坂東玉三郎 三代目
ばんどう たまさぶろう
明治期の歌舞伎女役者
東京出身。本名は守田きみ。12代目守田勘弥（同墓）の五女。兄に7代目坂東三津五郎（同墓）、13代目守田勘弥（同墓）らがいる。
1888(M21)6歳の時に坂東喜美江の芸名で、新富座における團十郎の芝居の子役として初舞台。翌年、3代目坂東玉三郎を襲名。以後も歌舞伎の子役を勤め、成長してからは、兄弟たちと若手歌舞伎に出演して舞踊を演じた。
歌舞伎女役者市川九女八の一座に加わり評判をとる。女役者というのは江戸時代のお狂言師（町の踊りの師匠で、かたわら大名家の奥向きに上がって女性だけで歌舞伎を演じた人たち）の流れを汲む役者たちである。
当時はまだ、男優が男の役を、女優が女の役を演じるふつうの芝居というものがなかった。
1904(M37)米国セントルイス万国博覧会に日本から喫茶店を出すことになり、選ばれて姉のみきとともに渡米。
日本の踊りを披露し評判になった。博覧会のあとも演劇視察のため、ニューヨークで劇場を見学し、舞踊師について修行を続けていたが、心臓病に罷り、異国の地で客死した。享年22歳。
＜明治過去帳＞
＜講談社日本人名大辞典＞
＊2006年現在、坂東玉三郎は5代を数えるが、3代目は唯一の女性。