1.5世代モバイルコンテンツ(3)

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モバイルコンテンツのポータル争い。

現在インターネットでは、熾烈なポータル争いが加熱しているが、この争いが携帯電話用のコンテンツやPDAコンテンツにも及ぶ事は火を見るより明らかだ。現在でもYahoo!やInfoseekが携帯電話用のサイトを開設し携帯電話用のポータルを目指しているが、携帯電話用のコンテンツのポータルは従来のブラウザのスタートページとは若干異なる形態になるだろう。今まではインターネットに接続した時最初に現れる画面を争っていたが、モバイル用のポータルは携帯電話でインターネットに接続した時のスタートページではなく、携帯電話やPDA用の待ち受け画面になるだろう。

現在、携帯電話用の待ち受け画面をダウンロードするサービスはかなりの人気コンテンツになっているが、現在はただ待ち受け画面をダウンロードだけだ。 しかし、今後は待ち受け画面に様々なコンテンツが流される事になるだろう。 現在、携帯電話の待ち受け画面には現在の日付と時間、バッテリィ残量、現在の電波の状態などを表示するだけだか、インターネットに結びつけば現在待ち受け画面以外にも様々なコンテンツの提供が可能になるだろう。 携帯電話やPDA用の待ち受け画面は常に表示されおり、最も見る機会が多い画面である。このスペースに定期的にコンテンツを配信する事ができれば今までよりもコンテンツの受信者に強い影響を与える事ができるようになる。

問題は待ち受け画面にどのようなコンテンツを配信するかであるが、まずはニュースの配信が考えられる。今までの携帯電話用でもインターネットに接続すれば、ニュースサイトを見る事ができたが、配信されたニュースを待ち受け画面で見る事ができるようになれば、わざわざ携帯電話やPDAを操作する事なく最新のニュースを見る事ができるようになるだろう。また、株価や天気の情報などリアルタイムで変わる情報も待ち受け画面に配信されるようにすれば、自分から情報を取りに行く事なく自然に向こうからに自分の望む情報がやってくるようになるだろう。

「自分の好きな情報が自動的に配信される」という機能は「プッシュ」というコンセプトで以前からあったが、携帯電話やPDAの待ち受け画面が「プッシュ」と大きく違う点がある。それは、以前の「プッシュ」はニュースや株価などの一般的な情報だったが、PDAや携帯電話の待ち受け画面は一般的な情報以外にも相手のステータスなども表示できるようになるだろう。ICQやAIMなどのインスタントメッセンジャー(以下IM)と呼ばれるショートメッセージを相手に送信できるソフトが人気だがIMの人気は相手にメッセージが送る事ができるという点だけでなく、相手の現在の状況(今忙しい、時間が空いている。など)が一目でわかる機能が付いている。 相手の状態を電話したりメールを送るまで相手の状態がわからないのはとても不便だが、携帯電話やPDAにIM機能が搭載されれば相手の状態を一目でわかる事ができると同時に相手も自分の状態を知る事ができるので自分が忙しい時は相手は連絡をする事を控えるようになるだろう。

しかし、相手の状態がわかるといってもいちいちネットにつないで相手の状態 確かめるという方法では非常に面倒だ。だが、常にインターネットに接続した状態でモバイル端末の待ち受け画面に相手の状態が表示されるようになれば、いつでも相手の現在の状況を見る事ができるようになるだろう。PDAの待ち受け画面にニュースなどを配信する事も確かに魅力的なサービスであるが、自分に関係がある人達の現在の状況をリアルタイムで知らせてくれるサービスは今までにないサービスになるだろう。

現在の携帯電話とIMT−2000をつなぐ物

今までは携帯電話用のコンテンツが中心であったが、これからはPDA用のコンテンツやゲーム端末用のコンテンツなど、携帯電話以外のコンテンツの提供も始まっていくだろう。既にソニーは9月に発売予定のpalm端末用のコンテンツ提供を発表している。提供するサービスは小さい画面でも楽しめる動画や漫画,メール・マガジンなどの提供やや、ユーザーがデジタル・カメラなどで撮影した静止画/動画をアップロードして保管できるサーバー・サービスを始める予定だ。しかし、これらのサービスを快適に受けるためには現在の携帯電話のデータ受信能力では快適に受信する事は難しい。また、前述した「待ち受け画面」を利用したサービスは携帯電話やPDAの常時接続が前提となっているサービスだ。ニュースなどは一日に何回かダウンロードしそれを待ち受け画面上で流すという事も考えられるが、自分の友人の現在の状態を 確認する機能は常時接続でないと実現しない。残念ながら通信速度が速くしかも料金が定額もしくは限りなく定額に近い料金設定のモバイル端末は現在のところ存在しない。しかし、既存の技術で定額と現在より早いスピードの2点が実現する可能性が既に存在している。それはPHSである。

アステル四国、月3,000円のインターネット定額通信サービス「ねっとホーダイ」サービスを開始している。これは、アステル四国のPHSを接続する場合、午前1時から午後10時までの21時間、データ通信料が月額3000円で使い放題となるサービスである。 また、アステル北陸は通信料金月額 2,500円(基本料・プロバイダー料金別)で24時間使い放題となるサービスの提供を始めている。残念ながら全国でのサービス提供やアステルが計画してるiモードライクのサービスでの提供は今のところ適用外だが、将来的には全国でのPHSによる常時接続の可能性もでてきた。 さらに、PHSは現在の携帯電話に比べて通信のスピードも早い。現在の携帯電話の通信速度は9600bpsだが(ただし、cdmaOneは64kに対応している。)、PHSは64kbpsの速度を出す事が可能だ。また、IMT−2000とPHSを比べると現段階では圧倒的にIMT−2000の方がスピードが早いが、DDIのPHSは年内には128kbpsのサービスを開始すると発表している。さらに時期は未定だが384kbpsのサービスも検討しているという。IMT−2000は2Mの高速通信というが大々的に発表されているが、様々な事情によりサービス開始時の最高スピードは384kbpsになる予定だ。仮にPHSで384kbpsが可能になれば短期的に見ればIMT−2000と十分勝負ができるはずである。また、PHSには回線交換とパケット通信をオンデマンドで切り替える技術も検討されている。パケット料金はメールやテキストベースのページなどの軽いコンテンツを見るときは便利だが、音楽データや動画データなどの「重い」コンテンツをダウンロードする場合は前述した通りかなりの料金を請求される。そこでDDIポケットでは、電子メールや文字ベースのコンテンツ閲覧などにはパケット通信を用い、大量のデータ通信(PCでのWebアクセスや携帯端末への音楽配信など)では回線交換を用い、それを自動的、もしくはオンデマンドで切り替える手法を検討中だ。

このように、PHSは現在の携帯電話よりもスピードが早く、PDA向けのコンテンツやゲーム、音楽コンテンツなどを取り扱う場合、普通の携帯電話よりもすぐれている。 palm端末やゲーム端末へのネットワーク対応には様々な可能性があるが、それらのコンテンツをネットワーク経由で取り扱うには携帯電話よりもPHSの方が有利であるだろう。さらにPHSは定額制への可能性と、IMT−2000並みの通信速度が実現する可能性もある。今後は携帯電話向けのコンテンツだけでなく、PHSを使ったゲーム端末やPDAなどの連動も考えるべきであろう。


00/08/18

作成・横田真俊

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