PMF2006応援日記! その6
2006年7月30日 11:00〜 札幌芸術の森野外ステージ
PMF2006 ピクニックコンサート
正式には<レナード・バーンスタイン・メモリアル・コンサート>というサブネームをもつロングランコンサート。
過去に2回、開演から最後までお付き合いした記憶があるから今日は3度目に挑戦だ。
11:00〜 PMF青少年のための音楽会
松下功指揮札幌交響楽団
11:00ジャストの開演。トップ・バッターはわれ等が札響である。
恒例となった青少年のための音楽会は前回もたしかピクニックコンサートに組み込まれていた。
今年は「優しい心にふれて」と題し、モーツァルトと子守唄がテーマ。
最初は「フィガロの結婚」から。
芝生席でのPA経由の音からでもプロオケの熟した響きに昨夜のPMFOと違うものを感じた。
ただしオーボエあたりは相変わらずの「浮きよう」ではある。
二人のソプラノはマイク付きなので楽に歌えただろう、 その余裕で表情豊かな歌唱を聴くことができたと思えばこれも悪くは無い。
続く「バスティアンとバスティエンヌ」では客席まで降りてきての歌唱。 椅子席がうらやましい!
ただし「フィガロ」でスザンナとマルツェリーナの二重唱では日本語で「婆さん!」と歌ってたのが、
ケルビーノのアリアでは"Voi, che sapete"とくるのはいかがなものか?
後半は子守唄メドレー、お疲れ気味の自分にはほどよい心地よさである。
けれども一番の聴き物は鈴木峯夫氏が「朗々と歌った」アンダーソンの「トランペット吹きの子守唄」だった。
終盤になっておなかもすいたし、椅子席のチケットの残も気になる。
最後の松下氏の自作自演で中座する。
11:45〜 野外ホール前広場
さてと、まずは腹ごしらえだ!エスニック系の屋台でタンドリー・チキンをゲット。
ここのビールは「黒ラベル」だから、隣のお好み焼き屋さんの「クラシック」を追加。
これだけで両手はふさがるからさっさと席にもどらねばならない。
松下&札響は、ディズニー・ソングのアンコールでエンディングを迎えていた。
休憩は15分。芝生に落ち着けば食べ物に手が行き、お酒も入れば上機嫌。
椅子席のチケットを買っていないのを思い出すのは開演間近のこと・・・。
12:20〜 PMFインターナショナルプリンシパルズ
あわてて椅子席のチケットを確保して、席に向かうとすでに1曲目のサン=サーンスが始まっていた。
舞台脇からの立ち見で我慢する。風が強くハープの早川はどうやら楽譜をほとんど見ないで演奏している模様。
そのせいか緊張感をはらんだ演奏と思われた。
2曲目ではさらにフルートのケイナーが加わる。この人のフルートも派手さはないが堅実。
イベールの曲はフルートとハープを中心に盛り上がる2曲目が楽しい。
最後にシュポアの第九重奏曲。
ベートーヴェンの同様の曲に比べて充実感はないが、
穏やかで歌うような流れのよい音楽が野外コンサートに」ふさわしい。
この手の曲だから各パートの掛け合いもあり、耳だけでなく目でも楽しめるのは椅子席のメリットだ。
メンバーはいずれもアメリカのオーケストラのメンバー。
ヴァイオリンのにもう少し安定感と華やかさがほしいところ。
クラリネットが洗濯バサミの使い方の要領が悪く、両脇の二人から手助けを受けながら吹いていた。
演奏にはなんとか影響のない程度でこんなときにはむしろなごやかな雰囲気を生んでいた。
・・・というのはこちらの勝手な思いかもしれない。
13:20〜 野外ホール前広場
暑いよー!ビールだ!ビールだ!
あれまー!お好み焼き屋さんは大行列だよ!。
「ビールだけのお客さんどうぞー!」
エスニックな声が呼んでいる・・・。
しゃーないなー、2杯目は「黒ラベル」か・・・・。
おつまみはコンビニで買っておいたスナックで我慢。
13:40〜 PMFブラス&パーカッションアンサンブル
楽しみにしていたアカデミーのブラスアンサンブルだったが、今回は期待はずれ。
特に最初に登場した打楽器パートの力の入っていない演奏への失望は大きい。
これではAプロから昨夜までの不出来もうなずけよう
ブラスにしても「アイーダ」、「ペリ」あたりなんともあっさりとしていて物足りない。
真夏の青空にドカーンと打ち上げてもらいたかったのだが、勝手な期待だったか?
編曲自体の問題もあろうが、曲が曲だけにどんと盛り上げてもよかったのではないか?
内側へ内側へと棒を振る地味で軟弱な指揮者(桑原鎮男)の責任も大きいと思われた。
吹奏楽の定番(らしい)パーカーの作品が一番の出来というのでは少々情けない。
14:40〜 野外ホール前広場
今度こそは「クラシック」を飲むぞー
少しの行列は我慢しよう。
「ご一緒におつまみはいかがですか?」
お姉さんの声に反応してソーセージ詰め合わせ250円追加・・・。
どうやら椅子席のチケットは売り切れたもよう。
次は本日のメインイベント?N響登場だ!
14:50〜 野外ホールステージ前椅子席
おーN響だよ!コンマスは篠崎さんだね。なんか変な靴を履いているよ。
テレビでおなじみの面々が五色のシャツ(女性は必ず赤?)を着ている。
ソーセージをつまみに「クラシック」を飲む。
BGMはN響のJ=シュトラウス。
なんという贅沢!!
・・・椅子席では無理か・・・
15:00〜 NHK交響楽団 ゲッツエル指揮
N響の指揮にゲッツェルというのは首をかしげる選択だったのだが、
どうやらステージ上の様子からコンサートマスターの篠崎氏とは顔見知りらしい。
ウィーン留学時代に知り合ったのだろう。
時折英語で簡単な解説をはさんで約1時間のコンサート。
話の内容はわかりやすく、「うわごと」の前にはヨーゼフを持ち上げたりしてそれなりにポイントは押さえていた。
演奏ではワルツではテンポがベーム並み?の遅めなのに驚いた。
力みすぎの指揮で、行進曲、ポルカも含めどの曲、どの場面も同じようなカラーにしてしまったのは残念。
なんといっても日本のトップ・オーケストラなのだから、オケにもまかせて楽にやったほうがよかっただろう。
逆にそういう面では、「うわごと」や「皇帝円舞曲」の序奏部などは聴き応えがあった。
エジプト行進曲ではウィーン・フィル風に中間部では「声」も入れるサービス振り。
「雷鳴と電光」では打楽器を目いっぱい叩かせ、野外コンサートならではの迫力を聴かせた。
ひとつ間違えば下品に失敗するところだが、このあたりではN響が、音楽のバランス面でカバーしていたのだろう。
お約束どおり、「ドナウ」と「ラデツキー」でエンディング。
最後の行進曲の打楽器、特に鉄琴が叩きまくる編曲はちょっとお下劣か?。
しかしさすがN響である。
PMFOはもちろん、札響とも違う格の差を披露していった。
ぜひ、一流どころとのKitaraでの公演を期待したい。
16:10〜 野外ホールステージ前椅子席
あとふたつだね。そろそろ帰りのことを考えてお酒はやめにしよう。
2本買い込んだミネラルウォーター、どちらも口をつけて半端になっているからこれで我慢。
16:30〜 PMF弦楽四重奏コース
弦楽四重奏というのは野外の演奏会には地味なジャンルである。
3つのグループが登場し、最初のふたつは同じドビュッシーの四重奏を演奏した。
これが両者が対照的演奏をしたのが面白かった。
最初のSeasons Quartetが、落ち着いた、堅実な音楽を聴かせたのに対して、
次のArco Iris Quartetは弾きぶりからして動的で押し出しの強い雰囲気の演奏。
個人的には最初こそ後者に惹かれたのだが、聴き終えてみると前者のモノ=トーン的な音楽のほうがよかったように思われた。
ちなみに視覚的には後者のチェロのお嬢さんが素敵・・・。
そんなことを思いながら聴いたThe
Attacca Quartetのバルトークがあまり記憶に残っていないのは申し訳ない。
いずれのグループともしっかりとしたテクニックで、破綻のない音楽を聴かせてくれた。
ただ、そこからもう一つ何か突き抜けたものが出てこないといけないんだろうなと思うのだった。
17:50〜 野外ホールステージ前椅子席
がんばったねー。最後だよー
今日はセンターで聴くからね。野外とはいえ音も期待できるかな?。
さすがに暗くなってきたね。
ちょっと涼しくなってきたよ。半袖ではちょっとつらくなってきたかな?
15:00〜 PMFO ゲルギエフ指揮
ゲルギエフ&PMFO連荘の後半?である。
野外での椅子席では直接音が聴けるけれども、オケを見渡すことはできない。
やはり芝生席最前列がピクニックコンサートのベストポジションか?
まずはモーツァルト、おそらく野外のため音が聴きづらいのだろう。
マツカワはKitaraでの演奏よりも引っ込んでオケの音と指揮者の動きを感じやすいように位置をとった。
端正な演奏に変化はないが、カデンツァをKitaratoは変えてきた。
第1楽章はおそらく当初吹く予定のもので30秒ほどの短いもの。
第2楽章では、「フィガロ」を取り入れたカデンツァのラストに「ロシア国歌」を入れてきた。
即興でやられたら若いオケはびっくりするだろう(事実初日はそうだった)が、こちらはいつもの出来合いのカデンツァを聴かされるより楽しい。
ストラヴィンスキーは、PAのせいか弦楽器もそこそこボリュームたっぷりに聴こえた。
ただし、譜めくりで半数が落ちたとき音がすかっとしてしまうのはちょっと情けない。
管楽器のソロは初日のほうが安定していた。これは半袖ではふるえがくるほどの下がった気温も影響しているかもしれない。
打楽器がぱっとしないのはもうあきらめよう。
オケの鳴りは後半から次第によくなり、迫力という点では初日を上回っていた。
チャイコフスキーも前日同様、暗く厚い響きで始まった。
一番の違いはゲルギエフの指揮振り。
初日の「事故」?のせいだろうか、随所で丁寧な振り方になっているのがわかった。
その一方で、表情の動かし方は初日よりも大きく、全体としてはドラマティックな演奏となった。
すばらしかったのは初日同様第2楽章。厚みのある弦とホルンのソロの色合いはこの日も絶妙だった。
残念だったのは野外演奏ということもあってか、他のパートの音が聴きづらいのだろう。
全体のアンサンブルの精度が非常に低かったことで、特に木管楽器の遅れが目立った。
第3楽章では木管の入りが1拍遅れて音楽に一瞬空白が生じたし、
フィナーレの再現部直前では、これも木管がテンポを見失い、音楽が所在不明となった。
この点では後半のふたつの楽章は初日よりもきわどいシーンが多い演奏だった。
迫力たっぷり、起伏の大きいスリリングな「紙一重」の演奏に「観客」(7000人!)は大いに湧いた。
コンサートの性格上スタンディング・オベイとなったが、周囲が立って視界がふさがれるまでは動かなかった。
終演時恒例の盛大な花火が打ち上げられた。
しかし風向きはスタンドへ吹き降ろし、おかげで場内は霞につつまれたようだった。
終演は20:30少し前。
21:00 札幌市南区某所
駐車場は意外とスムーズに出られたね。。
何?ただいまの気温16℃!
山の中だもの、そりゃふるえるはずだよ・・・。