『きっかけ』
『一通り(9巻まで)読んでみて』
「宮沢雪野(以下宮沢)」のあくまでも前向きに生きる姿勢も好きだけど、個人的には邪悪な心をひたすら隠そうとして苦悩する「有馬総一郎(以下有馬)」の方により親近感を感じる。また、人物の内面を鋭く丁寧に描いていて、一つ一つの内容も充実しているのでつい時間を忘れて読みふけってしまう。『一筋縄ではいかない大した性格の持ち主』
『井沢真帆(以下真帆)に敢えて情けをかける』
真帆との対決(3、4巻)に宮沢が勝利した後、話の最後に真帆に情けをかけるシーンには大いに感心させられた。「情けは人のためにならず」という諺は現在「情けを掛けることは相手の為にならないからかけるべきではない」というのが一般的な解釈だ。『今後の焦点』
これまでの様子を見る限り、宮沢は愛情に恵まれていることが随所に伺われる。だからどんなことでも自分の力で乗り越えていける強さが彼女にはあると思う。ただし有馬が絡んでると話は別かもしれない。この問題に宮沢はどう立ち向かうかが今後の焦点になるだろう。『宮沢以上に気になる存在』
『なかなか気づきにくい有馬の感情』
有馬はあまり感情を表に出さない。そのめた、どうしても彼の気持ちを見逃してしまいがちになってしまう。2巻で「浅葉秀明(以下浅葉)」が有馬を巡って宮沢とけんかしている時も内心快く思っていなかったことに気がつかなかった。このことに気づいたきっかけは7巻で「十波健史(以下十波)」が宮沢と楽しそうにお喋りをしているときである。側にいた有馬はあからさまに憂うつそうな表情をしていた。これを見て、そういえば浅葉が宮沢といたときも有馬は同じように影から様子を眺めていたように思えてならない。その直後、宮沢は浅葉との関係を有馬に聞くと非常に冷たい反応を示した。彼女にしてみれば単にクールな態度に見えただけかもしれないが、有馬にとっては内心面白くなかったはずだ。実はこれが彼なりの嫉妬心だったと考えれば納得出来る。「今後の動向も気になる」
有馬が単に完璧な優等生だったら『カレカノ』は普通のラブコメ漫画と決めつけていたと思う。しかし、彼には心の傷を背負う程の辛い思いを背に生きていた。このことを知ってからというもの、やるせない気持ちに駆られっぱなしになった。『有馬と同じくらい気になる女の子』
『感情表現が非常に上手い』
こうしてみると『カレカノ』に登場する人物は有馬を除き皆感情をむき出しにしているのが分かる。うれしさ、悲しさ、怒り、呆れ返り、どの表情も読み手に気持ちが伝わってくる。特に嬉しさの表現は群を抜いている。『7巻について』
『8巻について』
ここでもドッペル有馬は時折登場する。そして、有馬を闇の方に引きずり込もうとしているように見える。いや、実際は彼自身の欲望なんだろうけど、ただそれを認めたくないだけかもしれない。それでも宮沢一家と一緒に過ごしている時の有馬は本当に幸せそうだった。『本筋とはそれるが』
読書感想での作者特有の発想に興味を惹かれた。これをきっかけに『十五少年漂流記』を買ってしまった。この本を通じて作者の気持ちが少しでも理解できればいいなと考えていたからだ。それで実際に読んでから改めて感想文を読むと、奇想天外な発想をしていることがわかる。人間の醜い部分を上手に皮肉ってるところも面白い。『ふと思うこと』
有馬はともかく、宮沢の悩みというのは贅沢なのではないか。理由は彼女は素敵な家族に恵まれているからだ。そのうえ、成績はトップクラス、運動神経も抜群で彼氏もいる。とても幸せな状況なのにこれ以上何を望むというのだ。ただ、逆に言えばこの飽くなき向上心が宮沢のいいところなのかもしれない。『いよいよ文化祭突入(9巻)』
宮沢達が演じる芝居がなかなか凝っていていろいろと興味をそそられた。せっかく天才的な頭脳を手に入れても幸せになれずに苦悩するところは「アルジャーノンに花束を」を彷彿させる。その中でも気になるのは有馬だ。劇中で博士が抱え込む悩みと有馬が抱えている心の傷は非常に似ている。彼は自分の事をいわれているような錯覚に陥ったはずだ。『ますます有馬が心配になる』
出会った当初は二人だけの世界だった。だからお互いの気持ちも理解しあえた。ところが、付き合っていくうちに彼女の方がドンドンと変貌していった。そのスピードは有馬とは比べ物にならないくらいだった。気がつくと宮沢は一人でも平気なのに彼は彼女なしでは生きてゆけないという強迫観念に駆られてしまう。それほど宮沢が好きだという意志の表れではあるが、同時に彼の心の悩みが依然として解決していないことも示唆している。『これまでと比べると今一歩な内容だった(10巻)』
真秀編では純文学風の雰囲気が個人的にはあまり好きなテイストではないんだけど、なんだかんだいってまとまった内容にはなっていた。『一馬は気づいてしまった(11巻)』
つばさを一人の女性として愛してしまったこと、そしてつばさが一馬に向ける愛情はあくまで無垢な子供がしていること(現時点では勘違いという可能性も否定は出来ないが)に。互いの気持ちのギャップに一馬は思い悩む。『ふと、思ったこと』
それにしても、どうしてつばさと一馬の話をしているのだろう。考えられるのは精神的に成長した一馬が有馬の心を癒すという展開を描こうとしているからではないだろうか。確かに恋人である宮沢は有馬が抱く暗い感情を和らげてくれた。しかし、いくらなんでも彼女一人では限界がある。そこで宮沢に比べれば近い境遇にいる一馬が必要になったのだろう。彼らが素直に感情をぶつけ合って、最後にお互いの気持ちを理解し合うことで有馬の重荷が取れるようになればいいなと思っている。『今回もつばさと一馬の内面を丁寧に描いていた(12巻)』
前半は一馬がいかに音楽的センスが優れているかということを上手く表現していた。特に、彼の頭上に音楽のシャワーのようなものに包まれて涙するシーンは秀逸だった。このことで音楽的センスを飛躍的に向上させただけでなく、つばさに対する愛情も歌で表現できることに気づかせてくれた。『次回からはいよいよ物語の核心に迫る』
あとはちょっとしたキャラ紹介編といった内容の「りかちゃんライフ」があったけど、そういうのもあったかな程度の内容だった気がする。タイトル | 作者 | 出版社 | 第1巻出版年度 |
彼氏彼女の事情 1〜13巻 |
津田雅美 | 白泉社 | 1996年 |
タイトル | 出版社 | 第5版 発行初年度 |
新明解国語辞典(第5版) | 三省堂 | 1997年 |
タイトル | 作者 | 出版社 | 出版年度 |
十五少年漂流記 | 志水辰夫、文 原作、Jベルヌ |
講談社 | 1997年 |
モンテ・クリスト伯 | 村松友み 原作、Aデゥマ |
講談社 | 1998年 |
アルジャーノンに 花束を |
ダニエル・キイス 小尾芙佐=訳 |
早川書房 | 1989年 |
タイトル 〜/〜号 | 出版社 | 出版年度 |
オリコンウィーク ザ・1番 10/26号 | オリコン | 1998年 |
タイトル | 発売元 | op.1発売年度 |
彼氏彼女の事情 op.1〜6 | キングレコード | 1999年 |