◆ No.112: 装飾美術館 (2007.1.9) ◆
なんとか無事にレッスンがすんで、帰りにふらふらとルーブル美術館に寄り道。
最初は、ピラミッドだけちょっと見ていくつもりだったんだけど、きょうはやけに人が少ないので、ルーブルの建物の一角にある「装飾美術館」に行ってくる。
「装飾美術館」というのは「Musee des Arts Decoratifs」(アール・デコ美術館)の訳のようだが、実際に見てみると、最先端の芸術様式で作られた調度品(家具や食器など)を、古い年代から現代まで順を追って見れるようにしてある美術館のようだ。
雰囲気としては、中世から現代までのアンティークが並んでいる感じか。
いちばん古い中世のころの展示品は、磔刑のキリストがモチーフになっているものがほとんど。(おそらくほとんどが教会のものではないかと思う。) その後、王侯・貴族の華やかな調度品になり、近代になるとブルジョアのものになっていく。
教会→貴族→ブルジョア、という、音楽とまったく同じルーツを持っているところが興味深い。
ちょっと穴場的なおもしろいところだった。
ルーブル美術館の真ん中のピラミッド。(今日は休館)
その地下にある逆さピラミッド。きれいなものだねー。
「装飾美術館」の入り口。
ぼく的には、これが白眉! いちばん古い時代のコーナーの、隅っこの目立たないところにあった。15世紀末ごろの寝室のようだ。ぼくは、これを見た瞬間、ヤン・ファン・エイクの絵を思い出してしまった。(歴史的につながりがあるのかどうかは知らないけど、受ける印象がそっくり!) 美術館を全部まわった後、最後にもう一度この部屋を見てから帰った。
1700年の終わりごろだから、モーツァルト~ベートヴェンのころの部屋だな。
奥のほうにハープがぽつんと置いてある。
ああ、これ、ぼくの好みのタイプかも・・・。
でも、ちょっと持って帰っちゃいたい気分。
これはなんと、上の階から順番に、40年代、50~60年代、70~80年代、という感じに並んでいる。椅子・テーブル・オブジェ・テレビなどなど・・・。
それがなんと、60年代以降の雰囲気、デジャビュのように、どこかで見たことがあるような感覚がある。
一角で、当時の映像が上映されていたが、バービーちゃん人形のような巻き毛にパンタロンやミニスカートの女の子が、最先端の椅子に座ったりしていて・・・ な、なんと、これ、ウチの母親が、ぼくが子供の頃にしていたファッションだ・・・(絶句)
そう、この60年代以降のモノの配色や雰囲気、ぼくが幼少だった頃、当時イケイケだった(当時風にいうと「ヤング」だった)ウチの母親の雰囲気なのである。
こんな最先端のファッションに走っていた母を誇らしく思うべきか、あるいは、あまりのミーハーさにあきれるべきか、悩むところである。
これ、いまの若いコが見たら新鮮な展示だとおもうのだが、ぼくは、そんな個人的な感慨を抜きに見ることはできなかったのであった。
(ちなみに、テレビなどの「ハイテク」最先端機器を見たときは「サンダーバード」を思い出した。当時は、無限に発展していくように思われた最先端技術に、世界が夢を見て、浮き足立っていた。)
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