> ハイラガ行 〜 モンスターの抜け毛を回収せよ!






 キマイラをうち倒し、新たな階層へと向かうさばみそギルドに新しい仲間が加わった。

 鋭い牙と巨大な身体。
 だがその身体に似合わぬ大人しい気質をもった、白虎。

 「シロガネ」と名付けられた新たな仲間とともに歩む新たな階層。
 そこは、紅に彩られた豊かな森であった。

 時に強敵を乗り越え。
 毒とも茨とも思える傷を得る床を乗り越え、旅は順調に進んでいるかにみえた。

 だが……。


 「グルルルルルルル…………」


 新たな階へ向けて歩もうとした時、その先の道を見据えたシロガネが低いうなり声をあげる。
 同時にその階上からは、未だかつてない程強力な魔物の気配が漂っていた。


 「この上には、何か居そうですね。今まで以上に強力な、何かが……」


 シュンスケは治療道具を携えた鞄を、強く握りしめる。

 この先は危険だ。
 冒険者としてのカンがそう告げる。

 それより先に進む事が躊躇われたさばみそギルドは、この強い殺気の気配を探るため、一度ハイラガの町へと戻るのであった…………。




> かちゃぱんつ論。




GM : 「そんな訳で、君たちは上のフロアにかなりの強敵がいると踏み、一端体勢を整えるべくハイラガの町へと戻ってきた訳だが……」


ローズ : 「ただいま戻りましたの! ミクトおにーさま、ちゃんとお留守番して頂けましたか?」




ミクト : 「うわ〜ん、ローズちゃぁぁぁぁん! 俺一人ぼっちで寂しかったよぉぉぉー!」(ひしっ、と抱きつこうとする)




アクセル : ターン、タターン! (無言で発砲)




シュンスケ : ブンッ、ボグワッ! (無言で杖で殴打)




ミクト : 「ぶるわぁぁぁっ! ……非道い! 二人がかりで突然発砲&殴打だなんて! いじめだいじめ、いじめかっこわるい!」



アクセル : 「……あまりに下心見え見えの反応だったので、危険な獣だと判断して撃った。特に反省はしていない」


シュンスケ : 「私も、ローズが危険だと思ってしまって……す、スイマセン」(ペコリ)




ミクト : 「うあぁ、保護者にガチで心配されていた! ガチで心配されていたよ! 大丈夫ですよー、安全な男です。俺は安全な男デスヨー!」




アズマ : 「自分で安全と言ってる時点で色々危ないんだと思うんですがねぇ」


アクセル : 「さぁ、バカやってないでひとまず、これまでの旅に何がったか説明するぞ。いいか、一度しか言わないからよく聞いてろよ」


ミクト : 「はい、お願いします!」(何故か正座で)



 〜 アクセル、6・7階での出来事を大まかに説明中 〜



アクセル : 「という訳で、8階に何か強力な敵がいそうだと……そう思い、俺たちは一度ハイラガの町に戻ってきた訳だ……」


ミクト : 「ふむ、ふむ……」


アズマ : (アクセルの坊やって、ミクトの旦那が嫌いな割に結構世話焼いたりしまさぁねぇ……)


シュンスケ : (アクセル、面倒見のいい性格だからね……)


アクセル : 「……以上で俺たちが6,7階で出会った出来事は大まかに説明した。わかったな」




ミクト : 「わかった! つまり、6・7階では…………アズマのクソ野郎が、ボクらのエンジェル・ローズお嬢様を抱きかかえるなどといった暴挙に及んだと! そういう事ですねアクセル兄さん!」




アクセル : 「注目すべき点、そこかよ!」



ミクト : 「しかしそれは許せん、許せん情報だぞアクセル……ボクらの天使、ローズちゃんが木登りしている最中に下から白いおぱんつ(推定)を見ただけでなく、落ちてきたローズちゃんを受け止めるという名目で抱きかかえるなど! けしからん! 実にけしからん行為ですぞ! くそー、俺とかわれー!」 ※アズマがローズちゃんを受け止めた件に関しては、前回参照の事。



アクセル : 「最後の一言に駄目な本音がニョロニョロと漏れてるな」


アズマ : 「そんな……下心なんてある訳ないじゃないですか、旦那は勘ぐりすぎでさぁ。ホント、危ないと思って受け止めただけですぜ、アタシは」


ミクト : 「それがうらやま…………けしからんというのだ! その胸で! その腕で! ローズちゃんを抱いたというのか……という事は、今のオマエに抱かれれば間接的にローズちゃんを抱いた事になるのだな! 抱いてくれ、アズマ! 今すぐにだ!」




シュンスケ : 「ミクトさん! 何か、趣旨がズレまくってますよ!」




アクセル : 「目的を見失いすぎて、手段もブレまくった結果だな……」


ローズ : 「落ち着いてくださいませ、ミクトおにーさま……それに、おにーさま間違ってますわ! ローズ、白いおぱんつなんてはいてませんの! ローズは、お気に入りのピンクの猫さんガラを……きゃ!」


シュンスケ : 「おっと! ……女の子が、それ以上言っちゃ駄目だよ。ローズ」(口を押さえつつ)


ローズ : もごもごもご〜。


シロガネ : 「がう」


アクセル : 「はぁ……大人たちがそろってローズの事でまた大騒ぎして……全く、シロガネも呆れてるよ。なぁ、シロガネ?」


シロガネ : 「ガウガウ」


アクセル : 「あ、シロガネ返事した。ほら、シロガネも呆れているから、そろそろどうするか決め……」


ミクト : 「……いや、違うな」


アクセル : 「……? 何が違うんだよしろげ頭」




ミクト : 「今、シロガネは『呆れている、とっとと先に進め』と言ったのではない! 『ぱんつ、ぱんつは大事だ』と言ったのだ!」



アクセル : 「勝手にシロガネの発言まで模造するなー!」(どんがらがっしゃ〜ん)




ミクト : 「いやいやいや、模造じゃないって! 本当に言ってるんだって! 俺にはわかるんだって! 魂(ソウル)で通じるものがあったんだって!」




アクセル : 「だから適当な事をいうな! シロガネがそんな事言う訳ないだろ、なぁシロガネ!」


シロガネ : 「………………」


アクセル : 「……シロガネ? おい、シロガネ。まさか本当に……このしろげの言う通りなのか?」


シロガネ : 「ガウガウ」(頷くように頭をたてに振りながら)




アクセル : 「本当に言ってたし!?」




ローズ : 「きゃー、凄いですわミクトお兄さま! お兄さまは、シロガネの言葉がわかるんですわね!」


ミクト : 「ははは、そうだよローズちゃん。カスメはね、あらゆる言語に秘められた言葉を紐解く職業なんだ! だから獣の言葉もわかるんだよ!」


アズマ : 「どこまで本当の設定(こと)ですかい、それ」(笑)


シュンスケ : 「たしかに虎と話せる事は凄い事ですけど、その会話内容にそれ以上の驚きがありましたよね……」



シロガネ : 「ガウガウ、がうー。ガウガウガウ」


ローズ : 「シロガネが、まだ何か話してますわ! ミクトお兄さま、わかりますの?」


ミクト : 「何々……。 『ローズ女史のぱんつについて、討論するのであれば、私も一家言持ち合わせているので差し出がましいようだが言わせて頂けないだろうか』 と言ってるんだが、いいか?」



アズマ : 「あの短いガウガウの中に、そんな複雑な言語が!?」



シロガネ : 「がう。わふがふ。がうがう。わふ。がーう」


ローズ : 「今度は何ていってますの? ミクトお兄さま」


ミクト : 「うむ……。

 『ローズ女史のぱんつについてだが、彼女はピンクの猫がら……バックプリントと推定されるぱんつをお気に入りとしていた。

 が、もしローズ女史というキャラクター性を大事にするのであれば、むしろ当初ミクト氏が提唱した白いおぱんつ……。
 それも、かぼちゃぱんつのように、裾および腰部分がフリフリしたものが好ましいと思われるのだが、どうだろうか。

 ローズ女史のプレイヤーたる人物は、ピンクの猫〜推定バックプリント〜が似合う年頃だからそれでいい。
 が、ローズ女史の場合、赤のドレスという事、そして12歳という多感な年齢を考えると、やはりかぼちゃぱんつが最も彼女を愛らしく魅せると思われるのだ。

 だから、ローズ女史に是非お願いしたい。
 今後、彼女のぱんつは白のカボチャぱんつでいてもらえないだろうか。

 これが、シロガネという一個人の願いである』


 …………と、言っているが」




アクセル : 「何だその虎のぱんつに対する異常な情熱は!」



シュンスケ : 「何かぱんつに対する拘りがあるんですね、シロガネには……」


アズマ : 「どうやらこの虎、アタシたちが思っている以上に紳士だったようですね……」


ミクト : 「紳士どころじゃねぇぞ! この虎、もしぱんつ大学があったとしたら、確実にその世界で教授になれるくらいのパンツ知識があると見た! ……出来る! この虎、侮れないぜ……」


ローズ : 「シロガネ……わかりましたわ! ローズ、かぼちゃのおぱんつにしますの! その方が可愛いんですわね!」


シロガネ : 「がう!」


ミクト : 「今のは 『是非!』 といってるぞ」



ローズ : 「わー、シロガネと会話できた気分ですの、嬉しいですわ〜」


アクセル : 「いやいや、こんな虎の言う事きく必要ないぞ、ローズ! 変態の餌食になる!」


GM : 「…………そろそろ、話を続けてもいいか?」


アズマ : 「あぁ、GMさん。かまいませんぜ。というか、もう少し早く軌道修正して欲しかったくらいでさぁ」(笑)


GM : 「すまん、何処で話をきったらいいのかよくわからなくてな」(笑)


シュンスケ : 「そういう訳で……8階に行く前に、何やら強敵がいるらしいのですが、どうしましょうか。ミクトさん」


ミクト : 「どうしたらいいって、困った時は公宮! って相場は決まってるだろ、何かあったら大概の情報はあそこに集まるんだから、いってみようぜ」


アズマ : 「それじゃ、冒険者ギルドにシロガネをおいて、アタシらは公宮へ行きましょうか」


ローズ : 「シロガネ、ちゃんとお留守番しているんですわよ」(ぎゅっ)


シロガネ : 「がう!」


GM : 「さて、シロガネにかわりミクトを投入し、キミたちは公宮へと行く訳だが……」



ミクト : 「公宮のジジイー! 俺だー! 情報よこせー!」(バァン)



GM : 「随分横柄だなまだ新米どものくせに! ……ジジイ、もとい大臣は飲みかけの紅茶をテーブルにおくと、キミたちの方を見た。 (大臣)『おお、さばみその諸君か。キミたちが7階まで到達したのは聞いているぞよ』」


アズマ : 「何で知ってるんですかねぇ、ホント。今帰ってきたばっかりですぜ、アタシたち」


アクセル : 「……監視されているんですかね、実は」


ミクト : 「やっぱりコイツが黒幕なんじゃねぇの、いまのうちに倒した方がいいんじゃねぇか?」


GM : 「物騒な事言わないでくれ、衛士の人がおっかなびっくり確認しているのだ。 (大臣)『……7階まで到達出来た、という事は諸君らはそこそこの実力を身につけた、という事。そこで是非頼みたい事があるのじゃ。これは秘事だと思って聞いてほしいのじゃが……』」


ミクト : 「何だもー、ホントに話長ぇ爺さんだなー、かいつまんで喋れよ。かいつまんでー」(ゴロゴロ)


GM : 「本当に無礼な奴だなコイツは……」


アクセル : 「あ、すいません大臣様。コイツは後で俺がみっちりシめておきますんで、詳しい話を聞かせて下さい」


GM : 「うむ……では続きを話すとするか。 (大臣)『今、公国では空飛ぶ城を探し求めている。この理由の一つには、我が国が主、大公様が重い病に犯されているのも一つの理由なのじゃ。古い書物で、あらゆる万病を癒した女王の記載がある……』


ミクト : 「ふーん」(ぼりぼりケツを掻きながら)


GM : 「(大臣)『大公様の病状に心を痛めているのが、我らが公女様じゃ。公女様は、古の書物をみて、樹海にこそ父である大公様の病を治す方法があるのでは……そう思って、縋るように樹海探索を勧めているのでございます』



ミクト : 「詳しい話を聞きましょうか、ご老公」(キリッ)



アズマ : 「あ、公女様という言葉を聞いたとたん、ミクトの旦那の目が輝きましたぜ」


シュンスケ : 「実に分かりやすい性格ですね……」


GM : 「要約すると、8階にいる恐ろしく強力な魔物の正体は『幻獣・サラマンドラ』で、今まで何十人もの衛兵が挑んでは倒されている、この階層にいるのがおかしい程の強力なモンスターだ」


アズマ : 「あの気配、ただものじゃないと思ってましたが、そんなに強力な魔物だったんですかい!?」


アクセル : 「そんな強力な魔物、どうしろっていうんですか!? 人柱になれとでもいうんですか?」


GM : 「幻獣・サラマンドラは強力な魔物だ……だが幸い、自分の巣をもっているようでな。その巣から出ようとしないので、スルーして進む事が出来る」


アクセル : 「なんだ、ビックリした……だったら探索には問題ないですね」


GM : 「だが、どうやらその幻獣・サラマンドラの落とした羽大公の病に効く薬をつくる材料になるらしく、公女がそれを求めているのだという……」


シュンスケ : 「つまり、大臣様はその強力な魔物・サラマンドラの羽を我々にとってきてほしい、と?」


GM : 「飲み込みが早くて助かる、その通りだ」


アクセル : 「そんな、衛士を何人も倒しているような危険な相手の巣に行くなんて……」



ミクト : 「わかりました、引き受けましょう!」(キリッ)




アクセル : 「って、勝手に引き受けるなオマエはー!」(どんがらがっしゃ〜ん)


アズマ : 「あ、またアクセル坊がちゃぶ台ひっくり返したみたいでさぁな」


シュンスケ : 「本日二度目ですね」


ミクト : 「オマエはそういうが、可哀想だと思わないのか! 病気の父のために健気に頑張る公女様……その為に力を尽くしたいと思うのは自然の摂理だろうが!」


アクセル : 「でも、俺たちがその危険を負うんだぞ! 大体公女は何を頑張っているんだ……」


ローズ : 「アクセル、私からもお願いしますわ。公女様に、協力して頂けませんか?」


アクセル : 「ローズ……」


ローズ : 「……ローズのお母様も、病気で遠くにいってしまいましたわ。あの時、もし、何でも治る薬の話があったら……それが、例え伝説でも。おまじないにすぎなくても、私きっとそれをやろうとしましたの。公女様もきっとそう。助かるなら、何でも試してみたいのですわ。私、その気持ちとてもよく分かりますの。だから……」


アクセル : 「……」


シュンスケ : 「……ボクからも頼めないかな、アクセル?」


アクセル : 「アニキ……もう、勝手にしてください。どうなっても、しりませんからね!」


アズマ : 「んじゃま、この依頼はアタシらが受けるという事で、よござんすか、皆さん」


アクセル : 「……仕方ないでしょう、皆がいくっていうなら、俺は反対しませんよ」


シュンスケ : 「私は、勿論行きます。医学を志すものとしても、万病の薬なら気になりますし」


ローズ : 「私、公女さまの力になってあげたいですわ!」


ミクト : 「俺は元よりローズちゃんと公女様の味方だぜ!」


アズマ : 「それじゃ、いっちょ行ってやりますか……8階、幻獣・サラマンドラのいる巣に……ね」




一同 : 「「「おー!」」」




> 再び、い迷宮。




GM : 「かくしてキミたちは公女の、公宮の依頼をうけて、再度迷宮へと降り立った」


ローズ : 「樹海磁軸の力を使って、ぎゅーん! ですの」


アクセル : 「原理はよくわからないけど、使えると便利だな。この樹海磁軸とやらは」


GM : 「うむ、とにかく一瞬で6階までは戻ってきたな」


ミクト : 「ふ〜ん……赤い迷宮だと聞いてどんな場所かと思ったが……紅葉か、綺麗なもんだな」


アズマ : 「あぁ、ミクトの旦那はこっちの迷宮は初めてでしたねぇ……」


シュンスケ : 「綺麗な迷宮ですけど、油断してはいけませんよ。敵は全体的に攻撃力は上がってますし、ダメージを受けるフロアもある。その上、MAP上では姿の見えないF.O.Eまで居るんですから……」


ミクト : 「なるほど、一筋縄ではいかないって訳だな……んじゃま、気を付けて先に進もうぜ」


アクセル : 「そうだな、早速8階にいって、とっとと公宮の依頼をこなしちゃおう」


ミクト : 「いや、その前に俺たちには行く場所がある……ここだ!」(ビシッ、と地図の一角を指す)


シュンスケ : 「ここだ! ……と指し示して頂きましたが、そこはただの行き止まりですよ。ミクトさん」


アクセル : 「すでに行って、何もないとわかっている場所に、どうしてまた行かなきゃいけないんだ?」


ミクト : 「何もない場所などではない! ここは……我らが天使、ローズちゃんが木登りをした場所であらせられるぞ! ここで再びローズちゃんに木に登ってもらい、今度は俺がこの身を挺して落ちてきたローズちゃんを受け止めるという仕事があるではないか! あるではないか!」



アクセル : (ターン、タターン!)




ミクト : 「ぶるぁぁぁぁぁぁ!」




アクセル : 「……さ、つべこべいってないでとっとと進みますよ」(ずるずる)



ミクト : 「ちょ! やめてー! アクセルくん、首根っこつかまないでー! 苦しい! くーるーしーい!」(じたばた)



GM : 「かくしてキミたちは迷宮の奥に進む、途中、見えないF.O.Eの道を抜け……」


ミクト : 「見えないなんてどんな奴かと思ったら、ちゃんと画面には出ているんだな」


シュンスケ : 「はい。ですが、MAP上には記載されないんですよ……アクセル、地図ばっかり見てないで、ちゃんと前を見てくださいね」


アクセル : 「わ、わかってますよ……とにかく、さっさと抜けちゃいましょう!」



GM : 「さらに、ダメージ床を抜け……」


ミクト : 「うわっ! ダメージ床って床だけかと思ったら、茨道じゃねーか! 予想以上に痛そうだな……」


アクセル : 「あぁ、痛いんだ。だからしろげ頭、オマエちょっと肉の橋になってくれないか? 俺たちその上を渡るから」



ミクト : 「はいはい、ここでこう、寝ころんで皆さんに踏んでもらえばいいんですね……って、バカか! やるかそんな事は!」



シュンスケ : 「ノリツッコミですね」


アズマ : 「大分、下手なノリツッコミですがねぇ」


ミクト : 「うるさい! あんま冷静につっこむな、恥ずかしいだろうが……あー、だがここを越えなきゃ先に進めねーんだもんなー、仕方ねぇ、行くぜ!」(ずが、ずががっ!)


ローズ : 「きゃー、ミクトお兄さまー!?」


ミクト : 「いでででで! 痛ぇぇぇ、けど耐える、頑張るぜローズちゃん……俺の男気みせてやる! ……って」



アズマ : 「……」(ミクトから距離を置いている)


シュンスケ : 「…………」(同じく距離を置いている)


アクセル : 「……」(普段から距離を置いているが、今日は一層遠い)




ミクト : 「何で誰もついてきてねーんだよ、チクショー!」




ローズ : 「ミクトお兄さまー、その床は通らなくても横道を進めば、ダメージを受けずに進める所ですわー」




ミクト : 「……なん、だ、と!?」




アズマ : 「じゃぁ、アタシたちはダメージ受けない横道を進みましょうかね……」


アクセル : 「そうですね、無駄な消耗は避けたいですし……」


ミクト : 「えっ!? 何だよそれ、完全に俺放置! 放置プレイですかキミたち! 俺、ダメージ受け損ですか、もしもーし!」


ローズ : 「ミクトお兄さまも、ペイン砲使いだったらダメージも無駄になりませんでしたのに、残念でしたわね」


ミクト : 「めそり……」




GM : 「……等とやりながら、キミたちは無事に8階へと到達した」


ミクト : 「うう、俺のダメージ床に傷ついた心と体が、さらっとスルーされた……めそめそ」


アクセル : 「馬鹿な大人のバカエピソードにすぎませんから、それ……ここに、幻獣・サラマンドラがいるんですね」


シュンスケ : 「まだ、それらしい姿は見えませんが……」


アズマ : 「公宮から、サラマンドラのいる付近の地図はもらってますぜ。とはいっても、貰った地図は大概間違っていたりして、そんなに役に立たねぇんですが……」


アクセル : 「地図を見る限りだと、サラマンドラがいるフロアは孤立した部屋みたいですね」


シュンスケ : 「この部屋に入らなければ、依頼は達成できないみたいだね……どうやら、他にもF.O.Eがいるのが気に掛かるけど」


アクセル : 「このF.O.Eを避けつつ、幻獣・サラマンドラを避けなければいけませんね……サラマンドラが、どういうタイプで動くモンスターかわかりませんが……全くその場から動かない固定モンスターだとすると、面倒な事になりますからね」


ミクト : 「ま、依頼はさておき、ちょっとこの階層を探索しておかねぇか? 磁軸の柱もあるみたいだし……」


ローズ : 「ホントですわ、柱、軌道しておきますわね!」(ぶおーん)


アクセル: 「何を悠長な……俺たちは、公宮の依頼をこなしにきたんだぞ」


ミクト : 「でも、先に進む階段も見つけておきたいだろ? ひとまず、先に進む道がわかっていた方がいいだろうし」


アズマ : 「そうですねぇ……アタシとしても、いきなりあの強烈な相手と対峙したら気に当てられちまうかもしれませんから……よござんしょ、先ずこのフロアを探索して、上への階段を探す事にしましょうや」




ミクト : 「そうと決まれば、地図作りからだな、よーしみんな、俺についてこーい!」




アクセル : 「あっ! まて、コラ! 後衛のオマエが無闇に走りまわるな、危な……」


GM : 「……そうして、ダダダっと進むと、前から突如にょっきりF.O.Eが現れた」


ミクト : 「なん、だ、と!?」


GM : 「衝突したようだな、さぁ、戦闘の準備をたのむ。敵は森林の破王だ」


アクセル : 「何やってんだしろげ〜!」


ミクト : 「わわわ、悪い! とにかく、全力で倒そう! な! 俺、弱体かけっから! 相手の攻撃力下げっから!」


アズマ : 「あたっちまったモンは仕方ないですからねぇ……じゃ、アタシも小手打ちで、よござんすか?」


ローズ : 「ローズも! ローズも応援しますわ! アズマ様、鬼力を付加致しますので存分にお切り下さいませ〜」


シュンスケ : 「ボクは……うん、怪我をしている人を回復しようかな」


アクセル : 「はぁ……ついてないな、8階到達していきなりのF.O.Eなんて……精密射撃!」


GM : 「こちらの攻撃は雷撃の斧だ! この攻撃は、前列or後列いずれかに雷属性のダメージだな」


ミクト : 「ワオッ! 痛そうだなー……アズマ、大丈夫かー? 沈んだか〜」


アズマ : 「後衛は狙われないからって暢気なもんでさぁねぇ……とはいえ、今回は踏みとどまりましたぜ! 事前に、旦那の弱体がきいてたんでしょうな」


ミクト : 「そうか、チッ!」


アズマ : 「舌打ち!? 助かったらいけなかったんですかい、アタシは」(笑)


ローズ : 「ふぇ〜ローズもびりびりされましたの〜」


シュンスケ : 「ローズ……とにかく、受けたダメージはすぐに回復させよう! ローズは、次のターンでアズマさんにヒーリングを飛ばしてあげなさいね。ローズには、今ボクが回復を飛ばしますから!」


ローズ : 「おじさまのヒーリングですの〜! えへ、おじさまのヒーリングは、怪我がなおるだけじゃなくて、元気になるように思えますわ〜」


アズマ : 「何にせよ、1手目で壊滅しなかったんなら勝機はありまさぁな。さぁ、皆……畳みかけますぜ!」


ミクト : 「よっしゃ、任せろ!」


アクセル : 「オマエは攻撃要因にならないだろうが! しっかり応援してろ!」


GM : (ふむ……8階でいきなりf.o.eとあたったが……)


アクセル : 「アズマさんがダメージを受けたみたいです、アニキ、回復をお願いします!」


シュンスケ : 「はい! アズマさん、ヒーリングを!」


アズマ : 「悪いですね、シュンスケの旦那! よし、じゃぁ追撃いきますぜ!」


GM : (流石に、この階までくると、手も足も出ないまま倒される。という事はなくなるな……)


ローズ : 「せーの、ポカリ! でーすの!」


GM : 「ふむ、それで倒れたか……」


ローズ : 「やりましたの! シュンスケおじさまー! 私、F.O.Eをやっつけました事よ!」


GM : (ふむ……初見のF.O.Eも倒せるようになってきた、か……新・さばみそギルドもそろそろ新人から抜け出してきたようだな……)


ミクト : 「流石ローズちゃんだ、よくやったぞ! さぁ、お兄さんがこの胸でローズちゃんをはぐはぐぎゅっぎゅして誉めてあげよう! ボクの胸に飛び込んでおいでー!」




アクセル : タターン!




ミクト : 「ぶほっ! ……発砲はいけませんよ、アクセルくん。発砲は……タマ入ってるじゃないですかそれ……せめて空砲にして!」


アクセル : 「……胸に飛び込んでいいとの仰せだったので、鉛玉を飛び込ませてやっただけです」


GM : (……新人からは抜け出してきたものの、チーム仲は相変わらずなのは気になる所だがな)



アズマ : 「さて、F.O.Eも無事に倒した事だし、フロアをぐるっとまわってみましょうかねぇ?」


ミクト : 「おう! ローズちゃんが木に登るイベントがあったら、今度は俺が受け止めるからな!」


シュンスケ : 「ローズをそう何度も木に登らせたりしませんよ!」


ローズ : 「私も、木に登ってとっても痒くなってしまいましたの……もう登ったりしませんわ……」



 かくして8階捜索が始まった。
 が……。




ローズ : 「あ、ガラガラノヅチが出ましたの〜」


シュンスケ : 「その魔物は、雷属性の攻撃で倒すとレアドロップするみたいですよ。以前落としましたから」


アクセル : 「じゃ、俺が属性攻撃しますよ」


アズマ : 「う〜ん……新しい階にきましたが、あんまり強烈な敵はいないみたいですねぇ」


GM : (強烈な敵がいないのではない、キミたちが強くなったのだ)



 戦いになれてきたさばみそギルドは、8階の敵をモノともせず。
 また。




GM : 「フロアの角をまがっても、まだF.O.Eは追いかけてくるな……」


ミクト : 「くそ、しっつこいF.O.Eだなおい! ……追いかけても、追いかけてもついてきやがる!」


アズマ : 「今までのF.O.Eはちょっと距離開ければ諦めて持ち場に戻ったんですが、こいつはしぶといですねぇ」


シュンスケ : 「きっと、さっき戦ったF.O.E……森林の破王ですよ。 ……直前まで姿を現さず、姿を見せたとおもったら延々と追いかけてくるF.O.Eなんでしょうね、こいつは……」


アクセル : 「冷静に分析してる場合じゃないですよ、アニキ! 走らないと追いつかれる……」


ローズ : 「いや〜んですの! 私、もう走り疲れてしまいましたわ……」


アズマ : 「……仕方ありませんね」(チャキッ)


アクセル : 「!? アズマさん?」


アズマ : 「このまま逃げ回るより、体力があるうちにやっちまった方がいいでしょう? よござんすか、皆さん?」


ミクト : 「そうだな……俺のTPもまだ残っているし、ここはいっちょやっちゃいますか!」


シュンスケ : 「皆さん……あまり無茶はしないでくださいよ!」



 追いかけるF.O.Eも撃退できる程の力もつけてはじめていた為だろう。



アクセル : 「あ、みてくださいアニキ! 向こうに、階段がありますよ!」


シュンスケ : 「ホントだ! ……よく見つけたね、アクセル。偉いよ」(なでなで)


アクセル : 「あ……ややや、やめてくださいよアニキ! 俺、子供じゃないんですからっ!」



 あっさり、上にいく階段は発見され、8階の探索は終了した……。



アズマ : 「さて、階段も見つけられたみたいでさぁね」


ミクト : 「これで、いつでも新しいフロアに挑戦できるな! ……何なら、今チラっと見てきちゃうか?」


ローズ : 「でも、公女さま……公女様のお父様が病気なのですわ……公女さまが、可哀想ですの……」(しょんぼり)


ミクト : 「……ローズちゃんの希望もあるし! さぁて、先に進むためにも、ちゃっちゃと公女様のお望みを叶えてしんぜようぜ! そしてあわよくば玉の輿に!


アクセル : 「どう考えても不可能な要望を口走ったな……」


シュンスケ : 「だけど、たしかに大公様の病状も気になります……まず、薬となる羽をとりにいきましょう」


GM : 「ふむ……そうしてキミたちはサラマンドラがいる、とされるフロアへと到達する……そのフロアは他の場所と同様、真紅の木々に彩られていた。だがその場所は、周囲とくらべて室温が高く感じられ、その奥には焼け付くような気配がある……」


シュンスケ : 「……」(ゴクリ)


アズマ : 「……こりゃ、うっかりぶち当たったら即死モノみてぇですねぇ」


ローズ : 「この部屋! 他にもF.O.Eさんがいらっしゃいますわ!」


アクセル : 「うん……でも、俺たちがフロアにはいっても興味を示さないから、森林の破王とは別の奴っぽいね……どっちにしても、ここで戦闘はまずそうだ。血の臭いをかぎつけたサラマンドラが来ちゃうといけない……何とか避けていけるようにしよう、行動パターンは……」


GM : 「……特定のルートを進むタイプのF.O.Eだな。キミたちが入ってきても構わず直進し、その後また最初にいた場所に戻ろうとする」


アクセル : 「だったら、あいつらが出入り口に向かっている横をすり抜けて、サラマンドラの方にいきましょう。気を付けてくださいね、アニキ。うっかりF.O.Eと戦闘したら、多分俺たち全滅ですから」


シュンスケ : 「わかった……うう、ボクたちに興味がない奴だとはいえ、横をすり抜けるのは緊張するよね……」


GM : 「ふむ……F.O.Eはキミらに気付かない様子で、ナワバリを確認するかのように特定の進路をとる」


アズマ : 「……気付かれていねぇみたいですね。このまま、突っ切ちまいやしょう」


シュンスケ : 「……はい……あぁ、あんな近くにF.O.Eが……」(びくびく)




ミクト : 「…………わっ!」




シュンスケ : 「!? わわわわわ、わぁぁっ!」(どんがらがっしゃ〜ん)


ミクト : 「あははは、驚いてやんの!」




アクセル : 「このしろげあたまぁぁぁ! アニキに何しやがるんだよぉぉ!」(マジギレ)




ミクト : 「何だよぉ、空気がカタイから和ませてやっただけだろーがよー!」


ローズ : 「おじさま、大丈夫ですの?」


シュンスケ : 「……いたたた……メガネ、メガネ……」


アズマ : 「はい、旦那のメガネ、前の方までぶっ飛んでましたぜ? ……これないと、何も見えないんでしょう?」



シュンスケ : 「ありがとうございます……でもメガネなくても大丈夫なんです、私。それ、ダテ眼鏡ですから」




アズマ : 「ダテ眼鏡!?」




ミクト : 「何でそんなお洒落小物身につけてんだよ! え、何のため? 何の為に!?」


シュンスケ : 「現実のPLである私が、メガネがないと何も見えないキャラだから、架空のキャラは目がいい方がいいなぁと思って……」


ミクト : 「それだったらメガネキャラをわざわざやらなくてもいいじゃないか」(笑)


アクセル : 「そんなの、アニキの勝手だろ!」


ミクト : 「そうだけど、なぁ」(笑)


シュンスケ : 「あぁ……鞄のなかもぶちまけてしまいました……拾わないと……」


アズマ : 「……何か、シュンスケの旦那の鞄。てっきり包帯やら傷薬が入ってると思ったんですが……何だかわからない粉とか鉄くずとか、がらくたも結構入ってるんですねぇ」


シュンスケ : 「あ、はい……それ、自分でも何につかうか分からないんですけど、捨てたら勿体ない無いかなぁと思って取ておいてあるんですよ」


ミクト : 「何だこれ、触媒か何かか? 何につかうか分からないモノまで後生大事にもってるとか……オマエって、本当に片づけられないタイプの人間だな」


シュンスケ : 「あはは……」


GM : 「勿論、そんなシュンスケ君の転倒もF.O.Eは気付かず持ち場から離れない」


アズマ : 「さて……今度は慎重に、先に行きましょうか? ミクトの旦那、悪ふざけもここまでにしといてくださいよ?」


ミクト : 「はいはい……っと」


GM : 「さらに奥に進むんだな? すると、そこには幻獣・サラマンドラが居を構えていた……うずくまり、微動だにしないそれは、突如現れた侵入者であるキミたちを一瞥する。同時に、焼け付くような気迫がキミらを包んだ」


シュンスケ : 「……威嚇しているみたいですね。どうしますか? あと一歩、近づけそうですが」


アズマ : 「いや、アイツはもうアタシらに気付いたようですよ。あの視線……追いかけてくる可能性が高ぇでしょう、うかつに近づいて鉢合わせするより、このまま距離をとって様子みましょうや。皆、後退しますぜ!」


GM : 「……すると、サラマンドラは凄まじい気迫で追いかけてきた! 自分の領域に入られた事に腹を立てているようだ」


アクセル : 「よし、このまま逃げましょう! 幸い、ここは回廊になってますから……ぐるっとまわれば、あいつが塞いでいた巣に入れます! 巣に入っちゃえば、こっちのものですからね!」


ローズ : 「今度はシュンスケのおじさまを脅かして、転ばせたらいけませんわよ、ミクトお兄さま!」


ミクト : 「流石にマジでヤバイ時はそんな事しないって……さぁ、逃げるぞローズちゃん!」


ローズ : 「はいですの!」


GM : 「背後に熱気が迫ってくる! どうやらサラマンドラは、キミたちを完全に得物として認識したようだ……」


アズマ : 「……一気に駆け抜けますぜ! ここに居たF.O.Eは?」


アクセル : 「追尾モードにはなってないみたいです、大丈夫! このまま抜けましょう!」


ローズ : 「でも! F.O.Eはもう一匹おりますわよ、アクセル!」


アクセル : 「そっちも大丈夫だ、このまま駆け抜ければ追いつかれない!」


GM : 「君たちは一心不乱に森をかけぬけ、2体のF.O.Eがいる道を抜け……回廊をぐるりと走り抜けた先に、サラマンドラの巣へと到達する」


アズマ : 「はー、はー……いや、キツかった。んでも、何とか巣には潜り込めたようですよ」


GM : 「だが安心するのはまだ早い。巣に入られたサラマンドラはさらに怒り狂った様子で、キミたちを追いかけている!」


シュンスケ : 「と、とにかく早く目的のものを探して、ここを脱出しましょう! えーと、羽、羽……」(もぞもぞ)


アクセル : 「アニキ、出入り口は危険ですから、もっと奥を探したほうがいいですよ……」(もぞもぞ)


ミクト : 「ねぇなぁ、ねぇなぁ、羽……」(もぞもぞ)


GM : 「そうこうしているうちにも、サラマンドラはどんどん距離を縮め君たちに迫ってくる」


アズマ : 「ここまで来て見つからないなんて……はぁ、もっと詳しく羽の特徴を聞いておくんでしたよ……」(もぞもぞ)


シュンスケ : 「実は伝承だけで、実在しない。というオチではないですよね……」(もぞもぞ)


ローズ : 「そんなはず、ありませんわ……公女さまの、お父様を助ける希望ですもの、きっとどこかに……あ!」


ミクト : 「どうした、ローズちゃん?」


ローズ : 「見てくださいませ、ミクトお兄さま! 皆様! ……綺麗な色に輝いてる、不思議な羽がありますの! これでよろしくて?」


シュンスケ : 「見た事のない羽だけど……うん、きっとそうだ!」


ミクト : 「……他に羽らしいものも見あたらないしな。よし、これに違いない……という訳で」


GM : 「サラマンドラの熱気が直前に感じられる、今にもこちらに炎の塊をぶつけてきそうな勢いだ……!」


ミクト : 「みんな、脱出! 脱出するぞ! ……アリアドネの糸ぉ!」




 かくして、目前まで迫ったサラマンドラのプレッシャーに耐え。
 さばみそギルドのメンバーは、無事、サラマンドラの羽らしきものを手に入れるのだった……。





> ないろにひかるはね




GM : 「こうしてキミたちは無事にハイラガの街へと戻ってきた訳だが……」


ミクト : 「は〜、やれやれ、街の雑踏もここちよいなぁ」


アズマ : 「追われる中探すってのは、生きた心地がしませんでしたからねぇ」


アクセル : 「と、とにかくミッションは終了しましたから、羽を届けてきちゃいましょう……」


GM : 「キミたちが公宮に赴き、羽を手に入れた事を伝えると早速奥から大臣が飛んでくる。 (大臣)『その働き、見事であった。お主らに衛士を鍛えてほしいくらいじゃ!』」


ミクト : 「……長話はいいから、報酬くれねぇかな」


GM : 「本当に、大臣の扱いが雑だな……」


ミクト : 「いいだろ、今日は疲れているんだからよ」


ローズ : 「私も、早くふっかふかのベッドで眠りたいですわぁ……」


GM : 「ふむ、そうか……それならば、サラマンドラの羽をもらおう。かわりに公国からは、3000エンの報酬が与えられる。 (大臣)『ご苦労であったな。何、幻獣サラマンドラは今は倒せぬ相手、逃げるのは恥ではないわ。ゆっくり休み、いずれ全ての魔物を倒せる程強くなる事を期待しているぞ……』


ローズ : 「……あの、大臣さま。大臣さま、お願いがありますの」(くいっ、くいっ)



GM : (大臣)『む……何じゃ、娘? ワシに、何か用がおありかな?』



ローズ : 「あのっ! 公女さまに、早くお父様の病気がなおるようお祈りしてますわ、って……伝えて、ほしいですの。お父様の病気がなおるよう、私一生懸命お祈りしますから……」




GM : 「……それを聞き、大臣は僅かに笑うと頷いた。 (大臣)『ふむ……わかりました、その言葉、姫様に必ずお伝え致しましょう』」



 大臣はそう告げると、ローズの頭を優しく撫でる。



ローズ : 「わぁ……ありがとうございますの! 大臣さま!」




 大臣に撫でられ、ローズもまた嬉しそうに笑う。

 公女もまた、ローズのように薬となる羽を得た報せに安堵の笑みを漏らすのだろうか……。


 その笑顔、その喜び……。

 それは、冒険に生きるさばみそギルドにとって、日銭を得るより喜ばしい報酬だった。


 そして、新たな喜びと出会う為、さばみそギルドはさらに迷宮の奥……。

 天空の城がある木の上を、目指すのであった。






劇 : 狩名義明の事情。





 幕間劇を始めよう。

 それは、現実世界の物語。


 仮初めの名を記し、仮初めの人格で踊るある男の物語。


 ……君は、彼らの現実にある日常に、触れても、触れなくても良い。


 ・

 ・

 ・


 本日のセッション終了後。

 都内 某所――。





西園寺馨(GM) : 「……さて、思いの外長くなってしまったな。少し休憩にするか」


月岡沙織(ローズPL) : 「ん……」(こっくり、こっくり)


月岡陽介(シュンスケPL) : 「あれ、沙織。大丈夫かい? ……眠たいのかな?」


沙織 : 「そ、そんな事ありませんわ! 私、まだ頑張れま、す、のぉ……」(こっくり、こっくり)


月岡晃(アクセルPL) : 「ウトウトしてるじゃないか、あんまり無理するなよ沙織」


沙織 : 「おにーさまぁ……ふにふに……」


月岡 : 「沙織? ……あぁ、もう半分は眠っているようですね……GMさん、あの……」


西園寺 : 「うむぅ。本当はもう少し続けたいのだが……」


狩名義明(アズマPL) : (ぽんぽん)


西園寺 : 「……狩名さん」


狩名 : 「あんまり焦りすぎもよくないですぜ、旦那……なんて、アズマの口調がまだ抜けないなぁ。うん」


西園寺 : 「……狩名さん。あ、いや……そうですね、わかりました……今日のところは、これで終了にします」


狩名 : 「うんうん、それがいいと思うよ……キミも無理すれば負担が大きいだろうし、このくらいが頃合いだ。うん」


西園寺 : 「……わかりました。では、今日はここで終了という事で」


月岡 : 「すいません……じゃぁ、沙織。いくよ。……沙織?」


沙織 : (すぅ……)


晃 : 「完全に眠っちゃってるみたいですね」


月岡 : 「まったく、仕方ないな……よいしょっと。(沙織を背負いつつ) ……それじゃ、失礼しますね。皆さん」


晃 : 「あ、荷物は俺がもちますよ。陽介さん」


椎名哲馬(ミクトPL) : 「おー、流石しっかりしたお兄ちゃん。偉いなー、ひーくんは」(ナデナデ)


晃 : 「なぁっ……気易く頭に触れるな! 頭とか……そんな、子供じゃないからな!」


狩名 : (その割にはまんざらでもないって印象ですけどねぇ……)


西園寺 : (素直に甘えられない年頃なんだろう……多分)


月岡 : 「今日はすいません、皆さん……それでは、失礼致します」



 ……月岡陽介、晃、沙織が退室する。



西園寺 : 「……俺たちも、そろそろ戻るか」


狩名 : 「ですねぇ……」


椎名 : 「よぉ、狩名。どうせなら、もうちょっと俺に付き合わねーか? いいバー知ってるんだよ。アンタ、いける口だろ?」


狩名 : 「? 椎名の旦那にですか。はぁ……別に構いませんよ。酒に誘われるのも嫌いじゃないですし」


椎名 : 「そっか。それじゃ早速、俺のご贔屓の店へれっつごーだぜ〜」(むんず!)


狩名 : 「!? ちょ、旦那! 首根っこつかむのはちょ、やめ……」


椎名 : 「いくーぞー、われらーの、しんてーんちー」(ずるずるずる)


狩名 : 「やめ、くるし……うぐぐぐぐぐ」




 そんなこんなで。

 舞台はかわって、都内某所……とあるバーにて。





椎名 : 「ほいほい、こっちこっち……」(ずるんずるん)


狩名 : 「ちょ! いい加減引きずるのはやめてくだせぇ! 周囲の人が変な目で見てるじゃないですか!」


椎名 : 「まぁまぁ、もうすぐそこだから。ほら……はい、とうちゃ〜く」



 到着したドアを押し開ける。

 カランカラン。
 ベルの音と同時に、静かなジャズの音が聞こえてきた……。

 商店街と住宅街の間にある割には、落ち着いた印象のバーだ。




狩名 : 「へぇ……引きずられてつれてこられた時はどうなるかと思いましたが、わりといい雰囲気じゃないですか」


椎名 : 「だろっ? ……とりあえず、カウンターでいいか、二人だし。マスター、勝手に座るぜ!」


バーのマスター : 「……座ってから言わないでほしいけどねぇ、哲馬さん。まぁ別にいいですけど……さて、珍しくお連れさんもいるようですが、何にしますか?」


狩名 : 「そうですねぇ……ウィスキーを何か頂けますか?」


バーのマスター : 「ウィスキーだったら、山崎12年ものと、響、マッカランなら12年と18年ものがありますが、どうなさいますかねぇ?」


狩名 : 「じゃぁ、マッカラン12年ものをロックで」


バーのマスター : 「かしこまりました、少々お待ち下さい……」



椎名 : 「ちょま! まて、俺の注文も聞けやコラ!」



バーのマスター : 「哲馬さんは、どうせジントニックでしょうに。それとも、他のモン頼んでくれるのかねぇ?」


椎名 : 「いんや、ジントニック!」


バーのマスター : 「でしょうね。はいはい、そっちも今作りますから、いつも通り適当に待っていてくださいよっと……」


椎名 : 「オマエ、俺の扱いが本当に適当だよな! 一応客だぞ俺は、おい!」


狩名 : 「あはは……椎名の旦那は、この店、常連で?」


椎名 : 「ん、まぁな……というか、この店のマスターと昔よく連んでたんだよ。俺がまだバンドやってたころ……な!」


バーのマスター : 「……そうでしたっけ? 記憶にありませんけどねぇ」


椎名 : 「……テメェ! ドラム不足のオマエのバンドに足繁く手伝いに通い! ライブハウスの手配も手伝ってやった恩を忘れたというのかー!」(ばんばんばん)


バーのマスター : 「そういう恩は、自分から語るものじゃないと思うけどねぇ……」


狩名 : 「あはは、仲が宜しいようで」


椎名 : 「そうだなぁ……何だかんだいって、付き合いは長いもんな」


バーのマスター : 「腐れ縁、って奴さね」



常連らしい男性客 : 「すいません、隣いいですか?」



狩名 : 「あっ……はい、どうぞどうぞ。 ……しかし、一体どういう風の吹き回しですか、旦那。俺を飲みに誘うなんて……」


椎名 : 「ん? いいだろ、別に。まさか、さおちゃんを飲みに誘う訳にはいかねーだろ、まだ9歳だぞ!」


狩名 : 「それはイケナイを通り越して危ないですねぇ……主に犯罪的な意味で」


椎名 : 「いや、ただオマエと飲んでみたかっただけだけど、意外か?」


狩名 : 「意外というか……俺は椎名さんのネタになるような、面白い男じゃないもんでね」



椎名 : 「……いや、アンタは面白い男だよ。少なくても、俺に一つでっかい嘘をついているアタリがな」



狩名 : 「嘘? 別に俺は、椎名さんを騙すような真似なんて……」


椎名 : 「いいや、ついてる。少なくても、たった今、一つ、嘘をついてるのが俺には分かった」


狩名 : 「……心当たりありませんよ、ホント。何を根拠にそんな事言うんですか、まったく」


椎名 : 「どうやらオマエは、必要とあれば嘘をつくのに良心が咎めないタイプの人間。かつ、嘘をついたらそれを突き通せる信念がある奴みたいだな。気に入った! そういう嘘吐きは、嫌いじゃねーぞ」


狩名 : 「お褒めに与り光栄ですよ。と、喜んでおけばいいですかね?」


椎名 : 「おお、喜んでおけ! ……んだが、オマエは嘘をつくにしては、今回ばっかりは少々底が浅かったようだな、ん?」


狩名 : 「だから俺は、嘘なんて……」


椎名 : 「……アンタ、たしか今回の『ハイラガ・ゲーム』には、以前エトリアを踏破したシグ役……桐生和彦クンに推薦されて参加した、って言ってたよなぁ」


狩名 : 「はい。桐生兄さんにちょいと頼まれましてね……知り合いなんですよ、以前からちょっとね」




椎名 : 「だったらオマエ、その桐生くんが隣に座ってる癖に、どうして挨拶の一つもしてやんねぇんだよ?」




狩名 : 「!? なぁっ……」




さっき声をかけて隣に座った男性客 : 「……はじめまして、桐生和彦です」



狩名 : 「……あ。そ、そうだったのか、キミが……桐生くん、か」



隣に座った男性客、改め桐生和彦 : (無言で頷く)




椎名 : 「以前から少し気になっていたんだよなぁ、桐生くんは今、28歳……アンタは若く見えるけど、それよりどう見ても年上だ。そんなアンタが、どうやって桐生君からこんな話を持ちかけられたのか……ひょっとしたら、桐生君と知り合いだって事も作り話なんじゃないか。そう思えたら……ちょっと、カマかけてみたくなってな。今日は無理して、来てもらったんだ。桐生くん、コイツは、キミの知り合いか?」


桐生 : 「いえ、俺は……この人と知り合いなんかじゃない。今日が初対面です……アンタ、一体何者ですか? 何で俺の名前を? ……一体何がおこってるんですか? ハイラガ・ゲームって……また何かあったんですか、オンジの奴に何か……!?


酒場のマスター : 「落ち着け、カズ」


桐生 : 「……でも、アニキ」


酒場のマスター : 「今、ここでオマエさんが出た方が話がこじれるだろうからねぇ……ここは、哲馬さんに任せて後で説明してもらった方がいいさね。さ、オマエさんはこっちに」


桐生 : 「……はい」



 桐生和彦が、他の席に移る……。



椎名 : 「……さて、これでもアンタは嘘を突き続けるのかい? 狩名義明?」


狩名 : 「はぁ……こうなると嘘を貫くのは難しいじゃないですか。たしかに旦那の言う通り、俺は桐生くんと面識はない……今回のゲームには、参加する最もらしい口実として、名前をつかわせてもらっただけですよ」


椎名 : 「ふぅん……ついで言うと、その狩名義明って名前も……誰かから勝手に使わせてもらった名前かい?」


狩名 : 「…………」


椎名 : 「以前から少し、気になっていたんだよな。アンタの名前……以前、街でアンタを見かけた時、あんたはその名前を呼ばれても、、すぐに気付かなかった。ゲームに参加する過程が嘘なら、名前も嘘なんじゃないのか?」


狩名 : 「……はぁ。(溜め息) 正直もっと騙せると思ってたんですが。見た目と違って、結構頭切れますね、旦那」


椎名 : 「見た目と違って、は余計だ! ……やっぱり、狩名義明の名前も嘘か?」


狩名 : 「そこまで暴かれちゃ、今更嘘をつき続ける訳にもいかないですよね……たしかに、俺の本名は狩名義明なんかじゃないですよ」


椎名 : 「仮名で、仮の名……だから狩名(かりな)って所か? 義明は、偽名から、ぎめい……義明にしたんだろうな」


狩名 : 「あはは、名前までご説明頂きありがとうございます……はい、その通り。特に訂正する事ぁありませんよ。で、俺の嘘を暴いて、旦那の聞きたい事は一体何で?


椎名 : 「そうだな……色々あるが、先ず最初の疑問だ。何故名前を偽ってるんだ、オマエは?


狩名 : 「名前を知られたらマズイから、に決まってるじゃないですか……ちょっと事情がありましてね。あんまり、大っぴらに名前を言える立場じゃないんですよ。今はね」


椎名 : 「そうか……じゃ、次の質問。オマエの本名は、何だ?」


狩名 : 「そんなの、言えないから偽名を使ってるんじゃないですか。悪いけど、お答え出来ません」


椎名 : 「あ、そ……言うまでブン殴り続ける! と言ったとしても、か?」


狩名 : 「血反吐をまき散らしても言わないですよ。最も、血反吐をまき散らす前に、嘘の名前を言うでしょうけどね」


椎名 : 「アンタのタイプからしても、まぁそうだろうな……でもいいや。別に俺も、アンタの本名なんざ興味はないからな……最後の質問だ。この、ハイラガ・ゲームというのは一体何だ? 何の為にこんな事をしている? 一体……」


狩名 : 「あははは……何だ、結局の所、旦那の知りたいのはそこ……真相って奴ですか?」


椎名 : 「あははは……って、笑い事じゃねぇからな」(ベキッ、と近くにあった栓抜きを曲げる)



狩名 : 「!?」



椎名 : 「見ての通りの巨漢でなぁ……力が有り余っている上、最近の俺は頗る機嫌が悪ぃーんだよ……次、質問をはぐらかすようなら……どうすっか分かんねーぞ?」


狩名 : 「はぁ……脅しじゃねーですか、それ。ま、いいですけど……でもねぇ、生憎答えられないんですよ、俺も。俺だって多分ほとんどアンタと同じ状況だ……このゲームの真意について、ほとんど何も知らされていないままゲームに参加してるんですよ。コレは、ホントですぜ」


椎名 : 「ふぅん……嘘は、ついてないみてぇだな」


狩名 : 「信じて頂けるんで?」


椎名 : 「ヤバくなった上で、さらに自分を不利にするような嘘つく奴なんてただのバカだろ? アンタはバカには見えねーもんな」


狩名 : 「いい評価をして頂けてるようで、嬉しいですよ」


椎名 : 「質問をかえるか。アンタ、このゲームにどうして参加した?」


狩名 : 「そうですね……今の西園寺馨から、ゲームに参加してほしいと頼まれた。で、参加することにした……この位ですよ、ホント。俺もほとんど事情は知らないんです。何がおこっているのか……彼に何があったのか、何も知らされてない。だからこれ以上説明出来ませんね、この件は」


椎名 : 「……ホントに何も知らないんだな。それならまた、質問を変えるか……アンタが名前を偽ったのは、この件に関係あるのか?」


狩名 : 「はぁ……そうですね、無関係じゃないでしょう……俺だって普段から名前を偽って生活なんてしてませんからね」


椎名 : 「だとすると、俄然あんたの本名に興味が沸くな……アンタの本名は?」


狩名 : 「さっきも言ったでしょう。それは、お答え出来ません……実はね、偽名を使うのは、今の西園寺馨との約束なんですよ。だから答えられない……そう、例えぶん殴られようが、腕折られようが、俺の口から言ったとなっちゃあの子に悪い。俺は、あの子の努力を……無駄にする訳には、いきませんからね……」



椎名 : 「……そうか、じゃ、一発」(ドカッ、と顔面に一撃)



狩名 : 「!? っ、いたた……ノーモーションで顔殴ります? ……きいたー……人に殴られたのなんて、何年ぶりですよ、ホント」



椎名 : 「いいだろ、今のは俺に嘘ついてた分な! さてと……おい、マスター! さっさと俺のジントニック出せよ!」



狩名 : 「はぁ!? ……飲む気ですか、旦那?」


椎名 : 「当たり前だろ、酒付き合えっていったんだぜ俺は」


狩名 : 「でも……いいんですか、俺は名前を偽って腹に何もってるかわからない、得体の知れない奴ですよ?」


椎名 : 「ホントに得体の知れない奴が、自ら率先して『得体知れません!』って言うかよ……オマエが嘘ついてた分は今の一発で気が晴れた! オマエが何も知らねーって言うなら、ホントに知らねーんだろ? それなら、これ以上追求しても時間の無駄だもんな……俺、無駄な事は嫌いなんだよ。さ、飲むべ飲むべ」


狩名 : 「……椎名の旦那、アンタ何か思ってる以上に、変わった人ですね」




椎名 : 「まともな奴が漫画家になろうなんて思うかよ!」




狩名 : 「あはは……よござんすよ、じゃ、今晩はお付き合い致しますかね……」


椎名 : 「いっておくが、俺まだ機嫌は悪ぃから……絡むぞ!」


狩名 : 「はいはい……」


バーのマスター : 「……お待たせしました。マッカラン……ロックと、ジントニックです」


狩名 : 「それじゃ、乾杯しましょうかね、旦那?」


椎名 : 「……おう。じゃ、ハイラガ・ゲームの無事でもいのって……乾杯」


狩名 : 「……乾杯」



 今夜、一つの嘘が琥珀色の液体とともに飲み下された。
 だが暴かれた嘘は真実を見せず、新たな謎を包み込む……。

 ハイラガ・ゲームの意味とは。
 そして、その果てにある現実(もの)とは。

 謎は謎のまま、時は無常に過ぎていくのだった……。



 ゲーム終了まで、あと18日。




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