東京出身。本名は平岡光之。法政大学中退。山田耕筰、大中寅二に師事。1936(S11)楽壇最高の登竜門として知られている第5回日本音楽コンクール作曲部門第3位。'37内閣総理大臣賞を受賞した。
キングレコード専属、コロムビアレコード専属、東宝株式会社演劇本部音楽部長、日本ビクターレコード専属、NHK契約作曲家を歴任した。他に、詩と音楽の会常任理事、日本音楽著作権協会評議員、日本童謡協会理事なども務める。
童謡を多く作曲し、作詞家の坂口淳とのコンビで、『子鹿のバンビ』、『赤ちゃんはいいな』、『ばあやのお里』、『花時計の歌』、『ママのおひざ』、『赤いリボン』などがある。
その他に、『パパのうた』(作詞作曲)、『光の馬車』(作詞:宮沢章二)、『ぴょんぴょん虫』(作詞:時雨音羽)、『杉の木一本』(作詞:細川雄太郎)、『小さなかけ橋』(作詞:細川雄太郎)、『ペンギンさん』(作詞:重園よし雄)、『愛の花輪』(作詞:松井美枝子)、『ひなまつりのうた』(作詞:まどみちお)、『萱野しぐれて』(作詞:中條雅二)、『おうちの赤ちゃん日本一』(作詞:都築益世)など多数あり、『東京電機大学校歌』(作詞:草野心平)や小中学校の校歌も多く手掛ける。
また、作詞:北原白秋、作曲:中山晋平の『砂山』、作詞:海野厚、作曲:中山晋平の『背くらべ』などの編曲も行っている。著書に、'33『音樂家になるには』、'35『小学校教員検定受験用音楽科精説』がある。平岡学園理事長も務めた。享年85歳。
【小鹿のバンビ】
代表作となった『小鹿のバンビ』は、作詞家の坂口淳がディズニーアニメ「バンビ」に感動し、詩を書いた。作曲を託された平岡は、自分のイメージで作りたいからと、映画の粗筋と詞だけを読んで作曲に臨み、結果、明るく弾むようなメロディーが生まれたという逸話がある。
「小鹿のバンビ」
作詞:坂口 淳、作曲:平岡照章
1 子鹿のバンビは かわいいな
お花がにおう 春の朝
森のこやぶで 生まれたと
みみずくおじさん いってたよ
2 子鹿のバンビは くり毛色
せなかに白い てんてんよ
細いあんよで かけだせば
野原のちょうちょうも こんにちは
3 子鹿のバンビは 元気だね
ちらちら雪が 降りだして
池に氷が はるころは
とんすけうさぎと スケートよ
4 子鹿のバンビは やさしいな
弱虫いじめ しないもの
今に大きく なったなら
すてきなぼくらの 王様だ