PMF応援日記っ!その3
2002年7月18日 16:40 石狩市民図書館
やっぱり曲の基礎知識が欲しい。そこで「名曲解説全集〜室内楽曲V」を借りる。行きの地下鉄で読むことにしよう。
2002年7月18日 18:40〜
札幌コンサートホール Kitaraにて
急遽、下の子供を連れてKitara入り。ごはんを食べてベビー・シッターさんへ預ける。
彼には2年ぶりのベビー・シッター、そしてたぶん最後の託児室入りとなろう。
バルトークは一応地下鉄で下調べ済み。とっつきにくい曲ではなさそうだ。
出演者、および曲順変更の案内が場内に掲示されている。バルトークが休憩前の2曲目になっている。
アルゲリッチは第2ピアノだ。どいうセッティングになるのだろう?
開演直前、ビールを一杯。Kitaraに来た時はドリンク券がもったいないのでビールを飲んでいる。
しかし悪いことはできない。直後トイレでかかりつけの先生に出くわした!
クラシックを聴く人だったとは知らなかった!!
「先生、お聴きになるんですね〜」。失礼な言い方をしてしまった。
PMFインターナショナルズ・アンサンブル演奏会
PMF後半の教授陣で編成されるのがこのPMFインターナショナルズ・アンサンブル。
実際のところ聴くのは初めてではないか?と思う。それほど室内楽はあまり興味がなかったほうである。
最近のミニ・トークを聴くようになってから、室内楽にも関心を持つようになった。
バーバー:木管五重奏のための夏の音楽(Fl、Ob、Cl、Fg、Hr)
曲頭は「けだるく」と指示があるそうだが、やがて動きのある音楽が支配的になり、
夏の夜を闊歩するこそどろの音楽といったイメージで聴いてしまった。
フルートのケイナーは骨太でいい音だがビブラート過多気になる。オーボエのウッドハムスは音があまり出てこない。
マツカワのファゴットは美しいが、ウェルバに比べ線が細い。
オーボエに精彩がないためか、アンサンブル全体として色彩感に乏しく、縦線だけがそろっているという印象。
それは立派なのだけれど、プラスアルファが欲しい。昨年感心したホルンのツィーベルの活躍の場がなく残念。
バルトーク:2台のピアノと打楽器のためのソナタ
いよいよアルゲリッチ登場。2台のピアノはVの字上に置かれ、Vの広がったところに打楽器が陣取る。
2列目中央の私にはアルゲリッチの背中と鍵盤右半分を視ることになる。表情はまったく見えない。
むしろ演奏中の表情をみるには1階席の右端の方か、サイドのRAブロックのステージ寄りがベスト。
ピアノには譜めくりがついて、人によっては譜めくりが邪魔になるポジションもあっただろう。
期待と緊張の表れか、静まり返る場内に演奏者登場。拍手はそれほど盛大でもない。
曲自体は面白く聴いた。演奏は急場のアンサンブルのせいかややこじんまりとした印象。
ピアノはクリアなグルニングの響きと、やや丸みを帯びたアルゲリッチの響きの対象が面白い。
打楽器はなんとかまとめましたという演奏。見た目にリウッズィが演奏しづらそうだったのだが、
あとから解説を読むと、今夜は9つの打楽器の奏者の振り分けを、作曲者の指示と違うかたちに
したためではないかと思われる。おそらくこの曲の演奏経験があるプロとしては、学生のフォローの
ため変則的な振り分けをしたためいろいろと苦労があったのではないか。
曲になじみがないせいか、終演後の拍手もちょっと拍子抜けの様相。
しかしアルゲリッチはにこやかに応えてくれた。20日はエンジン全開を期待しよう。
カステレード:トランペット、トロンボーンとピアノのためのソナチネ
冒頭を聴いて、昨年のミニトークで演奏されたのを思い出した。
二つの金管楽器の会話がスリリングな曲である。昨年もよかったメルケロのトランペットがすばらしい。
トロンボーンのサリヴァンは曲間のパフォーマンスが受けていた。最初はややメルケロに押され気味だったが、
次第に調子を上げ、第2楽章の旋律の歌わせ方などすばらしかった。個人的には今夜一番の演奏。
ただしチェンのピアノは響きのバランスが悪く、濁り気味の音で学芸会並み。
ドヴォルザーク:弦楽五重奏曲
ヴィオラが1本で、コントラバスが加わってた五重奏。そのため少し重心が低い音楽。
チェロのローゼンが立派。張りのある音で、ヴァイオリンを差し置いて全体をリードする感があった。
ヴァイオリンのジュイエは音は渋めでドヴォルザーク向きかもしれないがやや全体に埋没気味。
やはり第一ヴァイオリンなのだから、もう少し浮き上がっていて欲しいと思う。
4曲振り返ってみて、どの曲も実に手堅いが、もう少し羽目を外したところがあってよかったのではないか。
コンサート全体として、各奏者1曲だけの出演だからこその緊迫感と、その持続があってほしかった。
たとえとしてあたっているか不安だが、たくさんの歌手が登場するオペラのガラ・コンサートのような
華やかさと期待感、緊張感がほしかった。
聴き手の拍手が盛り上がりにかけたまま終演は21:15。
2002年7月20日 18:00〜
札幌コンサートホール Kitaraにて
18日に続き「名曲解説全集」で予習。聴いたことがないわけではないのだがどんな曲だかさっぱり思い出せない。
見た限り「チケット求む」という人は見当らない。当日券売り場はクローズ。
今回のPMFOはCBブロック最前列ど真ん中。手すりを気にしなければいい席です。
ラヴェル:「マ・メール・ロワ」
デュトワ得意のラヴェルということになろうか。今年のオケにはふさわしい選曲と思われるが、
全体に生真面目な演奏に終始した。曲想自体メリハリにかけるせいか、テクニックは完璧だが
それ以上のものに乏しい。コンミスのソロは音がすばらしい、ただし音程がぶら下がり気味。
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番
さてお目当てのアルゲリッチ登場。自分自身ピアノソロというのはあまり聴かない。
去年のデムスを聴きに行ったのは超例外的出来事。当然ピアノを聴くのは室内楽の伴奏か
協奏曲となる。先のPMFのアンドレ・ワッツも行かなかった。正直いって「大物クラス」は初物である。
目からウロコというのは大げさかもしれないが、こんなピアノは聴いたことがないというのが感想。
とにかく素晴らしいテクニック、そして音楽。自分にはどこがよかったとかいう次元ではなかった。
しいて言えば低音域、左手の音が自分には弱かった。
それと曲そのものが猪突猛進タイプの曲(典型は両端楽章のコーダ)だったので、自分になじみのある、
じっくり味わえる曲で聴きたかったという贅沢な想いが残る。
なんとアンコールがあった。スカルラッティのソナタから1曲。緩急自在、素晴らしいの一語。
R=シュトラウス:アルプス交響曲
この曲どうもつかみどころが無い曲に自分に思われる。カラヤン以外に演奏では感心した例がない。
ステージ上、ずらりとならんだ打楽器に目が行く。そういえばパイプオルガンもスタンバイだ。
冒頭、ぎょっとするような不揃いの入り。おそらくステージ上でも「しまった」と思ったのでは?
夜明けの混沌は弦楽器の音程が不安定で随分よどんだものに聴こえる。
金管もアウフクタクトがそろわずちょっとぎこちない。夜明けは来るのか?
主題の提示、弦楽器がいい勢いだ。ただしやはり今年の特徴か、ヴァイオリンはやや厚みに欠ける。
以下全体として各パートのレベルの高さはわかるものの、ひとつの集合体としてのオーケストラの音が出てこない。
ひとつひとつのソロ、アンサンブルは素晴らしいのだが、全体としてのまとまりに欠ける。曲のせいか、オケのせいか?
むしろ金管の楽器の持ち替えやバンダへの移動、打楽器の活躍(ウインド・マシーンは皆が目がいったに違いない)、
パイプオルガンの活躍と視覚の点で楽しむことができた。後半は弦楽器も調子が出てきてまとまりが出てきた。
デュトワの指揮は相変わらずの見事な指揮、ただし曲の運びがやや一本調子のきらいがあった。
特に曲の区切りに間をおかずにイン・テンポで次へと進むのは好き嫌いが分かれそうだ。自分は反対派。
とにかく音の洪水にひたれたのは確か。プロコフィエフよりも聴衆はもりあがった。終演21:20
2002年7月21日 9:20〜
札幌芸術の森にて
今年のシリーズで一番の早起き。天気は曇り、なんとか雨はなさそうだ!駐車場はまだ閑散としている。
アート・ホールアリーナ、今日はチケットを持っていない、当日売りは9:30から。ここで学生時代(いつのことだ?)
の先輩に声をかけられる。しばし話しに花が咲く。予定より少し早く会場。PMFOを聴いたのと同じ最前列をキープ。
10:00〜 ミニトークコンサート クーレン&今井信子
それぞれがソロで演奏を披露。前半はクーレン。先日のKitaraで見たときに比べ、随分若く見える。
ロックバーグなる作曲家は全くの未知。全曲演奏ではないので、断定はできないが曲が進むうちに
パガニーニをテーマにしたヴァリエーションであることがわかる趣向か?
演奏は実にエネルギッシュ。ケネディばりの足踏みも頻繁に見られる。美人だから許そう(^o^)/
全51曲?のうちの18曲、ぜひ全曲を彼女で聴いてみたいかな?と思わせた。
今井さんのソロはたぶん初めて、とても小柄な方でヴィオラがほんとに大きく見える。
「ヴィオラの音はいぶし銀というよりは、上品で時には官能的でもある。」とのトーク、
まさしくその通りの音楽であった。グラズノフからコンテンポラリーまで、「渋さ」というのは感じられない。
失礼な言い方かもしれないが、ヴァイオリンとチェロの音のよいところを両取りしたような深みと輝きを併せ持つ。
終演後ヴィオラを弾く先輩曰く「一度でいいからあんな音出してみたい」。
伴奏は橋本京子、コックスもそうだが、さすがに従来登場していたPMFピアニストとは格が違う事を示した。
11:30〜 「PMF Meeting」 於レストラン・芸術の森
昨年は佐渡裕氏のサイン入り本とリコーダー演奏が聴けた集いである。
今年は30人ほどの方が参加。ただし自分のような「ただの音楽ファン」というのはちょっといない。
それぞれある程度公的な面でPMFとの関わりを持つ方が多くて、昨年同様やはり場違いか?
今年はなんと芸術主幹のシュミードル氏をゲストに迎えるとのこと。
12時過ぎにシュミードル氏、さらにはH.Jクラウト氏も登場。ちょっとしたインタビューが行われた。
さすがに佐渡さんの時のようにメンバーとのやりとりはできないが、ドイツ語でPMFへの想いを語ってくれた。
お楽しみ抽選会が行われ、なんと公式プログラムが当たり、目の前でサインをしてもらう。
当然握手をおねだりする、思っていたよりは大きくない手だった。
実はCDを仕入れておいたのだが、一人でサインをふたつもらっては失礼かと遠慮する。
さらに芸術の森15周年(DVD付!)、ピクニックコンサートのチケットをいただき、泥棒のように退席した。
ピクニックコンサートを待つ行列はアートホール近くまでのびている。
はたして一人であることを生かしてよい席を見つけられるか?
14:00〜 ピクニックコンサート
アルゲリッチ人気で約500席の椅子席が売り切れとなっただけあって、入場したときには前のほうには
一人はいる隙間もない。芝生席真ん中あたりに陣取る。どこまでもつかな?
札幌交響楽団演奏会 コリリアーノ:ハメルンの笛吹き
日本初演
ストーリーは単純、それに曲自体も実にわかりやすくできていて、バレーがさらにそれを補完する。
PMFではおなじみの橋本邦彦が演出を担当。結果からいって残念ながら前半の語りが饒舌。
その証拠に後半はまったく語りの
出番がなくても音とバレーがストーリーを十分に伝えてくれる。
もう少し時間と回数をこなせば、こなれて洗練されたものになるのではないだろうか。
しかしこのくらいの音楽物語ならば、日本の昔話を題材に、より親しめるものがあってよいのではないだろうか?
PMFアカデミー・アンサンブル演奏会
鳥の歌、ライヒャの作品では教授陣(ローゼン、シュミードル)が加わり彩をそえた。
2曲目は作曲家コースのアカデミーの作品、演奏前に自ら熱心に解説し、弦楽四重奏を指揮。
ありきたりのテーマだが、せっかくなら全曲演奏にしてあげればよかったのにと思った。
PMFインターナショナルズ演奏会
管、打楽器を中心にしたプログラム。ところがここで雨が強くなり、一番楽しみにしていた金管三重奏で
とうとうおなじみ?レインコートが配られる状況になった。強い雨は一時的に終わったが、半袖の自分には
かなり厳しく体もかなり冷え切ってしまった。
2曲のプーランク、断片的に聴いたようなもので、ぜひホールで聴いてみたいと思った。
後半は打楽器、リウッツィが意欲的にアンサンブルを指揮。アカデミーもよく応えていた。
やはりオケのなかで叩くのとは意気込みが違うか?それでも終演後はあっさりと撤収。
PMFオーケストラ演奏会
みなさんお目当ての大トリであります。
なに17:30過ぎてぎぎりまで新規入場者がかなりいるのだからすごい。
そつなくラヴェルが終わり、アルゲリッチ登場。
着席したところでなにがあったのだろう。デュトワになにか訴えている。
第1楽章が始まる。PAのせいかKitaraの時よりも左手=低音がしっかりと聴こえてくる。
1度聴いた曲だけに曲のつくりが少し見えてくる。
第1楽章が終わったところで、アルゲリッチが立ち上がり再度デュトワになにか訴える。
どうやらかなりナーバスな様子。
第2楽章では気のせいか叩きつけるような弾き方が目立った。
終曲。弾き終わったアルゲリッチは答礼をせずに後ずさりして、両手をひろげ首をすくめた。
なにがあったのかしら?楽器の不調か?
その後もデュトワに引っ張られる様にステージには何度かもどったものの、そっけなくアンコールもなし。
なんとここでおよそ3分の1の聴衆が退場。
プロコフィエフが終わった途端、拍手もせずに立ち上がる輩も少なくはなく、
ちょっといやな気分。おめーらそれはないだろう、いったい何をしに来たんだ?
最後はアルプス交響曲。
少し前に移動したが、直接音とPAの音が雑じりあう場所だったようで、迫力があっていい部分と、
ただ混沌としてしまう部分があって、印象はより散漫に・・・。
終演20:20。
スタンディング・オべイの中、最後は花火があげられお祭り気分の中PMF2002 in
札幌は閉幕した。
「とうとう最後まで聴いてしまった」
R=シュトラウスが終わった途端、胸ポケットのPHSが子供を預かる親父の着信で振るえていた。
(マナー・モードですよ)。
「んー、ご苦労さん!さて、帰るかー!!」
2002年7月28日 13:00 Massa−’s Home
昨日のサントリーホールでのPMFOのコンサートで今年の全日程が終わった。
評判がちらほらとWeb上でみかけるが、R=シュトラウスが予想以上の好評。
アルゲリッチは横浜ではまたまたご機嫌斜めだったとか、それでも演奏はそつなくこなした模様。
東京の室内楽ではやはりシューマンがよかったらしい。第1ヴァイオリンはクーレンが弾いたらしい。
自分としてもバルトークよりこちらが聴きたかった。
先日Yahoo!でPMF10周年記念ドキュメンタリーのビデオを入手。
「Fine Tuning」63:32 日米仏共同制作。
おそらくTVで放映されたような記憶があるが、シュミードルの前説があって先日のMeetingでのスピーチを思い出す。
そういえば芸森のDVDはまだ封印したままだ。PMFの映像でも入っているだろうか?