> ハイラガ行 〜 お仕事、はじめました。






 大陸の彼方にあるハイ・ラガード公国。
 そこには、世界樹の迷宮と呼ばれる巨大な神木が祭られていた。

 天空に浮かぶ城への道とされる世界樹の迷宮……。
 その迷宮に挑む為、5人の若者がハイ・ラガードへ訪れた。

 流浪の剣豪、アズマ。
 かつてエトリアの迷宮を踏破したシュンスケ・ルディックと同じ名を持つ柔和な医師、シュンスケ。
 口が悪いが腕の立つ射撃手、アクセル。
 シュンスケを実の父のように慕う、魔術師兼医師のローズ。
 そして、学者肌で知識はあるが実戦経験は皆無の、ミクト。

 最初の試練として、迷宮からの脱出を求められた5人。


アクセル : 「何で、俺が! こんなしろげ頭のサポートなんかしなくちゃいけないんですか!」


ミクト : 「俺だって、オマエみたいなガキと組みたくねーわ! ぼけがー!」


シュンスケ : 「まぁまぁ、二人ともここは穏便に。穏便に、ね?」




 ……お世辞にもかみ合っているとは言い難いパーティだった。
 だが……。


ローズ : 「見てくださいませ、みなさま! 出口ですわよ」


アズマ : 「どうやら、試練とやらもここで終わりのようでさぁね……よござんしょ。街に戻って垢を落としてきましょうや!」



 誰一人、欠ける事なく彼らは戻ってきた。
 その手には最初の試練である、完成した地図が握られていた……。

 それが、ハイ・ラガード公国に「さばみそギルド」が生まれた瞬間であった。





> お・・事・だいさくせん!




GM : 「……さて、休憩もこの位にして、そろそろ続きを始めるとするか……みんな、準備はいいか?」


ローズ : 「はいですの! ……あ、あの。あの、クッキーもう一枚食べてからでも、良いですか?」


アクセル : 「何だ、早く食べちゃえよ……」


ローズ : 「だって、とっても美味しいチョコチップクッキーですの……お店には売っていないお味ですわ……」


GM : 「ん……別に食べながらでも構わんよ。では、続けるとするか……さて、無事にハイラガ公宮の出す試練をクリアしたさばみそギルドの諸君は、公国民の証を手に入れる……これで晴れて公国の住人となれた訳だ」


シュンスケ : 「……良かった。これでひとまず、寄る辺ない身ではなくなったようです!」(ほっ)


アズマ : 「そうでさぁねぇ……一応は、国民として認められた訳ですから」


GM : 「うむ、一応は……な。とはいえ、あくまで扱いは冒険者だから、暫く宿暮らしになりそうだが……」


シュンスケ : 「宿暮らし……ですか。いいえ、でも贅沢は言えません。これまで、野宿同然の生活だった事を思えば……」


ミクト : 「思ったより過酷な生活をしていたんだな、オマエ」


シュンスケ : 「はい……子供たち二人(アクセルとローズ)を宿にとめると、どうしても私の宿代がなくて……よく馬小屋をお借りしました……」



ミクト : 「何か想像以上に可哀想だった!」



アズマ : 「いやぁ、でも馬小屋はいけませんぜ、シュンスケの旦那……年齢ばっかりくってろくに回復しませんよ?」


シュンスケ : 「はい?」


GM : 「wizネタが誰にでも通じると思ってはいけないぞ、アズマ……さて、はれてハイラガの冒険者として認められたキミ達には、公宮より公国民の証の他、軍資金として500エンを渡される」



ミクト : 「よっしゃぁぁ、お金ゲットだぜー! さぁ早速行くぞ、酒場か! それともおネーチャン! おネーチャンの所か!? この街にもあるんだろ、布の面積が少ないお姉ちゃんが接待してくれるお店がー! 冒険の業は酒と色で流さないと冒険者とは言えねーもん、なー!」



アクセル : (ズギューン)



ミクト : 「あべし!」



アクセル : 「……軍資金は取り戻しました。より強い装備を買うなど、有意義に使いましょう」


ミクト : 「う、撃ったな……本当に、撃ったな……」(血ぃどくどく)


アクセル : 「何だ、生きてたんですか。煩わしい」


ミクト : 「煩わしいって何だ、煩わしいっておいー!」(ぎりぎりぎり)


GM : 「黙れミクト、煩わしい」


ミクト : 「う!! ……大人なのに怒られてしまった。俺、もう大人なのに」(めそめそ)


ローズ : 「泣いたら駄目ですわよー、ミクトおじさま?」(なでなで)




GM : 「さて……無事公国民の証を手に入れたキミたちには、新たに二つ出来る事が追加される」


シュンスケ : 「新たに……ですか?」


GM : 「そうだ、一つは、シトト交易所でアリアドネの糸が購入可能になるという事」


ローズ: 「ありあどね、ですの?」


ミクト : 「アリアドネ……ギリシア神話で、アステリオス……俗にミノタウロスと呼ばれる怪物が潜む迷宮があってな。そこミノタウロスを倒したテセウスが、ミノタウロスを倒す手助けとして、迷宮の脱出方法する為に彼に糸玉を与えた女性の名前だな」


シュンスケ : 「へぇ、そうなんですか! お詳しいですね」


ミクト : 「職業柄とでもいうのか、神話やらそういうのはわりとよくテーマにするもんでな! ……あ、でも。シトト。シトト交易所……シトト……なぁ、シトト交易所って、何処だっけ?」


アクセル : 「はぁ……知識があっても、物覚えが絶望的な大人ですね」


ミクト : 「う、うるせー! 30過ぎたらアレやらコレやら言う事が増えてくるんだよ! お前もあと20年すればこーなるんだからなー!」


アズマ : 「アタシはまだその傾向はないですがねぇ……本当にお忘れですかミクトの旦那? 最初に、武器やら防具やらを買い込んだあの店の事でさぁ」


ミクト : 「おおお! わかったわかった、あのひまわり頭の娘さんがいる店な!」


シュンスケ : 「ひまわり頭って……」(笑)


アクセル : 「それじゃぁ、ひまわりみたいな髪型の人、みたいじゃないですか。 ……ひまわりの髪飾りをつけている娘さんが、店番をしているお店ですよ」


アズマ : 「あれ、髪飾りなんですかねぇ?」


アクセル : 「あれ、そうじゃないんですかね? 流石に、生のひまわりを頭につけてないとは思うんですよ……枯れちゃうでしょうし」


GM : 「……たしかに、生のひまわりを髪につけられて、種でも出てきたら困るだろうがな」


ローズ : 「でも、ハムスターはきっと喜びますわ!」


アズマ : 「いやいやいや、そこまでしてハムスターを喜ばせようとはしないでしょうに!」


シュンスケ : 「そうだね、きっとお家でハムスターをかっていて、種になったら餌にしているかもね」


アズマ : 「しかも何、さらっとその意見受け入れてるんですかシュンスケの旦那! 何ですか、このギルドツッコミ不在ですかね!?」



アクセル : 「それで、GMもう一つ出来る事というのは……?」


GM : 「そうだな、それはクエストを受けられるようになった事なのだが……実際に受けた方が早いだろう。公宮から出たキミたちは、すぐに酒場の主人が言葉を思い出した。そういえば彼は最初のミッションが終わったら顔を出して欲しい、素振りを見せていたのを覚えているか?」


シュンスケ : 「そうでしたっけ?」


ローズ : 「そうでしたわ! 私、ジュースをご馳走していただきましたの!」


シュンスケ : 「あぁ……そうでしたね。ローズのお礼もかねて、早速顔を出しましょう」


GM : 「酒場の主人は、キミたちを見つけるなり明朗な笑顔で歩み寄る……。 (酒場の主人)『よぅ、英雄さんのお出ましだな! どうだ、任務は終わったか?』


ローズ : 「終わりましたの! ……これ、公国民の証ですわ! これで、ローズも一人前の公国民ですの!」


GM : 「酒場の主人は、それを確認すると白い歯を見せて笑う……。 (酒場の主人)『よっし、これでオマエさんがたに、安心して仕事(クエスト)を任せられるな!』」


シュンスケ : 「ちょっ! ……待って下さい、クエストとは……何でしょうか?」


GM : 「(酒場の主人)『仕事(クエスト)っちゅぅのは、この街の連中が持ってくる厄介事みてぇなもんだな! やれ、○○をもってこいだの。やれ、ドコソコに××が現れたから退治してほしいだの……お使いから、迷宮の警備まで何でもござれの頼み事だ』


アズマ : 「ようは、厄介事に始末をつけたら、報酬を支払うって事でよござんすか?」


GM : 「簡単に言うと、そういう事だな」


アズマ : 「だったら話が早いってモンでさぁ……アタシもこの国に来るまで、やくざな頼み事を請け負って日銭を稼いだ身ですから、そういう事なら請け負いましょう。よござんすね、皆さん?」


シュンスケ : 「えぇっ!? でも、ボクはそんな冒険なんて……」


アクセル : 「俺は構いませんよ」


シュンスケ : 「……アクセル?」


アクセル : 「ここで身を立てるには、冒険者しか無いんでしょう? ……だったら俺、やりますよ。迷宮探索。そうしないと、メシも喰えませんからね」


ローズ : 「ローズも! ローズも行きますわ! ……世界樹の迷宮、とーっても綺麗でしたの! きっともっと、綺麗な花がありますわ〜」


シュンスケ : 「ろ、ローズもかい!?」


アズマ : 「あはは、可愛い子供たちの方が、度胸が据わっているみたいですぜ、シュンスケの旦那?」


シュンスケ : 「はぁ……子供たちが戦うといってるのに、私だけ逃げてはいられませんね。仕方在りません。救護班として、微力ながらお手伝いしましょう」


アズマ : 「よしきた! それでこそシュンスケの旦那だ……旦那の回復、期待しておりますぜ。さて、酒場のご主人、今はどんな依頼があるのか、聞かせちゃくれませんかね?」


GM : 「酒場の主人はよしきた、と頷くと依頼用の張り紙を一枚破り、それをキミ達へと差し出した。 (酒場の主人)『先ずは料理店の依頼だ。こいつぁ、樹海にある綺麗な石清水を汲んできて欲しいってモンだ』


ローズ : 「お水ですの?」


GM : 「(酒場の主人)『おう、そうだ。何でも樹海の水はろ過されて、えらく綺麗で上手いんだとよ。だが、魔物が出て危険だからとよくこうして冒険者連中に頼むのさ。やってくれるか? 水は、どうやら1Fにあるみてぇだぜ』



アズマ : 「なるほどねぇ……さぁ、旦那がた、どうなさいますか?」


アクセル : 「綺麗な水かぁ………そんなもの、見かけたっけ?」


ローズ : 「ローズ、覚えてませんわ……」


シュンスケ : 「まだボクたちが行ってない場所にあったのかもしれないね……まぁいいさ、どの道、迷宮の探索を続けるんだろう。隅々まで歩く予定なんだから、何時か見つかるだろう」


GM : 「……では、依頼を受けるのだな?」


アズマ : 「よござんすよ。その依頼、アタシらにお任せくだせぇ」


GM : 「では、この依頼は任せた……。 (酒場の主人)『おう、初仕事任せたぜ! あんまり気張るなよ。あはは』」




ミクト : 「おうおうおうおう! このさばみそギルドご一行に頼んだからには、大船にのったつもりでー! ほら、待つがいぃ〜さぁぁぁ〜!」



アクセル : 「……って、今まで会話に参加してなかった癖に、何の脈絡もなく出しゃばるな!」(ガツン!)


ミクト : 「ぶぁっ!? なななな、殴りましたよこの子! 銃底で! 何の躊躇いもなく殴りましたよ!?」


アクセル : 「あ、すいません。急に煩かったので、蠅かなと思いまして」


ミクト : 「言うに事欠いて蠅呼ばわりはねーだろ、蠅呼ばわりは! こっちは脊椎動物だぞ、二足歩行してんぞコラぁぁぁ!」


アクセル : 「おへそあります? 卵から生まれた系の生き物じゃないんですか?」


ミクト : 「うるせぇぇ、このガキはぁぁぁぁ」(ぎりぎりぎり)


アクセル : 「口で勝てないからって腕力勝負ですか? カスメの癖に……」(ぎりぎりぎり)


シュンスケ : 「ああああ、アクセル。止めなさい〜。ミクトさんも、ここは穏便に……」(オロオロ)


GM : 「……本当に、仲が悪いな」


アズマ : 「全く……前途多難でさぁ」




> 再び、緑の



GM : 「さて、酒場でクエストを受けたキミたちは、宿で休憩を終え、再び迷宮へと降り立った……宿では、夜まで休憩しただけなので、迷宮はすっかり夜の装いとなっている」


ローズ : 「……真っ暗ですの。お花も、全然見えませんわ」(しょぼん)


ミクト : 「灯りがないと駄目っぽいな、まってろ。今、カンテラつけてやるから」


GM : 「ミクトがカンテラをかかげると、その周囲には小さな羽虫たちが集まってくる。どうやら、光りを求めて集まってきたらしい……」


アクセル : 「これだけ暗いと、やはり灯火は目立ちますね……」


ミクト : 「んでも、仕方ねーだろ? 流石に灯り無しで迷宮、潜る訳にはいかねーだろーしな……」


アクセル : 「それくらい、分かってる。ただ、魔物たちを呼び寄せるだろうなと。そう思っただけだ」


シュンスケ : 「ううう……やっぱり、朝まで休んで安全な時に探索した方が良かったですかね……」


アズマ : 「何言ってるんですかシュンスケの旦那。ここは迷宮、元々安全な所なんて、ありゃしませんって」


シュンスケ : 「それはそうですが……」


アズマ : まぁ、そう気負いなさんなって。迷宮も強くなればいずれは、夜通し歩くなんて事もあるでしょうから、今から夜の探索に慣れておいた方がよぅござんすよ?」


シュンスケ : 「そう、ですね……私は少し、慎重すぎる所があるんですかね?」


アズマ : 「そうですね……ですが、冒険にはその慎重さも重要だと思いますから、アタシらが本気で無茶をしようって時には、旦那が止めてくれればいいと。アタシは、そう思いますよ。アタシらは、チームなんですから。お互いのいい所、悪い所を補いながら冒険を進めればいいんでしょうって、ねぇ?」


シュンスケ : 「アズマさん……そうですね、では、改めてヨロシクお願いします。アズマさん」


アズマ : 「よござんすよ。それじゃ、改めて夜の迷宮探索としゃれ込みましょうや!」


GM : 「うム……夜の迷宮は昼とは違い静けさが増している。カンテラの火を掲げなければ遠くまで見通す事は出来ない……」


アクセル : 「とりあえず、カンテラ係は任せたぞ。荷物係」



ミクト : 「だぁっ! 誰が荷物係だよ、誰が!」



アクセル : 「……何か文句あるのか? 呪言マスタリーレベル3?



ミクト : 「う! ……すいません、僕荷物持ちでいいです。というか元々荷物とか持つの大好きなんで! ヒャッハー! 荷物持ち最高だぜー!」



アズマ : 「さて、どうしますかね? 東側は最初の試練で概ね通っていますが、まずこっちから埋めちゃいますかね? それとも、西側の全く行った事のない道から埋めますか?」


シュンスケ : 「そうだね……とりあえず、東側のMAPを完璧に……」


ローズ : 「わー、お月様が出ておりますの! 私、あっちの方にお月様が似合う花畑があると思いますわ〜、おじさまー!」(ぐいぐい)


シュンスケ : 「ローズ? ……仕方ないな、ローズの行きたい方にいってみようか?」(でれっ)


アズマ : 「……そっちは西側ですぜ、シュンスケの旦那」


ミクト : 「古今東西、男親ってのは娘に甘いもんだな」


GM : 「では、西側へ向かうのだな。西側は通路に入ると、すぐに南方へ脇道が見え、扉も見える」


シュンスケ : 「扉?」


アズマ : 「そういえば、毒吹きアゲハが居た場所にも扉がありましたねぇ……こんな危険な場所に扉なんて、誰が作ってるんでしょう?」


ローズ : 「公国の方が、取り付けてるんじゃないですの?」


アクセル : 「……いや、むしろこの『世界樹の迷宮』って場所自体が、何らかの遺跡なのかもしれませんよ。ハイラガでの話だと、この街の住人はこの世界樹そのものを神木として、神聖なものとして見てますから」


アズマ : 「つまり、坊はこの迷宮自体が、天空の城が残した遺跡と。そう踏んでるって訳ですかい?」


アクセル : 「断言できませんが、あるいはその可能性もあるんじゃないか、と……公国で、迷宮に扉を取り付けるとかあまり意味のない行動に思えますから」


シュンスケ : 「つまり、天空の城は実在する可能性もあるんだね! ……うわぁ、そう思うと、何かドキドキしてきたなぁ」


アクセル : 「はい……ですが、アニキ気を付けてください。扉とは、先の見通しが悪くなる場所……この先に化け物がいたとしたら、こっちは不意打ちを食らう可能性は充分ある上、扉は閉じてしまえば背後に逃れるのが難しくなります。扉は慎重に開け、敵がいないのを確認してから進むのが得策かと……」




ミクト : 「そーればったーん!」(がちゃ)




アクセル : 「って、言った傍から何て事をしてんだ、この白毛男がぁぁぁ!」(ぎりぎりぎり)




ミクト : 「うっせーなぁ! こんな序盤に罠らしい罠なんかある訳ねーだろ! 男ならつべこべ言わずに開けろ! 罠があったら、正々堂々その罠を踏みつぶせ! だ!」


アズマ : 「長生き出来ませんぜ、旦那」(笑)


アクセル : 「お前がそれで死ぬのは勝手だが、俺たちまで巻き込むな!」


GM : (笑)「心配するな、罠はない……そこは小部屋風になっていて、その中央には看板が立っている」


ローズ : 「看板? 何が書いてありますの?」


GM : 「公国からの警告だろうか。毒々しい赤い文字で 『北の魔物には手を出すな』 と書かれている……」


シュンスケ : 「忠告ですね……まだその魔物とはお会いしていませんが、北の方が危険な魔物が多いのでしょうか?」


アクセル : 「逆に言えば、北が迷宮の奥なんでしょうね……気には留めておきましょう」


GM : 「では、キミたちはその看板を気に留めつつ、さらに奥へと向かう。途中モンスターが現れる、が……」


アズマ : 「また、針ネズミですかい? 仕方ありませんねぇ、刀の錆にしてやりましょうや!」


ローズ : 「ローズも! 私も戦いますわ!」


GM : 「流石、さばみそギルドは慎重だな……手堅く回復と、攻撃がとんでくるのでさして危険もなく撃退したな」


ローズ : 「わー、やりましたわ! おじさま、誉めてくださいませ!」


シュンスケ : 「あぁ……よく頑張ったね、ローズ。えらいよ」(なでなで)


ローズ : 「えへへ……」


アクセル : 「あ……あ、アニキ。あ、あの。お、俺も……」(もじもじ)


シュンスケ : 「ん? どうしたんだい、アクセル? お腹でも痛いのかい?」


アクセル : 「い、いや! その……べ、別に。何でも……何でも、ないです……(しゅん)


シュンスケ : 「そう? ……もし辛かったら、遠慮なく言うんだよ。すぐにキュアするからね」


アクセル : 「はい……はぁ」(溜め息)



ミクト : 「ん? どうした少年! 誉めてほしいのか。誉めてほしいのだな! よしこの俺が、遠慮なく誉めてやろう。ほら、なでなでか? それともハグハグか? どっちもしてやってもいいぞ、さぁ、俺の胸に飛び込んでおいでー!」



アクセル : (ターン! タンターン!)



ミクト : 「ぷぎゃ!」



アクセル : 「……何か言ったか、白毛和牛?」


ミクト : 「……全く、すぐに発砲するなんて今時の若者はキレやすいなぁ……それとも、ツンデレ! これ、ツンデレか? ツンデレ!」



ローズ : 「おじさま、またアクセルとミクトおじさまが喧嘩してますわー!」


シュンスケ : 「あぁ、アクセル。ここは、穏便に。穏便に、ね?」(オロオロ)


アズマ : 「もう、いつもの事でしょうから、アタシらは先に進んでみましょうか。まだ、奥に道はありますよね?」


GM : 「うム……部屋から出たら小道の先には広い草原が見え、さらに先にも小道が続いているな」


アズマ : 「そいじゃま、ひとまず小道をどんどん進んでいくといたしましょうか。ミクトの旦那、灯りをお願いしまさぁ」


ミクト : 「おう!」


GM : 「……小道の北側に広場もあるようだが、どうする?」


アズマ : 「そっちは、奥まで進んで余裕があったら探索と行きましょう。皆さん、よござんすか?」



一同 : (無言で頷く)



アズマ : 「んじゃま、ずずずぃっと北の方へ行きましょうか」


ミクト : 「お、案外攻める姿勢だねぇアズマの大将! ま、嫌いじゃねーけどな。そういうの」


GM : 「……さらに北に進むんだな。すると、東側に扉が見えるが」


アズマ : 「扉ですかい?」



ミクト : 「よっしゃぁ! 男なら、ヤッテヤレデース! ここは俺がバァーンと開いてだなぁ!」



アクセル : (バァーン!)



ミクト : 「ぬふぅ!」



アクセル : 「……慎重に、開けてもらえますか? アズマさん」


アズマ : 「はいはい、了解了解っと。それじゃ、ちょいと隙間を開けて中をうかがってみましょうかねぇ……」


ミクト : 「え? 何俺、テッポーで撃たれてこの扱い? 誰も心配してくれないポジションなの? ちょ、みなさーん……この人、いま、俺の事テッポーで撃ちましたよー……俺、激しく出血してますよー」(血ぃどくどく)


ローズ : 「きゃー、ミクトおじさまから赤い花が咲きましたわー!」


シュンスケ : 「むーざん、むざん♪」


ミクト : 「そんな歌うたってるヒマがあったら少し可哀想がってくれー!」(泣)


アズマ : 「さて……扉をあけて中をチラっと覗いてみます。何がいますかねぇ?」


GM : 「中を覗くんだな。すると、中は広い草原になっていて、その中央には手負いの魔物が居るな……外見は蜥蜴を思わすが、蜥蜴よりはるかに大きい。肌は岩のようにごつごつしており、爪は鋭く、その牙は……」


アズマ : パタン。(無言で扉を閉める)


GM : 「む? ……まだ説明の途中だが」


アズマ : 「説明しなくてもわかりまさぁ……ここはヤバイ奴がいる場所だ。ってね……」


シュンスケ : 「ど、どうしたんですかアズマさん? 何が……」



アズマ : 「何といいやしょうか……オノマトペで表現する所の。 がおー、ぐわぁぁぁぁ! って奴が居まさぁで、探索は後回しにしましょうや……」



シュンスケ : 「が、がおー?」


アクセル : 「ぐわー?」


ローズ : 「怪獣さんですわね!」


ミクト : 「言葉の意味はよくわからんが、とにかく凄い危険だという事は察した!」


アクセル : 「どうします? ここを後回しにするなら次は何処にいきましょうか?」


ミクト : 「なーに、道は続いてるひとまず北側を埋めちまおうぜ!」


ローズ : 「料理店で、依頼も受けておりますの! 石清水みつけて、美味しいお料理つくってもらいますわー」


GM : 「……北へ向かうんだな? すると、お前たちの前にモンスターが現れる。敵は」


アズマ : 「何です? また、針ネズミですか?」


GM : 「いや、今回はひっかきモグラ2体だ」



シュンスケ : 「……何だぁ、モグラですかぁ。だったら大丈夫ですよぉ」



アズマ : 「……シュンスケの旦那は、モグラの生態もご存じで?」


シュンスケ : 「はい! えぇっと、モグラは基本的には土中で生活をしています。非常に大食漢なのですが、その食料ほとんどは土の中にある生き物……ミミズやオケラなどの昆虫ですね……を主としているので、土から出ると餌がなく……胃袋に十数時間餌がないと餓死してしまうので、彼らにとって地上は餌がなく、餓死する危険の高い場所ですから! そんな、地上で行動なんてしませ……」



GM : 「ひっかきモグラの攻撃!(ずがごっ) シュンスケ君は18のダメージを受けた!」


シュンスケ : 「ああああ! 痛い痛い痛い痛い!」


アズマ : 「……シュンスケの旦那。針ネズミの時点で、この森の生態。アタシらがしっている現実の生態と、随分かけ離れている事に気付いてほしいもんですけどねぇ」


シュンスケ : 「ううう……そうですね。よく考えたら、モグラにも途中だけでなく地上に餌を狩りに来る種族がいますから、彼らもその亜種なんでしょう……」(血ぃどくどく)


アクセル : 「アニキ! 冷静に分析しているヒマがあったら、キュア入れてください。キュア!」


アズマ : 「……モグラ如きに手こずってられませんねぇ、それじゃ、アタシも一つ。モグラ叩きゲームとしゃれ込みましょうか」


ローズ : 「私も戦いますの!」


ミクト : 「俺は……俺は! 精一杯応援をするぞ。ほら、フレェェェェェェェ! フレェェェェェェェェ! あ・か・ぐ・み! フレ! フレ! あかぐみ! フレ! フレ! あかぐみ!」


アクセル : 「誰が赤組なんだ? 誰が!」


GM : 「ふむ……ひっかきモグラのダメージはアズマ君の体力を半分以上減らせるが」


アズマ : 「あいたたた……全く、この森にいる魔物はどいつもこいつも。凶悪な爪と牙をおもちでござんすねぇ」


ローズ : 「大丈夫ですの? 今、キュアを飛ばしますわー!」


GM : 「……ローズのキュアがターン頭に入る事もあり、大事にはならないようだな。うム、ダメージは負ったものの、何とか敵は退治したな」


アクセル : 「……ふん、他愛ないな」


ミクト : 「なかなかいい攻撃だったぞ、アクセル! 俺の応援の効果は抜群だな!


アクセル : 「貴方が黙っていてくれたらもっとスムーズに倒せていたと思いますけれどもね……さて、奥には何がありますか?」


GM : 「さらに北へ向かうんだな。北は、少し開けた場所に出た後、脇に小道があり。その小道には……」


ローズ : 「あ! 見てくださいませ、おじさま! あそこの道に、キラキラ光っている場所がありますわー!」


シュンスケ : 「キラキラ? ……うん、ここは採取ポイントみたいだね」


ローズ : 「採取ですの?」


シュンスケ : 「うん。役にたちそうな薬草とか、果物とか……そういったものが取れるポイントだよ」


ローズ : 「えぇっと……だったら、お花をつんでもいいですの?」


GM : 「つむのは勝手だが……この採集ポイントは採取だから、採取コマンドがないと役に立つアイテムは得られないぞ」


ローズ : 「採取? 私、伐採ならありますわ! 伐採では駄目ですの?」


GM : 「この周囲の花、根こそぎなくなりそうだから駄目だな」


ローズ : 「……ううう。しょんぼり、ですの」


シュンスケ : 「あはは、そう気を落とさないでローズ。ボクが採取出来るから、ローズはそのお手伝いをしてくれないかな?」


ローズ : 「!? はいですの! えへへ、おじさまのお手伝いですわ〜」


アクセル : 「ローズ、アニキの邪魔はしちゃ駄目だからな?」


ローズ : 「わかってますの! ……おじさま、このお花は何ですの?」


シュンスケ : 「あぁ、それは……」


アズマ : 「お嬢ちゃんたちが採取に勤しんでる間に、アタシらはここを警戒しておきましょうかね。何があるかわからないし……」


ミクト : 「だな! 俺たちじゃ、採取で何をとっていいのか……何て、皆目見当が付かないし……」


GM : 「警戒というと、キミらはその周囲をうろうろしている訳だな……すると、突然敵が現れる」


アズマ : 「おやおや……やっぱり現れましたか、で、今度はどんな生き物ですかねぇ?」


GM : 「敵の名前は『クローラー』 ……一言でいうと、芋虫だな」


アクセル : 「イモムシ?」


ローズ : 「ふぁぁ……ローズ、虫あんまり好きじゃないですの……足がいっぱいある生き物、何だかとっても怖いですの……」


GM : 「うむ、だがただのイモムシではない……とにかく、デカイ。大人ほどはないが、恐らくローズくんに近い大きさはある」


ローズ : 「ふぁぁぁ! 嫌ですわぁぁぁ、ローズ、芋虫さんじゃありませんの!」


アズマ : 「はぁ……これだけ大きい相手だと、ちょっと嫌な予感がしまさぁね……小手打ちでサッサと仕留めちまいましょうか」


GM : 「ふむ……アズマ君がスキル攻撃に入ると、攻撃順番は遅くなるな。では、ローズ君の攻撃を受けて……」


ローズ : 「イモムシさんゴメンナサイですの! ……でも、あんまり攻撃与えられませんでしたわ」


GM : 「次は、こっちの番だな。アズマ君に攻撃だ、ダメージは……32」


アズマ : 「32!? ……いやぁ、一気に体力がなくなっちまいやした」(笑)


シュンスケ : 「だ、大丈夫ですか!?」


アクセル : 「アズマさん……俺は、フレイムショット! ……どうです?」


GM : 「いや、まだ落ちてない。クローラーは次の攻撃に備えている……」


シュンスケ : 「……ど、どうしましょう。こいつ、強い!」(オロオロ)


ミクト : 「まー、オロオロしても仕方ねーだろ。とりあえず、アズマが落ちたら総崩れだから、ローズのお嬢ちゃんにキュアいれてもらって、シュンスケ。お前もアズマに追加キュアしておけよ……アズマとアクセルは引き続き攻撃、二人の火力に任せるしかねーんじゃねーの?」


アクセル : 「……!?」


ミクト : 「どうした?」


アクセル : 「し、白カスメが真面目な事を言った……!?」




ミクト : 「どどど、どういう意味ですかお前はー! 俺だって、ピンチになれば真面目な発言の一つくらいするっての!」


アクセル : 「いや、何もスキルもないお前だから戦闘の事なんて何も考えてないと……」


ミクト : 「失敬だなキミは! 俺だって人並みにモノを考えるっつーの……まぁ、今の俺はどんなに考えた所で、杖で殴るくらいしか出来る事はねーんだけどな!」


シュンスケ : 「後衛のお約束ですねぇ」


ミクト : 「だねぇ」


ローズ : 「アズマさまー、はい。いたいのいたいの、とんでいけー。でーすわ!」


アズマ : 「悪いねぇお嬢ちゃん、さて、と……じゃ、トドメをさしちまいやしょうか、再度、小手打ちでさぁ!」


GM : 「ふむ……それでトドメを刺したな。クローラーを退治した!」


アズマ : 「何とか退治はしましたが……はぁ、こりゃもうTPも体力も限界みたいでさぁねぇ」


シュンスケ : 「はい……奥に進みすぎたきらいもありますし、ここらで一端余裕があるうちに戻っておきましょう」


ミクト : 「よっしゃ、分かった! 俺に続けぇ!」


アクセル : 「帰る時だけ元気になるな、お前は」


ミクト : 「ほ、ほっとけ!」



 かくして、一度公国に戻ったさばみそ諸君。

 宿で活力を取り戻し、再度、朝になった迷宮に戻る……。




アズマ : 「やれやれ、最初の依頼(クエスト)でこんなに手こずるなんて……何処にあるんですかねぇ、石清水」


ローズ : (じーっ)


シュンスケ : 「ん、何かあったのかい? ローズ?」


ローズ : 「おじさま! この木のくぼみ、何か入っているみたいですわ!」


シュンスケ : 「どれ……あ、ホントだ。何かキラキラしたものがある、けど……手をつっこまないと、とれそうにないな」


アクセル : 「ホントだ……よし、しらが頭。手をつっこめ




ミクト : 「はいはーい! ……って、どうして俺なんだよ、どうして! お前がつっこめよ、お前がぁぁっ!」



アクセル : 「嫌だ。こんな所に手をつっこんで、服が汚れたらどうするつもりだ? 毒蛇が居るかもしれないし」



ミクト : 「危険の可能性があるのを知っていて、俺にやらせようとするんじゃねーよ!」



シュンスケ : 「いいよ、アクセル。ボクがやるから……えい!」(ずぼっ)


アクセル : 「あ、アニキ!?」


シュンスケ : (もぞもぞもぞ……)「うん? ブニブニしてるな。何だろう……出てきた!」(すぽっ)


GM : 「うむ……出てきたのは、ゼラチン質の核だ。素材だな」


シュンスケ : 「何でしょう、これは。見た事のないモンスターの素材でしょうか……」


アクセル : 「それより、アニキ、大丈夫ですか? 手ぇ、怪我してませんか? そんな、アニキが手を汚す事なんてないのに……!」 (オロオロオロ)


ミクト : 「……俺と、態度が違いすぎやしないか! お前……態度が違いすぎやしないか、なぁ!?」


アズマ : 「まぁまぁ、言い争いは後にして、探索を続けましょうや」


アクセル : 「とはいえ……迷宮の西側は、もう概ね探索しつくしちゃいましたよ?」


アズマ : 「……ありゃ、そうですかい?」


アクセル : 「はい、後調べてないのは……」


シュンスケ : 「北の、危険な化け物がいる部屋くらい。だね……」



一同 : 「…………」



ミクト : 「あの化け物、うっかり俺たちがぶつかったら秒殺だろーなぁ……」


アズマ : 「はぁ、ですが……立ち止まってもいられませんからね。いってみましょうや」


シュンスケ : 「だ、だ、大丈夫ですかね……」


ミクト : 「あたらなけりゃどうってことないっての! んじゃま、北の部屋へれっつごー!」


GM : 「北の部屋に行くのだな。そうすると……広い草原の中央には、傷ついた巨大な魔物が鎮座している。魔物は、一度キミたちを睨みつける……」


アクセル : (ゴクリ)


GM : 「……だが、手負いだからか。動く気配は見せず、その場にうずくまるとまた、静かに寝息をたてはじめた」


ミクト : 「何だ、動かねーみてぇだな。だったら怖くねーぜ! ……蹴りでも入れてくるか?」


アクセル : 「下手な刺激はやめてください。折角のチャンスですから、脇を通り抜けて行きますよ」


シュンスケ : 「念のため、壁ぞいをとって……あいつから、距離をとって進みましょう。相手の反応は?」


GM : 「……いや、特に何の反応もない。キミたちに興味はないといった様子だ」


アズマ : 「……ふぅ。いきなり襲ってきたら流石にどうしようかと思いやしたが、何とかなったようですな」


アクセル : 「まだ先に道もあるみたいですね。進んでみましょう……」


ローズ : 「石清水ーは、どこですのー?」


GM : 「……そうしてキミたちが進んでいくと、小道の先には上へ向かう道が開けた! どうやらここには、二階の階段があったようだ




アズマ : 「よっしゃぁ、これで先に進めまさぁ………………って、違う! これ探してた奴とちがいまさぁでよ!」



シュンスケ : 「おかしいですね……最初のクエストをクリアしようと、石清水を探していたはずなのに。先に、二階の道を見つけてしまいましたよ」(笑)


ローズ : 「石清水、ありませんの……?」


アクセル : 「あれぇ? どこか、見落としがあったのかなぁ……」


ミクト : 「頼りになんねぇな、貸して見ろ!」(ばっ)


アクセル : 「あ! やめろよ、白毛ぶた! 俺の地図……」


ミクト : 「……西側の地図は完璧みたいだが。おい、アクセル。これ、東側。まだ埋まってない通路があるぞ?」


アクセル : 「あぁ、そこは……最初の試練で、いった場所だからさ。遠目で袋小路だてわかってるし……」


ミクト : 「ここにあるんじゃねぇの、石清水?」


アクセル : 「でも、袋小路だったぞ……遠目で見ただけだけど」


ミクト : 「行って見なきゃわかんねーだろ! ……よし、皆の衆! 最初の地点に戻るぞー!」


アクセル : 「お、おい! 何を仕切ってるんだお前は……」


アズマ : 「まぁまぁ、いいじゃないですかアクセルの坊や? ここまで来て、アタシたちもいい加減HPもTPもギリギリですから……一度、戻るついでに見てきましょうって」


GM : 「では、最初の道に戻るついでに袋小路へよっていくんだな……キミたちがその通路に入ると、何処からか水のせせらぎが聞こえてくる」


アクセル : 「え? まさか……」


ミクト : 「残念ながら、そのまさかのようだな……ほらみろ、奥に綺麗な水が注いでるぞ!」


GM : 「ミクトの言う通りだな。そこには、澄んだ水がわき出ている……これが依頼にあった石清水に違いない」


ローズ : 「やったー、見つけましたわ! 石清水ですの!」


シュンスケ : 「苦労して探したけど、こんな近くにあるなんて……灯台もと暗し、って奴だね」(笑)


アクセル : 「む……」


ミクト : 「分かったかぁ、アクセル。迷宮は、見えてるだけが世界じゃねぇ。行ってみなきゃわかんねー事もあるってんだ。な!」(ぽんぽん)


アクセル : 「気易く頭に触るな!」


ミクト : 「おー、悪い悪い! んだがよぉ……スキルがなくても、俺の知識も馬鹿にできねぇって事、わかったろ? どうだ、それでも俺はまだ無駄な役立たずかー? なー?」


アクセル : 「あぁ、役立たずだ」(きっぱり)




ミクト : 「きっぱりと断言されおった! えー、この流れ普通は俺を認める流れじゃねぇの!? もっと空気読めよ!」




アクセル : 「戦闘中、さして頼りにならない杖攻撃か応援しか出来ない奴が役に立つと言えるか?」



ミクト : 「うっ! ……まぁそれは、最もなご意見で」(笑)



アクセル : 「ただ、まぁ…………その、何だ。面子から外す、までは言い過ぎ……だったな。その……これからも、後方で。俺らの邪魔にならない程度で……協力してくれると、嬉しい。なんて……な」(ぼそ)


ミクト : 「んー、何だ? よく聞こえなかったんだがなー?」



アクセル : 「!? う、う、うるさいバーカ。一回でちゃんと聞け! 俺は、もう言わないからな!」



ミクト : 「そう言わずに、もう一回聞かせてくれって。そーれ、そーれ、アクセルさんの可愛いところ、もー一回見てみたいッ!」(ぱんぱん)




アクセル : 「うーるーさい! あー、そういう所が邪魔なんだ、お前はー!」



ローズ : 「アクセルー、ミクトおじさまー! 何やってますの? もう帰りますわよー!」


アズマ : 「用が済んだら長居は無用でさぁ、そろそろ行きますぜ?」


アクセル : 「あ、はいっ……ほら、行くぞミクト!」


ミクト : 「……はいよ!」




 ……かくして、何とか最初の仕事(クエスト)を達成したさばみそギルドの面々。

 石清水より先に階段を見つけてしまったりと、初っぱなから寄り道だらけ。


 果たしてこの頼りない新米ギルドは、迷宮の奥にある空飛ぶ城を発見する事が出来るのだろうか。

 それとも、その前に解散してしまうのか……。


 先行き不安なギルドながらも、今は小さな成功をその手に納め、一時の休息を得るのだった……。


 次回の冒険に、備える為に。







劇 : 彼の知る、西園寺馨。





 幕間劇を始めよう。

 それは、現実世界の「彼ら」の物語。

 彼らが知る「西園寺馨」を廻る、一人の。だが沢山の物語。


 ……君は、彼らの現実にある日常に、触れても、触れなくても良い。


 ・

 ・

 ・


 セッション終了後

 都内 某所――。






椎名哲馬(ミクトPL) : 「そぉぉれぇぇぇっ、高い高い高いたかぁぁぁぁぁい!」




月岡沙織(ローズPL) : 「わ〜、高い高いでーすの〜!」 (きゃっきゃっきゃ!)




椎名 : 「おお、楽しいか? それじゃ、もう一丁! ほぉぉらぁぁぁ、高い高い高いたかぁぁぁぁぁぁぁぁい!」




沙織 : (きゃっ、きゃっ、きゃっ)



月岡陽介(シュンスケPL) : 「あああ、沙織! 落ちないように気を付けてね」(オロオロ)


椎名 : 「心配するなって、俺、実は7つ下の弟がいてな! そいつが小さい頃、よくこうやって高い高い〜って遊び、してやったんだぜ。だから、慣れてんだ、こーいうの」


狩名義明(アズマPL) : 「へぇ、そうなんだ! いやぁ……キミ、背ぇ高いから、キミの高い高いは相当高いから、チビッコには少し怖かったんじゃないの?」


椎名 : 「そうだったかもなぁ……アイツ、たまに高い高いやった後、びーびー泣いてたから……」


月岡 : 「へぇ……泣くほど高い所まであげていたんですか?」


椎名 : 「いや、べちっと落として」



狩名 : 「いやいやいや、落としちゃ駄目じゃないかそれ!」



月岡晃(アクセルPL) : 「ちょっ、沙織は落とさないでくださいよ!」


椎名 : 「大丈夫だって……はい、お姫様。もう、高い高いは終わり、なー」


沙織 : 「きゃー! ……楽しかったですわ、ありがとうございます、椎名お兄さま!」


椎名 : 「何の何の、お姫様が笑って頂けるなら、俺は何だって致しますよ……なぁんて、な?」(笑)


狩名 : 「嫌に紳士的だねぇ、椎名さんは」


椎名 : 「そっか? ……いや、でも俺結構子供好きだからなー。さっきもいったけど、俺、歳の離れた弟が居てさ。そいつの小さい頃思い出すのもあるんだけど」


晃 : 「本当か? ……オマエ、まさか沙織を狙っているんじゃないだろうな?」



椎名 : 「!? なぁぁぁにいってんだよおめぇぇぇは! 俺は、ただ、純粋に幼女の愛らしい笑顔を引き出そうとしているだけでだなぁ!」



晃 : 「ロリコンめ……」


狩名 : 「なるほど、ロリコンか……」


沙織 : 「ロリコンさんですわー」



椎名 : 「!? さおちゃんにまで言われた!?」



月岡 : 「沙織はまだ9歳ですから。その、そういう事は……」




椎名 : 「しかも保護者にまで警戒されはじめてるし! だ、大丈夫デスヨー。俺はたしかにいい歳ぶっこいて独身な上、机に向かって漫画ばっかり描いてる大人ですけど! そういう犯罪方面にアグレッシブな気概はないデスヨー!」


月岡 : 「……本当ですか?」(じと目)



椎名 : 「本当だっての! ……大体、オタクは犯罪なんかしねーんですよ! 毎週のアニメのチェックにも忙しいし、読みたいマンガの新刊は先に出るし、夏と冬に大きなイベントにも行かなきゃならんし……で、犯罪なんかするヒマねーんですよ!」


晃 : 「……発言内容は非常に駄目な大人の香ばしさだが、何故だか説得力だけはあるなぁ」


月岡 : 「あはは……そんな、最初から疑ってませんよ……椎名さんは、いい方ですよね?」


椎名 : 「お、おう?」


月岡 : 「……一緒に、ゲームをプレイしていたら分かります。慣れない私や、沙織や……晃の事、気遣ってくださり、ありがとうございます。感謝、しておりますよ」(ぺこり)


椎名 : 「お、おい、そう改まって礼なんて言うなって……やめろって、あんまりそーいうの慣れてねーから。何だその……照れる」


狩名 : 「あはは、意外とシャイなんですなぁ、椎名の旦那は!」


椎名 : 「シャイとか言うなっての! ……いやもー、ホント、コレで結構繊細なのよ。俺。他人イジるの好きだけど、イジられるの好きじゃねーし……あー、恥ずかしッ。俺もう帰るかなぁ……?」


狩名 : 「そうだねぇ……もう結構いい時間だし、そろそろ帰りの準備はじめるけど。西園寺クン、ゲームの方は、ちゃんと終了出来てる?」


西園寺馨(GM) : 「狩名さん……あぁ、はい。大丈夫です、問題ありません。システム……オールグリーン。全て終了しました……」


狩名 : 「そりゃ、良かった……一人でそのシステム動かすの、しんどいんじゃないかい? 大丈夫?」


西園寺 : 「大丈夫です…………これは、俺が決めた事ですから……」


狩名 : 「あ、そ……まぁ、無理はしないようにね。元々、キミが一人で動かす為にあるものじゃないからね、コレは……」



椎名 : 「おい、何喋ってんだよ。西園寺! 狩名!」


西園寺 : 「別に……」


狩名 : 「何でもないって、ちょっとした雑談でさぁ……っと、アズマの話し癖が残っちゃったよ」(笑)


椎名 : 「ふーん、まぁいいけどよ……それより、狩名。アンタ、帰りどうする?」


狩名 : 「帰りどうするって……普通に、電車で帰るつもりだけど? 定期もあるし」


椎名 : 「だったら、俺車で送っていこうか? ……今日、車で来てるし。運転嫌いじゃねーからさ、俺」


沙織 : 「哲馬にいさまのお車ですの! ……さ、沙織も乗っていっていいですか?」


椎名 : 「勿論! 最初から、そのつもりだしな……ガキんちょこんだけ居ると、電車賃だって馬鹿にならねーだろ? アンタさえよければ送っていくけど、どうする? 月岡パパ?」


月岡 : 「えっ? い、いいんですか……?」


晃 : 「駄目だよ陽介さん。こんな男の車にのったら、煙草臭くなる!」



椎名 : 「誰がこんな男だよ、誰がよぉぉ! ……たしかに俺はヘビースモーカーだが、ガキの前と車の中では吸わない事にしてんだ、そんなヤニ臭くねーっての!」(笑)


月村 : 「こら、晃。あんまり失礼な事いっちゃ駄目だろ! ……ほら、ごめんなさいは?」


晃 : 「……ごめんなさい」(ぶすーっ)


椎名 : 「全然ごめんって顔してねーな、コラ」


晃 : (つーん)


月岡 : 「こらこら、ヒカルぅ……」


沙織 : 「陽介おじさま、沙織、哲馬にいさまのお車のってみたいですわ……私、ドライブ大好きですの!」


月岡 : 「沙織……仕方ないなぁ。すいません、椎名さん。送っていって頂けますか?」


椎名 : 「勿論! ……じゃ、エスコートさせて頂きますよ。お姫様?」


沙織 : 「わー……哲馬お兄さまのお車ですの! どんなお車ですのー?」


椎名 : 「あんまりデッカイ車じゃないから期待しないで欲しいけどなー……で、狩名はどうすんだ? 乗ってかねぇのか」


狩名 : 「いやぁ……乗っていきたいのは山々だけど、アンタの車もそんな大人数乗れないだろ? 俺は、ちょっと歩きながら考えたい事もあるから、今回は遠慮しておくよ。それじゃ、またな……」


沙織 : 「狩名おじさま、帰ってしまいますの? 一緒に、ドライブ行きませんの?」


狩名 : 「あぁ、さおちゃんも元気でな?」


沙織 : 「うう……寂しいですの……」


狩名 : 「そんな、また次のセッションで会えるって話だって。それじゃぁ……ご機嫌よう、月岡クン」



 狩名義明が退室した……。




椎名 : 「……それじゃ、俺もいくか。ほら、いくぞさおちゃん姫。こちらへ、どーぞ」


沙織 : 「はーい、椎名おにーさまー」


晃 : 「あ、こら! 何でおまえ、沙織の手に勝手に触ってるんだ! やめろ、沙織は、俺の妹だぞっ! その汚い手を離せ!」


椎名 : 「ケチケチすんな、減るもんじゃねーし……」


晃 : 「とにかく、はーなーせ! ……沙織、お兄ちゃんといっしょに行くぞ?」


沙織 : 「はいですの! お兄さま、手をつないでくださいますか?」


晃 : 「……あぁ、いいよ。手ぇつないで……陽介さん! 先、行ってますからね?」


月岡 : 「あぁ、ボクもすぐに行くよ……」



 椎名哲馬、月岡晃、月岡沙織が退室した……。



月岡 : 「さて、私もそろそろ帰らせて頂きますね。GMさん……いえ、西園寺馨、さん」


西園寺 : 「あぁ……」


月岡 : 「………………」


西園寺 : 「……どうした? 何か、聞きたい事でもあるのか?」


月岡 : 「いいえ。あの、貴方は……西園寺馨さん、と仰るんですよね」


西園寺 : 「……そうだが、それがどうかしたか?」


月岡 : 「いえ、あの……実は、私…………歳の離れた、腹違いの兄がおりまして……いえ、もう3年……いや、4年も前に亡くなっているんですけれども……」


西園寺 : 「そうか……」


月岡 : 「進行性の難病で……まだ40歳と若かったんですけれども、現代の医学ではどうする事もできませんでした……」


西園寺 : 「……」


月岡 : 「兄は、優れた学者でした。私自身も、兄の下で学び、現在はその研究を引き継いでおります……」


西園寺 : 「……それが、どうした? アンタの身の上話が、俺と何か関係がある?」


月岡 : 「はい……私の、兄の名前は……西園寺馨。貴方の名前と、同じです。これって……偶然なんですか? それとも……」


西園寺 : 「…………」


月岡 : 「それとも、私の病気と何か関係あるのでしょうか? 貴方の名前が、兄と同じである事も、私の病気と、何か関係が…………」


西園寺 : 「さぁ、どうだろうな?」


月岡 : 「……答えてくださらないんですね」


西園寺 : 「いや……元より、答えなんぞ無いんだ。アンタの病気は、アンタ自身の問題だ……治すのも何も、アンタ次第だ。だから……俺がとやかく言うより、アンタ自身が答えを導き出す事が……」


月岡 : 「……私の病、その治療に繋がる。と……言う事でしょうか」


西園寺 : 「……あるいは」


月岡 : 「……わかりました。それなら、私はこれ以上聞きません。少し……考えてみます」


西園寺 : 「あぁ………………だがそれは、貴方にとって……辛い事になるかもしれない、が……」


月岡 : 「それは、元より覚悟の上です。私は……」


西園寺 : 「……貴方に覚悟があるなら、それでいい。今は……少し、俺とのゲームに興じていてくれないか?」


月岡 : 「……わかりました」



 ……遠方から、声が聞こえる。



沙織 : 「おじさまー、どうしましたのー?」


晃 : 「陽介さん! 早くしないと置いていかれますよ!」



月岡 : 「あぁ、いけない……少し、長話をしすぎたみたいですね。では、私はこれで失礼します、さようなら……西園寺さん」


西園寺 : 「あぁ……ご機嫌よう、月岡陽介」



 ……月岡陽介が、退室した。



西園寺 : 「……元より、覚悟の上か」



 ……一人になった部屋で、西園寺馨は呟く。

 さっきまで、緑豊かな世界樹の大地を映し出していた部屋は、今はただコンクリートの壁へと変貌している。


 そこは3年前。

 エトリアでさばみそギルドの面々が冒険した場所と同じ部屋……。

 今は亡き、西園寺馨の遺産が眠る研究室だった。



西園寺 : 「西園寺先生、俺は……」



 俺は……。

 それ以上の言葉は紡がず、男は虚空を眺める。

 部屋は男の声を飲み込み、ファンが回る音が、うなり声のように鳴り響くだばかりだった。


 ゲーム終了まで、 あと30日。




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