東京出身。本名は若杉羊奈子。旧姓は長野。夫は指揮者の若杉弘(同墓)。義父は外交官の若杉要(同墓)。
1956(S31)東京芸術大学音楽学部声楽科卒業。'58 旧西ドイツ政府給費留学生としてベルリン国立音楽大学に留学。畑中良輔、ヘルベルト・ブラウアー、田中路子に師事。'62ベルリン国立音楽大学を卒業。
'63日本人として初めてベルリン・ドイツ・オペラの正団員となり、ミヨーの「オレステス」世界初演デビュー。「フィガロの結婚」のケルビーノ、「蝶々夫人」のスズキなどで活躍。専属歌手の傍ら、欧州各地でオラトリオ公演に参加、西ドイツでリサイタルも開き高い評価を得た。
'65帰国し、主要オーケストラとの共演などで目覚ましい活躍ぶりを示すとともに、'69・'70 ベルリン・ドイツ・オペラ来日公演でも共演して注目を集めた。'70新ウィーン楽派の歌曲による独唱会により、芸術祭大賞。'74 第2回ウィンナーワルド・オペラ賞受賞。その優れた歌唱力と舞台上の際だった存在感により、オペラ、リート、オラトリオ歌手として確固たる地位を築いた。
二期会会員として数多くのオペラ公演でも輝かしい足跡を残した。水戸芸術館の企画では、'95.5(H7)初演以来すでに全国で12公演を数える音楽物語「ぞうのババール」、「オペラの花束をあなたへ-IX ヴェルディ:歌劇 <リゴレット>ハイライト」('96.4)で表現力豊かなナレーションを聴かせている。
東京芸術大学音楽学部講師や愛知県立芸術大学講師、桐朋学園大学教授として後進の指導にもあたった。享年81歳。