おくりびと

 

アカデミー賞を受賞した話題の「おくりびと」を見てきました。
最近、友人や大先輩などの葬儀に参列し、色々と感ずる所があり、どんな所がアカデミー賞受賞のポイントになったのかと思ったからです。
主人公が、チェロの演奏家になる夢が破れ、故郷の山形(庄内)に帰って、たまたま、この「納棺師」と言う職業に就き、色々な死にめぐり合う。最後は、長年、行方不明の父親にもあう(納棺師の仕事をせねばならない状態で)と言うのが話の筋で、美しい庄内平野と古い町を背景に描かれた日本的な映画です。

最初に孤独死して2週間もたった腐乱死体を見て肉が食えなくなったシーンから、社長から生き物の死骸を食わねば生きられないと諭されて、ふぐの白子を食う場面。この途中で死臭を取る為、銭湯に入った場面庄内地方の古い町、山野の風景、子供の頃の自分と親父とのおぼろげな記憶が最後に鮮明によみがえる場面など我々の年代の心を打つものもあります。

 しかし、外国人から見ると個人に対する畏敬の念から死体を清めて納棺すると言う宗派を超えた行事に感銘する所が多かったものと思います。
昨年行った鶴岡や酒田などの庄内平野、今年の友の別れなどを思うと感ずる所が多く有りました。
この映画では、様々な年代と死に至るまでの姿が描かれていますが、現実の日本では、映画とは違い、高齢者が大半でしょう。
そこには、死は天寿と言う形となり、「おめでとう」と言うことが多くなって来ているのではないでしょうか。
ともあれ、アカデミー外国映画賞受賞、おめでとう。
映画のパンフと昨年春に行った庄内平野を重ねてみました



           

               とんがり煙突のある家(映画にも出てくる)                    庄内平野と鳥海山「みちのくの旅(その9)」