1.はじめに
3776m、日本一の高い山です。日本の頂点から眺める下界は、この世のちっぽけさを知ることができるでしょう。登山という過酷な運動は激しく胸をドキドキさせ、2人をより親密にする効果があります(苦)。この世の息苦しさを感じる人は、3776mの息苦しさを知ることで、下界の息苦しさを忘れるでしょう。さぁ、あなたも登るしかない。
2.一般的知識
(1)時期
山開きの7/1から8/31まで登れます。ただし、お盆時期は特に混雑し、待機させられる場合もあるとか。また、梅雨終盤の7月上旬・中旬は、頂上からの絶景は拝めづらいでしょう(御来光は見れる)。
(2)交通アクセス
車で行く場合、5合目に駐車場があります。富士宮口五合目へ行く富士山スカイラインは無料ですが、河口湖五合目へ行く富士スバルラインは有料です。ただし、8/10〜8/20頃はマイカー規制となり乗り入れができませんので、無料駐車場からシャトルバスに乗る形になります。登山ルートと下山ルートを変えたい人は、駅に車を置いてバスを乗ったほうがよいでしょう。
新富士駅・富士駅から、5合目(富士宮口)へのバスがでています。登山時期は6:00〜23:00頃までバスがでていますが、登山時期以外は9:30〜18:00頃までしかバスがでていません。御殿場駅からは、5合目(須走口・御殿場口)へのバスがでています。
(3)持ち物
本格的な登山用品は特に必要なく、ハイキングレベルで十分です。
必須 | 上着 | 上空との気温差は20度。登山中は熱いのでTシャツ+長袖で大丈夫ですが、立ち止まると風が強くて寒いです。ウィンドブレーカーのような風を防げる上着を着たほうがよいと思います。かっぱと兼用したら荷物も少なくなりちょうどいいと思う。 |
必須 | ズボン | ジーンズで登っている人もいますがやめたほうがいいです。ジャージが一番無難でしょう。短パンでも大丈夫ですが、岩場で怪我をしやすいのでやめましょう。。 |
必須 | かえの下着 | ものすごく汗をかくのと、山の天気は変わりやすく、いつ雨が降ってズブ濡れになるか分かりません。必ず持っていったほうがいいでしょう。ただ女性の場合、下着をかえる場所がないのが・・・男性ならそこらでぬいでも大丈夫ですが・・・そこらへんの物陰なんてまったくないのと、山小屋の人も宿泊者の人以外に場所を提供してくれないのが不親切かと・・・。 |
必須 | 靴 | 普段はきなれた歩きやすいランニングシューズで十分です。ただし、小石が入りやすいので、足首まであるトレッキングシューズのほうが登りやすい。登山用品の足首をガードするやつがあればベスト。 |
必須 | 帽子 | 山の紫外線は協力です。あとで後悔するのであったほうが絶対よい。柄のあるタイプがおすすめ。 |
必須 | ペットボトル2l以上 | 水筒があればそれでいいですが、ペットボトルで十分。ガイドには、1リットルは必要と書いてありますが、2リットルは必要です。疲労したときは水分をとって休んだほうが回復が早いです。ただし、トイレが近くなるほど飲むのはやめたほうがいいでしょう。 |
必須 | おにぎり | 山小屋でもラーメンとか作ってはくれますが、1000円くらいかかります。カップラーメンなんて1個800円です。おにぎりじゃなくてもいいですが、高カロリーで手軽に食べられるものをもっていくべき。 |
必須 | チョコレート3枚 | チョコレートじゃなくてもいいですが、すごく疲労しますので、甘くて高カロリーなものをもっていくべき。 |
甘い飴玉 | 疲労時は、普通の飴だと味がしません。あれば登山も楽しくなります。 | |
必須 | かっぱ | 傘は風でとばされるので、不可。ちゃんとしたかっぱをもっていけば、防寒用にもなり一石二鳥。 |
必須 | タオル | 言うまでもない。首周りにまけば日焼け防止に。 |
必須 | ゴミ袋 | 常識があれば当然。 |
カメラ | 置き忘れに注意・・・(死)。(作者は6万円のデジカメを椅子におきっぱなしにして忘れました) | |
地図 | 五合目にあるパンフはもっていきましょう。各山小屋の電話番号も記載してあります。 | |
杖 | 山で売ってる木のタイプを買えば、各山小屋で記念の焼印をしてくれます(200円)。スキーのストックで代用可・・・?。なぜかみんなもってましたが、私はなしで登りました。 | |
サングラス | 必要ならば・・・ただ、山焼けに注意 | |
酸素缶 | 結構な人がもってますが、気休め程度かと・・・高山病になりやすい人は持っていったほうがいいかも。 | |
必須 | 水にとけるティッシュ | トイレットペーパーのかわり。山小屋にあるとは限りません。 |
携帯トイレ | なくてもいいけど、山小屋のトイレは全然当てにならないので要注意。宿泊者には専用のトイレがあるのに、ただの登山者には・・・???。ただ、いざとなっても、どこにも隠れる場所がないので結局は使えないと思いますが・・・。 | |
必須 | 軍手 | 登るときはいりませんが、下りる時は岩場でこけて怪我をするので、絶対必要です。 |
日焼け止め | 紫外線が本当に強いのでつけておいたほうが無難。やきたい人にも、サンオイルをつけておいたほうがよい。 | |
半必須 | 懐中電灯 | 御来光を見る人は完全必須。当日下りる人でも、念のためにちっちゃいやつをもっていたほうが無難。 |
(4)注意事項
頭痛や平衡感覚がおかしくなると、高山病です。十分に水分をとって、休憩しましょう。薬はききません。ひどい場合は、はやめに下山しましょう。
山の天気は変わりやすいです。怪しい場合は山小屋に避難しましょう。
(5)登山時間
登山口・下山口は4つあります。
@富士宮口 登り4時間半 下り 2時間半
A河口湖 登り5時間 下り 3時間
B須走口 登り5時間半 下り 2時間半
C御殿場口 登り7時間半 下り3時間
はじめて登る人は、一番楽な富士宮口がいいかも。上記の目安の時間はガイドで書いてあった時間ですが、あくまで標準です。 運動不足の人やはじめて登る人は、+1〜2時間はみたほうがよいでしょう。体力のない人は無理せず、山小屋で宿泊して登って、御来光を見て下りたほうが無難でしょう。
(6)その他
山小屋でのジュースは300円〜500円、食事は1000〜1500円、宿泊は5000円〜7000円。超観光地用料金ですので、宿泊以外は利用しないほうが・・・。
山の天気と、下界の天気は完全に違います。下界で雨が降っていても、山は雲の上なんで晴れてます。ただし、下界が曇ってると景色は雲しか見れないので、いまいちという人が多いようです。絶景をおがみたい人は念入りに天気をチェックしたほうがいいでしょう。
3.経験者は語る
(1)勝手な鉄則
1.「こんにちは」
山ですれ違う場合、「こんにちは」と声をかけましょう。この一声が、みんなを元気づけます。
2.2人グループで行け
子供でも登れるお気軽な山とはいっても、結構過酷です。普段は体力的に似通っていても、空気の薄い山の状況ではかなり疲労度合いが異なります。恋人通しなどのような、気のあった者通しじゃないと、計画通り登れないでしょう。2人、もしくは、2人グループになれる4人、6人がおすすめ。元気なおじいちゃんとかは、むしろ1人で登ってます。
3.午後3時には下山
暗い山はかなり危険です。はやめはやめの行動を。
4.午前7時には登山
御来光は見る場合は例外ですが、1日で登り下りする場合はこの時間から登らないと、余裕のある登山はできません。疲れたときはとことん休む時間がないと、頂上まで登れません。
5.一定のペースで登る
急いで登るより、ゆっくりゆっくり体力を温存しながら登らないと絶対後が続きません。
6.山小屋で貴重品チェック
必要な分以外の貴重品は持ち歩かないほうがいいのですが、”車のキー”、”多少のお金”、”カメラ”等、確実に持ち歩かなければならない貴重品は山小屋ごとにチェックしたほうがいいでしょう。1合目ごとでチェックしていけば落としても、すぐ戻れる距離です。特に、カメラは出し入れがはげしいので・・・・(しつこいですが、6万円のデジカメを忘れ)。
4.写真展
第1回 2003年夏版
第2回 2005年夏版
5.登頂記
登り 富士宮口 4時間10分(10:30〜14:40)
下り 富士宮口 3時間(15:40〜18:40)
(意外にも超ロングですが、まったく中身はないのであしからず)
2003年7月15日(火)午後10時、富士宮口五合目到着。
富士山スカイラインは無料だし、駐車場も無料・・・富士山ならお金がかかる気がしたけど偉い。
今日の天気予報は、曇降水確率20%ですが・・・うーん、小雨が降ってます。
さてさて、結局、都合の合いそうな人はいない・・・っていうか、誘う人が誰もいないのが本当だが、結局、1人で富士山にいます。
ものすごくむなしーですが、そこは計算済み。
大学すらまだ夏休みに入っていない、7月の平日中旬・・・こんな日に客なんているはずねー。
さすがに混雑時期に、1人で登る勇気なんてありません。
やっぱり、恥ずかしいって思っちゃいますからね。
んー・・・やっぱり弱い人間だ・・・こんな程度で恥ずかしいなんて思うとは・・・いやいや、普通の感覚だろ・・・馬鹿にされたらショックじゃん
・・・いやいや、ビクビクするから恥ずかしいのであって、むしろ堂々とすれば関係ない・・・むしろ、周りを気にしすぎる自分が馬鹿だろう
・・・いやいや、何も考えるな、私はただの”精神修行”のために来たのだから・・・肉体のトレーニングこそ、精神の安定につながる・・・
などと、1人で変な押し問答をしながら、とりあえず売店へ。
お、杖!うぉ、ただの木の棒が、1500円!なめんな!
お、酸素缶!うぉ、200円くらいで売ってるジュースの缶みたいのに、どこにでもあるものをいれただけのものが、1500円!なめすぎ!
とりあえず、五合目の看板と共に、パシャ。デジカメは何枚とっても無料だから、いくらとっても心が痛まない。
なんか無駄に時間を過ごして、既に10時半。
しかし、おかげでなんか晴れてきましたよ。でも、ちょー寒い。
Tシャツ+長袖+ジャージ+かっぱの4枚も着てちょうどええ・・・さすが2400m。
2400mまで、車で来れる現代が素晴らしい。現代の無駄な高速道路作りすぎの公共事業に乾杯。
さて、お気に入りのバンダナを巻いて、気合をいれて出発。
駐車場に20台ぐらい車はとまってましたが、みんな空。
明らかに出発が遅すぎるみたいです。
誰も登ってる人はいませんが、小学生のガキ集団がいました。
富士山登山でなく宝永遊歩道でしたが、だけどこの少年達、礼儀正しく「こんにちは」と言ってくれました。
なかなかしつけがなってるなぁ、静岡県民。っていうか、静岡県民の小学生の遠足って言ったら、絶対富士山だろ、こら。
などと登りはじめた時は、いろいろ考えながら登ってたんですが、そんな思考する余裕は一瞬で消えました。
6合目・・・最初の山小屋到着。既に、息はあがって、汗だく。もう何も考えてません。
疲れた、もう無理。疲れた、もう無理。疲れた、もう無理。疲れた、もう無理。
普段の運動不足がモロにでました。まだ20分くらいしか登ってません。
4枚も着ていた自分が馬鹿で、ささっと脱いで、Tシャツ+ジャージの2枚に。うーん、涼しい。
さて、またバンダナを巻いて・・・あれ?どこ?・・・ぐゎん・・・どこにもなーい。
自分の中で超お気に入りだったのに・・・めちゃショック。
身に付けているものなのに、落ちても全く気が付かないほど疲れてたんですね・・・たった20分で(苦)。
はぁ・・・人間って疲労すると、全然気が付かなくなるんですよね・・・疲労時こそ、何かを忘れてないかチェック。覚えておこう。
予備の柄のついた帽子をもっていたのでそれをかぶり直し、再出発。
富士山の道は、完全に一本道で迷うことはありません。
植物は高山植物しかないので、ほとんど石と岩と土のみ。完全に岩場で、こけるとかなり大変です。
ただ、ちょっと登ると雲より上で雨がほとんど降らないのと、砂の成分が少ないので、完全に地面が乾いています。よって、普通の山の何倍も登りやすいです。多分。
・・・はぁ、はぁ
・・・はぁ、はぁ
・・・・・・・・・・・・・もう限界。
普通は、40分登って10分休むらしいですが、腹のでてきて中年太りか?と思うようになってる自分には、絶対無理です。
10分登って既に限界。
10分登って、3分休む。10分登って、3分休む。10分登って、3分休む。
ぐわぁー、いつになったら次の山小屋に着くんだ?
地面が完全に乾燥しているので、敷物なしにどこでも座れます。
・・・うげぇ・・・
・・・疲れた・・・
・・・根性ねぇ・・・
・・・修行なのに・・・
11時過ぎなのに、上から人が降りてきます。なんでだろ?
うーん、今日、御来光を見て、頂上から降りてくる人たちか。
「こんにちは」
なんか、みんな言います。こちらも、
「こんにちは」
と返します。うーん、たった一言ですが、なぜか、ちょっと元気がでます。
同一状況にいる人間同士って、親近感がわくからか?
などと変に理論っぽく考えながら、まぁ、なぜか知らない人のただの挨拶なのに、なぜか少し元気がでて登る気になります。
そういえば、昔、中学のバレー部とか、走りこみ中に
「エー・・・ファイト、ファイト、ファイト!」
ってかけ声あげてたなぁ。気合をいれるという意味もあるけど、なんか、あーいのって医学的に検証されてたような・・・
とにかく、あれと同じような効果かな?
はっきり言って、誰もいない山を一人で登ろうとするとつらいもんね。仲間がいるって思えると、人間って強くなれるからね。
あ、また勝手に悟ってしまった。
・・・じゃ、パートナーと一緒に励ましながら登ったら、一層親しくなる錯覚に・・・
などと思いながら、新7合目山小屋到着。
新?なんで区別するの?7合目でいいじゃん。
・・・地図を見ると、次は元7合目。
7合目には、2つも山小屋があって、すげーーーーーーーーー長く感じます。
もう完全に雲の上にいて、晴れ晴れとした天気です。
っていうか、眺め全然最悪なんすけど・・・雲しか見えないし。まぁ、分かってたことだけど。
トイレ・・・・ん?”宿泊者専用”って書かれてます。じゃ、一般の人はどないっせーっつうんだ!
一般者にはなんか、トイレってあまり貸してくれないみたいです・・・ひどい話です。
ということで、水分はあまりとらず・・・いや、疲労している時は十分に水分をとって休むことが重要だし・・・
・・・うーん、しかも山小屋と山小屋の間は1時間もあって、いきなり尿意をもよおしたら死ぬほどつらそうなんだけど
・・・隠れる場所、どこにもないし・・・
でもなぜか、気圧が低いせいか(?)、結構水分とってるのに、尿意をもよおしません。よかった。
・・・・・・・・・・元7合目・・・・・・
まだ半分ぐらいかよ。
もう完全に死にそうなくらいつらいですけど。
しかも、もう午後になっちゃって、これから登っていっても、下りられる体力残ってるか分からないんですけど?たぶん、午後6時ぐらいには下りてないとまずいし。
・・・タイムリミット???
全然考えてなかった。
パンフに書いてある時間って、普通、多目に書いてあるじゃん。
だから、全然余裕だと思ったら、大間違い。
このペースだと、パンフの標準時間より長いんですけど?
・・・8合目・・・
ここまで来たら絶対全部登る・・・と思いながら、フラフラの状態で惰性だけで登る。
・・・9合目・・・
・・・9合目半・・・
あとちょっとのはずなのに・・・全然頂上が見えないじゃないかーー!!!
ゴールが見えると、ちょっと人間って頑張っちゃうじゃん。
山小屋見える度に、少し元気でてきたんだけど、なぜここまで来て頂上が分からないの?
ふぅ・・・とため息をついてたら、なんか隣のカップルが怪しい。
女性のほうが高山病らしく、頭痛でずっと横になっていて、男性にこう言ってた。
「あんただけでも、頂上行ってきて」
あぁ・・・そりゃそうだよね・・・ここまで来たら、絶対登っておきたいって思うのが普通だよね。
さて、ここで男はどうするんだろうなぁ?女にずっと付き添っているのか?それとも、自分だけ登ってしまうのか?
うーん、どうするんだろう?などと思っていたが、結局、男はずっと付き添っていた。
まぁ・・・・それが正しい選択だよな・・・
・・・なんかまたよく分からないことを悟りながら、頂上へ
・・・頂上・・・・
午後2時40分、ついに到着。
すごい達成感があるだろうなぁ・・・などと思ってたけど、いざ登ってみると、さほどでも。
とにかく、疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。疲れた。
多少の達成感はあるものの、まぁ、なんか疲労感がでかすぎて、味わえない。
なんか、他の登頂者もみんなへたってます。
外国人が結構います。まぁ、この時期登るとしたら、普通の人は仕事か学校なんだから、おじいちゃん・おばあちゃんか外国人ぐらいが当たり前だけど。
さてここでは携帯が通じるだろうか?
なーーーーーーーーーーんと・・・・・・・・3本たってます。すげぇ。
通話は楽勝ですが、なぜかメールが送れないらしいです。よく分からないけど。
さてさて、ここで一番重要なこと。
なーんと、食事を何も持ってこなかった!!!!!
お菓子は、たったのチョコレート1枚とベビースター。
山をなめすぎました。なぜ、昼飯を買ってこなかったのか自分でも不思議。
チョコレートは本当に重要。疲れた時は甘いもの。ちびちび食って、残り3キレ。下山用に残してありますが、かなりキツい。
ベビースターは、喉がからからになるので食えず。お茶は1リットルのペットボトルを持ってきたが、もう1口分しか残ってない。
チョコレート1枚分しか、カロリーを取ってないので、体力が全然もたない。
さすがにここで何か食べないと下りられないと思って、売店を覗くと・・・
カレーライス1000円、牛丼1200円。
・・・なめんなー!!
うぐぐ・・・でも、食べないと・・・でも、誰も客いないし・・・っつうか、人もいない・・・やばい。
なんとか勇気をだして店員らしき人に声をかける。
もう閉店寸前らしく、なーんか、店員もイヤイヤなのが見え見え。
すごく申し訳ないので、
「一番簡単なものお願いします。」
と言ったら、
「カップラーメンどうですか?」
と言われたので、それで。
んで、表示価格を見ると・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・800円。
たった100円のカップラーメンが、8倍ですか!お湯代をいれてもせいぜい150円。観光地料金とは言っても、ボリすぎです。この調子だと、カレーライス1000円も、激ショボっぽそう。
日本一高い山で、日本一高いカップラーメンを食べました。
富士山の頂上では気圧が低いので、お湯が100度ではありません。せいぜい80度ぐらいのはずですが、かなりお湯はぬるいはずだが、普通のカップラーメンの味でした。ま、当たり前ですが。
涙ぐみながら食べました。
自分の愚かさを嘆きながら。
今度は、なにやら女性客が店員に何か言ってます。
「すいませーん。どこかで着替えさせてもらえませんか?」
「宿泊者じゃない人では、ちょっと・・・」
・・・鬼か、ここは。
私は男なので、堂々と山小屋の椅子に座りながら、へぼい脂肪だらけの体を見せながら、完全に汗だくになったTシャツを替えたんですが、女性には無理でしょ。
何度もいいますが、植物が全く生えてないので、どこも隠れる場所がないんです。
頂上にある山小屋はここのみ・・・なのに、拒否。ひでぇ。
午後3時になったら、まだ客もいそうなのに完全に店を閉めてしまいました。
なんか山小屋の宿泊者じゃない人への対応がすごい、冷酷に見えました。
結局、金なのか?カップラだって800円もするし。商売のためだけに生きてるのか?
・・・・はぁ・・・
ため息をつきながら、火山口へ。
うーん、残雪もあって、ちょっと風情だけど、ま、何もないね。
とか、なんとかいいながら、パシャ!
自分撮りでパシャ!
はい、自己満足終了・・・と思ってたら、離れた場所にいた外国人の方がなにやら・・・「Would・・・photo・・・」と言っている。
とにかく写真をとってくれるみたい。「Please」ぐらいしか言葉が思いつかなかったが、お願いした。
「Thank you」と言って握手を求めた。
・・・金ばっか求める日本人より、外国人のほうが優しいじゃん。
なんかちょっと複雑になりながら、最終目標へ。
頂上と言ってもまだ3730m・・・3776mの地点は、富士山観測所。
さてあと40mぐらい登らなきゃならないのだが・・・えい!・・・えい!・・・えい!ばたんきゅー。
もう完全に足がいっちゃってて、動きません。
しかも時刻はもう午後3時15分。もう下りはじめないと本当に危険です。
あそこまで登るのに、あと20分くらい・・・最後の決断。
「人生、ちょっとぐらい遣り残したことを残しておいたほうがいいんじゃないか?また来る理由にもなるし・・・誰かと一緒に」
などと思って、なんと、3730mまで登っておきながら、完全なる頂上を見ずに撤退。
自分でも、ちょっとありえない。
最後に、浅間大社(神社)にて、参拝。
おみくじひいたらなんと、大吉。
ちょっと嬉しくなってしまって、1500円もする「お守り」を買ってしまいました。
そのお守りは、「幸福守」!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ぜひとも、私を幸福にしてください。
そして、午後3時40分、十分とはいいきれない休憩だが、ようやく下山開始。
っていうか、まだ頂上にいたの、私だけです。最後の下山者です。やばいです。
下りるのは楽チンと思っていたが、かなりしんどい。
もう足はパンパン。だけど、早く下りないと真っ暗になってしまう。
懐中電灯も持ってない。チョコレート3キレ、お茶3口分しか残ってない。
下りるのは、確かに体力は使わないが、転びやすくて怪我をしやすいので危険。
登るときはしてなかった手袋をつけて、ロープにつながりながら下山。
・・・9合目半・・・9合目・・・
なにかいきなりさっきの自分の考えに疑問を感じてきたぞ。
「もし、あの時体力があれば、絶対頂上まで登っていた。」
「あの時、ああ自分が思ったのは、自分で勝手に引き返す理由を作りたかったからだ。」
「自分の負けを認めないで、自分の都合のいいように勝手に解釈する。これが、自分の悪い癖だ。」
「負けは負けで素直に認めるべきではないのか?」
などと冷静な判断がよぎった。たしかにそうかもしれない。ま、それに気づいただけよかったことにしておこう(また自分の勝手解釈)。
・・・8合目・・・元7合目・・・
山小屋で貴重品チェック。
「車のキー」「財布」「携帯電話」「デジカメ」の4点チェックは、登るときから山小屋ごとに完璧にチェックしてます。
これを落としたら、シャレになりませんからね。
よしよし、最後のチョコレート食って最後のひとふんばり。
あれれ?どんどん登山者が来るではないか。
山小屋に泊まって、明日御来光を拝もうとする人達だ。
7合目の人はなにやら、AM2時に出発して、頂上に行って拝むらしい。
なにやらたくましい人達だ。
・・・新7合目・・・6合目・・・
もう午後6時過ぎ・・・あたりは霧につつまれ、すごく薄暗い。
もう、登山も下山も限界の時間らしい。
それにしても疲れた。
ん!自動販売機が・・・うーん、250円かぁ(頂上付近では350円)。まだましかぁ。
ん!ペットボトルは300円!ここで水分を補給して一気に下りるべきか?
うーん・・・・・・・・・・・・・人間の誘惑にはめちゃ弱い。
さすがに限界と思って、かばんから財布をとりだし・・・あれ?なんかとりだしにくい、ちょっとここに置いておいて、300円。
2時間くらい水分補給0で下りてたのでかなり元気に。
・・・5合目・・・
午後6時40分、あたりはもう完全に薄暗い。
売店も閉まっているので、何も買えず。
とにかく、車についてまずチェックしたことは、「健康保険証」(なぜか持ってきた)、「財布」、「携帯電話」、、、よっしゃある。
ふぇーーーーーー、車の中で30分くらいぐったり。
本気で疲れた。
マジ疲れた。
ありえないくらい疲れた。
明日は完全に筋肉痛かなぁ・・・などと思いながら、ようやく富士市へ向けて帰還開始。
・・・富士市・・・
サウナに到着して、さぁ、ひとっ風呂あびて寝るかー!!!と思った、その瞬間!!!!!!!!!!!!!!!!!!!思い出した。
「デジカメ」をチェックしていない。
まさか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さすがにあるだろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いやいや・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありえない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まじで・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はれ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
1時間じっくりともかけて、車の中を全部ひっくり返しても出てこない。
頭の中が真っ白になって、あれこれ思いだす。
「各山小屋で確実に4点セットをチェックしていたので、絶対に下山6合目まではある。」
「6合目にて、最後に欲望に負けてジュースを買おうとした・・・・あの時・・・・」
「そうだ・・・お金300円をとりだすときに、デジカメが邪魔だから椅子においてしまったんだ。」
「そして、その後1回もチェックせず、、、そのまま富士まで戻った。」
「つまり、あの時、欲望に負けてさえいなければ・・・・・・・・・・」
「そして、最後のあの車でチェックしていれば・・・」
「その前にあのデジカメに名札をつけていれば・・・」
声ともならない嗚咽を放ちながら、その場に倒れた。
購入して1ヶ月も経っていないお気に入りデジカメ、本体5万円、フラッシュメモリ1万円。
失ったもの・・・・超お気に入りのバンダナ300円+超お気に入りのデジカメ6万円+思い出。
自分では、A型正確で、ものすごく慎重なのかと思ってました。
しかし、人間、極限状態になると、ぜーーーんんぜん忘れてしまうんですね。
極限まで疲労し、集中力が落ちると、ぜーーーーんぜんダメですね。
結局、自分は、頂点まで登らなかったのと同じで、最後の最後のツメが甘すぎる。
自分という人間は、最後の最後であきらめてしまうのだ。なにかしら理由をつけて。
そして、冷静な判断もできない。
そして、すぐには負けを認められない。
あのおみくじ・・・本当はやっぱり、大凶じゃねぇーか。馬鹿野郎!!!!!!!!!!!!!!!!!
皮肉なことにおみくじで気をよくして買ったあのお守りだけが、頂上へ行った証拠になっていた。
人生って・・・・・・・・・・・・こんなもん?(おわり)
(と思ったら、終わってなかった。)
・・・デジカメ、2週間経って発見。1時間も探した車の中にあった・・・ありえない。