1997年の

ふらふら 日記


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■ 12月20日(土) 湯河原幕岩・てんとうむしロックと茅ヶ崎ロック 晴れ

 今週もSさんと二人で湯河原幕岩へやってきた。 もちろん「NEGRITA なすがまま(5.11c)」を登るためだ。 この日の二回目になんとか登れた。 最初のトライで良いムーブを見つけたのが幸いした。 足の位置が少し違うだけでムーブがかなり楽になった。 ボルト四本目の上のテラスに這い上がった時には指がとても痛かった。 痛みがおさまってから上部のやさしいフェイスをゆっくりと登り終了点に着いた。

 「NEGRITA なすがまま」は人気がないのか登っている人をほとんど見たことがない。 先週 JMCC の宮崎さんとお話したとき、宮崎さんもあれは面白いと言っていた。 しかし「シャクシャイン」と近いので、ボルト三本目あたりでどうしても「シャクシャイン」の方にいってしまいたくなる。 少し限定気味なのが残念だけれど、すべて自分でムーブを考えたので私にとっては印象に残るルートになった。 他の人のムーブを見たり、うまい人に聞いたりすれば早く登れるけれど、自分で考えながら登るのも、たとえ少し時間が余分にかかってもまた楽しいものです。

 この日はとても暖かで良い天気でした。 Sさんはまず「てんとうむしロック」を登りたいと言って、「フライング(5.7)」、「スウィング(5.9)」、「ヘイ・ジュード(5.10a)」を一撃してました。 最初の二つは私は登りませんでしたが、見た目も良くておもしろそうなルートでした。 「ヘイ・ジュード」は私も登ってみましたけど、面白くなかったです。 その後で「NEGRITA なすがまま」を登り、最後に「マザー・スカイ(5.11b)」に挑戦しました。 「マザー・スカイ」は「幕岩にもこんなに被ったルートがあるのか」と思わせるルートでした。 オンサイトを狙ったのですけど、ボルト三本目にクリップした後で落ちてしまいました。

 湯河原幕岩は私が好きな岩場の一つです。 しかし派生ルートの多さにはさすがに閉口します。 既成ルートのすぐ隣に限定をつけてまでルートを作る意味はなんなのでしょうか?  新しいラインが引けるなら、既成のボルトから50cmも離れていない所にボルトを打ってもいいのでしょうか?  これほど限定ルートとボルトの多い岩場もないでしょう。 私のようなレジャー・クライマーでさえ、過剰なルートを見ると悲しくなります。

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■ 12月14日(日) 湯河原幕岩・茅ヶ崎ロック 晴れ時々曇り

 なんとか三本目のボルトにクリップできた。 左手を目一杯伸ばしてホールドをとる。 右足をあげてアウト・サイドで立ちこめば...。 でも右足をあげることはできず、ロープにぶら下がってしまう。 今日も「NEGRITA なすがまま(5.11c)」は登れませんでした。

 ムーブは自分なりに考えてほぼできあがりました。 でも、つづかない。 ちょっとウォーミング・アップしすぎたかな?  ムーブを思い出すのにも時間がかかったし。 風邪気味で体調も良くなかったし...。 やっぱり間をあけないで来ないと、自分の限界に近いルートは登れませんね。

 「仲間の募集」で知り合ったSさんと一か月ぶりに湯河原の幕岩へ行った。 天気はまあまあだったけど、午後からは風が吹いて少し寒かった。 「シンデレラ(5.7)」、「アリババ(5.10a/b)」、「JIRO(5.10b/c)」、と登った後「NEGRITA なすがまま(5.11c)」に三回挑戦し、最後に「一寸法師(5.10b/c)」と「BENKEI(5.10a)」を登りました。

 久しぶりの岩場でのクライミングで楽しかった。 「シンデレラ」はやさしい長めのルートで、終了点からの眺めも良く、初心者にはお勧めです。 でも下部が少しランナウトするので気をつけてください。 また「シンデレラ」の左には新しいルートができていました。

 来週こそ「NEGRIAT なすがまま」を登りたい。

追伸:
 「シャクシャイン(5.10c)」の核心に打たれていたピトンは JMCC の宮崎さんが昨日(12/13)抜いたそうです。

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■ 11月13日(木) 父の死

 夜の9時50分頃だった。 パンプ2でクライミングしていると呼び出しがかかった。 今まで一度も電話などあったことがないので、悪い知らせだと直感した。 「子供に何か起きたのだろうか? それとも、、、。」 やはり家内からの電話で、父が旅行先で倒れ、救急車で運ばれたということだった。

 家に帰るまでの電車の中では、色々なことを考えたような気もするし、 ボーとしていて何も考えていなかったような気もする。 「倒れたということだから、頭か心臓だろう。最悪の場合のことも考えておかないと。 いずれにしろ、いまから鳥取まで帰るのは無理だ。 少しでも寝て、明日の朝、飛行機か車で帰ろう、、、。」

 家に着いて玄関の扉を開け家内の泣き顔をみたときすべてを理解した。

 後で分かったことだが、この日、父と母は村の人たちと兵庫県の城之崎温泉に旅行に行っていた。 夜、宴会があり、あまり酒が強くない父は、8時頃、酔ったので少し寝てくるといって一人で先に部屋に入ったそうだ。 いつものことなので誰も気にとめなかったらしい。 9時頃、同じ部屋の人が父の様子が変なのに気づき救急車を呼び病院へ行ったが助からなかった。 急性心不全という診断だった。

 父が死んだという実感がなかったせいか、それとも疲れていたせいか、とにかく3時間ほどだったがよく眠れた。 朝の4時前に目覚めると、外は雨だった。

 父とは2週間ほど前に会ったばかりだった。 何年ぶりかでこちらへ出てきて、はとバスで東京見物したり、箱根へ観光旅行に行ったりした。 長く患っていた祖父が去年の夏に大往生をとげ肩の荷がおりたのか少しふっくらした様子だった。 今年から年金が貰えるので、食べる分だけ働いて、のんびり暮らすと言っていたのに。

 鳥取の家は、明日の葬式へ向けて着々と準備が進んでいるというふうだった。 母親は「信じられんようだけど」とくりかえしていた。 私が箱根の大湧谷で取った写真を遺影にしたそうだ。

 楽しい夢を見ながら眠っているような死に顔だった。 父の額に手をあてると、ひやっとしてつめたかった。 そのつめたさで父の死を実感した。 泣くものかと思っていたが、あふれてくる涙をどうしようもなかった。

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■ 11月9日(日) 奥多摩・池田フェイス 晴れ

 Kさんの車に乗せてもらい、真島さん達と奥多摩・沢井の池田フェイスへ行く。 池田フェイスに行くのは初めてだ。 池田フェイスは、真島さんが初登した「ゴースト・ステップ(5.13a)」があることで一部のクライマーに有名(?)な所だ。 まだ再登者はいないようだ。

 高さは10から20メートル、岩質はチャートで、「鏡のような垂直のフェイス」だ。 約10本のルートがある。 しかし真ん中あたりのルートは登られていないようで少し苔が生えていた。 右の方は少しもろそうだけど、ゴツゴツした感じのガバが多そうに見える。

 初めての岩場なので簡単なところから登る。 「ビター・スウィート(5.9)」、「ファースト・フィンガー(5.10a/b)」、「プロパー・ストレンジャー(5.10c)」を一撃する。 「ファースト・フィンガー」と「プロパー・ストレンジャー」は結構長く面白かった。

 他の人たちは、この岩場一番の三つ星ルート「スティンガー(5.11c/d)」をやっている。 私は初めてだったので他の人の登りを見ないようにして待つ。 結局ボルト6本目の所で落ちてしまいました。 下部はクラックの中のホールドを使うことが多く、ジャミングができると有利です。 20メートルくらいあって、だんだん難しくなる持久力のいるルートです。 垂壁なので結構休めてお買い得だと思ったけど、結局この日は登れませんでした。 最後、3回目に挑戦したときには、背中や腕の筋肉がつりそうでメタメタでした。 暗くなりはじめていたので十分休めなかったのが原因でしょうが、ルートが長いので、垂直なのに結構つらかったです。

 真島さんは「ゴースト・ステップ」の左にあるもう一つの公開プロジェクトに暗くなるまで挑戦していました。 なんとかムーブは解決したようで、これは登れると言ってました。 で、いつものように真っ暗の中を下山。

 このところ同じ岩場に続けていくことが少ないので、各地に課題を残しています。 池田フェイスの「スティンガー(5.11c/d)」、湯河原の幕岩の「NEGRITA なすがまま(5.11c)」、神ノ戸の「花粉症(5.11d?)」、涅槃岩の「風見鶏(5.11c)」と「パワー・シフト(5.11b/c)」などなど。 ちょっとふらふらし過ぎかな?  早くこれらのルートを登って 5.12a に挑戦してみたいです。

 池田フェイスについては小林敏さんのホーム・ページか「岩と雪 No.165」をご覧ください。 「岩と雪 No.165」で公開プロジェクトになっている7番が「ゴースト・ステップ(5.13a)」で、6番が今回真島さんが挑戦しているもう一つの公開プロジェクトです。 岩場の右の方は若干もろいので、登っている人の真下にはいないようにしましょう。

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■ 11月1日(土) 湯河原幕岩・茅ヶ崎ロック 晴れ

 大学生になったN君と湯河原の幕岩へ行く。 N君は人工壁では 5.10c 程度まで登ったことがあるが、自然の岩場ではまだリードしたことがないそうだ。 人工壁での登りを見ていて大丈夫だろうと判断したので今回一緒に行くことにした。

 茅ヶ崎ロックに来るのは今年の2月以来だ。 相川さんや菊池さんの講習会も開かれていてにぎやかだ。 茅ヶ崎ロックは下地も良いしボルトも近いので、リードを始めたばかりの人が登るのにいい所だと思います。

 N君は恐いと言いながらも「シルクロード(5.7)」と「蟻さんルート(5.8)」を問題なくリードした。 「アブラカタブラ(5.10a)」は右足が滑ってもう少しで落ちそうだったけど、なんとかフラッシングした。

 そろそろ落ちるようなのを登った方がいいと思い「ジロー(5.10b/c)」に行く。 「リードする?」とN君に聞くと、かなり精神的に疲れているようで、とりあえずはトップ・ロープで登りたいと言う。 「トップ・ロープ?」と思ったけど、よく考えれば、外で初めてリードする日に三本もリードしたので疲れるのも無理はないか。 N君は二回トップ・ロープで練習し、だいたい登れそうになった。

 十分休憩した後でN君にリードを勧める。 なんとかリードする気持ちになったようだ。 上部で激しくミシンを踏みながらもなんとか登った。 降りてからもまだガクガクしているので 「ミシンを踏むのはほとんどが気持ちの問題だよ」 と言うと納得したようだった。

 N君のためにヌンチャクを掛けに四本ルートを登った後、私は「NEGRITA なすがまま(5.11c)」を試みる。 だいたいムーブは解決したけど、ボルト三本目と四本目のクリップが悪く、四回やったけど結局登れませんでした。

 帰る頃にはいつものように薄暗くなってきた。 N君はこんなに遅くまで登るとは思ってなかったようで 「いつも暗くなるまで登るんですか?」 とか言っていた。 恐がりながらも四本登れたのでN君は満足しているようだった。 よかった、よかった。

追伸:
 「シャクシャイン(5.10c)」の最初のボルトのハンガーが欠落しています。 二本目のボルトに予めクリップするなどして安全に登ってください。 また、核心部には何者かによりピトンが打たれていました。 ヘンなことをする人はどこにでもいるようです。

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■ 10月18日(土) 涅槃岩、帰りに7a 晴れ

 真島さんと涅槃岩へ行く。 天気は良いのに何故かほかには人がいず、終日貸し切り状態でした。 適度に暖かく、ホールドがヌメルこともなく、壁の状態は良かったです。 「ブラック・ストーン(5.11b/c)」を登って喜んだのもつかの間、「風見鶏(5.11c)」にはまったく歯が立ちませんでした。

 帰る途中、西八王子に新しくできたボルダー専用のジム「7a」に寄ってみました。 6時半ごろに到着し、1000円払って2時間コースで遊んできました。 10人くらいの人がいて、それなりににぎわっていました。 場所的には岩場の帰りに寄るのにもいい所ですけれど、駐車場が無いのが難点です。

 できたばかりのせいかキレイだなというのが最初の印象でした。 初心者用の場所にはピラミッドのボードを使った壁もあって、始めたばかりの人でも楽しめるように配慮されています。 貸し靴は有料でした。

 ルーフのボルダーもあり壁は変化に富んでいます。 高さは少し低く感じました。 大きなホールドが多く、登りやすい感じです。

 設定されている課題が少ないので、まだグレードは安定していません。 私は J-Wall でボルダーすることが多く、J-Wall で登った最高は 5b です。 この日は、127度の壁の 5b、5c、6a を一撃しましたけれど、J-Wall だったらそれぞれ 4b、4b、4c 程度だと思います。 J-Wall が辛すぎるのでしょうか?  いくらなんでもちょっと変だと思いました。 石原さんが設定した「ぎんなん(5b)」も一撃できました。 岩場の帰りで体が良く動いたせいか 4c か 4b+ 程度に感じました。

 真島さんがいろいろと難しい課題をつくっています。 「いちご」とか、「ドーナツ」とか、「すべるサンマ」とかの妙な名前を付けてました。 ボルダーのグレードは分からない(安定していないので他と比較できない)ので、5.11c や 5.12a といったデシマル・グレードを付けてました。 早く標準的な課題をつくって、グレードを安定させて欲しいと思います。

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広沢 誠(Hirosawa=Makoto)レジャー・クライマー
1998年2月6日更新
Copyright 1997-1998 Hirosawa=Makoto