前田の算数

前 田 の 算 数  実 践 事 例
4年「折れ線グラフ」
800m走ラップタイム ― イエゴ選手の走りに近づこう ―

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 本 時 の 展 開 例 @ (3/10時)
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(前時までに)
 体育で800m走に取り組んできた子どもたち。自分たちの走りを見直そうと、イエゴ選手(世界陸上800m走金メダリスト)と自分のラップタイムを測定し、表にまとめた。
 本時では、変わり方をもっと見やすく表す方法について考える。

学習課題 変わり方をもっと見やすくする方法を考えよ

 

1、変わり方をもっと見やすくする方法を考えよう

T: 変わり方がぱっと見て分かるようにするには、どうすればいいかな?
C: グラフに表すといいんじゃないかな。3年生で学習した棒グラフにしてみよう。
C: 折れ線グラフっていうのを見たことあるよ。折れ線グラフで表してみよう。

2、折れ線グラフ

T: 線でグラフをかいた人がいますが、このグラフの意味は分かるかな?
C: 棒グラフの頂上だけを点で結んで、棒の部分を省略したグラフです。
T: どうして、線で結んだのかな?
C: 変わり方を見やすくするためです。

3、棒グラフと折れ線グラフ、どっちのグラフを使っていきたいかな?




T: 棒グラフと折れ線グラフ、どっちを使っていきたいかな?
C: 折れ線グラフを使いたいな。だって…、
  ・だって、棒グラフは色を塗るのが面倒だけど、折れ線グラフは、速くて簡単だもん
  ・だって、折れ線グラフは、傾き方で分かるもん。棒の部分は必要ないよ。
  ・だって、折れ線グラフは線だけだから、イエゴ選手の記録と重ねてかけるもん。

授業のポイント
学習課題を明確に!
 最も優れたグラフとは、自分が表したいことを、最も表せるグラフである。最も表したいことを強調するために、他の要らない部分を省略していくのである。であるから、「何を表したいのか」という目的意識が大切になってくる。
 本時にいたるまでに「変わり方を見やすく表したい」という目的意識を明確に持たせておくことが、授業のポイントになる。

授業のポイント
面倒だからって、かかなくてもいいの…
 棒グラフと折れ線グラフのどちらがいいかを話し合う中で「棒グラフはかくのが面倒だ」という意見が出てくる。そこで「面倒だからって、かかなくてもいいの…」と揺さぶりをかけることで、話し合いが深まる。
 話し合う中で、「変わり方を見たいんだから、下の棒の部分は必要ない」などの意見が出てきて、折れ線グラフの特徴が浮き彫りになる。

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 授 業 の 展 開 例 A (7/10時)
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(前時までに)
 「@走る」「Aラップタイムを折れ線グラフに表す」「B走りを考察する」という活動を繰り返し行ってきた子どもたち。回数を重ねるうちに、どんどん1秒の重みが増していった。そんな中、1秒の違いもはっきり分かるようにと、波線で下の部分を省力し目盛りを大きく取る子が出てきた。
 本時では、そんなグラフを取り上げて、よさや特徴について考える。


学習課題 走りを振り返るのに、どっちのグラフを使っていきたいかな

1、大輔君は、どんな手品を使ったのかな?

T: 実は、AもBも両方とも大輔のグラフです。
   大輔君は、どんな手品を使ったのかな。
C: 下の部分は省略して、1目盛りを大きくとったんじゃないかな。

2、走りを振り返るのに、どっちのグラフを使っていきたいかな

T: 走りを振り返るのに、これからどっちのグラフを使っていきたいですか?
C: これからは、Bのようなグラフを使っていきたいな。だって…
  ・だって、要らない部分をとった方が目盛りが大きくとれるもん
  ・だって、変わり方が見やすいもん。1秒の違いまでぱっと見て分かるよ。

授業のポイント
本当の高さじゃなくなるけど、
いいのかな?

 話し合う中で、波線で下の部分を省略して、目盛りを大きくとった方がいいという子どもが多数になっていく。
 そこで、「下の部分を省略すると本当の高さじゃなくなるけど、いいのかな」と揺さぶりをかける。何しろ、3年生「棒グラフ」の学習では、「高さで表すこと」の大切さを学習してきたのである。
 子どもたちは、考えを見つめ直す中で、「Bのグラフで見やすくなること=傾き具合 (=ラップタイムの変わり方)」「Bのグラフで見えなくなることは=本当の高さ(=ラップタイムの秒数そのもの)」であることに気付いていく。
実践記録 指導案(PDF) 前田の算数TOP
論文 「問い」を子ども自身のものにするには 〜4年「折れ線グラフ」の実践から