hug and that.




何だか知らないがフリックが上機嫌で寄ってきた。
そんな顔してたらこうするしかないだろう、と思ってぎゅうと抱き寄せた。
男は何するんだ莫迦、と逃げようとする。声が笑っている。
逃げられないようにそのまま抱え上げる。男が宙に浮いた足をふざけてばたばた動か している。
子供にするような所作に、子供のように笑っている。
かわいいなおい。
ちょっと頬をつついてやりたいくらいの勢いだ。
何がそんなに嬉しいのだろう。何か良いことがあったのか。
そうか。俺が久しぶりに帰って来たからだな。
何せひどい作戦だった。
3日の予定が5日になって一週間になって、ようやく10日目に帰ってこられたのだ。

作戦をたてやがったのはどこのどいつだ。
挙げ句に帰るなり報告だ軍議だのといいやがる。
ちょっとは休ませろってんだ。
「鬼軍師め・・・・・・」
がん、と足をけとばされて目が覚めた。


目を開けると軍議をしきる席で鬼軍師がこちらをにらんでいる。
冷たい視線に足が余計痛むような気がしたが、足をけったのは鬼軍師ではなく隣に 座った愛する相棒だった。
「居眠りするならばれないようにしろよ」
疲れているのはわかるけれど、と声をひそめて怒られた。
軍議の真っ最中とあって表情はかたい。
さっきはあんなにかわいかったのに。
「あー・・・」
何だ夢か。惜しいことをした。触り放題で笑顔全開でやたらいい夢だった。
こんなことならもっと触っておけば良かった。
卓の下で手をつなごうとしたら軍師に負けない冷たい視線がささった。
「寝ぼけるな莫迦熊」
ひそひそと言って手の甲をつねあげる。
「いてえって!」
「・・・何を騒いでる」
フリックは素知らぬ顔で書類に目を落とした。
軍師の非難のまなざしが俺にだけ向かってくる。
いっそ出て行けと言ってくれれば部屋で眠れるのだが、軍師はひとにらみしてから軍 議の進行に戻った。
石になるかと思った。
珍しく要領よくしのいだフリックが書類の陰で笑っている。
「お前なあ・・・」
「ほら。こうしてればあっちから見えないから少し休んでろよ」
フリックの手が、軍師の視線から自分をかばうように手元の書類で死角を作った。
寝言は駄目だぞ、と言って笑って見せる。
・・・・・・・・・かわいい。
隙があったので書類の陰で唇を寄せた。
「なっ・・・」
フリックが赤くなった。これはこれでかわいい。
「仲がよろしいことですね」
良く通る声で、フリックの隣にいた赤騎士が言った。
「ビクトールさんてところかまわずだよね!」
軍師の隣、のさらにリーダーの隣で退屈していたらしいナナミがでかい声で言った。

あの位置からだと死角にならないらしい。
軍議に出席していた面々が、やれやれ、と言った調子でこちらを見ている。
フリックが耳まで赤くなった。
「このっ・・・」
「総員退避!」
アップルの声より先に軍議の場から人の姿が消えた。ビッキーが頑張ったらしい。
・・・でも俺を忘れてるな。
フリックが目の前に立ちふさがった。
「・・・莫迦熊!」

どおん(雷)

大事な軍議を中断させた間接的な原因として、翌日しこたま怒られた。
議場を台無しにした直接原因の方は、3、4日人前に姿を見せなかった。



樹林様とこのアンケートに回答するともれなくいただけるお得なイラスト。勝手に駄文をつけてアップ。
えへへへへー。ラブいすね!
遅くなりましたがありがとうございましたー(030322)


樹林コメント
いやーまさかこれにまでお話付けて下さるだなんて思ってもなかったんで、とっても感激です〜!
これこそまさに棚ボタってやつでしょうかねぇ…
アンケートのお礼なのに、こちらが得した気分です。えへえへー(いいのかそれで…)
しかしフリック…相も変わらず初やつよのぉ〜(笑)
ところかまわずな熊も大変素敵だー!!
海保さんトコでは配布絵を置いて下さってますが、アレを置くつもりはないんでちとアレンジ致しました。
けど、あんまり意味ないよな気がしないでも…



海保さんのサイト




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