PMF2003応援日記! その2
2003年7月4日 Massa−’s Home
開幕まで秒読み。
ハイティンクによるリハーサルの模様が、新聞に大きく掲載される。
第2ヴァイオリンのトップにはクロイザマーが座っている。
例年はファーストの第1プルトにヒンクとならぶ事が多かった。
やはり難曲なのだろう、第2ヴァイオリンにも「核」が欲しいというところか。
ハイティンクはラフなスタイル。
そういえば昔のこの人のLPのジャケット写真はラフなポロシャツ姿?が多かったような気がする。
2003年7月5日 12:30
札幌コンサートホール
仕事場をぬけたのは11時半、ちょっと遅かった。
しかもめざす駐車場近くで爆弾騒ぎがあって、すこし渋滞に巻き込まれる。
今さらに悪いことに駐車場(30分100円と少し安い)は満車!
というわけで、Kitaraに着いたのは12時半。
まずは委員会事務局へ、9日のチケットを取りに行く。
託児室側からは施錠されているため、正規の手続きを経てヴィジターカードを胸に入館。
事務室はさすがに閑散、留守番の方が数人。
恐縮しながらチケットを受け取り、さらに図々しくも公式プログラムも引換券と交換。
中庭でサンドイッチを所望するも、「売り切れてしまいました!」
う〜。かわいいから許してあげようお嬢さん!
ホワイエの売店では恒例のグッズ販売、久々にストラップが復活。しかし800円はちょっと高い。
3〜4年位前に売られた、今自分が着けているものの方がかっこいいと思う。
2003年7月5日 13:00
札幌コンサートホール
開会式、記念演奏
開演10分前、カウンターにふたつ残っていたサンドイッチのひとつをゲット。
3分ほどで5ピースほとんど味わうことなく腹に詰め込む。飲み物を飲んでいる暇はない。
席に陣取り場内をみると意外と目立つ空席。程度としては最近のコンサートよりはましだが、
抽選にあたったのだから、欠席、遅刻は避けたいもの。実際には開会30分後も入場してくる人の姿もあった。
開会式はお約束の?メニューで会は進む。
まずは開会宣言をはさむふたつのファンファーレ。
チョン・ウェン・ピン指揮の予定が金聖響に変更。
金の指揮、後姿だけだが個人的には打点がきっちりとせずあわせにくそう。
ブラスバンドはアカデミーのメンバーが座るPブロックの最後列に陣取る。
マーラーのリハで疲れているのか、指揮との距離もあるからか気勢があまり上がらない。
昨年まではPMFのトップ=札幌市長であったが、今年は新市長が誕生し挨拶が一人増える。
教授陣紹介ではさすがに一番長く、盛大な拍手を受けたハイティンクであったが、
挨拶はごく短く2センテンス。疲れているのか?
続くシュミードルの挨拶が長く、内容のあるもの。
曰く「音楽芸術に接する機会を多くもってください」てなところか。
失礼ながら悪く取れば、「もっとお金を使ってね」という宣伝にも取れなくはない。
昨年のしっかりとした握手の感覚がよみがえる。
後半は記念演奏。
まずはPMFウィーンによるモーツァルト。
ここでのヒンクが信じられないような不調。音程が全くとれない。
調律に問題があったのか?最後まで回復しきらないまま演奏を終えた。
続いてペンデレツキの作品。残念ながら作曲家はまだ来札していないようだ。
こうした慣れない曲を弾く時のウィーンの連中の様子というのは見ていて面白い。
音楽は少し物憂げな曲想、シュミードルがしみじみと歌う。ミニ・トークで全曲を聴けるのが楽しみ。
続いて開会式は初登場?の札響のメンバーによる邦人作品(平尾貴四男)。
技術的には満足いくのだけれど、それ以上のものは私には聴き取れない。
音楽に張りがないのである。これで音色に魅力があればまだしもそれがない以上、
プレストの曲の活気に救われていると言ったら失礼すぎるか。
最後に期待の「騎士パスマン」のチャールダッシュ。
ヴァイオリンの濃厚な歌に期待したのだが、少人数のためのアレンジのためか、
ヴァイオリンよりもクラリネットにメロディが振られることが多くちょっと残念。
しかしヒンクのヴァイオリンの復調し、後半はフルートをピッコロに持ち替えたシュルツと、
シュミードルのリードで大いに盛り上がった。
期間中ハードスケジュールとは思うが、
大通でやるようなウィンナ・アーベントを1度ホールでやって欲しいと思うのは自分だけだろうか。
盛大な拍手の中終演は14:20。
最後にひとつ。もうちょっと質のいい司会はいなかったのだろうか?
2003年7月6日 未明 Massa−’s Home
HPも書いたし、公式プログラムを見ようとぱらぱらめくると、同じ写真が・・・。
なんと乱丁、落丁です。81〜96ページがダブっていて、97〜112ページまでが行方不明・・・。
明日はもう一度事務局に立ち寄ることにしましょう。
2003年7月6日 15:00
札幌コンサートホール
ハイティンク指揮PMFO
Kitaraへ向かう途中、ハーフマラソンが開催の看板があり、強引に向かうが途中で交通規制にひっかかった。
いつもの駐車場は使えず、周辺を探し回って見つけた駐車場からやむなくいつもより少し余分に歩く。
Kitara着は14:00。当日券はまだ余っている模様。
昨日同様、ヴィジターカードを胸に委員会事務局へ、公式プログラム交換を申し出る。
いざホールへ、おなじみの竹津氏によるプレ・トークはすでに始まっている。
どうやら「第九」にまつわるいろいろな作曲家のエピソードを話しているようだ。
こちらは早速ビールを一杯。ギャラリーも行かなくちゃ・・・。休憩なしの長丁場、トイレは忘れずに。
ホールへ入るとさすがSOLD OUT、Pブロックの空席が気になるがほぼ満席。
NHKのカメラが多分5台、ハイヴィジョンでは8月16日の放送予定とか。
少し下を向いていると、拍手が起きた。ステージ上ではヒンクを先頭にアカデミーが入場。
着席するメンバーもいるが、ヒンクは立ったまま。
少し後から入ってきたシュミードルが座っているメンバーに起立を促す。
聴衆は最後の一人の入場まで拍手を送る、なんとなくいい雰囲気。
弦楽器と木管はウィーンのメンバーがトップに就いている。
昨日は教授陣の中でただ一人ホワイト系を着て異彩を放っていたハイティンク。
今日は黒、蝶ネクタイで登場。
マーラー:交響曲第9番
自分としてはあまり馴染みのない曲。とりあえずは初演者ワルターの指揮で軽く予習済み。
冒頭ミュートを付けたホルンの響きが美しく、期待が膨らむ。出だしで驚いたのがヴァイオリンの音、
後ろのプルト、あるいは第2の音量のほうが大きいかのようにステージ上手全体に広がる。
今年は音量的には申し分のない弦楽器パート、しかしフォルテでは音がやや濁りがちか。
管楽器はトップがウィーンのメンバーなので、実力のほどはまだわかりにくいが、
クラリネットは上質。イングリッシュ・ホルンの音も悪くない。打楽器はもう少し「キレ」が欲しい音。
とはいえ、全体のアンサンブルの完成度は予想以上の高さで、
危なげなところは皆無の自信に満ちた演奏であった。その点では出色といってよい。
ただ、先の弦楽器についての感想で述べたが、オケ全体として音の美しさ、透明度と言う点で、
デュトワ・セッションでの3年間のレベルには今ひとつ及ばないように思う。
来週のワーグナーまで、どのくらいオケとしての響きがどこまで変わるか期待したい。
今日のMVPはホルンのトップ。メンバー表を見るとホンジュラス国籍(出身)とのこと。
ウィーンのメンバーでは出番の多いシュルツが安定したソロで全体を締めた。
この両者の絡みのシーンはこの日一番の聴き物といえるすばらしい瞬間であった。
ハイティンクについてだが、丁寧な、奇をてらうことのない手堅いものであった。
第3楽章はもっとふみはずした皮相な面がでてもいいし、第4楽章も健康的な音楽に終始した。
これがウィーンやベルリンのオケ相手であればまた変わった部分もあるだろうが、
PMFという制約では最善のパフォーマンスであろう。
ただし演奏終了後はややそっけなく、ソロを立たせるシーンなどあってもよかったように思われた。
聴衆は比較的行儀良く、終曲なども曲の余韻を味わえた。
その後の拍手もいたずらに熱狂するわけでない、力強い拍手が響いた。
16:35終演。
2003年7月7日 22:00 Massa−’s Home
夕刊にシュミードルのカラー写真とともに「室内楽も楽しんで!!」の見出し。
「行きますよーあさって会おうねー」、しかし記事は日本語の使い方がどこかおかしい。
まあ自分の文章はもっとひどいからと納得。
しかし毎年思うのだがコンサートを批評する文章がもう少し早く載ってもいいだろう。
批評どころか、今年はコンサートの記事も見つからない。
さすがに6日朝刊は1面で開会式の「パスマン」の演奏後の写真が載っていたけれど、
北海道寡占状態の新聞、どんどん応援してあげてほしい。
2003年7月9日 19:00
札幌コンサートホール
PMFウィーン木管アンサンブル
モーツァルト、ベートーヴェンを期待しての参戦、室内楽としてはまずまずの入りではないか。
席は前過ぎて2列目センター、ちょっと直接音が多めで粗が目立つ。
最初のモーツァルトの幻想曲、ウィーンの面々による小品を楽しみにしていたが、
ステージを出てきたのはシュルツ、シュミードルの二人と3人のアカデミーのメンバー。
アカデミーのメンバーはプログラムの後半の登場になると思っていただけに驚きだった。
緊張の面持ちのステージから聴かれた音楽は、そのまま乗り切らない演奏であった。
フーガ調の部分が多くある程度奏者の力が拮抗していないとつらい曲である。
シュルツもアーティキュレーションが明確ではなく、ただ一人シュミードルが好調を示していた。
2曲目はモーツァルトの11番のセレナード。オリジナルの八重奏による演奏。
確かヘーグナーはアーノンクールの録音に参加していたはず。
人数も増えたこともあって緊張もやわらいだか、雰囲気はよくなったものの、
装飾音など細かいパッセージの指廻りや、アンサンブルの揃いは今ひとつ。
特にオーボエのアカデミー生は全体の中であきらかに「へこんで」いた。
この日一番の出来となったのはヒンデミット。
ここでもシュミードルが抜け、この時点で今日の「純正ウィーンアンサンブル」のないことが確定?
クラのアカデミー生はテクニックも確かで、ウィーンのメンバー4人に対し堂々渡り会えたといってよい。
しかしシュミードルであればもっと滋味豊かな音楽になったという「贅沢」は残る。
休憩後はベートーヴェンの八重奏曲。
音楽自体勢いがある分、モーツァルトより与しやすいのか楽しめる演奏であった。
掘り出し物は最後のグノー。初めて聴く曲だがなかなか素敵な音楽。
第2楽章ではシュルツのすばらしいソロを聴くことができた。
他のパートも活気のある演奏で立派な交響曲となった。
全般を通してシュルツ、シュミードル、ヘーグナーがおおむね好調。
特にシュミードルはどの音域でも豊かな音色を聴かせた。
初登場のオーボエのホーラックはテクニックはよいものの、音楽が硬く冷たい感じでいただけない。
ファゴットのミューラーはこの日のプロでは出番が少なくちょっと気の毒。
今年の正月に逃したウィーンの響きを取り戻そうと足を運んだ一夜ではあるが、
その点では満足できる内容とは言い切れなかった。
けれども演奏後の二人の女性(Hr.Fg)の笑顔がとても素敵だったので許そう(*^^)♪
グノーの第3楽章をちょっとテンポをあげてアンコール。9:15終演。
2003年7月10日 22:00 Massa−’s Home
新聞に札幌、旭川とPMFOを聴いた音楽評論家氏の批評が載る。
両手を挙げての絶賛であるが、ちょっと空々しい?
しかし、札幌の後の旭川の出来栄えの方がいいことは想像できる。
それほど1回のステージの経験というのは大きなことなのだ。
コンサートでできなかったことが次の日にはできた、なんて笑えないこともあったりする。
もちろんその逆もあるのだけれど・・・。これはもっと笑えない。
2日のハイティンクとのコンサートを経たPMFOがより立派なオケとして、
土曜日にはすばらしいワーグナーを聴かせてくれることを期待しよう。