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考えるヒントのお蔵  性と文化の棚  第2番
下着の文化史

上野千鶴子の有名な著書「スカートの下の劇場  人はどうしてパンティーにこだわるのか」に代表されるように、下着はセクシュアリティの問題を様々な視点から考える上で、格好の素材でもあります。


おすすめの一冊目は「下着の文化史」。上智大学文学部史学科、東京大学文学部西洋史科で学び、日本風俗史学会会長かつビューティサイエンス学会会長の青木英夫氏の著書です。
この本の帯には「人間は性の魅力を誇張するため下着で生活を作り替えた」とあります。

もう絶版になっているので図書紹介には掲載していませんが、1976年にホーキチ出版から刊行された玉川長一郎氏の著書にも「下着の文化史」があります。副題は「女性美を追求した初のアンソロジー」。

上着や目に見える装飾とも、身体に直接施す刺青やボディペインティングとも、そしてヌードとも本質的に違うセクシュアリティが下着にはあります。
それは、目に見える「装いを剥ぎ取った奥にある神秘」、あるいは「ぎりぎりにまで隠された緊張感」、はたまた「自然を拒否した造形美」へのときめきか?

この本は、管理人の私が、大学一回生の時に買った本です。四分の一世紀前から「下着は衣服の中のマイノリティ」、かつ「マイノリティの中にこそ美と真実がある」と考えていた自分が、何となくおかしく思えます。

玉川氏は現在の京都工芸繊維大学を卒業し、当時はワコールの中央研究所長兼京都工芸繊維大学の講師でした。1914年生まれなのでひょっとしたら他界されているかも。お元気でいらっしゃるならば、一度お目にかかりたい方です。

もう一冊は、多くの女店員が裾の乱れを恥じて墜落死したという「白木屋ズロース伝説」は眉唾だ、と説き起こした「朝日選書  パンツが見える。 羞恥心の現代史」。国際日本文化研究センター助教授井上章一氏の力作です。

「歴史の常識」が如何に虚構に満ちたものかを、虚構である小説や宣伝広告、漫画などから暴き出していくスリリングな作品でもあります。同氏の著書「角川選書 愛の空間」もあわせて読むと楽しさ倍増です。

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