> 世界樹の迷宮を、ＴＲＰＧ風のプレイレポートしてみようと思ってするなり。
大陸の辺境に位置するエトリアという街で、大地の下に広がる樹海が発見される。
それが、全ての始まりだった……。
> 若き冒険者の集い 〜 疾風怒濤のキャラクター紹介
某月 某日
都内、某所にて……。
ギルドマスター（以下便宜上、ＧＭ） ： 「ではでは、今から世界樹の迷宮を始めたいとおもーいまーす」
一同 ： おー、ぱちぱちぱち。
GM ： 「さて、このゲームはエトリアという土地に現れたダンジョン、通称世界樹の迷宮に挑む若き有望な冒険者ギルドの物語になる……予定なんだけど、皆、もうキャラクター出来てるかな。出来ていたら、自己紹介をお願いしたいんだけど？」
プレイヤーＤ ： 「えっと、もう少し待ってくれます……か？」 （あせあせ）
プレイヤーＡ ： 「おぉ、俺はオッケーだぜ」
GM ： 「んー、それじゃ、もうキャラクターが出来ている人から自己紹介して貰おうかな……プレイヤーＡさん、頼むよ。」
プレイヤーＡ ： 「了解ッ……名前は、ギュスターヴ・モーゼス」
GM ： 「いやいやいや、ちょっと待て！ そんな長い名前、登録出来ねぇぞ！？」
ギュスターヴ・モーゼス？ ： 「はは、わかってるって。コレは本名の方で、通称は シグ ってんだ。 貴族の嫡男だったんだが、家柄が全ての両親に反発して冒険者になった、って設定だ」
プレイヤーＢ ： 「エトリアって貴族とか居るの？」
ＧＭ ： 「さぁ。エトリアにはわからないけど、世界的に見れば居るんじゃないか？」
プレイヤーＣ ： 「じゃ、ギュスターヴの事は、シグ、でいいのかな？」
シグ ： 「あぁ、是非そう呼んでくれ。むしろ、家柄を捨てたんだから本名では呼ばれたくない」
プレイヤーＢ ： 「呼ばれたくもない本名なら、最初から名乗らないでよねー！」
シグ ： 「い、いいだろ！ 雰囲気付けなんだから」
ＧＭ ： 「うぃうぃ、了解。貴族の嫡男、ぼんぼん出身の冒険者ね……シグさん、職業は？」
シグ ： 「ソードマンの、青い髪の奴ね。年齢は、２５才。スキルは、ＨＰブーストとTPブースト、あと、剣マスタリー」
ＧＭ ： 「剣系ソードマンにする訳か？」
シグ ： 「うぃ、当面はハヤブサ駆け狙って育ててこうかな、と。後々はチェイス系を狙う予定だけど」
ＧＭ ： 「剣系ソードマンはチェイス系でないと、ボス系きついもんな」
シグ ： 「でも、やっぱファンタジーなら剣使いたいしな！ まぁ……問題は、アルケミストが居ないといけないって事なんだが……居るよな、まさかこのギルド、アルケミスト不在って事はないよな、な！？」
一同 ： 「………………」
シグ ： 「なんでそこで沈黙なんだよ！？」（笑）
ＧＭ ： 「はは……じゃ、次いってみようか。」
シグ ： 「ちょ、ほっとくなよ俺を！ もしもーし！？」
プレイヤーB ： 「はーい、私出来ました！」
ＧＭ ： 「了解。じゃ、自己紹介をお願いします」
プレイヤーＢ ： 「はーい。名前は、アイラ。１９才のぴっちぴち乙女です♪」
シグ ： 「ほぅ、プレイヤーと対極のキャラを演じるつもりか！」
アイラ ： ギロッ！（眼力）
シグ ： ビクッ！
ＧＭ ： 「はいはい、アイラさん……女性キャラね。職業は？ パラディン？ レンジャー？」
アイラ ： 「赤毛ソードマン」
ＧＭ ： 「いきなり、ソードマンがかぶった！？」
アイラ ： 「だって、可愛いじゃない、赤毛ソードマン！」
ＧＭ ： 「でも、いきなりかぶる事はないだろ！」（笑）
プレイヤーＥ ： 「……同職がかぶると、バランス的には厳しいか？」
ＧＭ ： 「うーん、ソードマンはもともとバランスタイプの職業だから、二人居ても不便はないだろうけど……まさかこのギルド、全キャラクターソードマンって事はないよね！？ そうだったら、流石に厳しいぞ！？」
プレイヤーＣ ： 「大丈夫ッスよ、俺はソードマンじゃないっすから。最も、ＧＭさんが全キャラソードマン希望だというのなら、俺もソードマンやりますが」
ＧＭ ： 「いやいやいや、別にそんな希望してないから！」
アイラ ： 「えーと、一応スキルは斧マスタリーを３ね。シグが剣系になるのはわかっていたから、私は斧系で。で、シグと違って私は生粋の冒険者」
プレイヤーＣ ： 「両親は冒険者みたいな？」
アイラ ： 「両親は傭兵みたいな。（笑） でも、傭兵だと一攫千金がねらえないし、自由もそれほどないでしょ。どちらかといえば、自由で夢のありそうな冒険者がいいと思って転身したって設定で」
シグ ： 「どちらも寄る辺ないのは一緒なんだよな」
アイラ ： 「なってみて、それに気付いた感じ」（笑）
ＧＭ ： 「あー、アイラは斧系一本に絞ったんだ？」
アイラ ： 「うん、あんまりチマチマとるの好きくないから、どーんと斧一本で！」
ＧＭ ： 「でも、まだ斧装備してないだろ？」
アイラ ： 「あ！！！」
ＧＭ ： 「……」
アイラ ： 「こ、これから装備するもん！」
ＧＭ ： 「……そうか、がんばれ」
プレイヤーＣ ： 「次、俺？ えーと、名前はシェヴァで、職業はダークハンター」
ＧＭ ： 「だ、だーくはんたー！？」
シェヴァ ： 「うん、褐色ダークハンター。スキルは、鞭系にしようと思っているんで、鞭マスタリーＬＶ２と、あと、採取ＬＶ１」
ＧＭ ： 「さいしゅ？」
シェヴァ ： 「鞭もってダンジョンって、何かインディ・ジョーンズっぽいじゃないッスか。で、インディのイメージといえば、お宝探索でしょう！ 何か、お宝探索みたいなスキルないかなーと思って、採取取とったんスよ」
ＧＭ ： 「なるほどね」
プレイヤーＥ ： 「だが、トレジャーハンター目指している割には、採取だなんて随分とメルヘンなスキルだな。花でも摘む気か？」
シェヴァ ： 「し、仕方ないだろ！ こういうのしか無かったんだから！」
プレイヤーＤ ： 「あ、でもシェヴァさんってそういうの似合いますよ」
シェヴァ ： 「……そういうのって？」
プレイヤーＤ ： 「何か、花とか摘むの！」
シェヴァ ： 「全然嬉しくねぇし！」
シグ ： 「くくッ、シェヴァが……花摘み！」
プレイヤーＥ ： 「たっ……確かに、似合うかもしれん……な……」 （笑いをこらえながら）
シェヴァ ： 「それ、誉めてんのか。それともけなしてんのか、どっちだ！？」
アイラ ： 「というか、そもそも、シェヴァさんって鞭使いってのも似合ってますよねー」
シェヴァ ： 「……ん。それは、褐色ダークハンターのキャラクター外見がって事か？ それとも、中身の俺自身がって事か？」
アイラ ： 「両方！」
シェヴァ ： 「両方かよ！」
シグ ： 「ぎゃははははは！ あー、でも確かにシェヴァそういうの似合うよ、キャラクターも、中身も！」
シェヴァ ： 「だから、全然嬉しくないよ、それ！」
プレイヤーＤ ： 「えっと……私も、出来ました！」
ＧＭ ： 「ん……あぁ、了解。じゃ、自己紹介お願いするよ」
プレイヤーＤ ： 「はい！ 名前は、リン・スズカケ……リンと呼んでください。茶色い髪でショートの、メディックです」
シグ ： 「ロリメディだな」
リン ： 「スキルは……回復マスタリーが２と、キュアLV１です。後衛で補助をメインにしていこうと思います！」
ＧＭ ： 「そうだな、このギルドには生憎、支援系の職業が居ないから……」
シェヴァ ： 「支援が欲しい系の職業ならここに居るぞ！」
シグ ： 「確かに、メディックの支援が大事だよな……出来れば、医術防御目指して伸ばしてってほしーよ」
リン ： 「！！ し、シグさんがそう言うならっ……わたし、がんばります！」
シグ ： 「？ ん、あぁ……ま、テキトーに頑張ってくれ」
プレイヤーＥ ： 「最後は、俺か……」
GM ： 「うん、よろしく頼むよ」
プレイヤーＥ ： 「名前は、シュンスケ・ルディック……シュンスケでいい。黒髪アルケミストだ」
シグ ： 「アルケミスト！」
GM ： 「よかったなぁ、シグ。アルケミストが居て」
シグ ： 「あぁー、これで心おきなく剣スキルがのばせる！ というか、プレイヤーＥは絶対アルケミストとってくれると思ってたんだ！」
シェヴァ ： 「確かに、シュンスケ（のプレイヤー）は魔術師系のキャラばっかり取っているって印象だよね」
シュンスケ ： 「シグは戦士系ばっかり取りたがるし、シェヴァはシーフ系ばっかりやっているんだ。必然的に俺は、魔術師系が多くなるだろう」
シェヴァ ： 「はは、確かに俺、ソードワールドだとグラランばっかりだ」
シグ ： 「俺はドワーフと人間が多いなぁ……あ、でも俺も魔法使い系やる事あるぜ！」
シュンスケ ： 「……そうだったか？」
シグ ： 「神官戦士とか」
シュンスケ ： 「戦士だよな、それ」
シグ ： 「そうとも言う」
アイラ ： 「そうとしか言わないでしょ？」
シュンスケ ： 「……スキルは、氷マスタリー、氷の術式と、伐採だ。氷メイン、雷をサブで育てていこうと思っている」
GM ： 「了解。それじゃ、皆の紹介も終わった所で、いよいよセッションを始めたいと思います。それじゃ、冒険のはじまり、はじまり〜」
一同 ： 「おー！！！」
＞ 新米ギルドの試練 〜 地下１Ｆの地図を作製せよ！
ＧＭ ： 「という訳で、ぺかぺかの新米ギルドの君たちは右も左も解らないエトリアへとやってきた訳だ」
シグ ： 「うおー、酒をだーせー」
GM ： 「だがこの街は、新米ギルドには世知辛い。皆がぺかぺかの君たちを、訝しげに見るだけだ」
シグ ： 「ぬぁーに、俺に出す酒はねぇっていうのか！」
GM ： 「……と、酒場で管を巻く君たちに、店の女主人は申し訳なさそうに言うね。『ごめんなさいね、みんな。この街では、新しいギルドの人達は執政院の依頼をこなさないと一人前と認めないの』」
シェヴァ ： 「女主人って、美人？」
GM ： 「うん、美人。金鹿の酒場っていう所の女性マスターで、長い髪をひとつに束ねた憂いのある印象だね。泣きぼくろがあって……こぅ、未亡人っぽい色香が漂っている」
アイラ ： 「未亡人っぽい色香？」
シュンスケ ： 「ＧＭ、未亡人に色香を感じるタイプの人間か？」
GM ： 「べべべべ、別にそんなんじゃないけどさ！ あー、なんというか、つまり、落ち着いた色香のある美人って訳だ」
シェヴァ ： 「あー、つまり……熟女？」
GM ： 「うーん、まぁ、大人の女性だから……熟れた魅力という感じじゃないけど、まぁアダルトな女性だと思う」
シェヴァ ： 「一目惚れを信じます！ 付き合ってください！」
GM ： 「えぇええぇええ、いきなりかい！ ファンに殺されるぞ！ 『もぅ……冗談で、あんまりおばさんを困らせないでくださいね』（ニコ）」
シェヴァ ： 「冗談なんかじゃないっす……一目見た時から俺が守るのは生涯貴方だけだと……」
シュンスケ ： バシッ！ （無言でシェヴァの頭を叩く）
シェヴァ ： 「痛ぇッ……何するんだよ！」
シュンスケ ： 「……氷の術式の方が良かったか？」 （ボソ）
シェヴァ ： 「！？ え、えーっと……ごめんなさい、ぼくがまちがってました」
シュンスケ ： 「うム」
シグ ： 「あー……でも、一人前と認められないんじゃしょーがねーなぁ……」
アイラ ： 「執政院に認められないとダメなんだっけ、執政院って？」
GM ： 「エトリアの市役所だと思って良いよ。迷宮に入る冒険者を支援している所だと思ってくれてOK」
シグ ： 「じゃ、まず顔出しはしておかないといけないな……すぐ、出向くぜ、場所は解るよな」
GM ： 「うん、有名な所だからね」
アイラ ： 「お酒も飲めないんだったら、仕方ないもんね」
GM ： 「という訳で、君たちは執政院の依頼を受けに来た……と」
リン ： 「こんにちはー、誰かいませんかー？」
GM ： 「で、出てきたのはメガネで鎧っぽい服を着ている若めの兄さんだ」
リン ： 「鎧っぽい服？」
GM ： 「うン……何て言うんだろ、ジャケットの肩部分だけ鎧っぽいというか……」
アイラ ： 「ジャケットの肩部分だけ、鎧！？」
シェヴァ ： 「何だそれ、そんなに肩守りたいのか？」
アイラ ： 「肩の所、ガツーンって殴ったらきっと内側の金具がぶつかって痛がるよ！」（笑）
シュンスケ ： 「見た印象は、デスクワーカーっぽいな、メガネだし……」
リン ： 「事務の人ですかね……たまに迷宮に行く、デスクワークの方でしょうか？」
アイラ ： 「でも、何のためにそんな肩守っているのかな。というか、ソレ何だろ、お洒落？」
シグ ： 「肩パットじゃねぇの？」
GM ： 「肩パット！？」
シグ ： 「すげぇなで肩なんだよ、それが凄いコンプレックスなんだろうな」
アイラ ： 「なるほどねー。で、そのなで肩メガネさんは何て言ってるの？」
GM ： 「勝手になで肩にされた……えーと。『君たちが新米ギルドの面々かい』」
シグ ： 「君がなで肩メガネかい？」
GM ： 「なで肩じゃないかもしれないだろ……『来て早々で悪いけど、君ら新米ギルドは実力を確かめる為に地下１階の地図を作ってもらう事になっているんだ』」
アイラ ： 「地図？」
GM ： 「『あぁ。迷宮の地図は君たちに預けるから、コレを完成させてくれ……』と、こうして君たちに地図が手渡される」
アイラ ： 「途中までしか書いてないみたいだけど」
GM ： 「それを君たちが完成させるんだろ？」
シグ ： 「よし、つまり俺たちに迷宮へ行って来いと。そういう訳だろう！」
GM ： 「ん、まぁ、そうだね」
シグ ： 「よしよし、戦闘だな。うんうん、腕がなるぜ！ よし、早速行こう！ 今行こう、すぐ行こう！」
アイラ ： 「この、戦闘狂が……マップは誰が書くの、マップは！」
シグ ： 「頼む！」
アイラ ： 「え、え、私無理だよ！ フツーに地図とか読めないし！」
シグ ： 「そういえば、アイラ……よく、右と左間違えるよな。その、右を指さしながら『次のカドを左！』とか良く言う。」
アイラ ： 「う！」
シュンスケ ： 「左右盲みたいな奴か？」
アイラ ： 「左右盲？」
シュンスケ ： 「右と左の方向は理解出来るが、右・左という言葉と方向とを結びつけるのに若干時間がかかる人間に対する俗称だ」
アイラ ： 「？？？」
シュンスケ ： 「……簡単に言うと、左右を混同しやすいタイプって訳だな。 左利きを右利きに矯正した人間は、なりやすいらしいぞ」
アイラ ： 「あ、だったらそうかも。私、もともと左利きだったらしいし」
シグ ： 「あー、そうらしいなぁ……俺は、完全な右利きで左手じゃケツだって拭きにくいくらいなんだがなァ」
アイラ ： 「とにかく、私は地図とか無理！パスパスパスー」
リン ： （突然地図を渡されて） 「え、あ……わ、私もっ、その、こういうのは……」 （おろおろ）
シェヴァ ： 「あ、俺がかくよ。一応、マッパー経験あるし」
リン ： 「ホントですか？ わー、シェヴァさん、ありがとうございます！」
シェヴァ ： 「任せておけって！ えー……とりあえず、このあたりに線ダーっと引いていい？」
シュンスケ ： 「…………安心しろ、細かいマップのチェックは俺がする」
アイラ ： 「シュンスケさん、苦労性って言われるでしょ？」
シュンスケ ： 「……慣れた」
> はじめてのだんじょん。
GM ： 「という訳で、君たちは初めての迷宮――樹海へ降り立った訳だ」
リン ： 「わぁ――緑が綺麗。思ったより明るいんですね！」
GM ： 「樹海も、低い階層は光が届くのかもね」
シュンスケ ： 「しかし、見る限り広そうだな……何処から行く、シグ？」
シグ ： 「とりあえず、真っ直ぐだ！」
シュンスケ ： 「だと思った……それじゃ、とりあえず真っ直ぐ進むか」
GM ： 「と、進んでいると、迷宮の途中で一人の兵士が、門番みたいに道をふさいでいる」
シグ ： 「そこをどけ。どかないと、剣の錆にしてくれるわ！」
GM ： 「殺る気満々かい！ いや、落ち着けッ。この兵士は一般の方だし、ｗｉｚじゃないんだから簡単にＮＰＣ殺しは出来ないよ……兵士は君たちを見かけるとわりと気さくに話しかけてくるね」
シグ ： 「わりと臭作に」
シェヴァ ： 「違う、わりと鬼作に」
アイラ ： 「シグ、シェヴァさん。リンちゃんが居るんだからそういうの自重しなさい」
リン ： 「？」
GM ： 「『君たちがこの樹海に挑戦するギルドかい〜』まぁ、ようは執政院で言う事と大差ないんだけれども。樹海の奥に行きたきゃ、地下一階の地図を作れと、そういいながら地図に印を付けてくれるね」
シュンスケ ： 「印？」
GM ： 「そう。 まぁ、地下一階とはいえ結構広いし。 （実は、全マップを埋めるのは最初の段階じゃ不可能だし） 印の中だけ、埋めてくれればいいんだよ」
シェヴァ ： 「思ったより狭そうだよ。これなら、案外楽かもしんないな」
シュンスケ ： 「だ、そうだ。シグ、どうする？」
シグ ： 「男が道を曲がるなんてぇ、俺の男気が許さねぇ……兵士をヌッ殺して進む！」
アイラ ： 「できる訳ないでしょーが！！！」
シュンスケ ： 「……シェヴァ、お前の見立てだとどうだ？」
シェヴァ ： 「うーん……この地図を見た印象だと、左側（西側）が狭いから、そっち側から埋めていった方がよさそうじゃないか？ 埋まりそうな所から埋めてくのがマッピングの鉄則ッス。ピクロスもクロスワードも、埋めれそうな所から埋めていくモンだよ」
シュンスケ ： 「そうだな……おい、シグ」
シグ ： 「なんだ！？」
シュンスケ ： 「道を曲がると思うな、西側へ真っ直ぐ進んでいくんだと、そう思え」
シグ ： 「そうだな！ よし、西側に真っ直ぐと進むぜ！」
アイラ ： 「……シュンスケさん、シェヴァさんだけじゃなくシグの扱いも心得てるのね」
シュンスケ ： 「……（プレイヤーとの）付き合い、長いからな」
GM ： 「と、コツコツ西側に歩いていると……袋小路だった」
シェヴァ ： 「おっけー、袋小路ね」 （かきかき）
シュンスケ ： 「ちゃんとマッピングしているようだな……」
シェヴァ ： 「あはー、偉いでしょ俺！ ほめてほめて！」
シュンスケ ： 「……」 （なでなで）
シグ ： 「ただの袋小路か？」
GM ： 「うん、それなんだけど……そこに、ブーツが落ちている」
シグ ： 「ブーツ？」
シェヴァ ： 「誰かの落とし物かな、早速拾いに――」
シュンスケ ： 「バカかお前は！ 良く考えろ……普通、靴なんて落とす奴が居るか！？」
シェヴァ ： 「え、え。俺、店で飲み過ぎた時、気付いたら靴が片一方無かった事があったけど？」
シュンスケ ： 「……そういえば、酔っぱらって裸足で帰ってきた事があったか、お前には」
アイラ ： 「あははは。でも確かに、普通靴なんて落とす人居ないよねぇ……靴の予備を持ち歩いている人なんて、普通居ないだろうし」
シグ ： 「財布やカバンならまだしも、靴ってのは確かにオカシイな……少し調べて見るか？」
GM ： 「調べるんだね。すると……君たちは、その靴に血痕が残っているのに気付いた」
リン ： 「血！？ ……ですか？」
GM ： 「あぁ……よく見るとあちこちに傷もあり、モンスターにやられた可能性が高い」
シグ ： 「何か凶暴なのが居るのか……腕がなる」
シュンスケ ： 「だが、俺たちは駆け出しの冒険者にすぎない。ここは……もう少しレベルを上げてからでも、遅くないんじゃないか」
シグ ： 「慎重だな、シュンスケ」
アイラ ： 「でも、私もシュンスケさんの意見に賛成。いきなり、手に負えないのが出てきて全滅とか……嫌だもの」
シグ ： 「そっか……仕方ねぇな、一回引き上げてまた後で……」
シェヴァ ： （ひょい） 「ブーツゲットだぜ！」
シグ ： 「って、少しは皆の話を聞けよ、お前はよ！！！」
シェヴァ ： 「虎穴に入らずば……って言うだろ。あ……ブーツの中にお宝ゲット！」
GM ： 「と、君たちはブーツに触れてしまった訳だね」 （邪笑）
リン ： 「GMさんの笑い、怖いです……」
GM ： 「すると、君たちの背後の土がもぞもぞと盛り上がり……そこから敵が現れた！ さぁ戦闘だ、気合い入れていけよお前ら」
シグ ： 「しぇ〜う゛ぁ〜」
シェヴァ ： 「まぁまぁ、リーダー落ち着いて落ち着いて。ほらほら、戦闘入らないとやられちゃいますよー」
GM ： 「敵は、ひっかきもぐら×３ね」
シグ ： 「三体かァ……くそ、一人を狙われたらきついな。まぁ、幸いこっちもＨＰフルで戦える訳だし。よし、とりあえず前衛三人で攻撃だな」
アイラ ： 「了解、誰がどれと戦う？」
シグ ： 「俺が右端のを叩くから、アイラとシェヴァで真ん中のを頼む！」
アイラ・シェヴァ ： 「ラジャ！」
リン ： 「わ、私は……回復とかした方が、いいですか？」
シグ ： 「回復はまだ、誰がダメージ受けるか解らないから後でいいよ。とりあえず、俺の支援で攻撃を頼む……右端のモグラ、頼めるな？」
リン ： 「シグさんの支援？」
シグ ： 「あぁ、多分俺だけじゃアレは倒しきれないだろうから……頼むぜ？」
リン ： 「はははは、はぃっ！」
シュンスケ ： 「それなら、俺が左端のモグラを氷の術式で仕留めよう」
シグ ： 「出来るのか、シュンスケ？」
シュンスケ ： 「アルケミストの術式はTPを引き替えだが、火力は絶大だ。この位の階層に出る奴らが相手なら、一撃で仕留められるだろう」
シグ ： 「それじゃ、頼むぜ……こちらは、攻撃準備オッケーだ」
GM ： 「うぃ、じゃ……こっちの攻撃は……もぐら二匹がシグを、一匹がシェヴァを狙うね。」
シェヴァ ： 「たかがもぐらの攻撃！」
GM ： 「たかがもぐらの攻撃、シェヴァは１０のダメージを受けた！」
シェヴァ ： 「うぁ！ 身体半分もってかれた！」 （意訳：ＨＰの半分がなくなっちゃったよ！）
アイラ ： 「痛そ……って、モンスター強くないですか！？」
GM ： 「モグラって爪が凄いからな……アレが人並みの大きさでおそってきたら、身体半分もってかれるって」
アイラ ： 「そうかもしれないけど……シグ、大丈夫？」
シグ ： 「大丈夫だ、踏みとどまった！ 最も、俺は半分どころかほとんど全部もってかれたが」（笑）
リン ： 「だ、大丈夫ですか、シグさん。すぐに回復を」（おろおろ）
シグ ： 「はは、まだ大丈夫だって……それじゃ、こっちも攻撃、どうだ！」
GM ： 「えーと、アイラとシェヴァが真ん中で……あぁ、真ん中の奴は倒れる。火力が低いシェヴァでも斧系のアイラとコンビネーションでこられれば勝てないか」
アイラ ： 「やったー！ さすが私だね」
シュンスケ ： 「俺も……よし、氷の術式、発動。ダメージは……」
GM ： 「無理無理、氷の術式が発動したらもぐら如きが耐えられないって！」
シュンスケ ： 「よし、これで二匹だ」
GM ： 「シグが戦ったもぐらだけがまだ元気だな。いや、元気といっても、コイツも身体半分削れている訳だが」
リン ： 「すすす、すいませんシグさん。私が、非力だから……」
シグ ： 「いやいや、メディックは戦闘系の能力じゃないからな……とりあえず、次のターンでキュア飛ばしてくれよ。俺、ガードして様子見るから……」
GM ： 「次ターン行く？ それじゃ、次の攻撃は……」
シェヴァ ： 「俺からでしょ？ と、モグラが攻撃する前に、鞭でばしーん！」
GM ： 「そうだね……うん、それで死んだよ。こうして君たちの勝利で戦闘が終わった」
アイラ ： 「こんぐらっちれーしょーん♪」
シェヴァ ： 「ふぃー、意外と危なかったな！」
シュンスケ ： 「だからお前は不用意に行動するな、と……」 （シェヴァに説教中）
シグ ： 「リンちゃーん、キュアしてくれよー」
リン ： 「は、はい……どうですか、楽になりましたか？」
シグ ： 「あぁ、体力フルで回復したぜ！」
アイラ ： 「うーん……何かこの敵、思ったより攻撃が痛いねー」
シェヴァ ： 「んー、でも、世界樹の敵は全体的に攻撃が痛いって印象だけどね」
アイラ ： 「そうなの！？」
シュンスケ ： 「……シェヴァが特に撃たれ弱い職業だという事を差し引いても、確かにそうだろうな」
アイラ ： 「うわ、そうなんだ……それだと、この範囲も狭いと思っていたけど案外手こずるかもね……」
シグ ： 「ま、コツコツやってこうぜ」
アイラ ： 「あれ、シグにしては珍しく建設的な意見ねぇ……どうしたの、頭うっておかしくなった？」
シグ ： 「俺は元々全うだっての……ま、コツコツ道をつなげていって、コツコツ敵と戦っていこうぜ。アイラはともかく、リンちゃんまで何かあると流石にばつが悪いからな〜」
リン ： 「シグさんっ……すいません、ありがとうございます」
アイラ ： 「って、何で私はともかくなんですかー！？」
シグ ： 「それじゃ、当面はあまり遠出はせず、コツコツと地図を埋める事！」
一同 ： 「はーい！」
シグ ： 「体力が減ってきたら、大丈夫と思わずリンちゃんにキュア要請をする事！」
アイラ・シェヴァ ： 「はーい！」
リン ： 「はいっ……頑張って、皆さんの体力を回復しますから！」
シグ ： 「無理せず、リンちゃんのTPがきれたらすぐに探索を切り上げる事！」
一同 ： 「はーい！」
シェヴァ ： 「そして、美人の熟女が居たらすぐに俺に紹介する事！」
一同 ： 「はー……いぃいいぃ！？」
シェヴァ ： 「職業は人妻だと流石に、罪深そうだから今回は人妻の募集はかけないよ。個人的には、未亡人とかが理想かなぁ……勿論、未婚の方でも大人の色香がたっぷりな人は大好物だから是非俺に紹か……」
シュンスケ ： ボグワッ！ （勢いよく杖でシェヴァの頭を殴る）
シェヴァ ： 「ぎゃぅん！」
シュンスケ ： 「…………今後、コイツが妙な事を口走った時はすぐに俺を呼ぶ事だ。始末は、きっちりつけてやる」
アイラ・リン ： 「は、はぁ〜い」
シェヴァ ： ぷすぷすぷすぷす……。
＞ 新米ギルドのダンジョン：それから
そんなこんなで。
シグのお達し通り、コツコツとダンジョンを埋めていく新米ギルドご一行様。
慎重派な進め方の甲斐あってか、少しずつですが確実にマップを埋めていきレベルも上がっていきます。
そして……。
シグ ： 「大分奥まで来たみたいだなぁ……」
シェヴァ ： 「マップも、殆ど埋まっているよ。多分、このエリアが最後の部分になると思うけど……」
アイラ ： 「はさみカブトさえ出なければいいんだけど……」
シグ ： 「アイラ、あれ嫌い？」
アイラ ： 「嫌い！ だって全然こっちの攻撃はきかない癖に、向こうの攻撃はものすごく痛いんだもん！」
シェヴァ ： 「ガードでやりすごしてさ。シュンスケが術式を使うのを待っていればいいんだよ、アイツは」
アイラ ： 「でも、すっごく殴られると痛いじゃない！ 何か悔しいんだもん！」
シュンスケ ： 「……レベルさえ上がれば、攻撃で倒すのも夢ではないだろうが」
アイラ ： 「そうだね……もー、何時かレベルが上がったら、アイツらまとめて狩りに来るんだから！」
リン ： 「あ、あの……それまでは、あまり無理しないでくださいね。倒れてしまったら……私のキュアでも、治せないですから……」
GM ： 「と、そんな事を話していると……やがて君たちは、広場に出る」
シェヴァ ： 「広場？」
GM ： 「そう、色とりどりの花があふれ心地よい暖かさのある広場だ」
シェヴァ ： 「お花畑的な？」
シュンスケ ： 「シェヴァ、良かったな。お花を摘んでくるがいい」
シェヴァ ： 「だから、そういう趣味はないっての！」
アイラ ： 「休憩所的な所かな？」
シグ ： 「だったら丁度良いな……奥地まで来て皆、結構消耗しているし。少し休んでいこう」
GM ： 「と、各々羽を伸ばす冒険者達であったが……。」 （邪笑）
リン ： 「GMさん、また顔が怖いです！」
シグ ： 「しまった、あのＧＭがその笑いをするって事は……罠か！？」
ＧＭ ： 「別に、意図的に仕掛けた罠じゃないんだけどね。君たちが思い思いに休んでいる間に、同じように花のにおいに誘われて来ているモンスターと鉢合わせした」
シグ ： 「しまった、隊列を整えろッ！」
ＧＭ ： 「さぁ、戦闘だ！ この地図づくりミッションでは恐らく最強の障害……毒吹きアゲハ三匹の登場だぜ！」
シグ ： 「ドクフキアゲハ？ 今まで出てきた事あるか？」
シュンスケ ： 「いいや、初見の的だ……同じ蝶々の敵であるシンリンチョウと似た特製を持っていそうではあるが」
ＧＭ ： 「さぁ、どうだろうねぇ。もっと恐ろしい能力を持っているかもよ？」
シュンスケ ： 「……と、ＧＭが言う限り。毒攻撃を使ってくる可能性は高そうだな」
ＧＭ ： 「ぬぁにー、何故それを！？」
シュンスケ ： 「あ……いや、何というか……な」
シグ ： 「え、えーと……名前、とか？」
ＧＭ ： 「バレたら仕方ねぇ……コイツは毒使ってくるから覚悟せい。しかも攻撃も痛いぜ、戦闘開始だぜ！」
シグ ： 「へへ、こっちももぐらに苦戦していた頃と違うぜ。何たって、スキルが使えるようになったからな！」
そう、シグの言う通り。
レベルが上がった彼らはそれぞれ。
アイラ → スタンスマッシュ
シェヴァ → アームボンテージ
シュンスケ → 雷の術式
の技能を会得していたのだ！
アイラ ： 「……一人、何時までたってもスキルをとらない奴が居るのが気になるといえば気になる所だけど」
シグ ： 「い、い、いいだろ！ 普通の剣攻撃は強ぇーんだから、俺は！」
シュンスケ ： 「……確かに、ハヤブサ駆けとチェイス系を狙うとなると……あまり寄り道は出来ないだろうけどな」
シグ ： 「それより、戦闘だ戦闘！ えー、シェヴァとアイラがスキルを使って一匹ずつ倒してくだろ、そして最後は、シュンスケた術式を使えば楽勝だろ！」
アイラ ： 「それなんだけど……シグ、私の援護で攻撃してくれないかな」
シグ ： 「ん、どうした。珍しく弱気だな」
アイラ ： 「何となくだけど、あいつスタンスマッシュだけじゃ仕留められない気がして……」
シグ ： 「む……そういうなら、解った。援護しよう」
シェヴァ ： 「ちょ、待った待った。アイラが仕留められない相手を、俺のボンテージ系で仕留められる訳ないだろ！ 俺の方も援護頼むよ！」
シグ ： 「お前は燃費がいい（TP使用量が少ない）から、二度三度とスキル連発すればいーだろ？ と、俺はアイラの援護に回るから……」
リン ： 「私は、アイラさんの体力を回復させます」
アイラ ： 「ありがとう。戦闘前に結構打ち込まれていたのよね〜」
シュンスケ ： 「それなら、俺が端の奴に術式をたたき込もう」
ＧＭ ： 「じゃ、戦闘ね〜。えと、そっちの攻撃が先だなァ……」
シェヴァ ： 「アームボンテージ！」
ＧＭ ： 「うぃ……イタタ、って感じ。元気だよ、ボンテージ効果もない」
シェヴァ ： 「というか、蝶々だもんなぁ。手とか何処だよって話だし」
シグ ： 「それじゃ、俺とアイラで一匹を集中攻撃だ。どうだ？」
アイラ ： 「スタンスマッシュ！」
シグ ： 「次いで攻撃ッ……どうだ？」
ＧＭ ： 「うん……まだかろうじて生きてるね」
シグ ： 「なぁにぃっ、ソードマン二人の攻撃でも生きてるか！？」
ＧＭ ： 「うん、まぁ……守備力もあるんだよね、こいつ」
シグ ： 「蝶々の癖に！」
アイラ ： 「もー、やっぱりシグ、攻撃スキルとりなよー！」
シグ ： 「う。少し考えておく……」
ＧＭ ： 「回復は、まだ飛ばないか……よし、こっちの攻撃は、アゲハ１，２がシェヴァに毒攻撃……結果は」
シェヴァ ： 「うぇ……二回も毒攻撃受けたらかかるに決まってるでしょうがダメだ。もろに毒を吸い込んだみてぇ……」
ＧＭ ： 「そして、アゲハ３はシグを攻撃だ」
シグ ： 「どーんと来い物理攻撃！ ……耐えた！ 残り体力半分切ったぜ」（笑）
シェヴァ ： 「うぇ……シグで半分切るのかぁ、俺だったらすぐ死ねるなぁ……あと体力１８しか残ってないもん」
アイラ ： 「私は１３」（笑）
リン ： 「す、すいませんシェヴァさん。次は、回復させますから……」
シェヴァ ： 「うぃっす。頼むよ……」
ＧＭ ： 「あ、シェヴァは毒のダメージで１７ね」
シェヴァ ： 「はァ！？」
アイラ ： 「ちょっ……シェヴァさん、大丈夫！？」
シェヴァ ： 「そんなッ、ＨＰはあと１８しか無いといっただろ？ 何かの間違いじゃないか」（笑）
アイラ ： 「毒の攻撃、痛すぎるよ！」（笑）
GM ： 「このゲーム、毒のダメージは固定だった毎ターンそれだけ持っていくぜ！」（笑）
シェヴァ ： 「GM、俺さっき毒を二回、受けていた気がするんですが……ひょっとして、毒ダメージ二倍とか？ だったら、軽く死ねるんですが」（笑）
シグ ： 「うわ、死んだか……シェヴァ、いい奴だったのに」（笑）
シェヴァ ： 「俺、いい奴だったのに。（笑） もう少し有名なモンスターに殺されたかった」（笑）
シュンスケ ： 「キドマンか、なつかしいな。（笑） だが、安心しろシェヴァ。このゲーム、バステ（バットステータス）は重ねて効果がないはずだから、毒ダメージが二倍になる事は無いぞ」
GM ： 「そだね、だからダメージは一回減らせばいいよ」
シェヴァ ： 「マジッスか、助かったァ……とはいえ、残りＨＰが１なのは変わりないですが」（笑）
シュンスケ ： 「大丈夫か、シェヴァ？」
シェヴァ ： 「……風が吹いただけで死ぬよ、俺」（笑）
シグ ： 「ＴＰは使い切ってから死ね！」
シェヴァ ： 「うわ、鬼だ！ このギルドのリーダーは鬼だよ！」
リン ： 「キュア……キュア……アイラさんは、これで回復です」
アイラ ： 「ありがと♪」
シュンスケ ： 「術式完了、雷の術式を……アゲハ３に！」
ＧＭ ： 「雷の術式？ ……うん、流石に術式は耐えられないな。アゲハ３は倒れた」
シュンスケ ： 「残りは二匹か」
シグ ： 「ちっ、思わず一匹撃ち損じたなぁ。三人で集中して叩けば良かった」
シェヴァ ： 「ちょ、俺の事ももっと心配してくれよ！」
シグ ： 「命守りたきゃ、死ぬ気で一匹倒してこい！」
シェヴァ ： 「うわ、ホント鬼だよこのリーダー！」
シュンスケ ： 「だが、行動順番が一番早いお前が、ソードマン二人の攻撃で瀕死のアゲハを一匹倒しておく利点はでかいぞ。二匹の攻撃より、一匹の攻撃の方が生存率があがるのも確かだしな……」
シェヴァ ： 「でも俺、ＨＰ１なんですけど」（笑）
シュンスケ ： 「戦わなければ生き残れない！」
リン ： 「シュンスケさん、龍騎？」（笑）
シェヴァ ： 「……うー、でもなぁ、確かにあと一撃喰らったら死ぬのは一緒だし。よし、瀕死アゲハに瀕死ダークハンターがアームボンテージ！」
ＧＭ ： 「平成瀕死合戦か。（笑） うん……ダメだな、瀕死アゲハは倒れた」
シェヴァ ： 「良し！」
ＧＭ ： 「でも、こっちは先に攻撃するぜ……残りのアゲハが攻撃、対象は……」
シェヴァ ： 「うわ……」（どきどき）
ＧＭ ： 「ちぇ、アイラか。ダメージは１６」
アイラ ： 「今回復もらったから大丈夫だもんねー。次いで攻撃いくよ、スタンスマッシュ！」
シグ ： 「追撃行くぜ、通常攻撃！」
ＧＭ ： 「いやいや、流石に倒れるよそれには……毒吹きアゲハは一掃された」
アイラ ： 「わー、ぱちぱちぱち♪」
シェヴァ ： 「ふぃー、あっぶなかったぁ！」
シグ ： 「世界樹の毒って、あれか。歩くとどんどんＨＰが減っていく的な？」
ＧＭ ： 「そんなドラ○エ的な毒じゃないよ、戦闘が終われば一応、毒は回復する」
シェヴァ ： 「マジですか。いや、助かったァ。ここで生き残っても、歩いているうちに死んだら哀しいもんなぁ」
アイラ ： 「毒が、戦闘終わった瞬間に抜けるってのも不思議だけどねー」
ＧＭ ： 「全体的にバランスが厳しいゲームだから、その当たりは緩くしないとと思ったんじゃないかな。個人的には、毒で歩いているうちに死ぬくらいのバランスでもいいかと思ったけど」（笑）
シェヴァ ： 「勘弁してくれよ、ウィザードリィ思い出すじゃないか」（笑）
シュンスケ ： 「宝箱を開けて毒針にやられて、歩いているうちに死んだりな」
シグ ： 「ひょっとして、俺たちが死んだら他のギルドに死体を拾いにきてもらわないとダメとか」（笑）
ＧＭ ： 「ウィザードリィじゃないって。ま、全滅したらセーブ地点からやり直しだから、その点はシビアだけどね」
シェヴァ ： 「壁の中にテレポートして全滅とかは？」（笑）
シュンスケ ： 「死体を生き返らせようとして、教会につれていったら灰になったりとかな」（笑）
ＧＭ ： 「だから無いって」
アイラ ： 「？」
リン ： 「？？？」
ＧＭ ： 「ほら、アイラとかリンとか、若いプレイヤーがキョトンとしちゃっただろ！ もー、全ての人にウィザードリィのネタが通じると思うなよ！」
シグ ： 「はは、悪い悪い」
ＧＭ ： 「で、アゲハを倒して解るけどそこは結構広場になっている」
シェヴァ ： 「ちょっと待ってくれ……ココが、広場になっていて、っと……おぉっと、ココで……皆、喜べぃ。今、ここでマップができあがったよ！」
一同 ： 「おー、ぱちぱちぱち！」
アイラ ： 「どうする、それで地図、どうするの？」 （おろおろおろ）
シグ ： 「そうだな……兵士にとりあえず見せてこよう」
ＧＭ ： 「そうして、何とか最初にあった道をふさいでいた兵士の所まで戻り、地図を見せると…… 『良くやったな、君たち。君たちなら安心して樹海探索を任せられそうだ！』 と、道をあけてくれる」
シグ ： 「よっし、認められたようだな。行くぜ！」
アイラ ： 「あ、でも待って。その前に体力回復したーい！」
シュンスケ ： 「そうだな……俺のＴＰもない。アルケミストはＴＰがないと役立たずだからな……一度街に戻ろう」
リン ： 「ミッション完了の、報告もしないといけないですよね」
シグ ： 「む。そうだな……よし、一度街に戻るか」
ＧＭ ： 「了解。そうして街に戻り……とりあえず、どうする。宿？ 執政院？」
シグ ： 「クズアイテムも一杯手に入れたから、武器屋でもいいけど」
シュンスケ ： 「ミッション完了報告をしてこよう。報酬が出るかもしれないしな」
シグ ： 「そうだな、それじゃ、執政院で」
ＧＭ ： 「了解。執政院に向かうと、すでに君たちのミッションが完了している一報を受けているようだ。『良くやった、これから君たちを樹海探索の冒険者として認めよう！』……こうして君たちは、この街の冒険者として認められた！」
一同 ： 「やったー、ぱちぱちぱち！」
シグ ： 「これで酒場で堂々としていられるぜ！」
アイラ ： 「認められると、具体的にはどうなるの？」
ＧＭ ： 「まず、酒場でクエストという依頼を受けられるようになる」
リン ： 「クエスト？」
ＧＭ ： 「君たちの大目標は地下へ向かう事だけど、クエストはその間に出る雑用みたいなモンだね。アイテム集めて〜、とか。敵倒してきて〜。みたいなのが多い」
シグ ： 「はっ、ガキの使いか」
ＧＭ ： 「でも報酬出るよ」
シュンスケ ： 「このゲーム、モンスターが金を落とさないから資金面では大切かもしれんな。クエストは」
ＧＭ ： 「後、アイテムとしてアリアドネの糸が買えるね」
アイラ ： 「アリドアネ？」
シュンスケ ： 「アリアドネ……迷宮へ向かう英雄、テセウスが迷宮で迷わず戻れるようにと、糸玉をわたした少女の名前だな。テセウスは、アリアドネより貰った糸玉の糸をたどって、迷宮から脱出出来たのだという」
ＧＭ ： 「そう、アリアドネ！ ……由来はしらんが、シュンスケ君が言うならきっとそうだろう」
シェヴァ ： 「へー、それで効果は？」
ＧＭ ： 「ダンジョンから一瞬で脱出するアイテムだよ」
シグ ： 「おおお、それは便利だなぁ！」
ＧＭ ： 「という訳で、君たちはさらなる樹海の奥を目指してもらうぞ。頑張ってくれたまえ！」
一同 ： 「おー！！！」
かくして始まった新米ギルドの冒険。
はたしてこれから先に待ち受けているモノとは！
期待に胸を膨らませ、次回に続くのである！
幕間劇 ： はじめまして、世界樹のリプレイ風日記のプレイヤーです。
リプレイ風日記。
という事で、当サイトのリプレイ風プレイ日記は、プレイヤーの日常にも 物語 があるプレイ日記です。
架空の世界を旅した冒険者たちの、現実の世界……。
……君は、彼らの現実にある日常に、触れても、触れなくても良い。
ＧＭ ： 「さて、とりあえず今回はここで一端、本日のセッションを終わりたいと思います、皆さんお疲れさまでしたー」
一同 ： 「おつかれさまでしたー」
ＧＭ ： 「……と、早速で悪いんだけどサ、改めて……自己紹介、してもらえないかな？」
アイラ ： 「え、何で？」
ＧＭ ： 「いやぁ！ 俺は、実は、シュンスケのプレイヤーとは先輩後輩の関係で面識があるんだけどさ。他の面子とは、その、始めましてなもんで……人見知りだから、照れる」（笑）
リン ： 「人見知りだと思えない程生き生きしてましたよ、ＧＭさん」（笑）
シュンスケ ： 「全くだな」
ＧＭ ： 「うるさい、こう見えても俺はデリケートなんだい！ という訳で、改めて自己紹介をしてくれよ。 特に、女人の名前は覚えたいからな！」
シェヴァ ： 「何か、俺らの名前は忘れてもいいって言い回しに聞こえるっすよ、それ」（笑）
シグ ： 「そうそう。それに、人に名前を聞く前にまずは自分から、だろ？」
ＧＭ ： 「ニャンと！ ……ま、それもそうだな。 それじゃ、自己紹介させてもらおうか……はじめまして、西園寺 馨 （さいおんじ かおる） と言うモノだ。シュンスケのプレイヤーとは、大学の先輩で、今回はＧＭを勤めさせてもらう……っと、この位か？ あと、何か言った方がいい？」
アイラ ： 「えっと、年齢とか？」
ＧＭ（以下 西園寺） ： 「年齢は井上喜久子お姉さんと同じだ！」
一同 ： 「えー！！！」
アイラ ： 「それ、１７才って事だよね。ね？」（笑）
西園寺 ： 「ちなみに、職業は、イケメンだ！」
一同 ： 「なんだってー！！！」
アイラ ： 「それ、職業なのかなぁ！？」
シェヴァ ： 「それに、イケメンという程西園寺さんかっこよく……」
西園寺 ： 「んー、何だぁ、シェヴァくーん。次回のセッションでひっかきもぐらの集中攻撃が欲しいってか！？」（笑）
シェヴァ ： 「イケメンです、超イケメンです！」
西園寺 ： 「ま、俺の紹介はこんなもんかな……他の事は追々話していくとして、次の人、頼むよ？」
アイラ ： 「次、だれ？」
シグ ： 「時計回りでいくか、俺から……ソードマン、シグを演じている 桐生 和彦 （きりゅう かずひこ） ってモンだ、年齢は２５才。仕事は……まぁ、有り体な言い方をすれば、営業だな。趣味は、スポーツ全般……」
シェヴァ ： 「え、触手調教エロゲーじゃないのッ！？」
シグ（桐生） ： 「そんな訳無いだろっ！ ……まぁ、それも大好きだがッ！」（笑）
リン ： 「もー、シグさんのえっちです……」
桐生 ： 「俺はこの位だなッ、ほら次、お前の番だぞっ！」 （と、アイラのプレイヤーを小突く）
アイラ ： 「痛い、もー……殴らないでよっ、兄さん」
西園寺 ： 「兄さん？」
アイラ ： 「はい……アイラのプレイヤー、桐生 若葉 （きりゅう わかば）です。シグのプレイヤーとは同じ名字だから解ると思うけど……」
西園寺 ： 「何と、まさかっ……夫婦？」
アイラ（若葉） ： 「違います！ 誰がこんな触手大好きむっつりエロ男爵のお嫁さんになるもんですかッ！ ……兄妹ですよ！」
桐生 ： 「そ、俺の二つ下の妹。 っつぅか、若葉、仮にもお兄ちゃんに対してお前辛辣だぞっ……」
若葉 ： 「だって事実じゃない。あ、今回は、兄さんに誘われて、友達の梨花ちゃんと一緒に参加する事にしました。他の皆さんとは初対面で、こういうゲームは慣れてないんですけど、よろしくおねがいしまーす！」 （ペコ）
西園寺 ： 「梨花ちゃん、って……」
若葉 ： 「このコでーす！」 （と、言いながらリンのプレイヤーに抱きつく）
リン ： 「きゃっ！ あ……は、はじめまして！ リンのプレイヤーのっ、芹沢 梨花 （せりざわ りか）ですっ。あの、えっと……よ、よ、よろしくおねがいします！」 （ぺこぺこ）
若葉 ： 「梨花ちゃんと私は、同じ職場の仲良しなんでーす」
リン（芹沢） ： 「は、はい……若葉先輩には、よくしてもらってますっ」
桐生 ： 「そんな……虐められているなら言った方がいいぜ」（笑）
若葉 ： 「いじめてませんー！ 梨花ちゃんみたいな可愛い後輩、絶対に虐めたりしないよ！」 （笑）
芹沢 ： 「えっと、今回は、若葉先輩に誘われて、きました。あの、皆さん初めての人ばかりだと思いますけど……」 （と、ちらりと桐生和彦を見る）
桐生 ： 「？」
芹沢 ： 「……実は、初めてじゃない人も居るんだけど。（ぼそっ） が、がんばりますので、ヨロシクお願いします！」
シェヴァ ： 「よろしくー！」
西園寺 ： 「うん、こちらこそよろしく……じゃ、次の人、自己紹介お願いね」
シェヴァ ： 「次？ 俺でいいかな……シェヴァのプレイヤーの、七瀬 澪 （ななせ みお） です。カズ君……桐生とは、高校のクラスメイトで、同い年です！」
若葉 ： 「え！！！！」
シェヴァ（七瀬） ： 「ん、何そんな驚いてんのさ、若葉ちゃん」
若葉 ： 「え、だって、七瀬……さん、兄さんと同い年っていったら、今、２５……才？」
七瀬 ： 「そーだよ、当然だろ！」
若葉 ： 「だって、七瀬さん、どう見ても○学生にしかみえな……」
七瀬 ： 「なぁっ！ ど、どうせ俺は童顔で背がちっさいよっ、もー！」
西園寺 ： 「というか……七瀬くん、でいいのかな。それとも、七瀬さん、と呼ぶべきかな」
七瀬 ： 「……どういう意味っすか、それ」
西園寺 ： 「まぁ、有り体なきき方をするなら……お前、男なの？ 女なの？」
七瀬 ： 「俺はれっきとした男ですよ、もぅっ！！！」
桐生 ： 「ぎゃははは！ また、ななみが女と間違われてるよ！」
西園寺 ： 「ななみ？」
桐生 ： 「七瀬の高校時代からのあだ名ですよ……ななみ、昔から小柄で女の子みたいなツラで、会う人会う人に女の子だと間違われてましたから！」
七瀬 ： 「もー、そんなに女の子っぽいかな、俺。こう見えても頑張って男っぽくしているのに……」
西園寺 ： 「そういうがな……目ぇ大きいよな、君。唇もぷっくりしているし、体つきもプニプニしているし……」
若葉 ： 「睫毛長いし、色白いし！」
芹沢 ： 「顔も女の人みたいに綺麗だし……」
西園寺 ： 「女の子に生まれてればさぞ美人になったろうになぁ……」
七瀬 ： 「余計なお世話だよッ！ えーと……仕事とかは、今は特には。強いて言えば、プロ自宅警備員です」
若葉 ： 「自宅警備員？」
七瀬 ： 「椎名家の安全を、おはようからおやすみまで暮らしを見つめながら守ってます！ まさにプロ自宅警備員です！」
若葉 ： 「というか、何で椎名さんの家を守ってるの？ 七瀬さん家じゃなくて？」
七瀬 ： 「あー……俺、今、椎名の家に居候しているんだよ……ちょっと、実家に戻れない事情があってさ。ね、淳兄ぃ」
シュンスケ ： 「……あぁ」
若葉 ： （淳兄ぃ？）
芹沢 ： （淳さん？ 淳一さん？）
シュンスケ ： 「……澪の紹介がすんだなら、俺も一応自己紹介をしておくか。桐生や澪とは長い付き合いだから知っていると思うが…… 椎名 淳平（しいな じゅんぺい） だ。シュンスケのプレイヤーを演じている。俺に関して他に言う事はないだろうが……質問はあるか？」
西園寺 ： 「俺はシーナ君の事はよぉく知っているから、別にいいよ」
桐生 ： 「俺も別に、椎名に聞くコトなんざ今更ねぇな……若葉、何かあるか？」
若葉 ： 「はいはいはいはい、しつもーん！ 何で七瀬さんと一緒に暮らしているんですかー！」
シュンスケ（椎名） ： 「あぁ、それは……」
若葉 ： 「同棲、まさか同棲的なものですか、はぁはぁはぁはぁ！」
椎名 ： 「……おい、桐生。君の妹さんが壊れたようだが修復を頼む」
桐生 ： 「すまんすまん、若葉は典型的な腐女子だから、男二人いれば攻守を算出するスカウターもってるんだ、気にするな」
七瀬 ： 「そ、そっ……そうだよ！ べ、べつにそれに、俺と淳兄ぃが疚しい事とかねーし……何つーの。俺ら、従兄弟だから一緒に居るだけだから！」
若葉 ： 「従兄弟？」
椎名 ： 「幼馴染みの従兄弟だ……腐れ縁ってやつだな」
若葉 ： 「なーんだ、そうなんだー、がっかり」
西園寺 ： 「がっかりされてる！」（笑）
七瀬 ： 「ぬ…………」
椎名 ： 「澪……他言無用、だぞ」
七瀬 ： 「……わ、わかってるよ！」
西園寺 ： 「ともかーく、今後はこの面子で、もそもそと世界樹の迷宮で遊んでみたいと思いますので、ヨロシクお願いしまーすねっと」
一同 ： 「はーい！」
……かくしてはじまった 世界樹の迷宮。
だが一同は、まだ誰も知らなかった。
……彼らが集められた理由を、そして……これからおこる、日常がほんの少しだけ壊れた世界の事を。