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女性的な花の山 仙丈 8/27 | |||||
●目覚ましで起床 ピピッという音で,ようやく目が覚めた。ぐっすり眠っていたから,目覚ましがないと起きられなかったかも。隣の男性に目覚ましをのお願いをしておいてよかった。彼も明日仙丈に登るそうだ。どうやら,単独登山らしい。 準備ができて,そっと,小屋を抜け出すと,メロンおじさんが星空を見ていた。おじさんに朝の挨拶を告げて,先に仙丈岳に登りはじめた。夜が明けるにはまだ暗い。星空が美しい。ヘッドランプだけがたよりだ。 昨日の甲斐駒とはちがって,かなり登りやすい道だ。樹林帯の中をつづれ折りに登って行くが,道に白い小石が撒いてあって,真っ暗な夜道でも,ヘッドランプに明るく輝いてくれるのがうれしい。 だんだん夜が明けてきた。山の形が見え始めた頃,あたりのあちこちで小鳥が鳴き始めた。 大滝の頭まで来たら,ちょうど夜明けだった。まだ,樹林帯が続くが,もう少しだ。 ●ヤッホー 真っ赤な朝焼けだ ようやく樹林帯を抜けて,ハイマツの生えている所まで出た。森林限界だ。空は青空今日も晴れだ。小仙丈が見えてきた。 途中,高校生らしいグループと,大学生のワンゲルらしいグループに抜かれた。元気だなあ。とても追いつかない。 尾根に出ると,あちこちに高山植物が目に付くようになってきた。トウヤクリンドウの白い花は,岩石帯に多い。登山道を離れた所にあったお花畑に揺れていたのはチングルマの種だろうか。 ようやく小仙丈に着いた。 ●仙丈についた 小仙丈から見える仙丈は特に美しかった。甲斐駒が花崗岩の真っ白な岩肌がめだつ男性的な山に対して,仙丈は緑色をしたやさいしく女性的な山だ。左側がちょっとえぐれてるカールが,変化を生んでいて特にいい。一度尾根に出てしまうと,あまり苦労をしないで登ることができるからそれもお気に入りだ。いくつか上り下りがあったが,ようやく仙丈についた。 仙丈は,人ばかりだった。山の三方がカールになっていて,その内側の所々に高山植物が生えている。もちろん登山道しか歩いてはいけないから,花のところまで下りてはいけないけれど。あちこちに植物が生えている。空は晴れ。少しガスが出てきたけど,360度パノラマの絶景だ。中央アルプスや遠くには北アルプスの槍,穂高,立山も見える。北岳の向こう側に富士山も顔を出してくれた。富士にかさ雲がかかっていたから,雨かもしれない。 岩の所にたくさん生えているのがイワギキョウだ。トウヤクリンドウやイワツメクサもあった。 せっかく来た仙丈だからのんびりしていると,昨日長衛荘で隣になったホテルマンのお兄さんがいた。横浜から一人で車に乗ってやってきたそうだ。いつも単独登山の彼は,ぼくらより,一時間ほど出発したにもかかわらず。少し前について,ここで食事をしていた。単独登山にはあこがれるけど,僕はそこまでやる勇気がないなあ。頼れるのは自分一人の単独登山はやはり危険だ。かなり体力や知識がないと無謀だ。そのうち,メロンおじさんも登ってきた。鍛えている人は強いなあ。 やはり,どこにも花の好きな人はいる物だ。山頂で,花の話をしていると,隣のおばさんが声をかけてきた。この間北岳にのぼったそうだ。北岳も仙丈にまけないほど,花が多いでしょう?と,話を向けたら,北岳の花の方が仙丈よりたくさん咲いているという話をしてくれた。ぼくも,20年前に北岳に登ったが,そのときは,苦しい思いだけだったので,ぜひ花を見にもう一度北岳に登ってみたいと思った。 ●お花畑が次々に 甲斐駒がガスに覆われ始めたので,帰り道を急ぐことにした。カールの真ん中に流れている沢沿いに下って,馬の背といわれる尾根をから,馬の背ヒュッテを通り,また沢を下った。 カールを下っているときは,ウサギギクが目立った。風が少ないところに生えているようだ。沢沿いには至る所に植物が生えていて,7月終わりの最盛期に,もう一度来てみたいという思いに駆られた。 馬の背への道標があるお花畑には,ハクサンフウロがたくさん咲いていた。ピンクの大きな花弁を自然がよくも作ったものだと驚く。ハクサンフウロは,日当たりが良く,窪地になっているようなお花畑に生えているようだ。 馬の背ヒュッテまで下りてきたら,ヒュッテの回りもこれまた大きなお花畑だった。ここはトリカブトがとても多く,あちらにも,こちらにも生えている。ここから,沢沿いを下ったが,トリカブトは,ずっとあちこちにあった。トリカブトの紫とその特徴的な形にも自然の造形の豊かさに驚かされる。 ●笠雲は雨 富士山の笠雲の天気予報が当たってしまって,途中雨に降られたりもしたが,沢沿いの道を快適に下りてきた僕たちは,コースタイムよりかなり早く,長衛荘にもどることができた。途中の太平山荘の回りには,ヤナギランが満開だった。これは,小屋の主人が植えたのかもしれないが,疲れを忘れさせてくれるようだった。 仙丈は,やはり花の山だ。昨日の甲斐駒で疲れまくったが,がんばって仙丈に登っておいてよかったと,つくづく思った登山だった。 2日目にもどる |
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