ねむいな。ねちゃおうかな。 でも巣穴のまわりのしゅうふくをもすこしちゃんとしたいきもするしさかなもとってきたいしそういえばたいようのえきすはどこにかたづけたんだっけな、とおもううちにいしきがとおくなった。 「フリック」 とよぶこえと、ごつ、とひたいが巣穴のゆかにくっつくのがどうじにきこえた。 いたい。つまみあげられた。くまのかおがめのまえにある。 「寝るならちゃんとつぼに入って寝ろよ」 そういうくまのこえもねむそうだ。 くまはまだねないのかな。 「俺はも少しすることがあるから」 じゃあおれもねないでてつだう・・・。 「いいからねろって」 やだ。 「しかたねえなあ」 じぶんをはちうえにしようとしていたくまの手が、つぼのかわりにふところにいどうした。あたたかい。 「手伝うとかいわねえでせめておとなしくしてろな」 わかった。でもあたたかいとねむいな。ねちゃおうかな・・・。 うおー、とくまがあくびをした。うるさいけどあんしんする、けどやっぱりうるさいな。でもあたたかい・・・。
***
寒い中少し魚を捕り足していたら、雪が降り出した。 あわてて帰って火を起こした。 自分はともかく、フリックが凍りつきでもしたら大変だ。 巣穴にないよりはまし、という程度の戸締まりをする。 球根になってからも意地になって起きていたフリックが、懐で目をこすっている。 どうやら限界らしい。 「俺ももう寝るから、お前も寝ような」 俺も限界だ。寝床に転がると、こくこく頷いたフリックが、懐からふらふら出ていく。 つぼまで運んでやろうとしたら、手出し無用、という風に遮られた。 最後まで意地っ張りな奴だ。 あぶなげな足取りで冬を越すつぼにたどりつく。すーすーと寝息が聞こえだした。 ・・・間に合わなかったようだ。つぼのなかのやわらかくしきつめた土にたどり着く前に、変なところで寝にはいっている。
どこに根を下ろすつもりだ。 そのまま本格的に冬眠に入ってしまったようなので、つまみあげてつぼの中に寝かせた。 このまま春を迎えたらそれはそれでおもしろそうだが、発育不良にでもなったら大変だ。 雪が降り始めたせいで、外は寒くて余計に静かだ。 巣穴の中は暖かいし、すーすーと穏やかな寝息が聞こえる。 春は待ち遠しいが、こういうのも悪くない。 もう一度球根がつぼの中におさまっているのを確認して、目を閉じた。
じゃあやめ
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