> ハイラガ紀行 〜 炎の魔人を撃退せよ!
無事に公宮の任務を終え、新たな階層を目指すさばみそギルドの面々達。
彼らの前に、金色の髪をなびかせた女性が現れた。
「森の木々が枯れているのです、原因の調査のため、サンプル採取をお願いします!」
薬泉院の助手。
そう名乗った彼女は樹海の木々が枯れ行く病気が蔓延している事を語り、その調査をさばみそギルドの面々に依頼する。
「すいません……危険な事はして欲しくないのですが、どうしても行くといって聞かなくて……」
薬泉院の治療士は申し訳なさそうに、彼らへ頭を下げる。
新たな迷宮。
新たな敵。
慣れない道を、慣れない仲間とともに歩む。
「……ありました! これならサンプルになると思います!」
そして迷宮のとある一角で、無事に目的のモノ。
サンプルを手に入れたさばみそ冒険者たちは、何とか彼女をハイ・ラガードの街まで送り届ける。
「ありがとうございます、またいつかお会いしましょうね。皆さん!」
枯れ行く木々が原因究明と、再び会う事を約束し、さばみそギルドの面々は彼女と別れた。
新たな出会い、新たな絆。
知らないものだらけだったこの街で、少しずつ結びつきが増えていく喜びを感じながら……。
> その名はエスバット
GM : 「それではセッションを続けようか。無事に薬泉院の助手そのクエストを追えたキミたちは迷宮探索を再開する……」
アクセル : 「もう一度、進んだ道です。迷わず突き抜けてしまいましょう」
シュンスケ : 「そうだね……でも、F.O.Eがいる所は注意して進もうね。うっかり当たって壊滅しちゃうといけないから……」
アクセル : 「わかってますって。それではGM、迷宮の奥を目指して進みます」
GM : 「ふむ……道中はモンスターも出るが」
ローズ : 「出ましたわね! 悪いモンスター様はローズがビシバシお仕置き致しますわ!」
アズマ : 「アタシに任せておいてくだせぇ、刀のサビにしてくれますぜ!」
GM : 「……ローズと愉快なげぼくたちの活躍によって、とりあえず大きく苦戦する事なく進んでいくな。かくして、キミたちは無事に探索すみのフロアを抜け、10階にたどり着いた」
アズマ : 「ちょ、GMの旦那! 下僕って……」
ミクト : 「あはは、いーじゃ無ぇーか、ローズはみんなのお姫様なんだからな!」
ローズ : 「ローズはお姫様ですのー! ……アズマ様、シモベとしてローズに肩車をしてもよろしくてよ?」
アズマ : 「仕方ないですねぇ……どうぞ、お嬢様」(ひょい)
ローズ : 「きゃー、肩車ですわ! 肩車ですわー!」(きゃっきゃ)
ミクト : 「!? 貴様っ、俺を差し置いて肩車をしローズちゃんのフレッシュ! ふとももを堪能するとは許せん、許せんっ……」
アズマ : 「……変わりましょうか、ミクトの旦那?」
ミクト : 「いや! だがしかし肩車をされ揺れるドレスの裾を見るという仕事も忙しい! 肩車で触れあいたい気持ちと今の境遇を喜ぶ気持ちが葛藤してあああ、どうしたらいいんだ俺は!」
アクセル : 「死ねばいいと思うよ」
ミクト : 「だが死なぬ! 仮に死んだとしても、必ずや第2の。そして第3のミクトラン・ソドマが現れローズちゃんのフレッシュふとももに思いを馳せる事だろう……」
アクセル : 「俺、あぁいう大人にはなりたくないな……」
ミクト : 「子供らしい生々しい感想を有難う、アクセル君」
GM : 「とにかく、キミたちは無事10階に到達し少しずつ進んでいく……」
ローズ : 「あ! 見てくださいアズマ様。木の上にリスさんがいますわ〜」
アズマ : 「ん……あぁ、本当だ。以前見た奴と一緒ですかねぇ」
シュンスケ : 「いえ、違うようですね。以前の子とはしっぽの形が違いますから」
ローズ : 「あ、あの! おじさま……私、リスさんに餌をさし上げたいですわ……」
アクセル : 「おいローズ。この前もそんな事いって、アリアドネの糸を盗まれ非道い目にあっただろ。やめた方がいいんじゃないか?」
ローズ : 「ううう……駄目ですの?」(じわっ)
アクセル : 「う……」
ミクト : (流石のアクセルも、ローズちゃんにウルウル目で見られたら弱いみたいだな……)
アズマ : 「まぁまぁ、いいんじゃないですかねぇ? 餌をあげるだけでしたら危険はないでしょうに。ねぇ、アクセル坊?」
アクセル : 「そ、そうですね……餌をあげる位でしたら。いいよ、ローズ、いってきな」
ローズ : 「わぁ……すぐに餌をあげてきますわね! 宿の女将さんにもらった、パンくずですわ……どうぞ、リスさん!」
GM : 「リスは小首を傾げると、最初は警戒していたようにこちらを何度も見るが、すぐ餌を食べ始めるな」
ローズ : 「ふわぁ、可愛いですわぁ……」
シュンスケ : 「うーん……それにしても、やけに人慣れしているようですね。人間の餌をほとんど抵抗なく食べるなんて……誰かの飼ってるリスでしょうか?」
ミクト : 「こんな所に飼いリスがいるのか?」
シュンスケ : 「巡回している衛士さんのペットか何かかじゃないですかね?」
GM : 「そんな話をしていると、リスはローズの肩に飛び乗り、身体をすりよせてきた」
ローズ : 「ふぁ!? やぁだ、くすぐったいですわ、リスさ……」
GM : 「かと思うと、急に俊敏に動き出し素早く、冒険者たちの荷物へと潜り込む!」
アクセル : 「!? しまっ……こら、出てこい! それは俺たちの荷物だぞ!」
GM : 「……出てきた時、リスの口に何かくわえられている。どうやら、アリアドネの糸をくわえて出てきたらしい」
アクセル : 「なんだと!? くそ、まて。それはっ、かえ……」
GM : 「……捕まえようと思い手を伸ばす。だが、リスはさっさと振り返ると、そのまま樹海へと消えてしまった」
アクセル : 「しまった、またやられた……!」
ローズ : 「はうはうはうはう……す、すいませんでしたの。ローズが、リスさんに餌をあげたいとか言ったから……」(うるうる)
ミクト : 「いやいや、ローズちゃんのせいじゃねーって……にしても、嫌に手慣れたかんじのリスだったな」
アズマ : 「ですねぇ。あの動き、訓練された軍人のようでしたよ……」
GM : 「……などと話しているキミたちに、誰かが声をかけてくる。振り返ればそこに衛士がいた。 衛士『おい、どうした困っているのか? もし迷宮が出られず困っているなら、俺のアリアドネの糸を譲ってやろう。何と、たったの1000エンだ!』」
シュンスケ : 「えー!? タイミング良すぎる」
ローズ : 「定価の十倍ですわ!」
GM(衛士) : 『どした、買わないのか? 困ってるんじゃないのかなー』(ニヤニヤ)
ミクト : 「犯人はお前だーッッ! ジッチャンの名にかけて、お前を成敗する!」(ドコ、バキ、ドカッ!)
GM : 「お、おい! NPCをそんな、本気で殴るなお前っ! ……素手の攻撃の方が強いんじゃないのか!?」
ローズ : 「ミクトお兄さまが大暴れしてますの! ……アクセル、今日はとめませんの?」
アクセル : 「うん、今日は心赴くまま、しろげに殴らせてやりたい気分だ」
アズマ : 「悪党は成敗しなきゃいけませんからねぇ」
アクセル : 「とんでもない暴れ馬だけど、こういう時は頼りになりますよね。しろげ頭って」
ミクト : 「殴る所がない位、ボッコボコにしてやりました!」(ビシッ)
シュンスケ : 「お疲れさまでした……うーん、でも、アリアドネの糸がないと迷宮探索を続けるのは危険ですね。どうしましょうか?」
ミクト : 「もうちょっとだけ先を見て、長そうだったら一端戻ろうぜ……GM、この先には何がある?」
GM : 「うむ……先に進むと、扉の前で立ちはだかる人影が見えるな」
ローズ : 「人影? 衛士さんですの?」
GM : 「いや……銃を構えた、初老の男だ。男はキミたちを見つけるなりその前に立つと暫く無言で、キミたちを値踏みするように眺めている」
アズマ : 「な、何ですかい……そんな変なカッコしてますかねぇ、アタシは?」
ローズ : 「アズマ様の格好は、この国では珍しいのかもしれませんわ〜」
GM : 「暫く眺めたあと、ふむと一呼吸おいてから男はキミたちに語りかけた。 (謎の男)『さばみそ……とかいうギルドだったか。この場所までくるとは、なかなか腕のあるギルドのようだ。だが、まだまだ我らの力には及ばぬ……樹海探索は我らに任せて街に戻り、引退でもしたらどうだ?』」
ミクト : 「なぁっ、何だよいきなり……初対面の癖に不躾なジジイだなおい。誰だよお前はっ!」
GM(謎の男) : 『そうか……たしかに、自分達を殺す相手の名を知らないままというのは哀れ……心して聞け! 我はライシュッツ! 人は呼ぶ、そう我を……魔弾の銃士と、な!』
アクセル : 「いきなり殺すとか言い出したし!」
ミクト : 「名乗っても不躾なジジイだなおい!」
ローズ : 「ううう、物騒な事をもうしておりますわ……怖いおじーちゃまですの……」(ビクビク)
アズマ : 「どうします? 先方、かなり殺気だってますけど?」
シュンスケ : 「……やめませんよ」
アズマ : 「シュンスケの旦那?」
シュンスケ : 「貴方に何を言われても、私たちは樹海探索はやめません! 私は……この樹海探索で、大切なものを取り戻したい。そう思っているんです。だから……貴方に何を言われても、絶対にやめませんよ!」
アクセル : 「…………アニキ」
GM : 「……キミがそう言うと、男……ライシュッツは嘲笑うように言う。 (ライシュッツ)『過去にそう息巻いて何人がこの銃弾に倒れたか知らぬのか……まぁよい。樹海の糧となるのを望むなら、望み通りにしてやろう!』」
アズマ : 「やるんですかい? やれ、同業者とやりあうのは気乗りしねぇんですがね……」(チャキッ)
ローズ : 「む〜、いくらおじーちゃまでも、意地悪するんなら私、許しませんですわよ!」
GM : 「等とやりとりをしているキミらの背後から、明朗な女性の声がする。 『こらー! 何やってんのもー。冒険者同士が喧嘩したってなーんもいい事ないでしょーに、駄目でしょ!』 振り返った君たちの前に、長い黒髪をなびかせた少女が現れた。まだ年若く見えるが、妙に落ち着いた。だが少し悪戯っぽい印象の女性だ」
ミクト : 「誰だお前は! 結婚してください!」
シュンスケ : 「……振り向きざまにプロポーズですか!?」
アクセル : 「お前は話がこじれるから黙ってろ」(ぐい)
ミクト : 「いたた、耳! 耳は駄目ですよ引っ張る為にありません! 優しい愛の言葉を囁くためにあるのです!」
ローズ : 「あー、あの方、私のドレスと同じドレス着てますわー! ……おねーさまは、ドクトルマグスでいらっしゃいますの?」
GM : 「彼女は屈託なく笑うと、頷いてみせる。 『えぇ、そうよ……ごめんなさいね。うちの爺やが迷惑かけたみたいで』」
シュンスケ : 「あっ、いえ、迷惑などは……」(ペコペコ)
ミクト : 「なにヘコヘコしてんだよ! 滅茶苦茶絡まれただろ。こういう時は 『はい、迷惑かけられました。この落とし前はどうつけくれるんだ!』 って言ってやれ!」
GM(謎の女性) : 『ごめんね、翁やはいっつもこうなんだから……』
シュンスケ : 「えっと……あの、私はさばみそギルドのシュンスケ・ルディックというものですが……貴方は……?」
GM(謎の女性) : 『うん、自己紹介をした方がいいかしらね? 私は、呪医者のアーテリンデ。こっちが翁や、銃士のライシュッツよ。エスバットってギルドを率いているわ……聞いた事くらいあるでしょ?』
ミクト : 「エスバット?」
アクセル : 「何度か聞いた事がありますね……たしか、手練れのギルドとして名高い方々ですよ。まさかこんな年若お嬢さんが率いているとは思いませんでしたけど」
GM(アーテリンデ) : 『あはは、キミ、若いのにお上手ね。お嬢さんだなんて』
ミクト : 「ふーん。で、そのギルドの面子が何してんだこんな所で?」
GM(アーテリンデ) : 『んー、それはキミたちの為。って奴? この奥にはね、ちょっと凶暴な魔物(やつ)が住んでるの。だからここから先は、大公宮から許可が出た冒険者しか行けないようになってるのよね。翁やが無理にとめたのはそういう理由。ちょっと強引だったとは思うけど、悪く思わないで欲しいわ』
ミクト : 「強引ってレベルじゃなかった気がするけどな!」
アズマ : 「うーん、という事は一度街に戻って、許可とやらを貰ってこないと駄目って事ですかねぇ」
アクセル : 「そういう事になりそうですね……」
シュンスケ : 「丁度良いですよ、糸もないですから、戻って話をしてきましょう」
GM : アーテリンデは振り返る君たちに明るく手を振った。 『じゃぁね、気を付けて……ばいばーい!』
ローズ : 「ばいばーいですの! アーテリンデさまー!」(手を振り替えしてる)
シュンスケ : 「はぁ……一時はどうなるかと思いましたが。良かったですね、ライシュッツさんは好戦的な様子でしたけど、アーテリンデ様は話の分かる方みたいで……元気もよくて、気持ちのいい人でしたね。アーテリンデ様は」
ミクト : 「……そうかな?」
シュンスケ : 「ミクトさん? ……何か気になる事でもありましたか?」
ミクト : 「いや、気になる事って訳でもねーつまんねー憶測なんだけどよ……何つーか、あのアーテリンデって奴。笑顔が妙に嘘っぽいって、そー思っただけだ」
シュンスケ : 「はぁ……」
ミクト : 「……口調もどっか空々しいというか、空元気というかな……アイツ、何か隠してるのかもしれねーな」
アクセル : 「また適当な事を……」
ミクト : 「俺は嘘つきだから、嘘つく奴の顔って何となくわかんだよ……ありゃ、嘘ついてる奴の顔だぜ。まー、公宮云々って部分は嘘ついても仕方ねー部分だから多分本当だろうが……ありゃ、何か隠してるな。ただの直感だが」
アズマ : 「……何にせよ、一筋縄ではいかねぇ相手みてぇですね。ギルド・エスバットですかい……これから何もなきゃ、いいんですけどねぇ」
> 紅き森、炎の森
GM : 「さて、アレコレあった後、何とか街に戻った訳だが……」
ミクト : 「大公宮のジジイー! 俺だー! 魔物倒させろー!」(バァン)
GM : 「行動早いな。(笑) (大臣)『おお、さばみそギルドの者達か……その様子だとエスバットの方々とお会いしたようじゃな』」
ミクト : 「おう! それで俺たちは、何を倒せばいい?」
GM(大臣) : 『ふむ……実はあの扉の奥には魔人が住んでおってな。その強さもなかなかなのじゃが、この魔人の恐るべき所はその生命力なのじゃ! 奴は、倒しても数日すると復活する。故に、腕に覚えのある冒険者しかあの道を進ませないようにしておるのじゃ……』
ミクト : 「じゃぁその魔物をとっとと魔物倒させろ!」
GM : 「……少しは説明させろ、大臣が可哀想だろ?」
ミクト : 「だってソイツ、もったい付けて話すし話も長ぇーんだよ! ……どうせ、要約すりゃ魔物倒せ! って言ってるんだろ?」
GM : 「それは……まぁ、その通りだが」(笑)
アズマ : 「その魔人とやらを倒さなきゃ先に進めない、っていうんでしたらアタシらは倒して進む道を選びまさぁ……大臣、その任務、アタシらにお任せ頂けないでしょうか」
GM(大臣) : 『うむ……さばみそギルドよ。お主たちの覚悟はたしかに聞いた。よし、あの道を進む事を許可しよう』
アクセル : 「それで、迷宮の奥にいる魔物とは一体どんなモノですか?」
GM(大臣) : 『ふむ……そうじゃの。奴は、しぶとい生命力と炎を自在に操る力を持つ故に、我々からは炎の魔人と呼ばれておる』
アクセル : 「安直なネーミングですね」
ミクト : 「いや、ここは安直でいーだろ。これで炎を操る氷の女王って名前だったら何故!? って頭が軽くパニックおこすぞ」
シュンスケ : 「安直な名前通り、弱点も氷系統の魔法などでしょうか?」
GM: 「あんまり安直安直言わないでやってくれ。あまりにマニアックな守護者の名前をチョイスした結果、出会うまでどんな奴だかわからなくなってしまったというエトリア時代からの配慮だ」
シュンスケ : 「安直さはハイラガの皆さんの優しさで出来ていたんですね……」
アズマ : 「……とにかく、どんなタフな相手だか知りませんが、倒さなけりゃ先に進めないんでしょう? だったらその任務、アタシらが受けましょう」
GM(大臣) : 『うむ……奴は強力な魔物じゃ。気を付けて進むのじゃよ』
アズマ : 「はぁ……とにかく、これで公宮のお墨付きも手に入れたし、これで10階の奥へ進む事が出来そうですぜ」
ミクト : 「あぁ、とっとと奥まで進んで、その炎の魔人とやらをボッコボコにしてやろーぜ! いくぞみんなー!」
アクセルを除いた一同 : 「「「おー!!!」」」
ミクト : 「……って、何でアクセル君だけかけ声あわせないですカー? やる気無いんですカー? エー?」
アクセル : 「炎の魔人と戦う気はある。だが、お前のかけ声にあわせる気はない!」
ミクト : 「何デスカー! お前はー! ホントに、可愛くないお子さまですネー!」(ぎりぎりぎりぎり)
アクセル : 「お前に可愛いと思ってもらいたくはない!」(ぎりぎりぎりぎり)
シュンスケ : 「あああ、喧嘩は! けんかはダメだよ、アクセル〜」(おろおろ)
アズマ : 「……あの二人はなかなか、仲良くなりませんねぇ」
ローズ : 「お互いちょっとずつ譲れば喧嘩になりませんのに……男って、しょうがない所がありますわね」
アズマ : 「とにかく、これであのフロアの先に進めるはずですから、また迷宮に戻りましょう」
GM : 「迷宮に戻るのだな……途中モンスターが出るが」
アズマ : (ちぎっては投げ)
ローズ : (投げてはちぎりの大活躍)
GM : 「……対処法の分かっているモンスター相手なら危険になる事もなく、キミたちは無事10階までたどり着く」
ミクト : 「よっしゃ! あのジジイいるか! 一言文句いってやんねーとおさまんねー! コラ! 炎の魔人を倒しに来た冒険者様だぞ!」
GM : 「息巻いている所悪いが、残念ながら目的の人物はいないな……すでにエスバットの面々は、その場所から離れているようだ」
ミクト : 「何でいねぇーんだよ! 中途半端な門番だなおい!」
アズマ : 「いいですよ、いないなら行っていいって事でしょ。とにかく進んでみましょうぜ」
ミクト : 「ぬー、あの爺さんに一言文句いってやりたかったんだがなー!」(ぎりぎり)
アクセル : 「扉を開けます……特に襲われたりとかないですね?」
GM : 「ない。エスバットの面々も、もうその気配がない」
アクセル : 「あれだけ挑発してきたのにあっけないですね……ちょっと拍子抜けですが、今はひとまず迷宮の探索に集中しましょう」
アズマ : (無言で頷く)
かくして、10階の探索をはじめたさばみそギルドご一行。
その道中は。
ローズ : 「きゃー、サウロポセイドン様が出ましたわー! 疾風疾駆が来ますわ! 疾風疾駆がきますわー!」
アズマ : 「大丈夫ですぜ、お嬢ちゃん。まず、力溜めから入りますから、ミクトの旦那が眠らせてくれれば……ミクトの旦那、頼みます!」
ミクト : 「まかせろ! 俺の微睡みに抱かれろー!」(五円玉ぷらーんぷらーん)
アクセル : 「……それで本当に寝るのか?」
GM : 「……残念ながら、きかなかったようだな」
ミクト : 「……てへ!」(ぺろ)
アクセル : 「てへぺろ! じゃなーい! お前がそれやっても可愛くなーい! というか、真面目にやれ!」
ローズ : 「きゃー! 疾風疾駆がきましたわー! ……前戦はもうズタボロですのー」
……サウロポセイドン(恐竜)に、時にボコボコにされ。
アクセル : 「……随分広い部屋に出ましたね」
ローズ : 「アクセルー、お部屋見てください! MAPには出ないF.O.Eさんがいっぱいいますわー。カボチャさんですの!」
ミクト : 「おいアクセル! 地図描くのに夢中になって、F.O.Eに衝突するとか洒落になんねーからやめてくれよな!」
アクセル : 「……ここは、こう……なって、えーと、ここは……」(描きかき)
ミクト : 「って、少しは俺の話をきけー! アクセル、後ろー! うしろー!」
アクセル : 「後ろ、って……うわぁ!」
GM : 「……地図に夢中になりすぎだな、アクセル。三頭飛南瓜が現れたぞ」
アクセル : 「しまった……」
ミクト : 「てめー! アクセル! 俺の事は嫌いでもいーが、少しは俺の忠告もきけー! コラー!」
……時に、カボチャと衝突事故を起こし。
ローズ : 「あそこに、落ち葉がいっぱいありますわ!」
ミクト : 「……ホントだ。こりゃ、集めればちょっと寝られるベッドになりそうだな」
アクセル : 「何いってるんですか……迷宮探索の途中ですよ。こんな危険な所で寝るなんて」
ローズ : 「アクセル〜。私、落ち葉のベッドで寝てみたいですわ……」
アクセル : 「ローズ……全く、仕方ないな」
ミクト : 「よーし、ローズちゃんのために落ち葉の布団作るぞー!」(わしゃわしゃ!)
アクセル : 「こら! そんなに落ち葉を散らかすな!」
・
・
・
ミクト : 「……何て、一番乗り気じゃなかった癖に」
アクセル : 「くー……すぅ……」
ミクト : 「何でコイツが落ち葉のベッドで一番よーく寝てるんだ?」
アクセル : 「すぅ、すぅ……」
アズマ : 「まーまぁ、旦那。アクセルも普段から気を使って、疲れてるんでしょう……少し休ませてやりましょうや」
シュンスケ : 「す、すいません……」
ミクト : 「ま、今日のところはこの寝顔に免じて許してやるか!」
アクセル : 「くー……」
ローズ : 「アクセル、おやすみでーすわ〜」
……時に、休息をとりながら。
GM : 「キミたちがその道を進むと広いフロアに出るな……」
アズマ : 「……!」
シュンスケ : 「? どうしましたか、アズマさん」
ミクト : 「……アズマも気付いたか。この気配。この熱気。どーやらこの奥に何かいるな! 相当でけぇ奴だぜ!」
アズマ : 「えぇ……どうやら近くに、噂のボスが……炎の魔人とやらが、居るっぽいですぜ。シュンスケの旦那」
シュンスケ : 「えぇっ!?」
ローズ : 「あっ、見て下さいまし! あんな所に、磁軸の柱がありましてよ! 起動しておきますわねー」
アズマ : 「どうやらご丁重に、ボス前の準備もしろって事みたいですねぇ……」
シュンスケ : 「あっ。こ、この奥に……」
アズマ : 「そうですねぇ……さて、魔人退治としゃれ込みましょうや!」
……ついに炎の魔人が塒に、たどり着くのであった。
> 紅き森の紅き魔人
ミクト : 「耐熱ミストよーし?」
ローズ : 「耐熱ミストよーし! でーすわっ」
ミクト : 「テリアカよーし?」
ローズ : 「テリアカよーし! でーすわっ!」
ミクト : 「うん、アイテムは万端! これならいつ、その炎の魔人とやらと戦ってもいーと思うぜ」
アズマ : 「体力もTPも問題なし……それじゃぁ、そろそろ行きましょうか。その炎の魔人の所に……」
アクセル : 「それじゃ、扉を開けますよ……」(がちゃ)
シュンスケ : 「は、はい……中はどうなってますか、GM?」
GM : 「中は広く、あたり一面にすっかり色づいた落ち葉が舞っている。そしてその中央には、まるで先の道を守るかのように巨体を膨らませた魔物が階段の前に立ちふさがっているな。恐らくあれが、炎の魔人だろう。魔物は自らの力を誇示するようより熱気を増し、今はこのフロア全体が何処か蒸し暑い……」
シュンスケ : (ゴクリ)
アズマ : 「ちょっとシュンスケの旦那、戦う前から気圧されしちゃダメですよ……ほらほら、気合い入れて! 行きましょう」(ぽん)
シュンスケ : 「は、はいっ……!」(おずおず)
GM : 「キミらがそれに近づくと、魔物はその巨体をさらに膨張させ、キミたちを威嚇する……黄色の毒々しい肌から凄まじい熱気があふれ出た! ……さぁ戦闘だ! 敵は、炎の魔人!」
シュンスケ : 「……熱い! これが、炎の魔人。ですか」(ビクビク)
アズマ : 「はぁ……だから気圧されちゃダメだていってるでしょ、旦那! さぁて……じゃ景気付けに一発、やっておきましょうかね。さて、小手打ちにするか、月影にするか……」
アクセル : 「月影なら、腕縛りが出来るかもしれませんよ」
※このデータはバグ修正前のデータでプレイしてます。故に、月影に腕縛りの効果が残ったままです。
※廉価版ではこの内容は修正されてます。
アズマ : 「そうですねぇ……運良く腕縛りが出れば儲けモノだ! では、アタシから月影。参ります!」
ローズ : 「ローズは、えっと……ローズは、アズマ様のフォローを致しますわ! アズマ様に鬼力化を」
シュンスケ : 「私はどうしますか……メディックって誰も怪我していないとやる事がないんですよね、えーと」(オタオタ)
アクセル : 「アニキ、もしヒマならアイテムをつかったらどうですか?」
シュンスケ : 「アイテムですか?」
アクセル : 「耐熱ミストがあるでしょう、炎の耐性をあげる奴です……相手は多分炎属性の攻撃を使ってくるから、やっておけば後々楽になると思うんですけど」
シュンスケ : 「わかった、それじゃ、耐熱ミストを! アクセルは?」
アクセル : 「俺は跳弾で!」
ミクト : 「おー、攻撃精神旺盛ですことなー……じゃ、ミクトお兄さんは相手の攻撃力を下げておこうかね。力祓いの呪言!」
GM : 「了解、では1ターン目だ、最初はローズからだな」
ローズ : 「はいですの! アズマさまー、鬼力ですわ〜。 フレーフレーアズマさま! 頑張れ頑張れアズマさまー! ですの!」(ちゃっちゃ)
アズマ : 「悪いですね、お嬢ちゃん」
ミクト : 「鬼力化ってローズちゃんの声援なの?」
アクセル : 「さぁ? でも一応きいてるみたいだぞ」
ミクト : 「………………俺、今からソードマンになろうかな」
アクセル : 「アホな事いってないで、早く弱体してください」(ジャキッ)
ミクト : 「わわわ。わかってますよ……俺は力祓いを! 抵抗は?」
GM : 「抵抗できるもんならしてるのだが……基本的に弱体は入りっぱなしだ、かかったな……これで攻撃力ダウンか」
ミクト : 「ベネ! ディ・モールトベネ!」
GM : 「では、こちらの攻撃だな……」
シュンスケ : 「あっ、あっ、アクセルたちより先にですか」
ミクト : 「結構行動の早い奴だな」
GM : 「オマエたちが鈍足なんだ。……攻撃は、狂乱の咆哮! これは、全体に混乱を与える!」
一同 : 「ええええー!」
GM : 「とはいえ、成功率は中の下程度か……かかったのは、ローズとアクセルだな。ローズはもう行動を終えているが……」
アクセル : 「でも俺は攻撃まだです……参ったな」
GM : 「攻撃は全て通常攻撃になるかわり、味方を含めてランダムにダメージが入るようになる。入れてくれ」
アクセル : 「はい……あっ!」(銃がローズの方に)
ローズ : 「やーんですのっ!」(ばちこーん!)
アクセル : 「ごごご、ごめん、ローズ!」
ローズ : 「いたいいたいですのぉ……非道いですわ、アクセル……」(めそり)
アクセル : 「わ、わ、悪気はないんだよ! ただ、その、偶然……」
ミクト : 「あー、アクセルがなーかした! なーかした! いーけないんだ! いけないんだっ!」
アクセル : 「う、う、うるさい! わざとじゃない。わざとじゃないんだっ! ご、ごめんなローズ。 その、泣くな。悪かったから!」
ローズ : 「ふぇっ……ふぇぇ……」(めそり)
アクセル : 「ごめっ……今日はおやつのプリン、ローズにあげるから!」
ローズ : 「ホントですの! わかりました、私、ガマン致しますわ! ローズは強い子です事よ!」
アクセル : 「あ、なおった」
アズマ : 「可愛い顔していて、実に現金ですね、お嬢ちゃん……」
ミクト : 「女の子ってタフだよな!」
GM : 「では、次のターンだが」
アズマ : 「うーん、アクセルに叩かれてお嬢ちゃんの体力は不安ですが……」
ローズ : 「痛いですの……」
シュンスケ : 「そ、それは私が回復で……」
アズマ : 「ローズのお嬢ちゃんとアクセル坊が二人混乱したまま。というのは少々辛い状況ですね……」
シュンスケ : 「あぁっ! そ、そうですね。どうしたら……」(オロオロ)
ローズ : 「ローズは大丈夫ですの! 私頑張りますから……おじさまは、アクセルの状態異常を回復させてくださいまし!」
シュンスケ : 「えっ? でも……大丈夫かい、ローズ?」
ローズ : 「へっちゃらですわ! それに、アクセルなら全体のバステ回復ももってますし、火力も高いですの。もしも、という時にはローズより……きっと、役に立ちますわ……」
シュンスケ : 「ローズ……でも……」
ミクト : (ぽむ)
シュンスケ : 「あ、ミクトさん……」
ミクト : 「気付いてやれよ! ローズちゃんは、自分が倒れた後もみんなが倒れないようにそうしろ。っていってるんだぜ」
シュンスケ : 「……ローズ!」
アズマ : 「冷たいようですが、シュンスケの旦那の回復が飛ぶより先にローズの嬢ちゃんが倒れている可能性の方が高いですしね」
シュンスケ : 「……わかりました。それでは私は、アクセルにリフレッシュを!」
ミクト : 「俺は相手に軟身の呪言だな、アズマは変わらず月影でいいのか?」
アズマ : 「よござんすよ。それじゃ、参りましょうや!」
GM : 「わかった、このターンは炎の魔人からだ。攻撃は通常攻撃だが……ローズに飛ぶ」
ローズ : 「や〜んですの! ……もう駄目ですわ」(ばたんきゅー)
シュンスケ : 「あぁっ、ローズ!」(おたおた)
ミクト : 「オタつくんじゃねぇよ! 想定の範囲内だろーが! ……それより、リフレッシュはどうした?」
シュンスケ : 「あ、リフレッシュはOKです! かかりました!」
アクセル : 「……何とか戦線に復帰しました、お騒がせしました」
ミクト : 「ホントにお騒がせだぜ! ローズちゃんまでぶっ殺して!」
アクセル : 「う……ですが、この仮は俺の銃で必ず返します!」
ミクト : 「だがその意気は良し、だな!」
アズマ : 「攻撃は……うーん、月影だと180前後しかダメージが入りませんねぇ……アタシだけじゃ、ダメージは厳しいようですよ?」
ミクト : 「軟身はいれたから、次からはもうちょっとダメージあがると思うぜ。引き続き頑張ってくれたまえ!」
アズマ : 「はいはい……」
GM : 「では、次のターンだ」
ローズ : 「私、倒れているから戦えませんの……起こしてくださいですわー」(じたじた)
シュンスケ : 「大丈夫、すぐリザレクションをかけるから!」
ミクト : 「リザった直後にまた殺されたりしてな!」
シュンスケ : 「え、縁起でもない事言わないでください……」(オロオロ)
アズマ : 「アタシは、引き続き月影を!」
アクセル : 「俺は……跳弾で。少しでも削れればいいんですが……」
ミクト : 「じゃ、俺は……睡眠どうかなぁ、こいつ。病毒からやってみるか。病毒で」
GM : 「では3ターン目、アズマからだな」
アズマ : 「月影! よござんすか?」
GM : 「あぁ……ダメージは219。このターンから軟身が入ってるからキツいな……」
ミクト : 「俺は病毒を!」
GM : 「うむ、それも入った」
ミクト : 「ベネ!」
GM : 「次の攻撃は炎の魔人だな……極炎撃! 単体ダメージだな。ダメージは148だ。アズマに」
アズマ : 「おっと……」
シュンスケ : 「だ、大丈夫ですか。アズマさん!」
アズマ : 「はは、おかげさまで……まだ、首の皮一枚繋がってるようですよ?」
シュンスケ : 「よかった……」
アクセル : 「それより、アニキはリザレクションを!」
シュンスケ : 「あ、はい。リザレクションを! ローズ、大丈夫でしたか?」
ローズ : 「ぷはー、生き返りましたわ!」(むくり)
アクセル : 「俺は、跳弾で! ダメージは……」
GM : 「91、91……91だな」
アクセル : 「よし、3発!」
GM : 「うむ……アクセルの攻撃が加わると流石に厳しいな……さて、次は4ターン目だが」
アズマ : 「はぁ。前衛はもうボロボロですねぇ……」
ローズ : 「けが! 怪我は、ローズがなおしますわ! アズマ様にヒーリングを!」
アズマ : 「……すまねぇ、嬢ちゃん。自分だってヤバイってのに」
ローズ : 「心配いりませんわ! ……それより、必ず敵を倒してくださいまし」
アズマ : 「よし、アタシは月影を!」
シュンスケ : 「わ、私はエリアヒールを! 間に合うかわかりませんが……!」
アクセル : 「俺は……今は俺に出来る仕事をする! 跳弾を続けます」
ミクト : 「俺は弱体かけると仕事がねーんだよなー……とりあえず、睡眠いれてみるか。入るかどーかわかんねーけど、入ったら儲けモノくらいでな……」
GM : 「では、このターンはローズからだ」
ローズ : 「お怪我は大丈夫ですの? ヒーリングですわ!」
アズマ : 「悪いねぇ、お嬢ちゃん。いつもすまねぇ」
ローズ: 「ですの!」
アズマ : 「それじゃ、嬢ちゃんの支援も受けた事だし……月影を! よござんすか?」
GM : 「うむ……ダメージは219。ではこちらの番だな。極炎撃! ダメージはローズに、110だ」
ミクト : 「おいおい、女の子ばっかり狙って。変態かー!」
GM : 「弱い所を狙うのは定石だろう……」
ローズ : 「ローズ、HP1しかありませんわ! うー、後はお任せしましたわ。皆様……ばたん」
アズマ : 「嬢ちゃん! ……すまねぇ」
シュンスケ : 「エリアヒール、ですが……うう、間に合いませんでした」
アズマ : 「ですが、こっちは完全に立て直せましたぜ! 次から反撃といきましょうや」
アクセル : 「俺は跳弾! どうだ!」
GM : 「……ダメージは91、91、91だな。基本的にダメージはそうランダムではない」
アクセル : 「うーん……でも273のダメージだと思えば結構ですよね」
ミクト : 「ちなみに睡眠はききませんでした!」
アクセル : 「気合いいれてしょーもない報告すんな!」
ミクト : (めそり)「しかも毒もきれちゃったんだよなぁ、はぁ……」
GM : 「5ターン目。さぁ、そろそろ厳しくなってきたか?」
アズマ : 「まだまだ! 月影を!」
シュンスケ : 「私はリザレクションを、ローズに!」
ローズ : 「おじさまー、助けてですわおじさまー」(ばたばた)
アクセル : 「俺は、跳弾をもう一回いれてみます」
ミクト : 「毒の効果がきれたみたいだな。病毒を」
GM : 「よし、次のターン。攻撃はアズマからだ」
アズマ : 「月影! よござんすか?」
GM : 「ダメージは241……基本的にダメージはかわらんからな」
アクセル : 「そうすると、跳弾も91×3か……あ!」
GM : 「一発ミスったな。91、91で二回攻撃だ」
アクセル : 「う……」
ミクト : 「気を落とすな、俺も病毒をミスった!」
アクセル : 「慰めにならないぞ、そんな事は!」
GM : 「こちらの攻撃は、通常攻撃だ。アズマに110のダメージ」
アズマ : 「おっと! とはいえ……うん、もう一発は大丈夫そうですよ」
シュンスケ : 「ローズ、大丈夫かい? リザレクションを」
ローズ : 「むくり! ローズちゃん完全復活でーすの! よーし、今度こそ頑張りますわよー!」
GM : 「6ターン目。さぁ、どうする?」
アズマ : 「月影……そろそろ終わらせるか、腕縛りをきめたいんですがねぇ」
ミクト : 「この成功率だと、倒すターンで決まりそうだな」
アズマ : 「我ながらそんな気がしてきましたよ」(笑)
ローズ : 「私は……私に、ヒーリングしますわ。もう一発で倒れちゃいますの……よろしくて?」
アズマ : 「アタシはもう一発もらっても大丈夫そうですから、かまいませんぜ」
シュンスケ : 「すぐにエリアヒールするから、大丈夫だよ」
ローズ : 「では、ヒーリングを! 私に!」
シュンスケ : 「ぼくは、エリアヒールを」
アクセル : 「うーん、今の武器は通常攻撃氷属性なんだよな……通常攻撃の方がダメージ入るかな……でも、跳弾だと三回攻撃がミスらなければ91×3は魅力だし……よし、跳弾にします!」
ミクト : 「博打好きだねーアクセルは……俺は、病毒しておくわ。他にやることねーし」
GM : (ふむ、だが……そろそろ厳しいか……)
ローズ : 「ヒーリング! 体力回復ですの! これで一発もらっても泣きませんわ!」
アズマ : 「何、喰らう前にやってやりまさぁで! 月影。よござんすか!」
GM : 「入った、が……ダメージは181。鬼力の効果が切れたから、多少ダメージは減っているな」
アズマ : 「しまった! あー……あと少しだと思うんですが……」
GM : 「こちらの攻撃は極炎撃! ダメージは110……相手は、ローズだ!」
ローズ : 「いたい! ですの。でも……負けませんわ!」
ミクト : 「おお、ローズちゃんがちゃんと立っている! ちゃんと立っているぞ!」
ローズ : 「ちゃんとお怪我治しましたの! 大丈夫ですわ!」
一同 : 「おー!」(ぱちぱちぱち)
ミクト : 「だったら俺の病毒で……あぁ、だめだ、きかない。もうだめだ。俺はもうねる」(ごろり)
アクセル : 「情けない事をするな、まだ戦いは終わってないだろ! いきます……跳弾! ダメージは……」
GM : 「いや、まて。それで倒れた……巨体はゆっくり傾き、膝をつき、そして地響きをたてて地に伏す。キミたちは……炎の魔人を、退治した!」
一同 : 「お〜!」(ぱちぱちぱち!)
GM : 「巨大な身体を震わせて、炎の魔人は倒れる。そして、自ら燃え上がり、灰となってその場に堆い塵だけを残した……」
アズマ : 「倒したんですねぇ……」
アクセル : 「でも、また復活するって言ってましたね……この灰がまたあの魔人になるんですかね?」
アズマ : 「さぁ、よくわかりませんね。この世界でも、樹海は取り分け異質な場所のようですから……」
ミクト : 「おい、何やってんだよテメーら!」
ローズ : 「私、早くお休みしてお菓子とか食べたいですわー」
シュンスケ : 「アズマさん、アクセル! 報告もあるし、そろそろアリアドネの糸を使って街に戻りましょう」
アズマ : 「あぁ、はい……行きましょうか、アクセル」
アクセル : 「……はい」
……苦戦しつつも、無事に第2階層がボス・炎の魔人を倒したさばみそギルドメンバーたち。
新たな道を開いた彼らは、まだ知らなかった。
この先にある、新たな冒険の事を。
そして……一つの別れと、一つの新しい出会いがまっているという事を。
幕間劇 : 弱い男。
幕間劇を始めよう。
それは、現実世界の物語。
全てを見えず、だが漠然と気付いてしまった男が下す、ある決別の物語。
……君は、彼の日常に、触れても、触れなくても良い。
・
・
・
セッション終了後
都内 某所――。
西園寺馨(GM) : 「……よし、今日はこのあたりにしておこう。区切りもいいしな、皆。お疲れさまでした」
一同 : 「「「お疲れさまでしたー」」」
月岡沙織(ローズPL) : 「おじさまー、お腹へっちゃいましたの。ごはん……」(ゆさゆさ)
月岡陽介(シュンスケPL) : 「うん? わかった、じゃぁ何か食べていこうか?」
沙織 : 「わーい、今日は外食ですの! 哲馬お兄さまー、哲馬お兄さまー」(ぽてぽて)
椎名哲馬(ミクトPL) : 「…………」(ぼーっ)
沙織 : 「哲馬お兄さま! よろしければ、一緒にご飯を食べにいきましょ。ねぇ、哲馬おにーさま?」
椎名 : 「ん? あ、あぁ……」
月岡晃(アクセルPL) : 「なぁっ……何でそんな奴に声かけるんだよ、沙織!」
椎名 : 「誰がそんな奴だ! ……って、誘われるのは嬉しいけどさ。悪い、今日はちょっとお兄さん、GMと話したい事があるんだ」
沙織 : 「えー、一緒にきてくれませんの……?」
椎名 : 「悪い悪い、かわりに狩名おじさんが付き合ってやるっていうから。な!」
狩名義明(アズマPL) : 「えっ? 俺は別にまだ行くとは……」
沙織 : 「わーい、狩名おにーさまと一緒ですわー!」(ぎゅむ)
狩名 : 「えぇっ……」
椎名 : 「しかも、今日は何でも狩名おじさんがおごってくれるそーだぞー!」
狩名 : 「ええええ!? 何勝手な事言ってるんですか椎名の旦那ァ!」
沙織 : 「きゃー! 狩名おにーさま大好きですわー! さおちゃん、プリン・ア・ラ・モードが食べたいですのー!」(ぎゅっぎゅ)
月岡 : 「あぁ、もう沙織……」(オロオロ)
月岡晃(アクセルPL) : 「こら、沙織。いい加減にしろ。狩名さんに迷惑だろ?」
狩名 : 「あはは……別にいいですよ、それじゃ、さおちゃんが食べたいプリン・ア・ラ・モードがあるお店に行きましょうか?」
沙織 : 「きゃー! ありがとうございます、狩名おにーさま!」
月岡 : 「狩名さん、すいませんっ……」(ペコペコ)
狩名 : 「あはは……いいですよ。勿論、晃くんが好きなものも頼んでいいですからね?」
晃 : 「いいのっ!? ……じゃなっ、俺は。その、別に……デザートとか、いいですし……」
狩名 : 「あはは、こう見えてもおじさん結構稼いでますから、心配しなくても大丈夫ですよ。さぁ……行きましょうか、何食べたい?」
沙織 : 「さおちゃん、えびさんのドリアとプリン・ア・ラ・モードが食べたいですわ〜」
狩名 : 「わかりました、任せてくだせぇ……晃くんは?」
晃 : 「えっ? あ、俺は……チーズハンバーグと、あ、あのっ……クリームソーダ……」
狩名 : 「あはは、いーですよ。クリームソーダね」
月岡 : 「すいません、狩名さん……本当に……」
狩名 : 「いいですって……あはは、月岡さんの家は何か家族仲がよくて……何となく、応援したくなるんですよ。ねぇ、椎名の旦那?」
椎名 : 「あぁ……そうだ、な……」
狩名 : 「……じゃ、旦那は大事な話があるみたいですから。ここらでお暇させて頂きましょう。じゃ、お先に失礼致しますね」
沙織 : 「ばいばいですの! 哲馬おにーさま!」
椎名 : 「あぁ、またなさおちゃん!」
月岡一家と狩名義明が、退室する……。
西園寺 : 「それで、話って何だ。哲馬にい……」
椎名 : 「……さおちゃんって、いい子だよな」
西園寺 : 「? ん、あぁ」
椎名 : 「何つーかさ、健気というか……本当の家族じゃねーってのに、陽介って父親と、本当の家族になろうって一生懸命な感じがしてさ……何となく、応援してやりてーってか。守ってやりてーなぁって、素直に思えるいい子だよな」
西園寺 : 「あぁ……俺も彼女は……不幸に、したくはない……」
椎名 : 「だったら何でこんな事になったんだ?」
西園寺 : 「…………」
椎名 : 「狩名のオッサンから、月岡の病気の事を聞いたんだ。それで、俺は段々と分かってきた……お前が何をしているのか……何をしようとしてこんなマネをしているのか、ってな……」
西園寺 : 「……」
椎名 : 「俺はさぁ、ふざけた遊びも好きだし、楽しい事を優先させて自分のしてーよーに生きてきたフシがある。お前からすれば、どーしようもねークズに見えてただろーけど、それでも……誰かの幸せを踏みにじって楽しむようなマネはしたことねーつもりなんだぜ」
西園寺 : 「……」
椎名 : 「答えてくれ。この茶番で誰が幸せになるんだ? 誰が……」
西園寺 : 「兄さん……俺は……」
椎名 : 「それでもまだ教えられないのか。この茶番の意味を。お前に。お前たちに、何があったのかを……」
西園寺 : 「兄さん……哲馬兄さん……ごめん、俺は……俺からは、何も言う事が出来ない……」
椎名 : 「そっか」
西園寺 : 「ごめんなさい……兄さん、本当に……」
椎名 : 「いや、別にいいさ。そうじゃねーかなー、とは思ってたんだ、けどよ……事情もわからねーまま、こんな茶番に付き合わすの、もうやめてもらえねーかな?」
西園寺 : 「兄さん……」
椎名 : 「俺は、お前がそんなツラしてる所は見たくねんだーけどよ……さおちゃんが泣く顔も、見たくねーんだ。それに……」
西園寺 : 「……」
椎名 : 「あいつの、あんな姿見せられてよぉ……いつまでも笑ってられるほど……俺、強い男じゃねーんだわ……」
西園寺 : 「兄さ……」
椎名 : 「……だから、悪い。俺は……もう、降りるぜ。悪いが、今のお前には……付き合いきれねーからな」
西園寺 : 「兄さん……」
……椎名哲馬は、静かに出口へと向かう。
その背中を、男は黙って見つめていた。
引き留める言葉も浮かばないまま、バタンと鈍い音がする。
重い鉄扉が閉ざされる。
それは、椎名哲馬がこのゲームから離脱した証明でもあった。
西園寺 : 「兄さん……」
一人残され、男は崩れ落ちるように膝をつく。
西園寺 : 「にいっ……ごめっ、ごめん……哲馬にぃちゃっ……ぅっ……」
暗闇は嗚咽をも闇に飲み込み、全てを静寂のかいなに包む。
引き留める事は出来なかった。
この場を去る椎名哲馬の気持ちが、痛い程に分かったからだ。
だがそれでも。
西園寺 : 「っ、ぅ……ぁぁぁ……ぁ……」
ただ一人。
男と痛みを共有できる仲間がその場から消えた。
その痛みと絶望を前に、男はただ涙を零していた。
そう、泣く事しか出来ないでいた。
ゲーム終了まで、あと12日。
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