に入っていた散らかった知識を、整理整頓するのである。散らかった知識すらなければ、整理することはできない。小学生の間は、とにかく散らかっていてもいいから、その素地を作ることが大切なのだと、大城先生は述べられた。
 今までの英語教育は、中学校からいきなり勉強としてスタートしていた。大城先生曰く「滑走路がなかった」のである。小学校の外国語活動は、これからの英語学習への滑走路だと捉えれば、少し気持ちが楽になる。小学校英語で学習したことは、もう1度中学校でスパイラルに学習される。大切なのは、習熟させることではなく、素地を養うことなのである。
 考えてみれば、理科や社会なら、滑走路として生活科がある。植物を育てたり、学校探検をしたりする活動が、理科や社会の素地となる。算数の図形学習なら、1年生の時に色板や空き箱を使ってとことん遊ぶ。そんな活動が、平面図形や立体図形の学習の素地となる。英語にだって、滑走路の時期があってもいいのではないだろうか。無理にスキルを習得させようと肩肘を張らずに、ゆったりとした気持ちで外国語活動と向き合っていきたい。

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