PMF応援日記っ!その2
2002年7月7日 朝 Massa−’s Home
朝刊1面に開会式の様子が写真付ででている。雨模様ながら4,300人が集まったそうだ。
デュトワも5日夕方には札幌入りしたとのこと。記事には名前が無いので昨日は欠席かしら?
雨は今朝も残っている、野外コンサートはどうなる? (自分は聴かないけれど)
少し蒸すので例年お決まりの半袖シャツで芸術の森へ出発するとしよう。
2002年7月7日 10:20〜
札幌芸術の森にて
1時間弱で芸森着。雨のせいか駐車場に車はまだ少ない。
アートホールへの坂道、トロンボーンのブルックナーの7番を吹いているのが聴こえる。
毎年ここらへんでシュミードル氏を見かけるのだが、今年はキュッヒルの姿を発見!
アートホールも行列はまだ4人。そこで傍らの席にすわりハンバーガーをかじる、
するとよく見かけるPMFスタッフが会議中。なんと聴こえる話は「野外コンサート中止!」
10:40分にはデュトワのOKもでて中止が決定。しかも3時からアリーナで通しのリハーサルを
無料で公開するという話が続く。
11:30〜 ミニトークコンサート シュルツ&ガブリエル
オペラの編曲物の前にガブリエルがピアノ伴奏でモーツァルトの四重奏を演奏。
最初こそ不調かな?と思わせたが1楽章後半からは全く不安の無い演奏。いい音色。
つづいてオペラファンタジーと題した編曲物。楽しいのは二重奏による「魔笛」と「ウィリアム・テル」。
独奏の2曲(「ルチア」、「魔弾の射手」)はそれぞれ技巧的な部分が目立つ。ガブリエルの「ルチア」
が立派。
13:15〜 ミニトークコンサート シュー&ヤイトラー
こちらは独奏のみ。前半はウィーン・フィルメンバー(一人アカデミーから参加)の弦楽五重奏をバックに
ハイドンのトランペット協奏曲。最前列、ソロの楽器はもろに自分の方を向いている状態で、
まろやかな音ではないが、あぶなげの無い楽しい演奏が聴けた。
後半のトロンボーンは最初のオスミンのアリアは息の短い音楽でちょっと怪しげだったが、
続くパパゲーノではそうした点も気にならなくなり、アンコールとして演奏されたワーグナー
(「タンホイザー」から「夕星の歌」)はトロンボーンらしい音色も楽しめた。
15:00〜 PMFO 公開リハーサル
「タダ」と聞いた以上は行かねばならぬ、というわけで2階席に陣取る。
13年のPMFの歴史上初の野外コンサート中止との前説あり。
メンバーは全員PMFのTシャツ姿で登場。リハーサルらしい雰囲気。
しかし実際は本番同様で、15分の休憩をはさんで、全曲が通しで演奏された。
前半はジョシュア・ベルの独奏3曲。コリリアーノの曲は当初発表とは違う曲に変更。
ジョシュア・ベル・・・いい男だ!押し出しのしっかりとした演奏で前半1時間をほぼ弾きっぱなし、お見事!!
後半はマーラーの4番。休憩で最前列ど真ん中に席がひとつ空いているのを見つけて移動。
自分の席から半径3メートル以内しかも同じフロアに指揮者、独唱、コンマス(キュッヒル)がいるという状態。
ホールとは全く違った生の音という感じ。すばらしいのはやはりキュッヒル。とにかく気迫が、音が違う。
やはり世界最高峰のオケのコンサートマスターである。
終演17:05 外は相変わらずの小雨模様。この天気、今日で終わりにしてください。お天道様!!
2002年7月8日 夜 Massa−’s Home
昨日気がついたことをいくつか。
PMFOはヴァイオリンを両翼に配置。マーラーは最前列ど真ん中で聴いたが、ヴァイオリンのバランスがよく、
効果抜群。ただし前半のコンテンポラリーが両翼配置のオーケストラを念頭に書かれたか否かは疑問。
今年のPMFオケは(も?)金管がフォルテでもけして粗っぽくならないのというのが第一印象。
これはレジデント・コンダクターのチョンの趣味か、それとも前半指導にあたるVPOメンバーの影響か?
ただしAプログラムの前半、特に「ウエストサイド・・・」あたりではもう少し粗い、乾いた響きが欲しいと思わせる
部分が多々あった。打楽器も同様で今ひとつパワー不足を感じた。
この週末には整った環境で聴けるので、全体としての感想、結論は保留。
さて音楽以外の部分で気になったのは、経費節減の動き?が見られること。
組織改変が影響しているのだろう。
1.芸術の森に行くまで、気づいた立て看板はたった一つだけ、(雨降りだったので見落としがあるかな?)
それもかなり小さい寸法になっている。
2.コンサートプログラムの簡素化がされていること。あさってのPMFウィーンで確認できるだろうが、
公開リハーサルで配られたのは、PMFOメンバーの顔写真一覧のほかには、A4二つ折りの曲目が
書かれたもの、あとはマーラーの歌詞対訳と、プログラム変更になった曲の解説が別刷りA4で1枚。
この場合、公式プログラムを買わないと、曲目解説を読めないことになる。賛否が分かれそう。
3.公式プログラムの判の変更。前項に対応してか、持ち運びを考えたのであろう。公式プログラムは、
B5判とひとまわり小型化された。ただしページ数は増えたような気がする。
4.ただし、あいかわらずスタッフの数はやたら多いような気がするのは気のせいか?
10日はPMFウィーン。すっかりおなじみというか、何度もPMFで聴いてきた2大名曲の登場。
2002年7月10日 夜
札幌コンサートホール Kitara
今日も雨!今年のわがPMFは雨にたたられるのか?今日は車と地下鉄を乗り継いで現地18:30着。
19:00〜 Kitara 大ホール PMFウィーン演奏会
今までにPMFで何回聴いただろうと思われる二つの名曲。
とはいえ野外で聴く事が多くてホールでじっくりと聴くことは少なかったかもしれない。
コントラバスのブラーデラーがPMF初登場。あとはおなじみのメンバー。
弦はキュッヒル・バンドである。
前半はモーツァルトのクラリネット五重奏曲。
シュミードルよりもキュッヒルがぐいぐいと音楽をひっぱっていく。
ただし冒頭は空回り気味で、音が荒っぽくなったり、音程があやしくなる部分が目立ち、
大いに不満であった。しかし楽節の区切りでのテンポ・ルバートのアンサンブルは絶妙。
すばらしかったのは第2楽章。やらかで、ほどよい厚さの弦楽器の上にシュミードルが詠う。
まさに夢心地のひととき。終演後はブラボーの声も多かった。
後半はベートーヴェンの七重奏曲
冒頭、リズムが重たいのに驚く。初登場のブラーデラーの音が鈍すぎる。
逆にリズムを打っていると軽すぎて聴こえない。芯の無いといったら失礼か、
しかしこの印象は最後までつきまとった。
こちらもキュッヒルの積極的なリードが目立つ。いままではシュミードルがオーバーアクション気味で
吹いているのをよく見たのだが、今日はとってもおとなしく見える。実際に音楽もそうなのだが・・・。
そしてまたまたすばらしい緩除楽章がやってくる。ヘーグナーが短いソロをすばらしく吹いた。
3楽章以降、重過ぎず、めりはりのある表情ときびきびとしたテンポで曲は進められた、
フィナーレなどはちょっとあっけないほど。
最後に気持ちの中で「あー、終わっちゃう、もったいない」と叫んだ。
アンコールにベートーヴェンのスケルツォを演奏。トリオでのイーベラーのソロのすばらしさは
本番をしのいだ。終演20:50。
2002年7月12日 夜 Massa−’s Home
ポストに青い封筒。昨年お邪魔した”PMF Meeting”の世話人の方からの案内。
そういえば礼状もださずに1年が過ぎた。非礼を詫びつつも図々しく参加の返事を書く。
参加となれば21日のミニトークは朝一番の1本だけしか聴けなくなる。
それでも一番聴きたい今井信子が聴けるので◎。
2002年7月13日 10:25〜
札幌芸術の森にて
途中2箇所で工事のため渋滞、さらに2箇所で事故!それでも先週並みの時間に到着。
車の数は少し多いくらい。今日は他のセミナーが開催されてるようでアートホールの人は多い。
アリーナ前の行列は10人足らず。今日はさっそく後ろに付く。
11:30〜 ミニトークコンサート シュミードル&ウェルバ
「街の歌」、「幻想小曲集」とおなじみの曲がならぶ。
シュミードルはやはりおとなしい。不調なのか?それとも・・・?。
シューマンのフィナーレあたりは従来の情熱的なイメージよりは端正さが目立つ演奏。
ウェルバも安定感のある演奏。ソロとなった「シシリエンヌとロンド」では前半の技巧的な部分を熱演。
伴奏のコックスの手堅さが音楽ををしっかりと支えた。とくにクロイツァーの曲では大活躍。
メンデルスゾーンのアンコールがついて1時間余り、今年もシュミードルのミニトークは盛りだくさんだった。
13:15〜 ミニトークコンサート ヘーグナー&ガブリエル
これまたおなじみの2曲というよりガブリエルは先週と同じ。
注目は前半のバック。なんとヒンクをトップにあと3人はキュッヒルバンドである。
およそ考えられない組み合わせだ。さすがにキュッヒルに比べるとヒンクは線が細い。
しかし曲を考えると、今年キュッヒルのように迫力ある弾き方をされるよりよかったか。
ヘーグナーはいつものように?ちょっと安定感を欠く。3楽章のノリがよかった。
ガブリエルは先週の繰り返しと侮る事なかれ。伴奏が変わるだけでこうも違うとは!
先週のピアノ(コックス)が悪いというのではない。曲本来の編成、そして同じオケの仲間。
条件の変化でじつにのびのびとした音楽に聴こえたことか?!拍手も盛大。
15:00の札響、好天だし「巨人」が気になるが用事もあるのでパス。
2002年7月13日 夜
札幌コンサートホール Kitara
車と地下鉄を乗り継いで現地18:20着。当日券は50枚ほど発売とか。ちなみに20日は当日売りもないそうだ。
ホールにはカメラが入っている。NHKとしては別府で撮ったから、アルゲリッチの絵はいらないということだろう。
19:00〜 Kitara 大ホール デュトワ指揮PMFオーケストラ演奏会
前半は「火の鳥」。1910年版は初演の時のもの。個人的には1919年版のほうがなじみ。
全曲版では自分には前半は少し退屈。そんなわけで少しうとうとと・・・。
例年通りデュトワが的確なバトンでアカデミーたちを導いてゆく。やはり金管の充実が目立つ。
木管楽器もよく通る音で、そつがない仕上がり。弦楽器は力強さよりは繊細さ、美しさが勝る。
「・・・凶悪な踊り」以降はさすがにオケも慣れてきたのか硬さがなくなっていく。
けして粗雑にならないで壮大に築いたフィナーレのクライマックスは見事。
デュトワ/PMFOのストラヴィンスキー三大バレエの完結編にふさわしい秀演。
後半はショスタコーヴィチの5番。冒頭弦楽器の付点のリズムが甘く、そろわない。
「火の鳥」に練習時間を持っていかれたか?デュトワの指揮もオケを開放するかのようなスタイル。
音楽が締まってきたのは第3楽章から。繊細な弦楽器パートが美しい。デュトワの指揮も熱がこもっていく。
フィナーレでは金管楽器に疲れを感じさせる部分もあったが、堂々たる盛り上がりで終曲。
終演21:05、外はポツリと雨粒が落ち始めてきた。
2002年7月14日 12:00〜
札幌芸術の森にて
小雨模様の芸術の森、アートホール。アリーナ前は10人ほどの列。大練習室前は行列はなし。
20分ほど椅子に座って待たせてくれる。人が集まってきたところで列を作ってくださいということで先頭になる。
もしかするとミニトークの行列で1番というのは初めてような気がする。
13:00〜 ミニトークコンサート ヤイトラー
プログラムにはずらっとウィーンのポルカ、マーチが並ぶ。
30人ほどのブラス・アンサンブルが登場。ヤイトラーは指揮のみ。
昨晩でのコンサートでの印象通り、すばらしい演奏が1時間ほど続けられた。。
自分には最初の2曲以外はおなじみ曲が続く。一番よかったのはフチーク。
ちょっと気になったのは打楽器パートの面々。次のコンサートが気になるのか、
ちょっと力のはいっていない演奏振り。あれでは客にも、ヤイトラーにも失礼。
3時からの野外は決行された模様。雨は7日よりひどかったが、さすがにデュトワをキャンセルというわけには
いかなかったのだろう。2時過ぎには2〜30人だった行列は開演直前にはアートホール近くまで続いた。
こちらは夜の大通にそなえて?下山することにした。途中すれ違った芸術の森行きのバスはかなりの人が乗っていた。
2002年7月14日 18:00〜
札幌大通公園にて
17:00に雨は止んだ。しかし現地では撤収作業が始まっていた。
とりあえず開場変更等がないかを事務局へ確認。
「せっかく止んだのに、ごめんなさい。中止です」
電話にでたのはプレトークでおなじみの竹津氏であった。